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2012年6月6日水曜日

いつ株を買うのですか(ジョン・テンプルトン)

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以前にジョン・テンプルトンの「投資で成功するための16のルール」を取り上げましたが、今回はルールその4「安く買うこと」の説明全文をご紹介します。転載されたものですが、原文のファイルはこちらにあります。(日本語は拙訳)

(ルールその4) 安く買うこと

あたり前だと思われるでしょうが、しかし市場ではそうなってはいません。株価があがると、大勢の投資家がどんどん買いにまわりますし、買い手が少ないときは株価は低いものです。投資家が手を引くと、みんな失望して悲観的になります。

ほとんどの人がいっせいに悲観するときには、市場全体が落ちこみます。特定のセクターの銘柄だけが下落するのはよくあることですし、自動車メーカーや損害保険といった業界は定期的な周期で動いています。ときには貯蓄組合や大手の金融機関のような株全体が不人気になることもあります。まあ、理由は何であれ、そんなときに投資家は財布のひもをしめて身を引くのです。人はこう言います、「安く買って高く売れ」と。しかし、そういう人の大半は、高く買って安く売っているのです。「では、いつ株を買うのですか」と尋ねてみてください。たいていはこう返ってくるでしょう。「アナリストが明るい見通しに同意した後ですね」

愚かしいことですが、これが人の常なのです。流れに逆らって進むのはすごく難しいのです。誰もが売っていたり、お先真っ暗だったり、市場全体やある業界やある企業を指して、今買うのは危ないと専門家が口をそろえている、そんなときに株を買うのはすごく難しいことです。

ですが、みんなと同じ株を買うのであれば、成績も同じです。マーケット全体を買うということは、定義上はマーケットの成績を超えることはできません。またみんなと同じものを買うということは、既に割高になった後に手を出していることになります。偉大なる証券アナリストの先駆者ベンジャミン・グレアムの言葉に耳を傾けましょう。「専門家も含めたほとんどの人が悲観的なときに買うこと。そしてすごく楽観的になったら売ること」

大統領の政治顧問だったバーナード・バルークは、もっと簡潔に言っています。「大衆の向かうほうへ進んではならない」。かんたんなことですが、そうするのは難しいものです。

No.4 Buy Low

Of course, you say, that's obvious. Well, it may be, but that isn't the way the market works. When prices are high, a lot of investors are buying a lot of stocks. Prices are low when demand is low. Investors have pulled back, people are discouraged and pessimistic.

When almost everyone is pessimistic at the same time, the entire market collapses. More often, just stocks in particular fields fall. Industries such as automaking and casualty insurance go through regular cycles. Sometimes stocks of companies like the thrift institutions or money-center banks fall out of favor all at once. Whatever the reason, investors are on the sidelines, sitting on their wallets. Yes, they tell you: "Buy low, sell high." But all too many of them bought high and sold low. Then you ask: "When will you buy the stock?" The usual answer: "Why, after analysts agree on a favorable outlook."

This is foolish, but it is human nature. It is extremely difficult to go against the crowd - to buy when everyone else is selling or has sold, to buy when things look darkest, to buy when so many experts are telling you that stocks in general, or in this particular industry, or even in this particular company, are risky right now.

But, if you buy the same securities everyone else is buying, you will have the same results as everyone else. By definition, you can't outperform the market if you buy the market. And chances are if you buy what everyone is buying you will do so only after it is already overpriced. Heed the words of the great pioneer of stock analysis Benjamin Graham: "Buy when most people…including experts…are pessimistic, and sell when they are actively optimistic."

Bernard Baruch, advisor to presidents, was even more succinct: "Never follow the crowd." So simple in concept. So difficult in execution.

2012年6月5日火曜日

単に読めばいいというものではない(チャーリー・マンガー)

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今回は読書のしかたについて、「本の虫」チャーリー・マンガーの考えを『Poor Charlie's Almanack』から引用します。(日本語は拙訳)

我々はたくさん読みますよ。たくさん読まないで賢くなったという人は聞いたことがないですね。ただし、読むだけでは不十分です。そこからなにかアイデアを得ようとする姿勢が必要ですし、その上で理にかなった行動に結びつけなければなりません。ほとんどの人は、正しいアイデアをつかめていないか、アイデアはわかっていても何をしたらよいかわかっていないのです。

We read a lot. I don't kow anyone who's wise who doesn't read a lot. But that's not enough: You have to have a temperament to grab ideas and do sensible things. Most people don't grab the right ideas or don't know what to do with them.


きっとチャーリーは、自分のまわりにいる人たちを観察してきて、このような結論に至ったのでしょうね。チャーリーの言うとおり、個人的にはどちらにも当てはまっています。

2012年6月4日月曜日

株価が上がりそうだから買うのではない(ウォーレン・バフェット)

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アメリカの経済誌Forbesの1974年11月1日号に掲載されたウォーレン・バフェットのインタビューは、次の有名な言葉で締めくくられています。「今こそ投資をして、お金持ちになりましょう」(Now is the time to invest and get rich.)。今回は同記事の中から、株を買うときにはどうしたらよいか、ウォーレンの助言をご紹介します。(日本語は拙訳)

常識的なものになりますが、あきれるほど安値になっている株を買うことです。どういう基準で安いのかというと、以前から使われているような、純資産、簿価、継続価値[DCF等]といった指標があります。あまり手を出しすぎるのではなく、自分の知っているものにこだわることです。自分で理解しているビジネスだけに的をしぼり、さきほど挙げた評価額や、よい経営者がいるか、厳しい時期でも深手を負わなくてすむかといった点で評価し、基準に達しないものは除きます。わたしの場合はハイテク企業やコングロマリットは理解できないので、手を出しません。そして、株価が上がりそうだから買うのではなく、自分で所有したいと思う企業を買うのです。

Just commonsense ones. Buy stocks that sell at ridiculously low prices. Low by what standards? By the conventional ones of net worth, book value, the value of the business as a going concern. Above all, stick with what you know; don't get too fancy. "Draw a circle around the businesses you understand and then eliminate those that fail to qualify on the basis of value, good management and limited exposure to hard times." No high technology. No multicompanies. "I don't understand them," says Buffett. "Buy into a company because you want to own it, not because you want the stock to go up." (p.41)

以下の図は、この記事が掲載された頃のS&P500のチャートです。赤の矢印は、掲載号の発売日を示しています。さすがはウォーレン、どんぴしゃりです。








一方の日本市場、株価の底がいつやってくるのかわかりませんが、個人的には5月から株を買い進めています。先走ってしまったので、このところは手綱をひいていますが、アメリカ大統領選の11月に向けて、機をみながら買い続けるつもりです。

2012年6月2日土曜日

「ベンチャーキャピタル」の名前の由来

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読んでいる本『探求―エネルギーの世紀』で、「ベンチャーキャピタル」という名称が生まれた経緯が書かれていたのでご紹介します。

現代のベンチャーキャピタルに似通ったものは、第二次世界大戦直前に出現した。J.H.ホイットニー&カンパニーという独創的な会社の運用資産には、オレンジジュースの<ミニッツメイド>、テクニカラー社、映画『風と共に去りぬ』への出資などが含まれていた。言い伝えによれば、J.H.ホイットニーのパートナーが、この新型投資の最初の名称を考えたというー"プライベート・アドベンチャー・キャピタル"というものだった。しかし、響きがよくなかった。リスクが極端に大きく、無謀であるかのように思えた。責任ある受託者が、思慮深く管理するよう任されたカネを使って、"冒険"に乗り出すわけがない。そこで、それを縮めて、単純かつ廉直な"ベンチャーキャピタル"という名称に変えた。(下巻 p.225)


はずかしながら、わたしが投資している企業の1社が「アドベンチャー」状態です。何年間も成果が実っておらず、果実が得られるには今後も数年間は待つ必要があります。しかも成功する保証はありません。ウォーレン・バフェットならば、絶対に近寄らない投資先です。いずれは、わたしの失敗投資の事例としてご紹介するつもりです。

2012年6月1日金曜日

会社の物品を私用で使ったら(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットはバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOでありながら、もらっている報酬が低いことで有名です。USドルベースで10万ドル、現在の日本円に換算すると800万円です。「そうはいっても、経費は使いたい放題じゃないの?」と感じた方のために、今回は同社の株主総会招集通知(2012年5月開催分)からご紹介します。

報酬に関する分析

バフェット氏及びマンガー氏の両名は、必要に応じてバークシャーの従業員の助力を得ており、かつ/または、私用目的で使った郵便や電話等の些少な物品及びサービスをバークシャーに負担させている。そのため両名は、バークシャーが支払った費用以上の金額を年度毎に返還している。2011年度分としてバフェット氏がバークシャーに返還した金額は5万ドル[400万円]、マンガー氏は5,500ドル[44万円]である。またバークシャーは、この5年間にわたって身辺保護のためにバフェット氏に対してセキュリティー・サービスを提供してきたが、2011年度の費用は34万6,925ドル[2,800万円弱]だった。この金額は「報酬の要約」において、バフェット氏に関する「その他の費用」に含めてある。なお、多くの大企業では経営トップのために費用のかさむセキュリティー専門の部署を設けているが、各社の株主総会招集通知書面ではその費用細目は公開されていない。バフェット氏及びマンガー氏の両名は社有車を使用せず、あるいは支払が当社名義のクラブには所属していない。さらに両名は社有の航空機を商用目的に限って使用し、私用では使っていない。両名は個人名義でネットジェット[プライベートジェットを扱うバークシャーの子会社]を分割所有し、正規の費用を負担している。

Compensation Discussion and Analysis

Both Mr. Buffett and Mr. Munger will on occasion utilize Berkshire personnel and/or have Berkshire pay for minor items such as postage or phone calls that are personal. Mr. Buffett and Mr. Munger reimburse Berkshire for these costs by making an annual payment to Berkshire in an amount that is equal to or greater than the costs that Berkshire has incurred on their behalf. During 2011, Mr. Buffett reimbursed Berkshire $50,000 and Mr. Munger reimbursed Berkshire $5,500. For about five years Berkshire has provided personal and home security services for Mr. Buffett. The cost for these services was $346,925 in 2011 and is reflected in the Summary Compensation Table as a component of Mr. Buffett’s “All Other Compensation.” It should be noted that many large companies maintain security departments that provide costly services to top executives but for which no itemization is provided in their proxy statements. Mr. Buffett and Mr. Munger do not use Company cars or belong to clubs to which the Company pays dues. It should also be noted that neither Mr. Buffett nor Mr. Munger utilizes corporate-owned aircraft for personal use. Each of them is personally a fractional NetJets owner, paying standard rates, and they use Berkshire-owned aircraft for business purposes only. (p.9)


報酬の返還額に個性が出ているのがおもしろいです。ウォーレンは公私半々といった姿勢ですが、チャーリーは細かく考えているようにみえます。1年が53週間なので1週間あたり100ドルとするか、あるいは1年間に11ヶ月働くとして1ヶ月あたり500ドルとするか。単にわたしの考えすぎかもしれません。

ところで、ウォーレンにセキュリティー・サービスがついているのは、2007年9月に強盗が自宅に侵入しようとした事件があったので、それを踏まえたものと思われます(CNN Money記事)。