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2015年5月16日土曜日

2015年バークシャー株主総会;コカ・コーラについて

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会でのメモから、コカ・コーラ社などの話題です。チャーリー・マンガーはみじかい出番ながら、絶好調のジョークです。今回の引用元は、わたしが敬愛している投資アドバイザー、イングリッド・ヘンダーショット女史のものを中心にしました。なおメモの文体が三人称のため、拙訳では一人称へ置き換えています。前回分にあたる投稿はこちらです。

Berkshire Hathaway 2015 Annual Meeting Notes BY INGRID R. HENDERSHOT, CFA [PDF] (Hendershot Investments, Inc.)

砂糖の消費に関する質疑応答

<質問7> 医療コストが増加するなかで、砂糖を大量に消費する影響を社会はますます認知するようになりました。これはコカ・コーラ社やハインツやクラフトを囲むmoat[モート; 経済的な堀]を狭めることになるでしょうか。

<バフェット> 現在の潮流にもかかわらず、コカ・コーラにはとてつもなく大きなmoatがあります。世界で今日消費されているコカ・コーラ製品は、[約]250ml換算で19億8,000万杯になります。どの食品会社や飲料会社も、消費者の示す好みに合わせながらやっていくものです。消費者を無視してうまくいく企業はありません。20年後には、今以上に大量のコカ・コーラ製品が消費されていると思います。1940年代にはコカ・コーラの成長は終わったと言う人たちがいました。1988年にバークシャーがコカ・コーラ社の株式を買ったときにも、世間の心は同社の利益率のほうを向いていませんでした。わたしの場合、日々摂っているカロリーの1/4はコーラを飲んでまかなっています(笑)。どの1/4かはわかりませんが(笑)。もしブロッコリーと芽キャベツが出てきたら、きっと長生きできません。食事が近づくたびに牢屋に入れられるようなものです。

<マンガー> 砂糖は非常に有用な物質ですよ。動脈が軟化するのを早期から予防しますからね(笑)。それによって私の人生が縮まっていれば、養老院でのヨダレ生活が何カ月か短くて済んだはずです。

<バフェット> 食事はいつも楽しんできましたが、その手の緑黄色野菜を食べさせられた祖父のものは例外でした。ところで食品に対する嗜好は変化してきましたが、ある種の食品がいかに長続きするかは注目に値します。バークシャー・ハサウェイは30年以上前にジェネラル・フーズの最大株主でした。まさにそのすばらしいブランドが、今ではクラフトの一部になっています。ハインツというブランドは1869年にさかのぼります。ケチャップは1870年代から始まりました。コカ・コーラは1886年からです。「たくさんの人が今後何十年にもわたって、これまでと同じものを好みつづける」、そうなる可能性のほうがかなり高いと思います。コカ・コーラとくらべると、ホール・フーズ[オーガニック食品などをあつかうスーパー]で買ったものを飲む人たちには笑顔がみられません(笑)。わたしが好きなのは、みんなが買っているブランドのほうです。

SUGAR CONSUMPTION

With society attuned to greater sugar consumption in rising health costs, Buffett was asked whether this was narrowing the moat around Coke, Heinz and Kraft.

Buffett answered that Coke has an enormously wide moat, despite current trends. Buffett said 1.98 billion 8 oz. servings of Coke products were consumed in the world today. All food and beverage companies will adjust to expressed preferences of consumers as they go along. No company does well ignoring consumers. Twenty years from now, there will be more Coke cases consumed than there are now. In the 1940's, folks also said Coke's growth was over. In 1988, when Berkshire bought its Coke shares, people again were not enthused over the company's profitability. Buffett noted that a quarter of the calories he consumes each day come from Coke. He joked, "If I'd been eating broccoli and Brussels sprouts, I wouldn't have lived as long. It would be like going to jail when I approached meals."

Charlie said sugar is an enormously helpful substance that prevents premature softening of the arteries. He dryly added, "If it shortens my life, I've avoided a few months dribbling at a nursing home."

Buffett remarked, "I have enjoyed every meal I had except at my grandfather's when he made me eat those damn green vegetables." Buffett noted while there have been shifts in preferences for food; it is remarkable how durable some foods are. Berkshire Hathaway was the largest shareholder of General Foods 30-plus years ago. Those same terrific brands are at Kraft today. Heinz brands go back to 1869. Ketchup came out in the 1870s. Coke brands go back to 1886. It's a pretty good bet a lot of people will like the same things decades from now. Buffett joked, "When I compare drinking Coke to something that someone would sell me from Whole Foods, I don't see smiles on the people at Whole Foods." Buffett concluded, "I like the brands we are buying."

2015年5月10日日曜日

2015年バークシャー・ハサウェイ株主総会;IBMについて

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2015年5月2日(土)にバークシャー・ハサウェイの年次株主総会が開催されました。質疑応答のメモが公開され始めたので、例によって拙訳でのご紹介も少しずつ進めたいと思います。今回引用する文章の原文は、以下のメモからお借りします。(日本語は拙訳)

BERKSHIRE HATHAWAY ANNUAL MEETING 2015 [PDF] (作成者: SUDEEP MENON氏)

また速報形式の文章は、Wall Street Journalなどで公開されています。

Recap: The 2015 Berkshire Hathaway Annual Meeting (WSJ)

<質問4> IBMからは手を引くように、とウォーレンに話しましたか。

<マンガー> していません。IBMは非常に興味深い企業ですよ。すごい適応力があります。あの会社はパンチカードの商売を席巻していましたが、やがてPCのビジネスも手がけました。非常に信頼できる会社です。強大で称賛に足る企業ですね。一時的な逆風下にあったので、十分納得できる値段で買いましたよ。

<バフェット> (IBMに対する二人の)投票結果は2対0です。手の内は明かさないほうがうまくいきます。わたしどもや同社がこれからも株を買うでしょうから、値段は安いほうがうれしいです。手の内を明かすのであれば、持ち株上位4社については悲観的な話をしたいところです。自分の売買状況を語りたがる人は理解に苦しみますね。

<マンガー> ウォーレン、そのとおり。世間がちょくちょくまちがってくれなかったら、我々はそれほどの金持ちにはなれなかったね。(笑)

Q4: Question for Charlie. Did you try to talk Warren out of IBM?

CM: I did not. I think IBM is a very interesting corporation, very adaptable. They dominated the punch card business but it has been a mixed bag with the PC business. I think IBM is a very creditable company, an enormous enterprise, and an admirable enterprise. They were undergoing a temporary reversal and we bought at a very reasonable price.

WB: It was a two to nothing vote [on IBM]. [We are] better off not talking our book. Either we or the company will be buying back stock in the future and we'd like the price to be lower. If we were to [talk our book], we would rather say pessimistic things about all four of our biggest holdings. I am not sure why people keep talking their book.

CM: Warren, if people weren't so often wrong, we wouldn't be so rich. [Laughter]

備考です。ウォーレンがCNBCのインタビューに応じた際に、IBMのワトソンについて触れています。以下のリンク先に映像があります。ワトソンと後継者を絡めたジョークは、いかにもウォーレンらしいです。

Watson enormously valuable future: Buffett (Yahoo! Finance; CNBC video)

2015年4月28日火曜日

昨年のバークシャー・ハサウェイ株主総会に参加された方からのお土産

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いよいよ今週末の5/2にバークシャー・ハサウェイの株主総会が開催されます。上の写真は昨年の総会に参加した方から頂いたハインツのトマト・ケチャップ「株主総会記念ラベル」版です(中身は豚肉料理の味付けに使いました)。

ケチャップだけでなく土産話もしてくださった投資家T・Nさんは、わたしより一回り若い世代の方です。ここ数年間はバークシャーの総会に毎年出席されており、5kmのロードレースにも参加されています。

「バークシャーの総会は出席するだけの価値はある」と誘ってくれますが、わたしのほうはつまらぬ事情を言い訳に、いつもお断りしています。もし総会の様子にご興味があったり、参加したいと考えている方がいらっしゃれば、コメント欄などでお問い合わせ頂けると、ご本人が返答してくださるかもしれません。

2014年10月26日日曜日

2014年バークシャー株主総会; ウェルズ・ファーゴを選んだ理由

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で、ウォーレン・バフェットが2008年の世界金融危機当時に下した投資判断をふりかえります。興味ぶかい内容です。(日本語は拙訳)

<質問33> 投資先の候補をどのように比較しているのか、もう少しご説明頂けますか。2008年や2009年には、お気に入り銘柄を買い増しすることもできました。当時とった行動と比較して、コカ・コーラ社やムーディーズ社のような企業を買い増していればどうだったでしょうか。もっと集中したポートフォリオのほうが、バークシャーはより大きな成果をあげられたのではないでしょうか。

<バフェット> それは、わたしたちが気にいっている銘柄が2008や2009年にどれだけ打ちのめされていたかによります。しかし2008年に相当な金額を費やしたのは早すぎでした。160億ドルを使ったのが2008年の9月や10月でしたが、市場の底はそれよりもかなり下まで行きました。またMars社の案件[リグリー社買収]で60億ドルを出しましたが、その件も動くのが早かったと思います。「じっと待ち構えて、底に達した時点で一度に資金を投入する」、そうしていれば全然違う結果だったと思います。目をみはるタイミングになっていた可能性もありますが、どうすればそうできるのかは、わたしたちには到底わかりえないことです。しかし2009年10月に買ったBNSFは、やがて当社の大きな部分を占めることになると思います。ハーレーダヴィッドソン社の債券を利率15%で買ったのは、株式を買っておくべきでした。しかし、いつであってもそれが現実というものでしょう。現在のわたしたちの規模や範囲からすれば、すばらしい経営陣が率いる良い事業を妥当な金額で買い、長期にわたってその会社を発展させることができれば、と考えています。ただし事業を加える際には、株式を追加発行せずに済ませたいですね。過去を顧みれば、以前よりはうまくできるだろうと思います。このゲームでは引き続きうまくやれると思っていますが、永々と続けられるわけではありません。しかし興味をひくものはまだ残されています。

<マンガー> [バークシャーでは]非公開の子会社が大きな割合を占めるようになってきました。昔は株式の額のほうが大きくて子会社はそうではなかったのですが、今では子会社のほうが大きいですね。

<バフェット> 株の成否は[バークシャーの成績として]純資産に現れますし、事業の成否は将来得られる利益に現われます。ですから、あちこちへと渡り歩く必要はありません。わたしたちが次の段階へと進んだからですね。

<マンガー> 我々がささやかな資金で投資していた頃は、どん底のときにいくらかは買うことができました。しかし今となっては、意味があるほどの株数をその値段で買うことはできません。一方、事業を買うときには大きなポジションをとれます。こうせざるを得なくなったのも、我々が過去に成功したせいです。アルバータ州[カナダ]の送電線を買う案件、あれはいいですね。ひどいことは何も起きないですよ。

<バフェット> そうなったとしても、わたしたちにはわからないでしょうね。

<マンガー> 我々は適応してきましたし、変化が生じたことで我々にとってずいぶんと有利に働きました。今後も望ましい変化が起こるかもしれません。物事が移り変わることは不可避なのですから、どうやってそれに適応するかがカギとなるわけです。

<バフェット> わたしたちはこの数年間にウェルズ・ファーゴの株をかなり買いました。ですが増えた資産のほとんどは、それより質の低い諸銀行を買ったおかげでした。彼らが回復するには、経済が好転する必要があったのですね。しかしウェルズ・ファーゴを買うとなれば100%安心できますが、他を買う場合の安心感は50%です。それで、いちばん安心できるほうを選んだわけです。

Q33: Station 11. Philadelphia. Fund manager. Can you expand on how you compare investment opportunity? When you can buy more of a favorite in 2008/2009, how did case of more of company like Coke or Moody's, compare with other things which you did. Could Berkshire have achieved more with more concentrated portfolio?

WB: Depends on which favorite name we had was hit harder in 2008/2009. I spent a considerable amount too early in 2008, and bottom was quite a bit lower than Sept and Oct of 2008 when we spent $16bil. We were also committed to $6bil of Mars funding, which we had committed earlier. We didn't do as remotely as well if we had kept powder dry and spent it all at once at bottom. Timing could have been improved dramatically, but we will never be able to figure out how to do it. But we bought BNSF in Oct 2009 which will be enormous part of our future. When we bought HD bonds at 15 we should have bought the stock, but that will always be the case. What we want to do at our present size and scope, we want to buy good businesses with great management at a reasonable price and try to build them over time. We want to be able to add them without issuing shares. Looking back we can do it better than we've done it. I feel the game is still a viable one, but it can't be forever. But still has juice left in it.

CM: Private businesses have gotten to be a bigger portion. We used to be worth more in stock, not privates, but now bigger in privates.

WB: When right on stocks, shows up in net worth, and when right on businesses it shows up in future earnings. It doesn't require us going from flower to flower. We've moved into phase 2.

CM: When we were just investing modest amount of capital we could get a little bit at the bottom, but there is no significant volume of shares at that price. When we buy businesses we get large positions. We are forced into this by past success. I love buying transmission lines in Alberta. Nothing horrible will happen.

WB: If it does we won't know it.

CM: We have adapted and the changes have been very much in our interest. There may be future changes just as desirable. Since change is inevitable, how you adapt to it is the key.

WB: We've bought a fair amount of Wells Fargo over last few years. But the most money was made by buying banks of lesser quality. They needed better economy to recover. But we felt 100% comfortable buying Wells Fargo, and 50% comfortable somewhere else, so we went where we were most comfortable.

2014年10月2日木曜日

2014年バークシャー株主総会; エネルギー事業について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、エネルギー事業(子会社のMidAmerican)への投資に関する話題です。(日本語は拙訳)

<質問55> [2013年度アニュアル・レポートの]64ページに載っている事業別の数字ですが、エネルギー事業のEBITDA(利払い税引き償却前利益)から設備投資額を引くと、赤字の営業キャッシュ・フローになります。また直近5年間について同じように計算すると、営業キャッシュ・フローは最高の年で3億ドルでした。これを有形資産額で割ると0.8%のリターンになります。そこまで低いリターンの事業に資本を投じているのはなぜでしょうか。

<バフェット> 有形資産あたりのリターンを出すところまではすばらしいご指摘ですね。投下資本に対するリターンを求める際には、わたしたちも今言われたような計算を好んでやります。資本が正当に使われるのであれば、もっと投じたいと考えています。そうすれば適切なリターンを得られますから。しかしキャッシュ[・フロー]から正味設備投資額を引き算するのではなく、減価償却後の営業利益をみます。正味の設備投資が発生しないときもありますからね。正味投資額が増えざるを得ない領域を好んでいるのは、資本がますます増えますし、規制当局が将来わたしたちを正当に扱ってくれると読んでいるからです。そうなると信じる理由のひとつは、ほとんどの会社が設定しているよりも安い料金で電力を供給する点で、さまざまな他社よりもわたしたちのほうがうまくやってきたからです。アイオワ州にある公益事業では、当社は競合他社よりも大幅に低い料金でやっています。農場をやっている友人は2社から供給を受けていますが、当社の料金は競合よりもびっくりするほど安いと彼は言っています。当局は当社に対して、安全面を含めて相応の敬意を払ってくれています。ですから新しい州で商売を始めると、当局はわたしたちを歓迎してくれます。そういったプロジェクトに新たな資金を投下できれば、良好なリターンが得られると思います。しかし設備投資も含めた上で計算すると、数字としては赤字のリターンになります。この件は鉄道事業とある程度似かよっていますね。

<マンガー> その羅列された数字が落ち目のデパートのものであれば、がっかりですよ。しかし我々は、成長するエネルギー事業に資本を再投資すれば良いリターンが得られる、と自信を持っています。単純なことですよ。

(後略)

Q55: Station 8, New Hampshire. Looking at page 64 segment data for the energy business, when I take ebitda less capex, the result is negative operating cashflow. When I repeat exercise in each of last five years, in best years, $300m of operating cash flow. Divide by tangible assets, 0.8% return, why allocating capital to a business with such low returns?

WB: You were doing great until return on tangible assets. We love the math you describe, as long as we get return on capital investment. We are looking forward to putting more capital in, as long it is treated fairly, and we will get appropriate returns on that. It is not cash minus increased capex, it is operating earnings less depreciation. There are times when no net investment is required, but we prefer where net investment must be higher because we get more capital in and our bet is that regulators will treat us fairly in future. One reason we believe this is true is that we have done so much better than many at delivering electricity at lower rates than charged by most. In Iowa there is a public utility, and our rates are significantly below competitors. A friend with a farm who is served by two utilities tells me that rate from us is dramatically lower than the competitors. We have a deserved good reputation with regulators, including safety. They welcome us when we come to new states. If we can put new money into those projects, we will get good return. But you will get negative returns if you include adding to capital spending. This is somewhat similar at the railroad.

CM: if numbers you recited come from a declining department store, we would hate it. But we have confidence that the reinvested capital will give us a good return from a growing energy business. It is that simple.

備考です。アニュアル・レポートのp.46によれば、バークシャーのエネルギー事業における建造物や機械設備といった減価償却資産の耐用年数は、3-80年間となっています。ちなみに日本の電力会社では、最長で30-50年間のようです(財務省令)。

2014年8月22日金曜日

2014年バークシャー株主総会; 企業買収について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、買収に関する話題です。引用元トランスクリプトの場所はこれまで同様、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問47> 借入や買収についての質問

<マンガー> アメリカにおけるこれまでの買収は、合算して考えるとお粗末な結果でしたね。おろかな取引に口説かれてしまうのは、成功した企業が持つ本性です。我々にとっては富を築く道のりでした。しかし、我々のような変わったやりかたをしようと望むところは、幸運にもそれほどありませんね。

<バフェット> わたしたちが保有してはいるものの支配してはいない企業が、買収を起こそうとする。そんな記事を読んだときは、にやりとするよりも不満の声をあげるほうが多いですね。そうは言っても、わたしたち自身も買収を好んでいますが。わたしからは指揮できない会社の人たちが買収を検討する場に、何百回と参加したことがあります。しかし、ほとんどは悲惨なものでしたね..。

<マンガー> 良くて平凡、というのもいくらかはありましたがね。

<バフェット> ガイコ(GEICO)の例をみてください。1970年代以前はすばらしいビジネスでした。低迷から回復した後に彼らはいくつか買収をしたものの、肝心なことに集中していませんでした。2件の買収で払った会計上の費用はまずいものでしたが、致命的ではありませんでした。しかし[肝心なことに集中しなかった]2次的な影響は甚大で、元に戻るのに何年もかかりました。そのおかげでわたしたちは同社の半分を買い、バークシャーにとってはすばらしいものとなったのです。血気盛んなCEOが事を起こしたがり、補助するスタッフがそれに気づくのは、どちらも人間の本性です。案件はいつも舞い込みますし、投資銀行は毎日のように連絡をよこしてきます。そういったあらゆる力が取引実行へ向けて後押しをします。わたしたちは取引を望むのではなく、妥当な取引だけを望むようにと、非常な努力を払ってきました。もし経営企画のような部署があれば、わたしたちを後押しするわけですから、ますます大変だったと思います。経営する組織をどのように構成するかが、とても重要になることがあるのです。

<マンガー> 私とくらべて、彼がどれだけ手際よくやっているものか、よく考えてください。

<バフェット> それはむずかしくない比較ですね(笑)。

Q47: JB: Leverage and acquisitions?

CM: Sum total of all acquisitions in America has been lousy. It is the nature of successful companies that they will be talked into dumb deals. It has been path to wealth for us, but luckily many don't want to be peculiar in our way.

WB: When we read that a company we own but don't control is going to make an acquisition, I'm more likely to cry than smile. But we love them ourselves. I have sat in on hundreds of acquisition discussions conducted by people I didn't control. Most have been disasters…

CM: Some are mediocre.

WB: Look at GEICO ‐ it had been an incredible business until the 1970s. They made acquisitions after getting back on track and then took their eyes off the ball. Accounting cost of those two acquisitions was poor but not disastrous. But secondary effects were huge. It was a dozen years there that they couldn't get back. We bought half the company, so it was wonderful for Berkshire. It is human nature, CEOs have animal spirits and supporting staff senses that they like to do things. They keep coming in with deals. Investment bankers are calling them daily. All these forces push towards deals. We've tried very hard to not be eager to do deals, just to be eager to do deals that make sense. That would be harder if we had strategy departments pushing us. The setting in which you operate can be very important.

CM: Note how he is much more tactful than me.

WB: The comparison is not difficult. [laughter]

個人的には、この話題も重要な教えだと感じています。買収の話題と関連して、過去記事「自社株買いの利点」で取りあげたマイケル・モーブッサンの文章では、資本を効率的に利用するという意味で、買収と自社株買いを比較しています。勉強になる文章です。

2014年8月6日水曜日

2014年バークシャー株主総会; 歩みが遅いと、やる気をくじく

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、以前から何度も語られている本源的価値の話題です。引用元トランスクリプトの場所はこれまで同様、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問45> 経営者は本源的価値をどのように考慮して算出しているのですか。あのコカ・コーラ社にもペプシがあるように、どの企業が当社にとっていちばん脅威ですか。

<バフェット> 実のところベン・グレアムは、本源的価値の計算という点ではあまり細かくは示しませんでした。ちょうど相対取引価値と比較されるものです。はじめてその問題に取り組んだ人がイソップでした。未来のことがわかるのであれば、本源的価値とは現在から審判の日までに分配されるすべての現金の現在価値になります。それに対して資金を投じ、そしてお金を受け取るわけですね。手元の1羽は、茂みに隠れた2羽に相当します。ここで問題となるのは、茂みに2羽いることをどこまで確信できるか、茂みまでどれだけ離れているか、そして金利はいくらかです。イソップは、我々が検討する余地を残そうと考えました。ですから彼はすべてを細かくは説明せず、その後2000年にわたって我々は試行錯誤しているわけです。ベンはその計算方法として「茂みに潜む2ドルのために、1ドルなら支払う」と言ったものです。一方、[フィル・]フィッシャーは茂みにいる鳥の数を評価する際に定性的な要因を使いました。はじめのころはグレアムから大きな影響を受けていたので、以前のわたしは定量的にやっていました。しかしチャーリーに出会って、もっと定性的に考えるようにと言われました。マクドナルドのフランチャイズを買うときには、資金の出入りがいつ発生するか、そしてその割引率をどうするか考えるものです。しかし決め手となる質問「どんな脅威が想定されるか」の答えはどうかと言えば、バークシャーには大いなる強敵がいるとは思えません。プライベート・エクイティー(私募のファンド)は安い借入金を使って事業を買収しているので、彼らとは競合しています。この領域がわたしとチャーリーの主な仕事になっています。しかし、わたしたちが達成しようとしている後につづくモデルを持っていたり、築こうとしている会社は見当たりません。

<マンガー> さきほども言いましたが、これまでに築いてきたバークシャーのモデルは、ショー・ビジネスで言われるのと同じように、これからもしっかりと長続きすると思います。そう信じられるのは、長期にわたって持続するのに足る優位があるからです。巨大な企業でそれを有するところはほとんどありません。巨大になった後でもずっとそのままでいられる会社は稀です。すでに我々も、どこの会社もなかなかうまく進まない領域へと入りました。それでも我々は、ロックフェラーが築いたスタンダード石油[業界史上最強の石油会社]のようになると思います。ですから、この演壇に上がっている人間はもう重要ではないのです。聴衆のお若いみなさんは、急いでバークシャー株を売らないほうがいいですよ。

<バフェット> なぜ真似するところがもっと出てこないのでしょう。

<マンガー> それは、外科医である我らが友人エド・デイヴィスと同じことです。彼は自分で作りだした機器を使って手術する方法を考えだしました。他のやりかただと死亡率が20%のところ、彼は2%です。見学に来た他の外科医が「これはとてもできない」と嘆息したものです。非常にゆっくりとやっていたからです。そして、我々がバークシャーでやっていることを教えているビジネス・スクールも皆無ですね。

<バフェット> 歩みが遅いと、やる気をくじくわけですね。

<マンガー> なぜゆっくりやるのがむずかしいかと言えば、終える前に死んでしまうからです(笑)。

<バフェット> なぜ楽しいのでしょうね(笑)。

Q45: Station 4, Los Angeles. How does management factor into valuing instrinsic value. Which company do you fear the most, as even Coca‐Cola has their Pepsi?

WB: Actually Ben Graham didn't get too specific about intrinsic value in terms of calculations. Now it is equated rightly with private business value. Aesop was the first who came up with it. It is intrinsic value if you can foresee the future, the present value of all cash that will be distributed between now and Judgment Day. You put money in and you take money out. One in hand is worth two in bush. The question is how sure are you that two are in the bush, how far away is bush, what are the interest rates ‐ ‐ Aesop wanted to leave us something to play with over next two thousand years so he didn't spell it all out. In calculating it, Ben would say he wanted two dollars of cash in the bush and pay a dollar. Fischer would use qualitative factors to estimate the number of birds in the bush. I started out very influenced by Graham, so more quantitative, but Charlie came along and said look more at qualitative. If you buy McDonalds franchise, you think about the cash in, the cash out, when, and at what discount. Silver bullet question - are there any threats? I don't see big competitor to Berkshire. Private equity is buying businesses and leverage is cheap - so they are competing with us. That is main occupation for me and Charlie. I don't see anyone who has a model or is trying to build model which is going after what we are trying to achieve.

CM: As I said earlier, the Berkshire model as it is now constructed, as they say in show business, has legs and will go a long time. It is credible. It has enough advantage it will go a long time, and most big businesses don't have it. Of those who have gotten big, few have stayed big. We are in territory where many stop going well, but I think we'll be like Standard Oil. The people up here are no longer that important. You young people in the audience ‐ don't be too quick to sell the stock.

WB: Why not more copycats?

CM: It's like our friend Ed Davis, the surgeon, he figured out how to do an operation with instruments of his own creation, and death rate was 2% versus others who were 20%. Surgeons came to watch and they said well that looks too hard to do and it was slow. There is nothing in business school that teaches people to do what we do at Berkshire.

WB: Slowness deters more people.

CM: The difficulty with being slow is you're dead before it's finished. [laughter]

WB: Why so cheerful? [laughter]

2014年7月20日日曜日

2014年バークシャー株主総会;大富豪らが倹約について語る

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、以前ご紹介した質疑応答「買えば買うほどお得です」の完全版です。ウォーレンの説明が少し増えています。引用元トランスクリプトの場所はいつもと同じで、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

<質問42> 倹約家なのはどちらですか?

<バフェット> さて、どっちでしょうね。

<マンガー> 個人的な消費という意味では、ウォーレンのほうが倹しい(つましい)ですね。

<バフェット> なにか例を示してもらえますか?(笑)

<マンガー> 1950年代からずっと同じ家に住んでいるでしょう。

<バフェット> 引っ越したのは1958年です。

<マンガー> 私が引っ越したのはその1年後です。しかも建築士に1900ドル払いました。標準的な料金の30%分でしたが。

<バフェット> 生活に必要と思うものは、何でも持っていますから。生活水準と生活費を結びつけて考えてはいません。それらは相関していても、やがては逆転する地点がくるからです。家が6軒や8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ。それらは相関しないので、そんなには持てないのです。たしかに、ある点までは違いが生じます。たとえばxドルあれば、それまでとは違った考えができるようになります。しかしそれが10倍や100倍になったとしても、変わるわけではありません。

<マンガー> バークシャーは倹約によって助けられてきました。こうして聴衆を見渡してみると、身なりも控えめに倹約している様子がわかります。我々はそういう人たちを誘い招いたわけですね。

<バフェット> ですがみなさん、この週末の間は倹約のことは忘れてください。[バークシャー子会社が臨時に開いている出店で]買えば買うほど節約できるわけですから(笑)。

Q42: Station 3, Neal Patel, Chicago. Frugality?

WB: Who is more frugal?

CM: In personal consumption, Warren is more frugal.

WB: Would you care to give example? [laughter]

CM: Same house since 1950s.

WB: I moved in in 1958.

CM: I moved in a year later and paid architect $1900 dollars, 30% of the regular price.

WB: I have everything in life I wanted. Standard of living does not equate with cost of living. There is point where you get inverse correlation. My life would be worse if I had 6 or 8 houses. It doesn't correlate. You can't have more than that. It makes a difference up to a point. You can start thinking differently at x dollars. But it doesn't make a difference at 10x or 1000x.

CM: Frugality has helped Berkshire. I look out at audience, and I see frugal understated people. We collect these people…

WB: But forget that this weekend ‐ the more you buy the more you save this weekend people! [laughter]

2014年7月10日木曜日

2014年バークシャー株主総会;獣毛でできた極めつけのシャツを着る

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、競争力の話題です。引用元トランスクリプトの場所は前回と同じで、こちらの過去記事です。(日本語は拙訳)

(質問39に対する回答の一部; 競争優位の話題)

<マンガー> 競争が激しいビジネスで、そこで闘っていけるだけの能力がないならば、他をあたるべきでしょう。私の場合、カルテック[カリフォルニア工科大学]で熱力学の教授になるのはやめよう、と即断したものです。そういう決断を何度もくだし、結局早々に残ったのはひとつかふたつだけでしたね!(笑)。

<バフェット> わたしも運動の分野では似たような経験をしましたよ(笑)。

CM: If it is a very competitive business, and requires competitive abilities you lack, you should look elsewhere. I immediately decided I wasn’t going to be thermodynamics professor at Caltech. I did that over and over and soon there were only one or two choices left! [laughter]

WB: I had similar experience in athletics. [laughter]

<質問41> GEICO[子会社の損保会社ガイコ]は最大の広告費をかけていますが、一方で低コスト体質を保っています。ガイコ(現在のシェアは10%)は19%のシェアを持つステート・ファーム社を追い越すでしょうか。

<バフェット> それはだれにもわからないと思います。当社は今年になってオールステート社を追い越しました。ステート・ファームはこの国で偉大な社歴を有する企業のひとつです。イリノイ州マーナ出身の農家の人が1920年ぐらいに始めました。同社のことを書いた本が出ていますね。うまい商売でしたが、ガイコのほうが良いビジネスモデルでした。ステート・ファームは巨大でした。一方のガイコは1926年に創業してから、今では10%に達しました。現時点での予測によれば、第1位になるのはちょうどわたしが100歳になる年です。わたしのほうは自分でなんとかするから、とガイコには言ってあります。顧客のことを非常に大切にしていけば、もっとシェアを伸ばせるでしょう。それに、リスクに応じて適切な値段をつけることもできます。[ガイコの会長]トニー・ナイスリーの仕事ぶりは、まさに世界殿堂入りですね。トニー以前の15年間は、市場シェアは2%周辺をうろうろしていましたが、1993年に彼が指揮をとってからはシェアが上昇し、今では10%強になりました。まだまだ続くと思います。ステート・ファームの純資産は600億から700億ドルです[同社は非公開企業]。住宅保険の商売は強力ですし、保険代理人の体制も強力で、たくさんの顧客が満足しています。ですから急にとはいきませんが、しかしやがてはそうなると思います。

<マンガー> ガイコはコストコと似てますね。すばらしい商品やサービスを、すばらしい値段で提供する。そのことを聖なる義務と受けとめています。そういう会社はずっと伸びていきますよ。

<バフェット> コストコに当てはまることはガイコにも当てはまります。当社の人間はあまり出入りしません。いったん仲間になると辞めないのです。他の保険会社から移ってきたマネージャーはほとんどいません。仕事のやりかたについて独自の考えを持っており、そして正しく実行しています。そのやりかたが成功することで、さらに強化されていきます。

<マンガー> コストコは実に信じがたい会社です。値段を下げつつもサービスは向上させようと、たくさんの人が精力的に取り組んでいます。これは人間の本性に反することです。獣毛でできた極めつけのシャツをじかに着るようなものです。しかし、彼らは実現しているわけですよ。

Q41: JG: GEICO. Largest advertising budget while maintain low cost. Will GEICO (now 10% share) overtake State Farm at 19% market share?

WB: No one knows answer. We passed Allstate this year. State Farm has one of great company histories in America. Farmer from Merna Illinois started it, started around 1920, there is a book about it. It was a better business model, GEICO though had an even better model. State Farm was huge, and now GEICO has taken us since 1926 to get to 10%. On current projections are that we will be #1 the same year I am 100. I tell GEICO that I will do my part. We will gain share as long as we take extremely good care of customer, and we can properly rate risk. Tony Nicely has done a job that belongs in the world hall of fame. 15 years prior to Tony taking over, market share had hovered at 2%. Since he took over in 1993, we have gained and now stand at +10%. It will keep going. State Farm has net worth of $60‐70bil, and a strong homeowners business, strong agency force and a lot of satisfied customers. It won’t come fast, but it will come.

CM: GEICO is like Costco. They feel a holy duty to have wonderful product and a wonderful price. Companies like that get ahead over time.

WB: What is true about Costco is also true about GEICO: our people don’t come and go. People come to us and they don’t leave us. We have very few managers from other insurance companies. They have their own idea about how to do it and do it right. It is reinforced by success too.

CM: Costco is unbelievable. It is against human nature of many entrepreneurial people to get price down and get service up, like wearing the ultimate hairshirt. But it works.

2014年6月26日木曜日

2014年バークシャー株主総会;バークシャー・モデルの強み

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、コングロマリット企業の話題です。引用元トランスクリプトの場所は、前回と同じようにこちらの過去記事をご参照ください。(日本語は拙訳)

<質問28:キャロル・ルーミス> バークシャー弱気派をさがしていましたが、無意味でしたね[今年の株主総会に出席してもらうつもりだった]。わたしはバークシャーを弱気には考えていませんが、一般にコングロマリットは特にいい商売というわけでもありません。その意味で後継者の方がうまくやれる確率は好ましくないように思いますが、どうでしょうか。

<バフェット> 異種混合のビジネスがずっと成功してきたように、実際にアメリカではこのモデルはうまく機能してきました。ダウ・ジョーンズ[工業平均銘柄]をひとつの実体とみれば、つまり100年以上にわたって構成が変化してきた企業群ととらえると、その指数が66から11,000まで上昇したことはうまいモデルであると暗示しています。ただしすべての会社がひとつの経営陣に率いられていないのは、そのとおりです。良いビジネスを一群として保有するのは良い考えです。リットン・インダストリーズ社やガルフ&ウェスタン社は、連続買収という考えをもとに築かれました。株式をPER20倍の値段で発行し、その資金で別の企業をPER10倍で買収したのです。チェーン・レターの仕組み[ネズミ講など]によって、おつむの弱い人たちを使役するやりかたですね。一方、わたしたちの事業計画は妥当だと考えています。分散された事業群を有し、資本構成も保守的です。資本主義とは資本を割り振るための体制です。当社の仕組みにおいては、税金の影響を受けずに資本を配分することができます。[得られた]資本を有効に活用できる場所へと振り向けられるわけです。そのような好状況にある人は他にはいません。たしかにそうだと思います。しかし株を吊り上げたいからではなく、事業という観点での原理原則に従うべきです。コングロマリットには株価吊上げの技を使ったり、連続買収・株式発行をやるところもありました。株式発行をくり返してチェーン・レター騒動を続けるならば、いつか終わりがやってきます。

<マンガー> コングロマリットのやりかたで失敗したことと我々では、違いがいくつかあります。買収したい企業がみつからなければ、保険事業のポートフォリオとして投資に回す別の案が選べます。それから、無理にでも買おうとは考えません。メロン兄弟は50-60年間にわたって非常にうまくやっていました。我々とよく似ていますね。我々はガルフ&ウェスタン社のような一般的なコングロマリットではなく、メロン兄弟の活躍が永続するようなものです。

<バフェット> やっと、いいことを言いましたね(笑)。

Q28: CL: You have been looking for bear, but that is silly. I'm not a bear on Berkshire. But conglomerates have not worked particularly well. But probabilities not favorable that successors will have it work well.

WB: Model has worked well for America actually, as disparate businesses have done well over time. Dow Jones as one entity, as a changing group of companies over a 100 year period. Seeing the index rise from 66 to 11,000 suggests it is good model, although agree that it is not all under one management team. Owning good business group is good idea. Litton Industries, and Gulf & Western, they were put together on idea of serial acquiring: issuing stock at 20x to buy businesses at 10x. It is an idea of fooling people to ride on a chain letter scheme. I think our business plan makes sense. Group of diversified businesses and conservatively capitalized. Capitalism is about allocation of capital. We have system where we can allocate capital without tax consequences. We can move the capital to where it can be usefully employed. No one else better situated, and it makes good sense, but must be applied with business principles instead of stock promotion principles. And some conglomerates were stock promotion techniques, and were serial acquirers and issuers of stock. If issuing stock continuously, chain letter game goes on, that does come to an end.

CM: There are a couple differences between us and the failures in the conglomerate model. We have an alternative when there are no companies to buy, as we have the insurance portfolio to invest. And we feel no compulsion to buy. Mellon Brothers did very, very well for 50‐60 years, they were a lot like us. We are not a standard conglomerate like Gulf & Western. It is as if Mellon brothers had gone on forever.

WB: Now you're talking. [laughter]


2014年6月16日月曜日

2014年バークシャー株主総会;低金利政策について

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、低金利政策の話題です。前回同様、引用元のトランスクリプトをご紹介した過去記事はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 低金利[政策]によって住宅バブルが起きましたが、今回は債券バブルになるかもしれません。金利を上げることが必要だと感じていますか。

<バフェット> このような低金利がここまで長く続くとは、いったい誰に予想できたでしょう。ことがこれほどうまく進んでいるのは驚きです。今もなお、うまくいっています。わたしにも同じようにできたでしょうし、それで手柄を立てられたのに、と言いたいものです。とにかく、この件には驚いています。まるで非常に興味深い映画のようです。かつて見たことがない、終わりがどうなるかわからない映画です。危機当時とそれ以降のバーナンキはまさに英雄だったと思います。彼は非常に頭がよくて、ものごとを巧みに捌きました。2007年や2008年になってFRBの議事録が公開されましたが、それによればFRBの理事たちにはわかっていませんでした。これは興味をそそることです。どれだけ重大な事態なのか、彼らは理解していなかったようなのです。バーナンキは理事会による見解を統一できていませんでした。それでも彼は足を踏みだし、完璧と言える仕事をしました。しかし金利がずっとゼロ近くのままで規模を縮小しつつも[資産を]購入し続ければ、この映画がどのような結末をむかえるか、やがてだれもが知ることになります。

<マンガー> 日本では金利が20年間も低下し続けました。普通株も20年間下落しました。彼の国でそうなることを予想していた人はひとりもいません。おかしなことが起こったわけで、経済学者はこのことに困惑しています。ですから、バークシャーが買っている長期債はそれほど多額ではありません。

<バフェット> 当時の現金は王様でしたが、それは使ってこそのことでした。現金にしがみつく時期をみんなが間違えていたのです。その後、ゼロ金利[政策]は経済や資産価格に対して甚大な影響を及ぼしてきました。今現在の状況はバブルではありませんが、普通ではない状況ですね。

<マンガー> いや、わたしも君と同じで困惑していますね(笑)。

<バフェット> だからこそ、わたしたちはけっこううまくやってこられたのですよ(笑)。

Q27: Station 9. Toronto. Low rates have led to housing bubble, and potentially a bond bubble, do you see need for hike in rates?

WB: Who would have guessed rates this low for this long? I would say I am surprised at how well things are going. It is working well. I would like to say I would have done same thing and take credit. I was surprised. It is very interesting movie, we haven't seen before, and we don't know how it ends. I think Bernanke was a hero at time of crash and subsequently. Very smart man, he handled things very well. When minutes of Fed became available for 2007 and 2008, we saw that members of Fed were not getting it. It was fascinating. They didn't seem to understand how serious things were. He was not getting unanimous view from those around him. But he went ahead with them, and did masterful job. We will see how this movie plays out - if we keep rates close to zero for long time, and tapering but still buying.

CM: No one in Japan would have anticipated that rates could stay down for 20 years and common stocks would decline for 20 years. Strange things have happened, and it is confusing to economists. At Berkshire not many long term bonds are being bought.

WB: Cash was king, but only if you used it. People cling to cash at wrong times. Zero interest rates has had huge effect on economy and asset prices. This is not a bubble situation we are living in, but it is unusual.

CM: No, I'm as confused as you are. [laughter]

WB: That's why we get along so well. [laughter]

2014年6月4日水曜日

2014年バークシャー株主総会;相談すると、いろいろ出てくる

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから3件の話題です。以前ご紹介したメモから引用させて頂いています。(日本語は拙訳)

はじめは、留保利益や設備投資に関する(17番目の)質問に対して、ウォーレン・バフェットの回答で登場した話題です。

<バフェット> 現金とは酸素のようなものですね。時間のうちの99.9%はその存在に気づきませんが、なくなってみてはじめて気がつくものです。[バークシャーには]200億ドル超の資金があるので、賢く投資する方法をみつけていきます。ですが、資金を使わなければと気負うつもりはまったくありません。

Cash is like oxygen, you don't notice it 99.9% of the time, but when absent it is the only thing you notice. Above $20bil, we'll try to find ways to invest it intelligently. But we'll never feel the need to spend it.

99.9%という数字はおもしろいと思います。たとえば10年間は3650日強なので、そのうちの0.01%は4日間弱に相当します。株式市場では1-2週間で大幅に下落したことがあったので(1987年や2008年)、それと似たようなスケールです。資金全額を現金で保持するわけではないですが、わずかの期間のために残りの期間を(機会費用と比べながら)辛抱するというのは、精神的な強さが要求されますね。

次は質問その19からで、バークシャーの子会社の経営陣を信頼して統治している話題です。「相互信頼」を重視するチャーリーらしい発言で、我々日本人にはなじみやすい内容だと思います。

<マンガー> 世の中の他の標準とくらべると、我々は過度なまでに信頼しています。しかし、そのおかげで良い結果に結びついています。我々は信頼に足る人を選んできましたし、信頼に値する文化を育ててきた場所はうまく機能するものです。内部統制の度合いをはかる最近の会計基準は、害のほうが大きくなるでしょうね。

CM: By the standards of the rest of the world, we over‐trust, but are results are better because of it. We have selected people that we can trust. Places work better when they create culture of deserved trust. Modern accounting standards which measures internal controls - it will do more harm than good.

最後は質問その20からで、シーズ・キャンディーの買収に関する質疑に出てきた話題です。

<バフェット> [シーズの店舗が西海岸以外ではうまく広がらない話題につづいて]東部ではダーク・チョコ[普通の濃色のチョコ]が好まれますね。一方、西部はミルクチョコです。シーズのビジネスは非常にうまくやってきました。他の事業を買収する資金を稼いでくれましたし、ブランドの威力がどれほどすごいのか、目を開かせてくれました。シーズを買ったからこそ、コカ・コーラの投資で儲けられたと思っています。事業を保有して、実際に何ができてどんな可能性があるのか、わかったわけです。シーズを保有しなかったら、コークは保有していなかったかもしれません。

<マンガー> バークシャーにとってシーズ買収がもっとも寄与したのは、「無知を排除」できたことです。「無知排除」をうまくやれたのが事実でなかったとしたら、今頃我々の手には何もなかったでしょう。シーズを買ったときの我々は相当なおばかさんでしたが、シーズを買うほどにはわずかにまともだったのです。バークシャーにおいてもっともすばらしいことと言えば、さまざまな「無知」をなくしたことです。うれしいことに、まだいろいろと「無知」が残っていますがね。

<バフェット> わたしが彼に相談話をすると、それが出てくるわけですよ。(笑)

WB: In East they prefer dark chocolate, in West it is milk chocolate. We've done very well in See's, it has provided us with earnings to buy other businesses, but really it opened my eyes to the power of brands. We probably made the money in Coca‐Cola because we bought See's. We owned one and saw possibilities and what you can do. If we had not owned See's, we may have not have owned Coke.

CM: Main contribution to Berkshire was ignorance removal. If it weren't for fact that we weren't(*) were so good at removing ignorance, we'd be nothing today. We were pretty damn stupid when we bought See's ‐ just a little less stupid enough to buy it. The best thing about Berkshire is that we have removed a lot of ignorance. The nice thing is we still have a lot more ignorance left. [*: 原文が誤りと思われるため、訳者が修正した]

WB: That's what happens when I call on him. [laughter]

2014年5月24日土曜日

2014年バークシャー株主総会;経営者コンビについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから「経営者コンビ」の話題です。今回の文章も、以前にご紹介したメモから引用しています。(日本語は拙訳)

<質問13:ベッキー・クイック> 後継者の質問はよくあげられますが、チャーリーの後継者は検討されていますか。お二人のような力強いコンビは続くのでしょうか。

<バフェット> わたしにとってチャーリーは「炭坑のカナリア」をしてくれています[先鋒役の意]。チャーリーは先日90歳に達しましたが、どうやら中年期をうまく過ごしているようで、わたしにとっても励みとなっています(笑)。しかしご指摘されたことはわたしも気になっていました。チャーリーの代わりのことを話に出す人はいませんね。わたしのあとを継ぐCEOがだれであろうと、親密な仲間といっしょに仕事をするだろうと思っています。これは実にすばらしい経営方式ですよ。わたしたちがいっしょに働いたことで、バークシャーは成功できました。そのことに疑問の余地はありません(拍手)。[コカ・コーラの]ゴイズエッタとキーオのコンビや、キャップ・シティーズのトム・マーフィーとダン・バークもそうです。お互いの才能を補うものすごい二人が組んだことで、会社は大きく発展しました。これはすばらしい経営のしかたです。しかし他の人ではうまくやれないでしょう。わたしの後継者の代になって数年たっても、だれかと付き合いを持ったりパートナーとなる人がいないとしたら、それはきっとおどろくでしょうね。そういう人がいることで業績が発展しますし、分かちあう楽しさもひろがります。しかしチャーリーの後継者となると、だれも話題にあげませんね。

<チャーリー> この世の中に心配ごとはそれほどないですからね。90歳にもなれば、みんなもうすぐお迎えの時期です。

<バフェット> カナリアが話していますよ(笑)。

Q13: BQ: Successor question is common, but any discussion about a replacement for Charlie? Dynamic duo still?

WB: Charlie is my canary in the coal mine. Charlie recently turned 90, and I find it encouraging how he is handling middle age. [laughter] But now I'm getting sensitive ‐‐ you raised a point ‐‐ they never talk about replacing Charlie. I think likely that whoever replaces me as CEO will have someone they work with very closely, it is a great way to operate. Berkshire is better off because we worked together, there is no question. [clapping] I do think Goizueta & Keogh, Cap Cities Tom Murphy & Dan Burke, and company accomplished far more because of two incredible people with complimentary talents. It is great way to operate. You can't will it to somebody. If a few years after successor takes over, I'd be very surprised if there wasn't some relationship or partnership, it can enhance achievements and the fun they have. But no one has brought up successor to Charlie.

CM: I don't think the world has much to worry about. Most 90 year old men are gone soon enough.

WB: The canary has spoken. [laughter]

2014年5月14日水曜日

2014年バークシャー株主総会;資本コストについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモの決定版と思われるものが出始めました。以下のリンク先がそれです。今回はそのメモから資本コストの話題を引用します。ただし前回ご紹介したメモの内容と照らし合わせた上で、訳文を適宜補正しています。(日本語は拙訳)

Notes from the 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (著者:Peter Boodell氏他、掲載サイト:Scribd)

<質問8> 並外れたリターンをあげる能力によって経営陣の良しあしの度合いがわかると思いますが、会社の規模が大きすぎるともなれば、それはむずかしくなると思います。巨額の設備投資が必要な会社が[子会社として]新たに加わったことで、資本コストはどうなりましたか。

<バフェット> 規模の大きさが業績の足かせになるのは言うまでもありません。それが本当に足を引っ張るところまでわたしたちは進んで、そのことを確かめてみるつもりです。市場価値が3,000億ドルもの資本となると、以前と同じリターンはあげられません。たしかアルキメデスは十分に長いテコがあれば世界を動かせると言ってましたよね。わたしにもそのテコがあればと思います。さて2つの質問に答えますと、資本コストとは何かですが、わたしたちが2番目に優れていると考えるアイデアが生み出すものだと思います。そしていちばんのアイデアとは、それを超えるものを指します。どうやれば資本コストを決められるかは、過去に何度も議論されてきましたが...。

<マンガー> まともなものは、ひとつも聞いたことがないですね。

<バフェット> わたしたちにもわかりませんが、[投資先の企業が]わたしの良しとしない考えであっても賛成票を投じるつもりです。少しは例外があると思いますが[コカ・コーラ社の議決権行使を棄権した最近の話題に引っかけている]。長期的な観点で[資本効率を]まさに確かめるには、留保した資本1ドルが1ドル超の市場価値を生み出しているかをみればよいと思います。何十億ドルと投下したコスト以上に増えていけば、わたしたちはそのままつづけていきます。あるカナダの企業に30億ドル近くの資本を投下しましたが、きっと成功するでしょうし、当時は30億ドルでその投資をするのが最良の選択でした。ところで、CEOが実行したがっている案件に対して「それは資本コストを超えられません」とCFOが反対するような例は、一度も目にしたことがありません。一方わたしたちは事業を評価できると考えていますし、当社の資本の状況もわかっています。資本コストは重要な課題なので、継続的に見定めています。

<マンガー> 「資本コスト」という言いかたを我々はしませんね。ウォーレンの言うところの、つまり「投下した以上に市場価値を増やす」とする定義は、ビジネススクールでは決して教えないでしょう。「留保したものによって、いっそうの価値を生み出す」、これこそ最良の表現です。我々が正しく、連中がまちがっている。それだけですよ。

<バフェット> ほら、彼よりもわたしのほうがまともに見えるでしょう(笑)。(p.5)

Q8: Gregory Warren, Morningstar (GW): The measure of a good management is ability to generate outsized returns, but sheer size makes it hard. What is cost of capital now, with new capex‐heavy firms?

WB: There is no question that size is an anchor to performance. We intend to prove that up to the point it starts really biting. We can't have same returns on capital base, market cap of $300bil. Archimedes, didn't he say he could move the world if he had a long enough lever, and wish I had that lever. We'll answer two questions. Cost of capital is what can be produced by our second best idea. Our best idea has to exceed that. We've heard so many discussions on how to figure out the cost of capital…

CM: I've never heard an intelligent one.

WB: We don't know, I probably vote if I don't like it but some exceptions to that. The real test over time is that the capital we retain produces more than a dollar of market value over time. If we keep putting billions in, and adding more than their cost, we'll keep doing it. We are spending close to $3bil on a Canadian company, and we will be better off and that was best thing to do that day with that $3bil. I've never seen a CEO wanting to do a deal and a CFO say it didn't exceed cost of capital. We think we can evaluate businesses, we know our capital. We are constantly measuring that opportunity cost, it is an important subject.

CM: A phrase like "cost of capital" we just don't use it. Warren's definition of adding more in market value than we put in will never be taught in business school - the phrase to retain to create more value, is the best description. It's simple: we're right, and they are wrong.

WB: I look good compared to him, don't I? [laughter]

ウォーレンはさりげなく示していますが、この会話に登場するもうひとつの大切なことは、個人的には「テコ」だと感じました。

2014年5月8日木曜日

2014年バークシャー株主総会;自分の強みの見分け方

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモがなかなか出揃いません。そのため、今回も軽めの話題を1件だけご紹介します。原文のメモはScribdにアップロードされていたものです。しかしこういう返答を延々と即興でやれるのも大した才能だと思います。(日本語は拙訳)

Berkshire Hathaway Annual Meeting Notes 2014 (著者:CanadianValue, 掲載サイト:Scribd)

<質問者> どうすれば「自分の土俵」がわかりますか。

<バフェット> いい質問ですね。自分のことを現実的にみていますし、ビジネス以外の世界でも当てはまると思います。

チャーリーとわたしはその境界線をそこそこ上手に見定めてきた、と思っています。わたし自身は、特に小売業界のときに外に出てしまったことがよくありました。バークシャーの株を売ることから[企業を買収して]経営権を買うことへと計画を変えたときに、土俵の外に出ていたのです。しかし最後にはなんとかうまくいきました。[少し前の質疑で、小売業界の企業を買収した話題が登場している]

一方、ブラムキン夫人[ミセスB]は[被買収の対価として]バークシャー株を選びませんでした。それをまちがいだったと考える人がいるかもしれませんが、そうではありません。彼女には自分が何を知らないのかがわかっていました。彼女がわかっていたのは不動産や小売りのことで、それでずっと昔からやってきたのです。

<マンガー> 自分の強みを知るのにそんなにかかるとは思いませんね。たとえば身長が160cm弱ならNBA[バスケットボール]は期待できないだろうし、95歳だったらハリウッド映画に出るロマンチックな主役は来ないだろうし、体重が140kgだったらボリショイ・バレエのダンサーもダメでしょうし...。

<バフェット> わたしのやりたいことを全部外しているじゃないですか。

<マンガー> いや、これはおバカさんの相手をするときに役に立つわけです。幸いなことに、そういう場面がたくさんありますから。(p.12)

Q: How does one figure out what one's circle of competence is?

WB: It is a good question. It is a question of being self-realistic, and that applies outside of business as well.

I think Charlie and I have been reasonably good at defining the perimeter of that limit. For myself, I have gone out of that area more often in retail than in other areas. I was outside my circle of competence when I decided to change my plan from selling shares of BRK to buying control, but that ended up working out.

Mrs. Blumkin didn't take BRK stock, which some people might consider a mistake, but it wasn't. She knew what she didn't know. She knew real estate and retail and that took her a long long way.

CM: I don't think it takes that much to figure out competence. If you're 5'2" you probably shouldn't count on the NBA, if you're 95 years old you probably shouldn't count on being the romantic lead in a Hollywood movie, if you're 300 pounds you shouldn't count on dancing in the Bolshoi ballet…

WB: You're ruling out all the things I want to do.

CM: I just knew that it would help to compete against idiots, and luckily there are a lot of them around.

2014年5月5日月曜日

2014年バークシャー・ハサウェイ株主総会;買えば買うほどお得です

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5月3日(土)にウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが年次株主総会を開催しました。参加者数は38,000名を超えていると伝えられています。質疑応答のメモはいずれ献身的な方々によってアップロードされると思いますので、それを待って訳文付きでご紹介するつもりです。ひとまずは大手メディアが公開しているメモのリンク先を2つあげておきます。

Berkshire Hathaway's 2014 Shareholder Meeting (The New York Times)

Recap: The 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (The Wall Street Journal)

今回は1件だけですが、NYTの文章から引用します。(日本語は拙訳)

ある株主の質問から派生して、バフェット氏とマンガー氏のどちらのほうが倹約家かという話題になった。

マンガー氏いわく、個人的な消費という点では相方のほうだとのこと。バフェット氏はこう付け加えた。「家が6軒も8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ」。

マンガー氏は[会場の]センチュリーリンク・センターに集った群衆を見渡して、こう断言した。「聴衆の中には同じように考える倹約家の姿がたくさんみえますね」。

しかしながらバフェット氏は集団にむかって、ここにいる間はお金を使うように促した。「買えば買うほど節約できますよ」、彼は声を立てて笑った。[各種子会社が出店を出したりして、株主向けに割引販売している]

A shareholder question leads to a question of who is more frugal, Mr. Buffett or Mr. Munger?

Mr. Munger says that on personal consumption, it's his counterpart. Mr. Buffett adds this: My life would be worse with 6 or 8 houses, says

Mr. Munger, peering into the CenturyLink Center crowd, declares that he sees a lot of like-minded frugal individuals in the audience.

That said, Mr. Buffett urges the gathering to spend while they're here. "The more you spend, the more you save at these prices," he chortles.

2013年6月22日土曜日

すぐれたビジネスを買収するときの値段(ウォーレン・バフェット)

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何度目かになりますが、2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問46:LA在住の株主> ハインツに払うことになった金額は妥当だったのでしょうか。(後略)

<ウォーレン・バフェット> 払いすぎだとはいつも感じていますが、いいビジネスだとわかっていれば、口をつぐんで値段を呑むことにしています。これは数式であらわせるものではありません。過去にはもっと支払ってもよかったビジネスもありましたが、それでもよい判断だったと思います。一般的にいえば、著しく高い割合でずっと利益を上げられ、うまくいけば再投資して成長できる、そんな経済的特性を持ったよいビジネスを買う機会があってその判断に自信があれば、少しばかり背伸びしてもよいでしょう。チャーリーも同感だと思います。実際にそうだったのがシーズ・キャンディーで、自分が考えていたより5%多く支払いました。チャーリーはこう言いましたよ、「これはおどろいたね、ウォーレンが小切手を切るとは」。わたしたちはいつも高すぎると感じているのです。

<チャーリー・マンガー> ほとんどいつもそうですね。最近の値段は安くないですよ。

<ウォーレン> しかしみなさんは市場を相手にしているのでしたね。相対でビジネスを買うとなると、相手は絶対と言っていいほどしっかり準備をしています。一方株式市場では、瞬間的な暴落(フラッシュ・クラッシュ)という、現実のビジネスの世界では得られない機会が訪れてくれます。わたしたちの一番の望みは、買ったビジネスを保有しつづけることです。続々と現金が入ってくるときには特に、末永く成果を享受できるビジネスに資金を投下したいものです。

<チャーリー> 我々はもはや昔とは違うやりかたをしています。昔のままだったら、こんなにうまくやれなかったですね。このゲームで勝ちをおさめたいのであれば、学びつづけることです。

<ウォーレン> ぜひ勝ちたいですね。

Q46, Station 4. Shreveport, LA. How did you tell Heinz was fair price? What sources on changes in industries?

WB: We usually feel we are paying too much. We then gag and get there on price if we find the business good. There is no mathematical formula. Looking back, we could have paid significantly more money for some businesses and still would have been a good decision. In general, if get a chance to buy a good business that you have a high degree of certainty has economic characteristics that they will earn unusually high rates over time, or, better yet, can reinvest to grow, you should probably stretch a little. Charlie or I will say let's do it. It happened with See's Candies. We were paying 5% more than I wanted and Charlie said, “For god's sakes Warren write the check!” We always think it is too expensive.

CM: It almost always happens. Modern prices aren't cheap.

WB: But you will see it in the market. Negotiated purchase of business - you are almost always dealing with person who is prepared. In stock markets you get flash crashes. You will see opportunities in stock market that you will never get in business market. What we really like is buying businesses to hold. Particularly when you've got cash coming in, you want to deploy in businesses you can enjoy forever.

CM: We are in different mode now. If we kept to our original mode, we wouldn't have done very well. It is a game of learning, if you want to win.

WB: We want to win.

2013年6月8日土曜日

株式を判断するのに使う指標(ウォーレン・バフェット)

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2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問37:シアトル在住の株主> 株式を判断するのに、どのような定量的指標を使っていますか。

<ウォーレン・バフェット> われわれは株式という切り口ではなく、つねにビジネスを買うという観点でみています。バスケットボールのコーチなら身長が7フィート[≒213cm]以上の選手をさがすように、事業に応じてちがう数字で判断しています。ただしわれわれには深く考察できないものもありますし、わからないことがあるのも承知しています。ときには、それによって考え直すこともあります。バンク・オブ・アメリカの件では、風呂に入っていたこと自体は重要ではありませんでした[案件をひらめいたときの場所]。同行について書かれた本"Biography of a Bank"を50年ほど前に読んだのですが、すばらしい内容でしたよ。保険業界をみるときとイスカル[買収した切削工具メーカー]とでは違った観点で考えますし、ブランドがものをいう業界となれば、また別の見方になります。コークのようにうまくいくブランドもあれば、そうでないものもありますね。風呂に浸かっているときにバンカメはいい投資かもしれないと思いあたり、電話をかけたのです。そのときは、PERやPBRを厳密に計算したわけではありません。会社が5年後にどうなっているかを考え、価格と現在価値がかい離していると思ったのです。

<チャーリー・マンガー> 何かの指標にもとづいて株を買うやり方はよくわかりませんね。知りたいのは、ある企業が実のところどのように機能しているかです。ウォーレンはコンピュータを使ってスクリーニングしていますか。

<ウォーレン> いいえ、どうやるのか知らないのですよ。ただしスクリーニングは使っていませんが、別の意味であらゆるものをふるいにかけています。だれかが提示してくれたかのように、あらゆるものについて考えるようにしているわけです。5年,10年後にどうなっているか、どこまでそれを確信できるか、そして価格にどれだけ織りこまれているか、ということをです。われわれでは答えがだせなかったり、未来がうまく見通せないと感じるビジネスも数多くあります。自動車業界をみてきて50年になりますが、あれは非常におもしろいビジネスですね。

<チャーリー> 10年後のBNSF[買収した鉄道会社]は競争優位を手にしているでしょうが、アップルや石油会社がどうなるかは我々には判断できないですね。

数学の得意な人は、数字を追いかけることで答えを見つけられると考えがちです。やるべきことは競争する上での企業の立ち位置を理解することで、そんなに簡単ではないですよ。必要なのはビジネスを知ることで、数学ではありません。

<ウォーレン> ベン・グレアムから教わったやりかたとはちがいますね。数字だけをみることになっていたら資金をうまく運用できていたか、なんともいえません。

<チャーリー> きっとお粗末な結果だったでしょうな(笑)。

Q37, Station 1: Seattle. Which quantitative metrics to judge a stock?

WB: We aren't looking at the aspects of stocks, but always are buying a business. If you were a basketball coach, you can look for all seven-footers. We look at different numbers for different businesses. We see certain things that shut out to us to look further. We also know what we can't know. Often we have a fact that slips back in which causes us to change our mind. The bathtub wasn't the central factor for Bank of America. I read a book 50 years ago, Biography of a Bank, a great book. We have certain things we look for in insurance. We have things that we think about which is different when we think about Iscar. There are things we think about when dependent on brands. Some brands travel well, like Coke, some don't. In the bath, I thought Bank of America might be good idea, so I gave him a call. It is not because I calculated some precise PE or book value ratio. I have some idea of what company will look like in 5 years, and there is a disparity between that price and today's value.

CM: We don't know how to buy a stock based on ratios. We need to know how a company actually functions. Do you use a computer to screen anything?

WB: No I don't know how to. We don't really use screens but we are really screening everything. We look at it just as if someone offered us the whole thing, and what will it look like in five to ten years, and how sure of it we are and if it is in the price. There are a lot of businesses that we just don't know the answers to and feel that we can't foresee the future well enough. We have watched the auto business for 50 yrs. It is a very interesting business.

CM: BNSF will have a competitive advantage in 10 yrs. We don't know that about Apple or an oil company.

CM: People who are good at math look for numbers and think they can find an answer. You need to understand a company's competitive position, but it isn't that easy. It isn't math, you need to need to know the business.

WB: Not what I learned at Ben Graham. Not sure whether I would know how to manage money if I just had to look at the numbers.

CM: You would do it poorly. [laughter]

蛇足になりますが、ある石油会社が気になったことをきっかけに、石油業界を勉強しつづけています。今回引用したチャーリーの指摘は耳が痛いです。

蛇足その2です。昨日7日(金)は手持ちの日本株がそれなりの水準まで下落したため、わずかな金額ですが、売却してきた株を買い戻したり、買い増しをしました。割安と判断した指標はPERとPBRです。チャーリーの教えにことごとく背いているようで、微妙な思いがあります。

2013年5月29日水曜日

隣人のロバをむさぼってはならない(ウォーレン・バフェット)

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少し前の投稿でご紹介した2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトから、ふたたび引用します。バークシャーが営む保険業の話題ですが、本質はそこにとどまっていません。(日本語は拙訳)

<質問32:ベッキー・クイック> 保険業では非常に大きな金額を扱っていますが、合理的な料率が設定できるのはなぜですか。

<ウォーレン・バフェット> 合理的にやるという点で、バークシャーは並はずれています。当社にはずっと以前から支配株主がいたので、やりたくないことを強いる外部の株主がいませんでした。ですから、保険料収入を増やすように圧力をかけられることがありません。保険料率が悲惨だったころには、実際にナショナル・インデムニティー[バークシャーの損保子会社]では事業規模を8割縮小しました。そこまでできる公開企業はほとんどないと思います。バカなことをすればそれはわたしたち自身のせいであり、外部からの要因は何も関係していません。事業を進めるうえで、このやりかたはすばらしいものですよ。ただし他人がウォール街から称賛されているときに、このようなやりかたをとるのは難しいかもしれません。しかし、わたしたちには保険ビジネスでバカなことをする理由はありません。当社は巨大自然災害に関する損害保険の主要な引き受け手で、こちらがマーケットから立ち去ったことはありませんが、マーケットのほうが立ち去ることはありました。ですが、確率的にみたら1ドルを失う場合に90セントを受けとるようなことはしません。

<チャーリ・マンガー> よそだと我々が望まないような圧力がかかっていますが、我々にはそういう人がいないのですね。事業を8割縮小するというのは非常にむずかしいことですよ。人がいるのに仕事がないとくれば、なおさらでしょう。

<ウォーレン> インターネット株のときはわたしたちの同業者さんが成功していましたが、彼らは高いIQの持ち主でした。しばらくはうまくいっていましたが、非常に危険な時期だったと思います。当初は疑いの目でみられていたものの、同業者さんのほうはどんどん儲かっていきました。しかしそういったことをしろという圧力は、わたしたちにはかかってきません。ですから、他の人たちよりも賢いとは思いませんが、自分たちがよくわからないものには手を出さないことにしています。そして、他人がうまくやっているからといって妬まない。それですべてです。

<チャーリー> 私は常々、そのことが聖書に書かれているのは理由あってのことだと言ってきました。「隣人のロバをむさぼってはならない」。妬みというのはずっと昔から、災いを起こす原因になっていたのです。何の楽しみももたらさない罪はこれだけですよ。

<ウォーレン> 欲望は心にあり。ところでクリフさん[出席している業界アナリスト]、何かありますか。(笑)

Q32, Becky Quick: Why pricing so rational in insurance when so large?

WB: Berkshire is an unusually rational place. We have had a long run. We have a controlling shareholder. There is no outside shareholder pushing us in direction we didn't want to go. There is no pressure for increasing premium volume. We actually contracted the business, at National Indemnity, by 80%, when we thought pricing worse. Most public companies couldn't do that. If we did something stupid, it is because we did something stupid. No external factors are pressing on us. That is great way to operate. It can be hard when others are getting applauded by Wall Street. There is no reason for us to do anything stupid in insurance. We were major writers of natural catastrophe insurance. We haven't left market, market left us. We won't get paid 90c to get probabilistic loss of $1.

CM: There are pressures on other people that we don't want and therefore don't have. It is very difficult to shrink a business by 80% -- especially when people come in and have nothing to do.

WB: Like in internet stocks, and neighbors having success and they have high IQ's. It works for a while, that is great danger period. It starts as skepticism, but neighbor gets richer. We don't have any pressures to do that sort of thing. We don't think we are smarter than others, we just won't do stuff we don't understand. And we won't be jealous when others do well. That is what it is all about.

CM: I always say there is a reason why that stuff is in the Bible. Can't covet your neighbor's ass. They were having trouble with envy a long time ago. It is the one sin there is no fun.

WB: Lust has its place, but Cliff you're up? [laughter]

妬みについては、チャーリーはいくたびも嗜めています(過去記事の例)。それでは、どうすれば妬みから解放されるかとなれば、「そもそも近づかない」という単純な答えも示しています(過去記事)。

2013年5月21日火曜日

バークシャーがいるニッチの世界(ウォーレン・バフェット)

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少し前にも取り上げましたが(過去記事)、2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトがあちこちで公開されているようです。以下のノートからお借りして、個人的に印象に残った質疑応答を何点かご紹介していきます。

Berkshire Hathaway Annual Meeting 2013 (PDFファイル) (csinvesting)

<質問17: ダグ・カース> ウォーレン、いいですか!

<ウォーレン・バフェット> ダグさん、いいですよ!!

<ダグ> あなたの投資した対象があげるリターンは、あなたご自身の評判に帰するところが大きいと思いますが、後継の方に代わるとどうなるものでしょうか。

<ウォーレン> わたしの後を継ぐ人は、市場で問題が生じた際にわたしより多額の資金を扱っていると思います。そういうときに資金が残っている人はほとんどいませんし、その資金を投じようとする人はさらに稀です。そんな動乱のときに資本を有しているというのは並大抵ではなく、多額の資金を以って二つ返事で応じられるというのは、際立った存在なのです。わたしの後継者も、よそからお願いされたら喜んで資金を投じると思いますよ。バークシャーというのは、市場がパニックになった時に電話をもらう会社です。2008年には何度かありましたし、2011年にも一度ありました。これはバークシャーの主要業務ではないのですが、ダウ平均が数日間のうちに1,000ポイントでも下落したときには、きっとご連絡いただけると思います。わたしがいなくなった後でも同じことをやれば、バークシャーの評判はもっと強固になるでしょう。「バークシャー」ブランドはいっそう高まるはずです。

<チャーリー・マンガー> 初期のころのウォーレンは、競争が少なかったので大成功をおさめられました。その後、競争は激しくなりましたが、現在の我々は巨大なビジネスへ資金を提供するというニッチの世界にいます。彼らは他人からコントロールされたくないので、そうするのですね。この世界ではあまり競争がありません。ですから過去と同じ場所にとどまるべきだったとするのは、不合理な考えです。よそには連絡がいってないのですから。

<ウォーレン> 他のところは、資金がない上にすぐに動こうとも考えていなかったのですね。この領域はわれわれにぴったりです。わたしが去った後でも、そういった特質はバークシャーに残り続けるでしょう。

<チャーリー> それこそ私の望むところですね。

Q17, Doug Kass: [assertively] Warren, …

WB: [assertively] Doug, …

Q17, cont: Much of your returns from your investments have been premised on your reputation, what about successor?

WB: My successor will have more capital than me when markets are in distress. At those times few people have capital and even fewer have willingness to commit. It is unusual to have capital at times of turbulence, when ability to say yes quickly with large sums sets you apart. I would not worry about that successor being willing to deploy and being called upon. Berkshire is the 1-800- number when there are panics in markets. It happened a couple times in 2008 and once in 2011. Not our main business, but if Dow falling down a 1000 points for a few days, they will call Berkshire. Our reputation will become even more solidified, when Berkshire does it when I'm not around. It becomes even more the Berkshire brand.

CM: In the early days, Warren had huge success because competition was small. Then competition was more intense. Now we are in in the niche of offering capital to big businesses who don't want to be controlled by somebody else - and this is less competitive. It is ridiculous to think the past was a place we should have stayed. The other people are not getting calls.

WB: They don't have money and are not willing to act immediately. This area is very much our own. These qualities will remain with Berkshire after I'm gone.

CM: That is what I like about it.

昨年の総会でも、本質的に同じ話題が登場していました(過去記事)。チャーリーやウォーレンが繰り返して話してくれるこの話題は、「大切なこと」だけれど「なかなか身につかないこと」ととらえています。