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2018年1月4日木曜日

2017年の投資をふりかえって(1)全般について

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2017年にとった基本方針はここ数年と変わらず(過去記事2015年)、「市場からの評価水準が高い銘柄を順次売却して、保有株式数を減らす」ことでした。また売却はしないものの価格下落リスクが大きいと考えた銘柄については、ヘッジ的な売り(つなぎ売りなど)をしました。結果的にヘッジ・ポジション全体からは損失を出しましたが、あくまでも保険代とみなしており、今年も同様の方針をとるつもりです。

一方、証券を買うほうについては、年末近くになってから1銘柄を新規購入したものの、実質的には休業状態でした。悲観的な見方が織り込まれていない株価は、正直なところ苦手です。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(銘柄コード順)。

<新規購入(New Buy)>
・クックパッド(2193); まだわずかな規模の買いにとどめています。

<買増し(Add)>
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・しまむら(8227)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・インテル(INTC)
・マイクロソフト(MSFT)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・クラレ(3405)
・メック(4971)
・日進工具(6157)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM); 以前のシルバー・ウィートン(SLW)から社名が変更されました。
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・サンリオ(8136)

つづく投稿では、このところ業績(および株価)が思わしくなかった銘柄について、簡潔ながら反省と共にふりかえりたいと思います。

2017年12月30日土曜日

2017年投稿分から、おすすめの言葉三選

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今年は投稿数が少なかったこともあり、心にとどめておきたい言葉を3つ取りあげて、年の締めくくりといたします。いずれも、未来予測に関する同じ話題へ焦点を当てており、かき混ぜるとひとつに溶け合いそうな文章です。

予測に関する5つの警句(ハワード・マークス)より、
未来を予測する者たちは、2つの種族に分けられる。物事をわかっていない者たちと、自分が物事をわかっていないことを理解していない者たちだ。
(ジョン・ケネス・ガルブレイス[経済学者])

予測というものは、未来よりも予測者について語ってくれることが多い。
(ウォーレン・バフェット)

『かくて行動経済学は生まれり』(マイケル・ルイス)より、
人は自分がわかっていないことをわかっていないというだけでなく、自分たちの無知を判断材料として考慮しようとしないのだ。

2017年12月28日木曜日

2017年デイリー・ジャーナル株主総会(4)投資した資産が半減した経験

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デイリー・ジャーナル社2017年株主総会でのチャーリー・マンガーに対する質疑応答から、彼が過去に経験した資産価格下落の話題です。なおチャーリーの語る後半部は、以前に投稿した内容の再掲になります。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問28> 1973年から1974年にかけて運営されていた投資パートナーシップの資産が半減したときには、何が起こったのですか。

<チャーリー> そう、すごく単純なことですよ。簡単そのものです。いい質問ですね、あれは教訓になりますから。私が運営していたパートナーシップの資産価値が、1年の間に50%下落したのです。市場としては40%程度下落しました。あのときの景気後退は30年に一度のものでしたよ。「市場を独占していた新聞社が、純利益の3,4倍で売られていた」ほどですからね。おっしゃるとおり、どん底のときには頂点から50%落ちましたよ。保有したバークシャー株がそれだけ下落したのは過去に3回ありましたね。

私からすれば、市場の下落は人生に付き物だと考えますね。長期にわたってこのゲームに関わるつもりならば、そうする必要がでてきます。値段が半分まで下落したときでも、やたらと思い悩まずにやり過ごせますよ。より良い生き方を心がけていれば、資産半減の事態となっても、沈着冷静・端麗優雅に受け流せるでしょう。下落を回避しようとは試みないように。結局はやって来ることです(拍手)。「自分には来ない」と言う人は、十分果敢に投資していないからですよ。

Question 28: What happened 1973 and 1974 when your investment firm lost over half?

Charlie: Oh, that’s very simple. That’s very easy. That’s a good lesson. That’s a good question. What happened is the value of my partnership where I was running, went down by 50% in one year. Now the market went down by 40% or something. It was a once in 30 year recession. I mean monopoly newspapers are selling at 3 or 4 times earnings. At the bottom tick, I was down from the peak, 50%. You’re right about that. That has happened to me 3 times in my Berkshire stock.

so I regard it as part of manhood. If you’re going to be in this game for the long pull, which is the way to do it, you better be able to handle a 50% decline without fussing too much about it. And so my lesson to all of you is conduct your life so that you can handle the 50% decline with aplomb and grace. Don’t try to avoid it. (applause) It will come. In fact I would say if it doesn’t come, you’re not being aggressive enough.

備考です。バークシャー株の価格が半減した3回の時期は、株価チャートで確認したところ、おそらく2007-2009年、1998年-2000年、1973-1974年かと思われます。また1987年のブラック・マンデーの時期にも、4割弱の下落があったようです。このことから、よく言われる「10年周期」がバークシャー株によっても確認できますね。

2017年12月24日日曜日

問題解決の技法(4)一般化せよ(クロード・シャノン)

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数学者クロード・シャノンが行った問題解決に関する講演について、4回目の投稿です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

研究活動を行う際に役立つ思考上の工夫としては、他には一般化があると思います。特に数学上の研究では威力を発揮します。「隔絶した特殊な結果を証明する」、そのような形で発展した代表的理論、とりわけ定理に取り組む人は、まず一般化から始めるものです。N次元で考える前には2次元で試すでしょうし、ある種の代数の問題であれば、普遍代数学の領域で考えるものです。実数の領域に関することであれば、普遍代数やその類の領域へ移って考えるでしょう。このことさえ忘れずに実行すれば、実際はたやすく取り組めます。なにか答えを見つけたときには、ただちに「もっと一般化できないか」と自問することです。「より多くを含んだ広範な記述ができないだろうか」と。思うに、工学の分野でも同じように留意されるべきです。賢明な方法で何かを達成した人があらわれたら、それをみて次のように自問するのがよいでしょう。「同じ原則をもっと一般的な形で適用できないだろうか。この巧妙なアイデアを同じように使って、もっと幅広い範疇のさまざまな問題を解決できないだろうか。この特定のことを使える領域が、どこか他にないだろうか」と。

Another mental gimmick for aid in research work, I think, is the idea of generalization. This is very powerful in mathematical research. The typical mathematical theory developed in the following way to prove a very isolated, special result, particular theorem - someone always will come along and start generalization it. He will leave it where it was in two dimensions before he will do it in N dimensions; or if it was in some kind of algebra, he will work in a general algebraic field; if it was in the field of real numbers, he will change it to a general algebraic field or something of that sort. This is actually quite easy to do if you only remember to do it. If the minute you’ve found an answer to something, the next thing to do is to ask yourself if you can generalize this anymore - can I make the same, make a broader statement which includes more - there, I think, in terms of engineering, the same thing should be kept in mind. As you see, if somebody comes along with a clever way of doing something, one should ask oneself "Can I apply the same principle in more general ways? Can I use this same clever idea represented here to solve a larger class of problems? Is there any place else that I can use this particular thing?"

「一般化」というアイデアをチャーリー・マンガーの言葉に置き換えるとすれば、「ハードサイエンスにおけるエートス」がうってつけのように思います。(過去記事1, 過去記事2)

2017年12月20日水曜日

投資家トッド・コームズの仕事量

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バークシャー・ハサウェイのトッド・コームズと言えば、ウォーレン・バフェットが次の世代を見すえて運用を任せているマネー・マネージャーの一人です(もうひとりは、テッド・ウェシュラー)。半年以上前のものですが、彼がどのように仕事に取り組んでいるのか触れた記事がありましたので、ご紹介します。同様の話題について過去にも投稿しましたが、補完する内容が語られています。(日本語は拙訳)

EXCLUSIVE: Warren Buffett's money managers, Todd Combs and Ted Weschler, speak (Yahoo! Finance)

「朝は7時か8時にオフィスに着いて、夜の7時か8時まで読み物をしていますね」、彼は笑いながらそう答えた。「家に帰って家族と会った後は、眠りに就くまでベッドの中でさらに1,2時間読んでいます。想像がつくと思いますが、1週間にかかってくる電話はほんの3,4件ほどですから、仕事に割込みが入ることはごくわずかです。ついてくれているアシスタントの女性がすばらしく、私の読むものについて熟知していますし、ある程度はなんでも用意してくれます。私が印をつけて彼女に戻す、といった若干のやり取りをするわけです。ファイリングなどは、きちんとした決まりを定めてあります。しかし文字通り1日に12時間、あらゆるものについて読んでいます」。

(中略)

「ええ、読む対象もあらゆる範囲にわたっています。当然なのは、まず新聞です。それから、250社前後の公開企業を毎四半期監視しているので、各社の四半期報告書には目を通しています。さらにはSEC[証券取引委員会]に提出された各種報告書も数多く読みます。また[業績発表説明会の]トランスクリプトも多々読んでいます。聴くよりも読んだほうが速いですし、会話で出てくる双方の小競り合いも飛ばせますから」。

「SECへの提出資料をいろいろ読むほかに、業界誌もいろいろと数十誌購読しています。それから、相談できるすばらしいアナリストが一人いて、チャネルの現状を調べる際に手伝ってくれます。たとえば、顧客や供給者や元従業員などと話ができるわけです。実のところ、「実際にそうだったらどうなのか」という見方をするように心がけています。どの証券を調べる際にも、『企業全体を保有していたらどうなるだろうか』という感覚で取り組むようにしています」。

“I get in around 7 or 8, and I read until about 7 or 8 at night,” he says with a laugh. “And I go home, and see my family, and then I’ll read for another hour or two in bed at night. And you know, there might only be three to four phone calls the entire week. So there are very, very few interruptions. I have a great assistant who knows everything that I read, and she kinda provides everything, and there’s a back and forth between us where I’ll mark it up, and give it back to her. And we have a system for filing and so forth. But it’s literally just reading about 12 hours a day of everything I just mentioned.”

*

“Well it runs the gamut as well. I would say certainly newspapers. I follow about 250 public companies every quarter. And so I go through, for each quarter each one of those companies, their quarterly reports. So a lot of S.E.C. filings. A lotta transcripts. I can read a transcript much faster than I can listen to the conference call. And you weed out some of the friction there as well.

“So a lot of S.E.C. filings. A lotta trade magazines. There are a couple dozen of those that I subscribe to. And then I have a wonderful analyst who helps me with channel checks where we talk to customers, suppliers, ex-employees and so forth. We’re really trying to get a view of what it would be like - every security that we look at, we’re really trying to get a sense of what it would be like to own the entire business.”

トッドの仕事ぶりは、まさしくGEICO時代のルー・シンプソンを思い出させますね(参考記事)。