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2017年10月20日金曜日

2017年バークシャー株主総会(8)バフェットにも矛盾点はある

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バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、生産性向上に関する話題です。この話題はおなじみとなっており、たとえば2015年度の「バフェットからの手紙」で大きく取り上げていました。(日本語は拙訳)

3Gキャピタル社における極端なコスト削減策について

<質問> バークシャーは3Gキャピタル社と提携して取引に参加していますが、彼らが極端なまでにコスト削減をして、何千人もの職を減らしている件について、どのようにお考えですか。

<ウォーレン・バフェット> 3G社の経営陣はかなり近い距離から見てきました。基本的に彼らは、「保有する会社は可能な限り生産的であるべし」との信念を持っています。もちろんですが、この会場におられるみなさんにとっても、オマハの人にとっても、アメリカ中の人にとっても、社会全体の発展は生産性の上昇によってもたらされています。もし生産性に変化がなかったとしたら、現代人の生活は1776年の建国当時の人たちと同じままだったでしょう。3Gの人たちは、そのことをすごい速さで実行しているわけです。彼らの取り組みは非常に巧みで、以前よりも少ない人数で運営することによって生産性を高めています。鉄鋼業界であれ、自動車業界であれ、あらゆる産業でそのような取り組みがなされてきました。そのおかげで、今のように生活水準が向上したわけです。

ちなみにバークシャーが買収する際には、すでに効率的に運営されている企業が望ましいと考えています。率直に言って、わたしどもは生産性を高めるプロセスをまるで楽しめません。心地よく感じられないのです。しかし、そういった取り組みは会社を発展させるためのものです。ひとりの人が消費できる量を2倍に増やそうとしても、一人当たりの生産性を改善させるなんらかの方法がなければ、手の打ちようがありません。「政治的な成り行きが事業に影響しかねない」という理由で、そちらの面から悩みそうだと考えているのでしたら、賢明かどうかはともかくとして、うまいご質問だと思います。そのものずばりの答えなのかわかりませんが、彼らは生産性に焦点を当てて非常に賢明なやりかたで取り組んでいるだけではなく、製品の改善やイノベーションや経営陣に対する様々な要望についても相当なまでに注力していることは、申し上げられます。昼食の際にクラフト・ハインツのチーズケーキを食べてみてください。3Gが抱く基本戦術では、生産性向上と同様に、製品の改良やイノベーションがまさしく大きな部分を占めているという点で、同意してくださると思います。

個人的な話をしますと、何千人もの従業員がいた織物事業に携わっていたころに、ある程度の時間をかけて事業から撤退したことがあります。雇用を増やす事業にくらべると、雇用を減らす事業は楽しくないものです。たしかチャーリーと相談して、「実際に人員を削減して生産性を向上させることを主たる利得とする企業は、バークシャーの買収対象から外す」ことを決めたと覚えています。しかし生産性向上を検討することは、社会全体からすれば望ましいことだと思いますし、3Gの人たちの仕事ぶりも見事だと思います。

<チャーリー・マンガー> 生産性を向上させることに、悪いところは何もないですよ。その一方で、「正しいからといって、即実行することにはつながらない」と理屈づけ、非生産的な意見を表明する例がいろいろと見受けられますね。

<ウォーレン・バフェット> その通りだと思います。

(PDFファイルのp. 27。Yahoo! Finance映像では4:24:20)

3G CAPITAL’S EXTREME COST CUTTING

Q. Berkshire partners with 3G Capital on deals. What do you think of their extreme cost cutting and elimination of thousands of jobs?

Warren Buffett: Essentially, 3G management - I’ve watched them very close - is basically they believe in having a company as productive as possible, and of course, the gains in this world for the people in this room and the people in Omaha and the people throughout America have come from gains through productivity. If there had been no change in productivity, we would be living the same life as people lived in 1776. The 3G people do it very fast, and they’re very good making a business productive with fewer people than operated it before. We’ve been doing that in every industry whether it’s steel or cars. That’s why we live as well as we do.

We at Berkshire prefer to buy companies that are already run efficiently. Frankly, we don’t enjoy the process at all of getting more productive. It’s not pleasant, but it is what enabled the company to progress. Nobody has figured a way to double people’s consumption per capita without in some way improving productivity per capita. It’s a good question, and whether it’s smart overall if you think you’re going to suffer politically because political consequences do hit businesses. I don’t know that I can answer the question categorically, but I can tell you they not only focus on productivity and do it in a very intelligent way but also focus to a terrific degree on product improvement, innovation and all of the other things that you want a management to focus on. At lunchtime if you had the Kraft Heinz cheesecake, you will agree with me that product improvement and innovation is just as much a part of the 3G playbook as productivity.

Personally, we have been through the process of being in a textile business that employed a couple thousand people and went out of business over a period of time. It’s just not as much fun to be in a business that cuts jobs rather than a business that adds jobs. Charlie and I would probably forgo having Berkshire buy businesses where the main benefits would come from increasing productivity by actually having fewer workers. I think it is pro social to think in terms of improving productivity, and I think the people at 3G do a very good job.

Charlie Munger: I don’t see anything wrong with increasing productivity. On the other hand, there’s a lot of counter-productivity publicity to doing it. Just because you’re right doesn’t mean you should always do it.

Warren Buffett: I agree with that.

2017年10月4日水曜日

2017年バークシャー株主総会(7)事業をうまく評価できるようになるには

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バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、事業の評価基準に関する話題です。ウォーレン・バフェットからの助言(赤字で強調した箇所)は、おそらく多くの人にとって福音になることと思います。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

価値評価の方法

<質問> さきほどマンガーさんが中国市場と米国市場をくらべた話をされていましたが、その際の評価方法としては、株式市場時価総額をGDPで割る方法[バフェット指標]と、CAPEを使う方法[シラーP/E; 景気循環調整後PER]のどちらが適しているとお考えですか。

<バフェット> お話しにあったどちらの基準も、わたしどもが証券の価値を評価する上で最上というわけではありません。将来にわたって事業が稼ぎ得る現金の現在価値は、事業を評価するうえで重要な要因です。しかし世間では絶えず公式を求めていますが、究極の公式というものはありません。なにが変数に関わっているのか、わからないからです。もちろん、それぞれの数値にはそれなりの意味があります。しかし事業の評価とは、「実際に変数の値を完璧に設定できる公式」へと単純化できるものではありません。お話しに挙げられたどちらの数も話題にされることが多いですが、それがとても重要なこともあるでしょうし、無意味同然のこともあると思います。ひとつやふたつの公式で済むほど単純ではありません。

将来の金利がどうなるか、これがいちばん重要です。「取り得る最良のやりかただ」として、現在の利率を当てはめる例がよくあります。30年物債券の利率をみてください。資金を30年間出しておいて、30年後には損も得もなしに無リスクで戻ってほしいと考える人が、どれだけの金利を期待しているかがうかがえるでしょう。その数字について良い予想ができるかと聞かれても何とも申し上げられませんが、だからといって現在の値を使うという意味ではありません。チャーリーのほうも、「お話しに挙げられた2つの基準を物差しにして、中国市場と米国市場を比較評価することはできない」と答えると思います。

<マンガー> 私からは、「釣りをする上での規則その1、魚のいるところで釣れ」と言っただけですよ。腕の良い釣り師にとっては、今なら中国のほうがもっと魚をみつけられるでしょう。私が言ったのはそれだけです。楽しさひとしおの釣場ですよ。

<バフェット> 投資家として事業をもっとうまく評価できるようになりたい方は、ダメな事業をしばらくのあいだ運営する手だてをぜひ見つけるべきです。すぐれた会社に入って失敗させようもない良好な事業から学ぶよりも、ひどい事業に携わって実際に数年間ほど奮闘してみれば、ビジネスについて実にたくさんのことを学べます。わたしどもにとっても、実体験として学んできたことの大きな部分を占めています。良い事業に関わるという意味からすれば、悪い事業に実際に何度か関わって目の当たりにしたことの割合はもっと大きかったと思います。

<マンガー> いや、実にひどいものでしたよ。

<バフェット> どれほどひどいものなのか、どれだけ自分が非力なのか、どれほど優れたIQを以てしても問題を解決できないのか。そういったことも理解できる有意義な経験になると思います。まあ、非常に強くまではお勧めしませんが。

<マンガー> 我々にとっては非常に有益でした。学びたいのであれば、個々人が厳しい経験をするのが一番ですよ。当然ながら我々も、それなりに経験しましたがね。

(PDFファイルのp. 38。Yahoo! Finance映像では5:34:30)

VALUATION METHODS

Q. In looking at the Chinese market vs the U.S. market, what is the best valuation method, market cap divided by GDP or the Cyclically Adjusted P/E (CAPE) method?

Warren Buffett: Both of the standards you mention are not paramount at all in our valuation of securities. The present value of the future cash that can be taken out of the business is the important factor in valuing a business. People are always looking for a formula. There’s not an ultimate formula. You don’t know what to stick in for the variables. Every number has some degree of meaning. Valuation of a business - it is not reducible to any formula where you can actually put in the variables perfectly. Both of the things you mentioned get themselves bandied around a lot. Sometimes they can be very important. Sometimes they can be almost totally unimportant. It’s not quite as simple as having one or two formulas.

The most important thing is future interest rates. People frequently plug in the current interest rate saying that’s the best they can do. The 30-year bond rate should tell you what people who are willing to put out money for 30 years and have no risk of dollar gain or dollar loss at the end of the 30-year period expect to earn. I’m not sure I can come up with a better figure. That doesn’t mean I’m going to use the current figure either. I’d say - I think Charlie’s answer is he does not come up with China vs the US market valuations based on what you’ve mentioned as yardsticks.

Charlie Munger: All I said before is the first rule of fishing is to fish where the fish are. A good fisherman can find more fish in China now. That’s all I meant. It’s a happier hunting ground.

Warren Buffett: If you want to be a good evaluator of businesses, as an investor, you really ought to figure out a way to run a lousy business for awhile. You learn a whole lot more about business by actually struggling with a terrible business for a couple of years than you learn by getting into a very good one where the business is so good you can’t mess it up. It was a big part of our learning experience, and I think a bigger part in the sense of being involved in a good business was actually being involved in some bad businesses and seeing -

Charlie Munger: -how awful it was.

Warren Buffett: How awful it is and how little you can do about it and how IQ does not solve the problem. It’s a useful experience, but I wouldn’t advise too much of it.

Charlie Munger: It was very useful to us. There’s nothing like a personal, painful experience if you want to learn, and we certainly had our share of it.

2017年9月20日水曜日

2017年バークシャー株主総会(6)高IQすなわち儲け上手とはならない

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バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、おなじみの話題「資本配分」についてです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

資本配分能力について

<質問> 資本配分に関するアイデアを交わし合うのは、これからも長く続くのでしょうか。

<マンガー> ずっと続くことはありえないですね(笑)。

<バフェット> チャーリー、負け犬根性はいけませんよ(笑)。

バークシャーの取締役会一同が抱く考えだけでなく、現在の場合であればわたしたちがいなくなったあとのためにチャーリーやわたしが推薦する面でも、当社で仕事に就く後継者にとって「資本配分の技量が一定の評価を得ていること」が最重要であるのは確かです。バークシャーでは資本配分がおどろくほどに大切だからです。

現在の株主資本は2,800か2,900億ドルほどになります。次の10年だけをとれば、だれも正確には予測できませんが、現在の償却費が年間70億ドル程度の水準ですから、次のマネージャーが10年間に配分しなければならない資金は、おそらく4,000億ドル程度になるでしょう。今から10年後のバークシャーは、過去に生じたすべてよりも多くの資金を10年間で受け入れた事業集合体になっていると思います。バークシャーのCEOという仕事には、とても理性的な資本配分者が必要です。いずれはその人物を得るでしょう。

しかし、資本配分が得手ではないかもしれない人物に任せるのは、とんでもない間違いです。かなり得意な人でないといけません。そのことがどれだけ大切か理解しているからこそ、わたしたちバークシャーには優位があります。そこに焦点を当てているのです。非常に多くの会社では能力や売り上げ実績に基づいてトップの座につく人を決めますが、それらはどれも事業を進める上での異なった側面です。自らの手に資本配分といったものが任された彼らは、経営戦略部門を設立したり、投資銀行家の話をきいたりするでしょう。しかし自分でやるほうがうまくできるものです。

資本配分の経験がないまま別の経歴を歩んできた人は、バイオリンを演奏するつもりでカーネギー・ホールへ行って、ステージに歩んだところでピアノへと導かれるようなものです。他の領域については多くの能力があっても、資本配分をする能力は実のところ持っていない人にバークシャーを任せても、うまく運営することはできません。わたしはその力を「金儲け思考」[原文ではmoney mind]と呼んでいます。

IQテストなどで120とか140といった成績をとれる人たちがいるとします。そういった人たちのなかには、「ある種類のことは得意ながらも、他はそれなりの能力」という人がいるものです。すごく頭が良いものの「金儲け思考」で考えることができず、そのせいでとても愚かしい決定をくだしてしまう人たちを知っています。ほとんどの人間ができないあらゆることをこなせるのに、彼らの脳はそのようには働けないのです。他方でそこまでは賢くなくても、SATのテストは良くできていますが、金勘定でおろかな決断を下したことがまったくない人たちも知っています。たくさんの才能を持った人がバークシャーのCEOになってほしいとは望みますが、「金儲け思考」ができない人はまったく望んでいません。

<マンガー> 株式を買うという選択肢もありますが、それならばお手上げというほどの問題ではないでしょう。いずれにせよ、何かしら賢明なことをするでしょうから。

<バフェット> 「金儲け思考」のできる人には、「株を買う上で、妥当なときとそうでないとき」がわかります。実のところ「株の購入についてどう考えているか」と問うのは、経営面での能力を試す上でかなりすぐれたテストになります。その手の主題を真正面から考えたりする際に、それほど複雑な方程式は出てきません。人によって考え方はちがうと思います。しかし他のことでは飛びぬけてすぐれていると思われる人が、株の買いどきがわりとはっきりしている話題で、なんともバカバカしいことを言うわけです。

(PDFファイルのp.23。Yahoo! Finance映像では2:54:00)

CAPITAL ALLOCATION ABILITIES

Q. Will bouncing ideas off one another on capital allocation continue long into the future?

Charlie Munger: It can’t continue very long.

Warren Buffett: Don’t get defeatish, Charlie.

Any successor that is put in at Berkshire - proven capital allocation abilities are certain to be uppermost in the Board’s mind, in the current case, in terms of my recommendation and Charlie’s recommendation, for what happens after we are not around. Capital allocation is incredibly important at Berkshire.

Right now we have $280 or $290 billion of shareholders’ equity. If you take the next decade alone, nobody can make accurate predictions on it, but in the next ten years, if you take - appreciation [misheard "depreciation?"] right now is another $7 billion a year, or something on that order. The next manager during the decade will have to allocate maybe $400 billion or something like that. Ten years from now, Berkshire will be an aggregation of businesses where more money has been put in in that decade than everything that took place ahead of time - you need a very sensible capital allocator in the job of being CEO of Berkshire. We will have one.

It would be a terrible mistake to have someone in this job where capital allocation will not be their main talent - it should be very close to their main talent. We have an advantage at Berkshire in that we do know how important that is. There is that focus on it. Many people get to the top through ability and sales, all different sides of business. They then have capital allocation sort of put in their hands. They may establish strategic thinking divisions and listen to investment bankers, but they better be able to do it themselves.

Charlie Munger: If they come from a different background and haven’t done it…

Warren Buffett: It’s like getting to Carnegie Hall by playing the violin. You then walk on stage and they hand you a piano. Berkshire would not do well if somebody was put in who had a lot of skills in other areas but really didn’t have an ability for capital allocation. I call it a money mind.

People can have 120 or 140 IQs, very similar scoring abilities in terms of intelligence tests. Some of them have minds that are good at one type of thing and some at others. I’ve known very bright people that do not have money minds, and they can make very unintelligent decisions. They can do all kind of other things that most mortals can’t do, but it isn’t the way their wiring works. I’ve known other people that are not that brilliant - they do fine on an SAT test - but they never made a dumb money decision in their life. We do want somebody - hopefully, they’ve got a lot of talents, but we certainly don’t want somebody if they lack a money mind.

Charlie Munger: There’s the option of buying in stock, which isn’t like it’s some hopeless problem. One way or another something intelligent will be done.

Warren Buffett: A money mind will recognize when it makes sense to buy a stock and when it doesn’t. In fact, it’s a pretty good test for some people in terms of managements of how they think about something in terms of buying stock. It’s not a very complicated equation if you sort of think straight about that sort of a subject. Some people think that way and some don’t, and they’d probably be miles better at something else, but they say some very silly things when you get to something that seems so clear as to when buying stock makes sense.

2017年9月8日金曜日

2017年バークシャー株主総会(5)オマハの大御所、アップル社を語る

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バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答のつづきです。今年はテクノロジー業界の話題が何度も登場しましたが、今回もそのひとつです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

「よく知っている企業の株を買うこと」について

<質問> 投資上の助言として、「自分が知るものを買うこと」といつもおっしゃっていました。バフェットさんはテクノロジー通として有名ではありませんが、今ではテクノロジー企業に投資されていますし、たびたび話題にもあげられています。しかし、ツィートした件数はこの4年間で9件だけです(笑)。

<バフェット> あのツィートのほかは、僧院に通って修行していたものですから(笑)。

<質問> 「オマハの賢人」が「オマハのテクノロジー大御所」となったのはなぜですか。

<バフェット> (笑いながら)テクノロジー業界について、それほどは語っていないと思います。IBMには大きな投資をしましたが、うまくいきませんでした。資金を失ってはいませんが、強気相場だったことを考えると、大幅におくれをとりました。少し前からですが、アップル社の株を大量に保有しています。ある種の経済的特性の面で、同社は消費財を扱うほうの企業としてとらえています。同社の製品でできることや、他の人たちがある面において追い越そうと前進している可能性からすれば、同社にはテクノロジーに関する莫大な部分があります。保証はできませんが、2打数0安打でなくて1安打はできると思います。いずれわかることでしょう。

しかし「テクノロジーに興味を持っている15歳の若者と同じ水準の知識がある」と言い張るつもりはさらさらありません。消費者行動という点である程度は読めるかもしれない、と考えているだけです。その点についてはたしかに多くの情報を手に入れられますし、それに基づいて消費者が将来とる行動がどうなるのか成り行きを描いてみることができます。

証券投資の分野では、これからも失敗をやらかすと思います。過去にはテクノロジー業界以外で失敗を出してきました。どの業界に取り組もうとも、10割の打率はあげられません。保険業界のことはかなり知っておりますが、過去には保険株で1,2回損を出したことがあります。10割を打つことはできません。しかし、うまれてこのかたテクノロジーに関する実際の知識は、実のところまったく身につけたことがありません(笑)。

<マンガー> アップルの株を買ったのは、非常に良い兆候だと思いますよ。「正気でなくなった」か、「学習している」のどちらかを示していますね(笑)。私としては、「学習している」とする理由のほうを取りたいですが。

<バフェット> ええ、わたしもそちらですよ(笑)。

(PDFファイルのp.34。Yahoo! Finance映像では5:10:30)

BUY WHAT YOU KNOW

Q. Your investment advice has always been to buy what you know. You are not known for being a tech guy, but you are now investing and talking more about tech companies. You’ve only tweeted nine times in the last four years.

Warren Buffett: It was either that or go to a monastery. I don’t think I’ve talked that much about tech companies. I made a large investment in IBM, which has not turned out that well. We haven’t lost money. In terms of the bull market we’ve been in, it has been a significant laggard. Fairly recently, we took a large position in Apple, which I do regard more as a consumer goods company in terms of certain economic characteristics. It has a huge tech component in terms of what that product can do or what other people might come along to do to leapfrog it in some way. I think I’ll end up being one for two instead of 0 for 2, but we will find out.

I make no pretense whatsoever of being on the intellectual level of some 15-year old that has an interest in tech. I may have some insights into consumer behavior. I certainly can get a lot of information on consumer behavior and then try to draw inferences as to what consumer behavior is likely to be in the future.

I will make some mistakes on marketable securities. I’ve made them in other areas other than tech. You will not bat 1000 no matter what industries you try to stick with. I know insurance pretty well, but I think I’ve lost money on insurance stocks once or twice over the years. You don’t bat 1000, but I’ve gained no real knowledge about tech since I was born actually.

Charlie Munger: I think it’s a very good sign that you bought Apple. It shows either one of two things. Either you’ve gone crazy or you’re learning. I prefer the learning explanation.

Warren Buffett: So do I, actually.

2017年9月4日月曜日

2017年バークシャー株主総会(4)アマゾン社について

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前回からつづきます。バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、アマゾン社のCEOジェフ・ベゾスの話題です。(日本語は拙訳)

アマゾン社について

<質問> ジェフ・ベゾスを称賛されていますが、なぜアマゾンへ投資しなかったのですか。

<バフェット> あまりにボンクラだったせいで、なにが起ころうとしているのかわかっていませんでした。ジェフのことはずっと以前から褒めたたえてきましたし、彼のすることも観察してきました。しかし、これほどの規模まで成功するとは思いもしませんでした。ましてAWSというクラウド・サービスによってできる商売の可能性は、考えもしませんでした。小売事業を育てる一方でテクノロジー業界を一変させる可能性について質問されていたら、「それは大穴狙いだ」と答えたと思います。同社の傑出した事業運営ぶりを過小評価していたのです。オンラインでやることを思い描くのもそうですが、それにはたくさんの能力が必要です。

1997年の年次報告書で、彼はロードマップを描いています。そして彼は、離れ業に継ぐ離れ業を決めていきました。3,4か月前にチャーリー・ローズが彼にインタビューをしていましたが、ご覧になっていない方はCharlierose.comで話を聴いてみてください。いろんなことが学べると思います。少なくともわたしはそうでした。

同社の株式は常に割高だと思えました。しかし、彼が今日いる地位に到達できると考えたことは一度もありませんでした。まさに卓越した人だと思ってはいましたが、3年前や5年前、8年前、12年前にも、ここまで来るとは想像できませんでした。ところで、チャーリーはなぜ見逃したのですかね(笑)。

<マンガー> 易々とですよ。同社の実行していることが非常に難しいものだったからです。その当時と同じように将来も順風満帆なのだろうか、まったくもって不明瞭でした。アマゾン社が到達した業績を読めなかったことは、寸分も後悔していないですね。それよりも別件のほうが容易でした。若干はポカをしたと思いますが。

<バフェット> (笑いながら)そちらの方面は追いかけないようにしましょうか(笑)。

<マンガー> グーグル社のことですよ。

<バフェット> (軽くうなづきながら)たしかに、いろいろと見逃しましたね 。

<マンガー> そう、これからもそうなりますよ(笑)。しかしウォーレン、ありがたいことにすべてを見逃してはいませんよ。これは我々の秘密ですが、全部は見逃していません(笑)。

<バフェット> 次の質問に進んだほうがいいですね(拍手)。チャーリーの話が具体的になってきましたから。

(PDFファイルのp.36。Yahoo! Finance映像では5:24:30)

AMAZON

Q. You admire Jeff Bezos. Why have you not invested in Amazon?

Warren Buffett: I was too dumb to realize what was going to happen. I admired Jeff for a long, long time and watched what he was doing. I did not think he could succeed on the scale he has or even think about the possibility of doing anything with Amazon web services or the cloud. If you asked me the chances that while he was building up the retail operation, he would also be doing something that was disrupting the tech industry - that would have been a longshot for me. I underestimated the brilliance of the execution. It is one thing to dream about doing this stuff online, but it takes a lot of ability.

You can read his 1997 annual report, and he laid out a roadmap. He has done it and done it in spades, and if you haven’t seen his interview with Charlie Rose three or four months ago - Charlierose.com, go to it and listen to it because you will learn a lot, at least I did.

The stock always looked expensive. I really never thought he would be where he is today. I thought he was really brilliant. I did not think he would be where he is today when I looked at it 3, 5, 8, or 12 years ago. Charlie, how did you miss it?

Charlie Munger: It was easy. What was done there was very difficult. It was not at all obvious that it was all going to work as well as it did. I don’t feel any regret about missing out on the achievements of Amazon. Other things were easier, and I think we screwed up a little.

Warren Buffett: We won’t pursue that line.

Charlie Munger: I meant Google.

Warren Buffett: We missed a lot of things.

Charlie Munger: And we will keep doing it. Luckily, we don’t miss everything, Warren. That’s our secret. We don’t miss them all.

Warren Buffett: We better move on. He may start getting specific.

2017年8月28日月曜日

2017年バークシャー株主総会(3)本源的価値の複利成長について

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前回のつづきです。バークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、企業価値の成長率についてです。(日本語は拙訳)

本源的価値の複利成長について

<質問> バークシャーの本源的価値は、これまでに複利換算で年間何パーセント増加してきましたか。また今後はどうなりそうですか。

<バフェット> 本源的価値は、過去にさかのぼる形でしか算出できません。しかし本来の定義はそうではなく、未来を向いています。つまり、現在から判定最終日までのあいだに創出されると予想した現金を、その期間において適切と思われる利率で割り引いた金額です。30年や40年間でみると、金利はとても広い幅で変動します。たとえば10年という期間をえらび、開始時期が[今から10年前の]2007年5月としたときに、「本源的価値が増加する割合は複利ベースでどうなるか」と問われれば、年間10%になるだろうと答えたと思います。しかし現実には、ありがたくない状況がやってきた期間でした。

10%を達成するのはかなり難しい課題ですし、この低金利の環境がつづくとすればほぼ不可能です。ご質問にお答えする前に、ある変数が将来どうなるのかひとつだけ教えてもらえるとしましょう。その際にわたしが知りたいのは、GDP成長率やだれが大統領に選ばれるかではありません。今後10年や20年における金利が平均としてどうなるかを知りたいです。現在みられている金利構成が平均だとしたら、10%の成果を出すのはとてもむずかしいものです。しかし生じうる金利の確率分布全体でみるのであれば、高望みではありますが10%成長は不可能ではないと思います。

「この低金利が長期間にわたって継続するなどありえない」と思えるのであれば、25年前の日本をふりかえってみてください。かの国の低金利がどのように永らえるのか、思い描くことはできませんでした。そして現在もなお同じ状況です。金利動向を予測するのは容易だ、とは微塵も考えていません。しかし残念なことに、うまいお答えを返すには金利を予測することが不可欠になります。

バークシャーのあげる成績がお粗末な程度におわる可能性は、他をあたった場合と同じように低いと思います。しかし驚くほどの高い率になる可能性も、同じように低いでしょう。いちばん近いのは10%近辺の範囲だと思いますが、その際の金利は劇的ではないものの高めになると仮定しています。つまり、この7年間にみられたより若干高い利率が次の10年あるいは20年の間に生じる、との仮定です。

<マンガー> 当社の現在の規模を考慮すると、過去にあげた栄光とくらべれば、今後のリターン率には陰りが生じるでしょうね。しかし以前からそう発言してきましたし、今やそれを証明している最中です(笑)。

<バフェット> チャーリー、そんな想いのまま人生お別れでいいのですか(笑)。

<マンガー> 当社の保有する事業は平均してみれば、たとえばS&P500各社の平均よりも高い投資価値があると思います。ですから、みなさんのような株主諸氏がひどい問題をかかえているとは思いませんね。

<バフェット> S&P500の各社を全体としてとらえると、株主志向の面では当社のほうが強いです。当社には、私企業のオーナーと同じようにものごとを決定する文化があります。これは多くの企業が持っていない贅沢品です。公開企業のCEOにお会いするたびに、いくつか質問をしています。そのひとつが、「会社全体を自分だけで保有しているとしたら、どのようにやりかたを変えますか」という質問です。たいていは、「あれをしたり、これをしたり、あるいは何とやら」といった答えが返ってきます。しかし、その相手から同じ質問を受けたとしたら、わたしならば次のように答えます。「自分たちだけで全株式を保有している場合にやることと、まったく同じように実行してきました」と(拍手)。

<マンガー> もうひとつ優位がありますよ。才気煥発であろうとする人は、世間に大勢います。しかし我々は、合理的でありつづけようとするだけです。これは大いなる優位ですね。利発であろうとするのは危険ですよ。賭けに出ているときは、なおさらです(拍手)。

(PDFファイルのp.11。Yahoo! Finance映像では1:26:00)

COMPOUNDING INTRINSIC VALUE

Q. At what rate has Berkshire compounded intrinsic value and at what rate can intrinsic value be compounded in the future?

Warren Buffett: Intrinsic value can only be calculated in retrospect, but the true definition would be the cash to be generated between now and judgment day discounted at an interest rate that seems appropriate at the time. That’s varied enormously over a 30 or 40-year period. If you pick out 10 years, and you’re back to May of 2007, we had some unpleasant things coming up. I’d say we’ve probably compounded intrinsic value about 10% annually since then.

I think that’s tough to achieve - almost impossible to achieve if we continue in this low interest rate environment. If you ask me to give the answer to the question - if I could only pick one statistic to ask you about the future before I gave the answer, I would not ask you about GDP growth or who was going to be president, I’d ask you what the interest rate is going to be over the next ten or twenty years on average. If you assume our present interest rate structure is likely to be the average, I would say it would be very difficult to get the 10%. If I were to pick for the whole range of probabilities on interest rates, I would say that that rate might be doable.

If you’d say we can’t continue these low interest rates for a long time, I’d ask you to look at Japan 25 years ago. We couldn’t see how their low interest rates could be sustained. We are still looking at the same thing - I don’t think it’s easy to predict the course of interest rates at all. Unfortunately, predicting interest rates is embedded in giving a good answer to you.

I’d say the chances of getting a terrible result in Berkshire are about as low as anything you could find. Chances of getting a sensational rate are also about as low as anything you could find. My best guess would be in the 10% range, but that assumes somewhat higher interest rates, not dramatically, but somewhat higher interest rates in the next 10 or 20 years than we experienced in the last seven years.

Charlie Munger: The future with our present size in terms of percentage rates of return is going to be less glorious than in the past. We keep saying that and now we are proving it.

Warren Buffett: Do you want to end on that note, Charlie?

Charlie Munger: I think we have a collection of businesses that on average has better investment values than say the S&P 500 average. I don’t think you shareholders have a terrible problem.

Warren Buffett: We do have more of a shareholder orientation than the S&P 500 as a whole. This company has a culture where decisions are made as a private owner would make them. That’s a luxury we have that many companies don’t have. One of the questions I ask the CEO of every public company that I meet: “What would you be doing differently if you owned it all yourself?”The answer is usually this, that and a couple of other things. If he would ask us, the answer is, we are doing exactly what we would be doing if we owned all the stock ourselves.

Charlie Munger: I think we have one other advantage. A lot of other people are trying to be brilliant. We are just trying to stay rational. It’s a big advantage. Trying to be brilliant is dangerous, particularly when you are gambling.

ウォーレンがチャーリーに向けたドライなジョークからは、二人を結ぶ信頼の強さがうかがえます。実にうらやましい大人たちです。

2017年8月24日木曜日

2017年バークシャー株主総会(2)EBITDAについて

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前回につづいてバークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答から、今回はEBITDAの話題です。(日本語は拙訳)

人生で後悔したこと及びEBITDAについて

<質問> お二人は、世界中の何百万もの人たちからとても尊敬され、敬愛されていらっしゃいます[上海から来た質問者]。さて質問が2つあります。ひとつめはEBITDA(エビッダー; 利払い税引き償却前利益)についてです。事業を評価するのにふさわしい指標ではないと断言されていますが、なぜでしょうか。ふたつめは、お二人が人生で後悔されたことはありますか。人生や家族、個人的あるいは仕事の上でひとつだけ違うことをしていたら、と思われることは何ですか。

<バフェット> 個人的な問題についてのお返事は期待されないほうがよいかと思います。仕事の話ですと、チャーリー[・マンガー]ともっと早くから出会えていれば、とは何度も話したことがあります。出会った時のわたしは29歳で、彼は35歳でした。それ以降は愉快なことばかりでした。もっと早くから付き合い始めていれば、ずっと楽しかっただろうと思います。実はそうなる機会はありました。同じ商店で働いていたのです。ただし時期がちがっていました。

EBITDAには減価償却費が抜けています。これはもっともタチの悪い支出です。フロートの話題を好んで取り上げますが、フロートとは資金が先に手に入る一方、支出があとになる種類のものです。反対に減価償却費は、フロートとは反対の働きをします。つまり先に資金を支払いますが、会計上の支出はあとになります。これは好ましいものではありません。事業を買う上でほかの条件が同じであれば、減価償却費が発生しないもののほうがずっと望ましいです。固定資産に投じる資金が、基本的には必要ないからです。EBITDAは誤認を招く統計量です。非常に有害な手口で使われる可能性があります。

<マンガー> この問題の恐ろしさや、事業評価に対してその用語をもたらした人々の嫌悪すべき性質について軽くお考えだったように思いますが、どうですかね。まるでリース物件の不動産を扱う仲介業者が、1000平方フィートの一連の部屋をリースしようとする際に、実際は2000平方フィート分だったと言い出すようなものですよ。尊敬に値する行動ではないですね。そのようなやりかたで、かの言葉も広く使われるようになったのです。しかし公正な心を持った人間であれば、減価償却費は費用だと考えますよ。

<バフェット> ウォール街にとっては、とても有益な考えです。

<マンガー> だから連中はそうするのですよ。株価倍率が低くなりますから。

<バフェット> 奇妙なのは、実際にそれが受け入れられた方法です。それはともかく、この用語がどのように使われ、自分たちが使ってみせて概念を売りこむ様子がありありと残されています。2%と20%が同じ種類のものとなるわけです。この用語が通用する間は、この用語で押し通していくでしょう。

<マンガー> 今やビジネス・スクールでも使っています。おぞましくもおぞましいことですよ(笑)。盗人がその用語を使うだけでもうんざりなのに、広まったことでビジネス・スクールも真似をするとなれば、好ましい結末にはならないですね(拍手)。

(PDFファイルのp.45。Yahoo! Finance映像では6:18:40)

REGRETS IN LIFE and EBITDA

Q. You are highly respected and loved by millions globally. You believe EBITDA (is not a good parameter to evaluate a business. Do you have regrets in life, one thing you would have done differently in life, family, personal or business, what is it?

Warren Buffett: I don’t think you should expect us to answer that on personal matters. In business, I’d say I wished I met Charlie earlier. We’ve had a lot of fun ever since I was 29 and he was 35. It would have been even more fun if we started many years earlier. We had a chance to. We worked in the same grocery store but not at the same time.

In respect to EBITDA, it’s the worst kind of expense. We love to talk about float and float is where you get the money first and have the expense later. Depreciation is where you spend the money first and then record the expense later. It’s reverse float. It’s not a good thing. It’s much better to buy a business, everything else being equal, and it has no depreciation because it has essentially no investment in fixed assets. EBITDA is a very misleading statistic that can be used in very pernicious ways.

Charlie Munger: I think you understated the horrors of the subject and the disgusting nature of the people that brought that term when I was in business. It would be like a leasing broker of real estate who has a 1,000 square feet suite to be leased and says there’s 2,000 feet in it - that’s not honorable behavior and that’s the way that term got into common usage. Nobody in his right mind would think depreciation is not an expense.

Warren Buffett: It’s very much in the interest of Wall Street.

Charlie Munger: That’s why they did it. It made the multiple seem lower.

Warren Buffett: What’s amazing is the way it’s accepted actually. It just illustrates how people use language and sell concepts that work to their own use. 2% and 20% has the same sort of thing. As long as it can get sold, it will get sold.

Charlie Munger: Now they use it in the business schools. That is horror-squared. It’s bad enough when the thieves are using the term, but when it gets so common that the business schools copy it, that’s not a good result.

ウォーレン・バフェットはEBITDAのことを以前から問題視してレターでも取り上げていましたが、映像での発言によれば来年のレターでも触れる予定とのことです(ちなみに今春のレターでは、一言だけの指摘でした)。

2017年8月20日日曜日

2017年バークシャー株主総会(1)投資先の現状確認について

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今回からは、5月に開催されたバークシャー・ハサウェイ年次株主総会の質疑応答を、訳文付きで少しずつご紹介します(順不同)。引用元のテキストとしては、2年前と同じようにイングリッド・ヘンダーショット女史によるメモを主体にする予定です。

Berkshire Hathaway 2017 Annual Meeting Notes BY INGRID R. HENDERSHOT, CFA [PDF] (Hendershot Investments, Inc.)

またYahoo! Financeで公開されている映像も適宜参考にします。

Berkshire Hathaway 2017 Annual Shareholders Meeting Livestream (Yahoo! Finance 放映時間:7時間30分16秒)

なお引用元のテキストは長文のパラグラフ構成になっているので、読みやすさを目的として、適当と思われる意味段落ごとに改行を追加しました。

株式投資先の現状確認について

<質問> [バークシャーの投資先である]ウェルズ・ファーゴ(営業面でのスキャンダル)、アメリカン・エクスプレス(コストコ社向け事業の契約解除)、ユナイテッド航空(顧客サービス[暴力による乗客の強制降機])、コカ・コーラ(炭酸飲料の売上増の鈍化)の各社は問題を抱えていますが、バークシャーが株式投資をしている企業の現状確認にはどれだけ時間をかけていますか。

<バフェット> それらの企業の株は大量に保有しています。アメリカン・エクスプレスやウェルズ・ファーゴは、数百億ドル以上の時価総額へと見事に登りつづけています。それら各社は、わたしたちがとても好んでいる事業を手がけています。ただし、その性質はそれぞれ異なっています。

ユナイテッド航空の件ですが、実は4大航空会社全体に対する株式保有者として当社は最大ですが、4社はそれぞれ問題がありますし、反対にとても大きな優位を持った会社もあります。

アメリカン・エクスプレスの話をされましたが、第一四半期の報告書を読むとプラチナ・カードの話題が出ており、非常にうまくやっています。

そういった各社には、どれも競合他社がいます。株を買った際には、「会社に問題がまったくないだろう」とか「競争相手は全然いないだろう」とは考えていませんでした。各社を買ったのは、それぞれが非常に強力な力を持っていると考えたからです。業界で占めている地位も気に入っていました。持続可能な競争優位がどこにあるのか、わたしたちは調べることにしています。非常に良い事業を手にすることができたとしても、それを奪おうとする競合他社がたくさんいます。そこで、競合他社を撃退できるかどうか、その企業や製品や経営陣が持つ能力について判断をくだすわけです。それらの企業が消え去ることはないでしょう。特定の会社名は出しませんが、そういった各社は非常によい位置にあります。

もしすばらしい事業を手にできれば、たとえシーズ・キャンディー社のような小さな会社であっても、基本的には経済的な城をもっていると言えます。しかし資本主義の社会では、他者がその城をうばいとろうとします。城を護るために、さまざまな方法でその周りに濠(moat)を築きたいと考えるでしょう。そして城内には、襲撃者を撃退する際にひどく頼りになる騎士にいてほしいと望むでしょう。しかし、襲撃者が立ち消えることもないでしょう。

コカ・コーラ社は西暦1886年に創業しました。アメリカン・エクスプレス社の始まりは1851年か1852年です。ウェルズ・ファーゴが何年の創業だったかわかりませんが、アメリカン・エクスプレスはウェルズ・ファーゴによって事業が開始されました。それらの企業は長い間にわたってたくさんの挑戦がありました。当社の保険事業にも挑戦がありました。しかし当社にはトニー・ナイスリーとアジート・ジェインのようなリーダーがいます。彼らはバークシャーの価値を何百億ドルも増やしてくれました。保険業界でも競争は常にあります。襲撃者を撃退するために、さまざまな手を打つ必要があります。

たしかご質問の本題は、「投資先の現状を確認するためにどれだけ時間をかけるか」というものでしたね。わたしは毎日やっていますし、チャーリーもそうです。

<マンガー> 言い加えることは何もないですね。(笑)

<バフェット> 話に加わらないようですから、今度から給料を減らしましょう。(笑)

(PDFファイルのp.6。Yahoo! Finance映像では50:00過ぎ)

REVIEWING STOCK INVESTMENTS

Q. Given issues at Wells Fargo (sales scandal), American Express (loss of business with Costco), United Airlines (customer service) and Coca-Cola (slowing soda sales), how much time is spent reviewing Berkshire stock investments?

Warren Buffett: Those are very large holdings. American Express and Wells Fargo, you are getting up well into the high tens of billions of dollars. Those are businesses that we like very much - they have different characteristics.

United Airlines, we are the largest holder of the four largest airlines, but all businesses have problems and some of them have very big pluses.

You mentioned American Express. If you read their first quarter report, they talk about their platinum card, it is doing very well.

There's competition in all of these businesses. We didn't buy them with the idea that they would never have problems or never have competition. We bought them because we thought they had very strong hands. We liked their position. We do look to see where they have durable competitive advantages. If you've got a very good business, you will have plenty of competitors who will try to take it away from you. Then you make a judgment as to the ability of your particular company and product and management to ward off the competitors. They won't go away. I'm not going to get into the specific names. Those companies are very well positioned.

If you have a wonderful business, even if it's a small one like See's Candies, you basically have an economic castle. In capitalism, people are going to try to take away that castle from you. You want a moat around it protecting it in various ways, and you want a knight in the castle that's pretty darn good at warding off marauders. There will be marauders that will never go away.

Coca Cola was established in 1886, American Express was started in 1851 or 1852, Wells Fargo, I don't know what year they started -- American Express was started by Wells Fargo as well. These companies had lots of challenges over the decades. Our insurance business had challenges, but we have leaders like Tony Nicely and Ajit Jain, who has added tens of billions of dollars of value to Berkshire. There will always be competition in insurance. There are various things to do to ward off the marauders.

The specific question was how much time is spent reviewing our investments? I do it every day.

Charlie Munger: I don't think I have anything to add to that either.

Warren Buffett: We will cut his salary if he doesn't participate.

2015年9月4日金曜日

2015年バークシャー株主総会;成功できた理由

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会からの引用です。「成功できた理由はなにか」との質問に対して、チャーリー・マンガーやウォーレン・バフェットの人生訓が語られます。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

成功できた理由

<質問> おふたりが成功できた理由でいちばん重要だったことはなんですか。

<バフェット> すばらしい先生がいたこと、そして尋常でないほどに集中したことです。このゲームを楽しんできました。すごく楽しかったですから。実のところ、投資はかなり簡単なゲームです。ただし、ある種の感情面で落ち着いていることが必要です。若いころには投資先をさがすために、[四季報のような]銘柄情報誌を通読しました。7歳から19歳のころには、投資に入れ込んでいたものの導きとなる原理原則がありませんでした。そのあとに読んだ本がベン・グレアムの『賢明なる投資家』です。その本には投資における思想が書かれていました。まったくそのとおりでした。それよりも複雑なことはなにもありません。

<マンガー> そのとおり。投資に向いた性格の持ち主には、たやすいゲームですよ。しかし他人より賢くやれることで財産を築く人生だとしたら、それだけではないですね。もっと他にもやるべきです。

<バフェット> そうです。バークシャーを経営するのは、投資をするだけよりもずっと楽しいものです。バークシャーをやってきて、すごくよかったです。

<マンガー> 自分の資金をうまく投資できるのなら、他のこともどんどんやったほうがいいですよ。

映画スターや俳優としては成功できっこないとわかってから、私は残念な誘導装置にみちびかれて投資の世界へと入りました。祖父からこう教わっていたのです。「できるだけ合理的な人間になること。それがおまえにとっていちばんの義務だ」。合理的な考えがうまくできた一方、他のことはちっとも上手ではなかったですね。だから自分の得意なほうへ進んだわけです。孔子は「合理的でいることは道徳上の義務だ」と言っています。だから孔子の考えが好きなのです。私も昔から同じ考えを抱いてきました。バークシャーは合理的という意味でのお手本ですよ。

無知のままでいようとするのは、つまり本来あるべきよりも愚かなままでいるのは、恥ずべきことです。狭量なふるまいを異常だと考える場所では、寛大であるべきでしょう。

REASON FOR SUCCESS

When asked what the most important reason for their success was, Buffett attributed it to a great teacher and exceptional focus. He also enjoyed the game which was enormously fun. Investing is actually a pretty easy game, but it does require a certain emotional stability. Buffett went through stock manuals when he was young searching for investments. Between ages 7 and 19, he had enthusiasm for investing but not guiding principles. Then he read The Intelligent investor by Ben Graham, which described an investment philosophy that made total sense. It wasn't more complicated than that.

Charlie agreed that investing is an easy game if someone has the temperament for it. If you amass a fortune in life by being shrewder than others, it's not enough in life.

Buffett agreed and said running Berkshire has been far more fun than just an investment. Managing Berkshire is incredibly more satisfying.

Charlie said, "If you're good at investing your own money, I hope you move on and do more."

Charlie said he had an unfortunate channeling device into the investment world when he realized he was never going to succeed as a movie star or actor. His grandfather provided him with the idea that your main duty is to become as rational as you can be. Since he was good at that and no good at anything else, he was steered into something that worked well for him. Confucius said we owe a moral duty to rationality, which is why Charlie likes Confucius. He had the same idea years ago. Berkshire is a temple of rationality.

Charlie said, "If you have ignorance and keep it, it's dishonorable to stay stupider than you have to be. You have to be generous where it's crazy not to be."

2015年7月20日月曜日

2015年バークシャー株主総会;ユーロについて

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、ユーロに関する話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> ヨーロッパにとって、ユーロという存在は建設的なものだったのでしょうか、それとも否定的なものでしょうか。またフランスはユーロから脱退すべきでしょうか。

<マンガー> 「通貨ユーロを確立する」という崇高なる目標をヨーロッパは抱いていました。しかしこれほど異なる国家をひとつにするには欠陥のある仕組みでしたね。加わるべきでない国が数ヶ国入っています。フランスが問題なのではありません。大きな試練はギリシャやポルトガルにあるのです。義理の兄弟が軽薄で酔いどれだとしたら、事業のパートナーにできるわけないでしょうが。

<バフェット> まだ数多くの仕事が必要ですが、ヨーロッパがとっていた金融政策は良い考えだったと思います。しかし欠陥があるのでしたら、それに立ち向かう必要があります。合衆国の憲法も、修正された箇所がいくつかあります。ユーロが完璧に設計されていないからと言って、破棄すべきだと責めるのはよくないと思います。この国もカナダと共通の通貨を持つことになるかもしれませんが、そうなればうまくやっていくでしょう。ですが、「地球のこちら側半分における共通通貨」ということにはならないでしょう。実のところ、一貫して規則が適用されるユーロ通貨は望ましいものだと思っています。当初あったユーロの規則を、早い頃に破ったのはドイツとフランスでした。ギリシャではありません。

<マンガー> ユーロに加入する許可を得るために、いくつかの国家に対してバランスシートに虚偽を加える手伝いをしたのは投資銀行でしたね。

<バフェット> もっと団結した金融政策を実施できる道をみつけられれば、ユーロは存続できると思います。しかし現在の形態では続かないでしょう。

<マンガー> 実際私は、けっこうな数になる人たちの感情を逆なでしたことになりますね。

When asked if the Euro has been positive or negative for Europe and whether France should quit the Euro, Charlie said Europe had a noble goal in establishing the Euro, but it's a flawed system to put countries so different together. They have countries in there that shouldn't be there. France is not the problem. The big strains are in Greece and Portugal. He wryly said, "You can't form a business partnership with your frivolous, drunken brother-in-law."

Buffett said European monetary policy was a good idea that still needs a lot of work. If there are flaws, they need to face them. We wrote a Constitution that took a few Amendments. Buffett said he doesn't think the fact that the Euro wasn't perfectly designed should condemn it to being abandoned. We could have had a common currency with Canada. We would have worked it out. However, we couldn't have had a hemisphere-wide currency. Buffett actually thinks it is desirable to have a Euro currency with rules applied consistently. There were rules on the Euro originally that were broken early on by the Germans and French, not the Greeks.

Charlie noted that it was investment banker aided fraud that permitted some countries to come up with the balance sheets to join the Euro.

Buffett said he thinks the Euro can survive, if they can figure out a way to conduct monetary policy with more cohesion. In its present form, it will not work.

Charlie concluded the topic with "I think I've offended enough people."

2015年7月12日日曜日

2015年バークシャー株主総会;国富論と資本主義について

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、資本主義に関する短い質疑応答です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 『国富論』を読んだことで何を学びましたか。

<バフェット> 経済学について学びました。ビル・ゲイツが初版本をくれたのです。アダム・スミスやケインズやリカードの本、それから『投資家のヨットはどこにある?』からはたくさんの知恵が得られます。

<マンガー> アダム・スミス[の思想]は実に持ちこたえてきましたね。彼は史上もっとも賢明だった人間の一人ですよ。資本システムが持つ生産的な威力を見せてくれました。共産主義があれほど見事に失敗したことで、彼の教えが十分に納得できたと思います。

<バフェット> 資本主義の持つ力によって生産性は向上してきました。つまり他人には彼らのいちばん得意なことをやってもらい、自分は自分のいちばん得意なことに集中するという考えです。自分にとって最も成果を発揮できる領域で働いたほうが良いわけです。

<マンガー> そうですよ。ウォーレンも自分の内臓の手術を、自分ではやらなかったのですから。

When asked what he learned from reading Wealth of Nations, Buffett said he learned economics from it. Bill Gates gave Buffett an original copy of the book. Buffett said if you read Adam Smith, Keynes, Ricardo, and “Where Are the Customers' Yachts,” you will have a lot of wisdom.

Charlie added that Adam Smith has really worn well. He is one of the wisest people that ever came along. He demonstrated the productive power of the capital system. The lesson was really learned when communism failed so spectacularly.

Buffett agreed saying the power of capitalism has improved productivity. The idea is that you let other people do what they do best at and stick to what you're best at. You should work in the field that is most productive for you.

Charlie agreed by noting that Buffett did not do his own bowel surgery.

2015年7月6日月曜日

2015年バークシャー株主総会;法人税や譲渡所得税について

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、法人税や譲渡所得にかかる税金の話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> この国の税法はもっと簡素にしたほうがよいのでしょうか。

<バフェット> そうですね。法改正には下院で218票、上院で51票の賛成が必要ですし、さらには大統領が法案に署名する必要があります。企業の長はだれもが現行の税率に不平を言っていますが、GDPに占める企業利益の割合は過去最高に達しています。40年前の法人税はGDPの4%に相当していましたが、現在はおよそ2%です。もっと合理的な税制を実現する能力が議会にはあります。支出額がGDPの21-22%に相当するのであれば、GDPの19%は税収でまかなうべきです。2-3%の赤字であればやっていけます。ところが17兆5千億ドルになる経済から19%分となると、実際のお金の話をしているわけですから、どこからどれだけとるのかで角を突き合わせることになります。

海外に留保した資金を企業は米国に還流させることができますが、法人税率分は納税しなければなりません。法人税という面では、もっと公平な税制になるかもしれません。しかし現在の法人税率に悲しんではいません、米国企業はそれでも繁盛しているのですから。企業は有形資産比で15%の利益をあげているので、GDP2%分の支払いは厄介というほどの数字ではありません。預金者が譲渡性預金で得ている利率は0.25%や0.5%です。それとくらべると株式の保有者は厚遇されています。

<マンガー> 私の住んでいるカリフォルニア州では譲渡所得税率が13.5%ですよ。とんでもないですね、金持ちはカリフォルニアから逃げ出せと言わんばかりです[それに加えて連邦税率がたとえば20%かかる]。ハワイやフロリダ州はちゃんとわかってますよ。金持ちがあれこれと犯罪をおかすことはないですし、医療費には多額の金を出しますし、公立学校制度には負担をかけません。「金持ちに住み着いてもらって、金を落としてほしい」と考えない州などあるのでしょうかね。カリフォルニア州の税政はひどいものです。しかし連邦税が悪いとはちっとも思いませんね。

<バフェット> 今後1年間のうちに法人税が改正される可能性はかなりあると思います。

When asked if the U.S. needs a simpler tax code, Buffett said it takes 218 members of the House and 51 US Senators to make the change and the President to sign the legislation. Despite current tax rates that all the corporate chieftains complain about, the share of corporate profits to GDP is at a record. Corporate taxes 40 years ago were 4% of GDP and today they are now running about 2%. Buffett thinks Congress is capable of working out something to make the tax code more rational. If spending is 21%-22% of GDP, we should raise 19% of GDP in taxes. We can run a 2%-3% deficit. However, if you take 19% of a $17.5 trillion economy, you're talking real money. How much you get from where is a fight up the line.

In terms of cash parked abroad, companies can bring it back to the U.S., but they will have to pay the corporate tax rate on it. Buffett thinks there can be a much more equitable tax code in terms of corporate tax. However, he would not shed tears on the current corporate tax rate as American businesses are still prospering. Paying 2% of GDP is not an onerous number, when corporations are earning 15% on tangible equity. Equity holders are being treated well, especially in comparison to savers who are only getting 0.25% or 0.5% on CDs.

Charlie added that he lives in California, where there's a 13.5% tax on capital gains. He thinks that's ridiculous as it is driving rich people out of California. Hawaii and Florida have enough sense to know that rich people don't commit a lot of crimes, they make a lot of medical expenditures and they don't burden the public school systems. He asked, "Who the hell doesn't want rich people coming into their state and spending money?" He concluded that California has a stupid tax policy, but he doesn't think the federal tax policy is bad at all.

Buffett said he thinks there is a good chance for corporate tax reform within a year.

2015年6月30日火曜日

2015年バークシャー株主総会;アメックスについて

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、今回はウォーレン・バフェットがアメックスについて語ります。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> アメリカン・エキスプレスは、モバイル端末決済による影響や顧客のコストコを失ったなかで、競争上の優位性をどのようにして守っていくのでしょうか。

<バフェット> アメリカン・エキスプレスは多くのイノベーションやさまざまな形の攻撃にさらされていくと思います。同社は非常に特別な企業です。たとえばCEOのケン・シュノールトは変化が起こることを予期して、異なる市場へと会社を導いてきました。またアメックスのカードを持つ人たちからは、大きな支持を集めています。同社へ投資していることにすごく満足しています。株価が下がるのはうれしいですよ。同社が自社株を安く買えますから。

<マンガー> 競争が厳しくなければ、アメックスのことをもう少しうまく好きになれるのですがね。しかしこれが人生というものです。

<バフェット> アメックスが変化に適合してきた歴史は見事なものです。カードの保有者に対して同社は良い印象を確立してきました。数々の挑戦に立ち向かうという点で、非常に迅速ですし、賢明にやっています。同社の15%をわたしたちが保有していて、大いに満足しています。

When asked how American Express will protect its competitive moat given the impact of mobile payments and the loss of Costco as a customer, Buffett said American Express will be subject to lots of innovation and various modes of attack. It's a very special company. Ken Chenault, the CEO, has anticipated changes and guided the company into different markets. There's a lot of loyalty with American Express cardholders. Buffett is very happy with American Express. He is happy when the stock price goes down, so American Express can buy back shares more cheaply.

Charlie added, "I liked American Express a little better when they had less competition, but that is life."

Buffett described Berkshire's history in owning American Express, noting they did wonders for Berkshire back in the 1960s. American Express has an incredible history of adapting to change. They established a better image for cardholders. They are very nimble and very smart in terms of meeting challenges. Buffett concluded, "I'm delighted we own 15% of the company."

2015年6月26日金曜日

2015年バークシャー株主総会;エクソンモービル等への投資について

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、エクソンモービルやコノコフィリップス株を売却した話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> エネルギー関連の投資、つまりコノコフィリップスやエクソンモービルへの投資で、バークシャーは損失を出しましたか。循環的な事業ですから、エネルギー関連へ今後投資する際にはバークシャー・ハサウェイ・エナジー社(BHE)でCEOをしているグレッグ・アベルが担当したほうがよいのでしょうか。

<バフェット> BHEは社名にエネジーと付いていますが、実際はコノコフィリップスやエクソンとは別の業種です。BHEでは多額の資金を投じる機会を求めていますが、いずれは実現するでしょう。1995年にミッドアメリカン社(BHEの旧社名)に買収をもちかけたときは、1株当たり35ドルを提示しました。「提示金額は変えませんよ」と言ったのですが、その後厳しい交渉が続いて、もう少し出すように要求されました。合意した金額は1株あたり35.05ドルでした。「わたしから最後の1円まで搾り取ったと公言できますね」と言っておきましたよ。現在のBHE社は1株当たり30ドルの利益をあげています。それが35.05ドルになるにはそれほど時間がかからないでしょう。

BHEは、それらエネルギー関連の2社への投資にたとえられるものではありません。バークシャーがコノコフィリップスへ投資した事実を記載しましたが、これは規制当局がそのように義務付けているからです。その投資では利益が若干出ましたし、エクソンモービルでも同じでした。バークシャーが石油ガス関連の銘柄を買うことはそれほどありませんし、石油ガス銘柄の投資についてわたしたちは第一人者にはなりませんでした。しかし今後も機会がないかさがして、買うかどうかを決断するでしょうが、心変わりすることもあると思います。石油ガス銘柄では利益が少し出ました。また、もっと利益が出たかもしれない別のひとつふたつの投資も引き上げました。

<マンガー> これほどの低金利ですから、現金で持っておく代わりとしてエクソンモービル株は悪くない投資でしたよ。(p.18)

A shareholder noted that Berkshire has lost money on several energy investments such as ConocoPhillips and ExxonMobil. These are cyclical businesses. The shareholder asked whether future energy investments should be done by Greg Abel, CEO of Berkshire Hathaway Energy (BHE).

Buffett said BHE has energy in their name, but they are really in a different business than ConocoPhillips or Exxon. BHE is looking for an opportunity to spend big money on energy and will do so in the future. When Buffett offered to buy MidAmerican in 1995 for $35 per share, he told them he didn't change his offer prices. They continued to negotiate hard and said you have to give us something. Buffett agreed to pay $35.05 per share and told them they could say they got the last nickel out of him. Today, BHE earns $30 per share, and it will earn $35.05 per share before too long.

BHE is not at all analogous to the other two energy investments. Berkshire wrote the ConocoPhillips investment down, because auditing rules required them to do so. Berkshire actually made a little money on the investment as well as on ExxonMobil. Berkshire will not very often buy oil and gas stocks and has not distinguished themselves on oil and gas stock investments. Buffett will look at available opportunities and make decisions on buying something and sometimes he will change his mind. Berkshire has made a little money on oil and gas stocks and has passed up one or two other opportunities where they could have made a lot of money.

Charlie added that the ExxonMobil investment was not a bad cash substitute with interest rates so low.

別の話題ですが、バークシャーの株主総会でウォーレンが「貯蓄に勤しむ良き習慣をみなさんのお子さんへ一連のマンガを通じて楽しめる形で示す」と発言したのを1カ月ほど前の投稿でとりあげました。そのときは具体的になにを指しているのか把握できないまま訳したのですが、どうやら最近話題になっている以下のサイトがそれだったようです。

Secret Millionaires Club with Warren Buffett

2015年6月16日火曜日

2015年バークシャー株主総会;テレダイン社のシングルトン氏について

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少し前の投稿でご紹介した本『破天荒な経営者たち』に登場していたテレダイン社の元CEOヘンリー・シングルトンのことが、5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会でも話題になっていました。その箇所をご紹介します。なお、このシリーズの前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> コングロマリットだったテレダイン社がほぐれたことから学んだことはありますか。

<バフェット> テレダインのCEOだったヘンリー・シングルトンを観察することで、いろんなことを学びました。

<マンガー> シングルトンは我々よりもずっと頭のいい人物でしたよ。彼は目隠しでチェスを指すことができました。しかし投資の面ではバフェットのほうがシングルトンよりうまくやりました。いつも証券のことを考えていたからですね。(笑いながら)シングルトンとくらべると知能指数はかなり劣っていましたが、ウォーレンはうまくやってこられたのです。シングルトンは主要な重役たちを動機づけるのに非常に巧妙なやりかたをしました。ところが最後には3つの事業部がスキャンダルを起こしてしまいました。まちがった動機づけをしたせいで、政府との取引で度が過ぎたのです。

<バフェット> 動機づけが大きな力を持つことをわたしたちは信じています。ですが、隠れた動機づけによってまちがった行動を導くことがないように気をつけています。良識のある人物が誤った行動を起こしてしまう例を一度ならず見てきました。CEOに忠義立てして、数字を達成しようとしたせいです。「金銭的な報酬やエゴを満足させようとして誤った行動をとってしまう」、バークシャーではそうさせる誘因を撲滅するように努めています。

<マンガー> ヘンリーはバークシャーの株式と引き換えにテレダインを売却したがっていましたよ。(含み笑いをしながら)彼はとことん賢明だったわけです。(後略)

Buffett was asked what he learned from the unwinding of the Teledyne conglomerate. Buffett said he learned a lot from watching Henry Singleton, the CEO of Teledyne.

Charlie added that Singleton was a lot smarter than either of them. He played chess blindfolded. However, Buffett did better than Singleton in investing as Buffett was always thinking about securities. Charlie laughed, "Warren was able to get by with his horrible deficit in IQ to Singleton." Singleton had very clever incentives for key executives. In the end, he had three different departments get into scandals. They went too far in dealing with the government due to the wrong incentives being put into place.

Buffett added that they believe in the power of incentives. However, they try to avoid hidden incentives that make people misbehave. He noted that they have seen more than once really decent people misbehave because they felt there was a loyalty to their CEO to deliver certain numbers. At Berkshire, they try to eliminate incentives that would cause people to misbehave for financial rewards or ego satisfaction.

Charlie noted at the end, Henry wanted to sell Teledyne to Berkshire for Berkshire stock. He chuckled, "He was smart to the end."

2015年6月10日水曜日

2015年バークシャー株主総会;インフレにまつわるジレットの話

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、インフレについてです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> インフレ環境下で保有するのは何が一番よいですか。

<バフェット> いちばんなのは、一度買ったらそれっきり追加の資本投資がいらないビジネスです。不動産一般がその好例です。55年前に家を自分で建てたり買ったりした出費は一度きりで、それからはインフレーションによって価値が増大したのです。公益関連や鉄道といった事業では、インフレの間は減価償却額に釣り合わないほど資金を食いつづけます。概して言えば、大量の資本投資が必要などんな事業も、得てして儲からないものです。一方、インフレの間に保有するものとしてブランドはすばらしいです。シーズ・キャンディー社はずっと昔にブランドを築きました。インフレ期間中にブランドの価値は増加します。強いブランド力のある製品がことごとくそうなるのと同じです。ジレット社は1939年に全ワールド・シリーズのラジオ放送権を10万ドルで買いました。ヤンキース対レッズを放送した年です。その後何十年もつづいたシリーズによって、ジレット製品に対する印象が形作られました。1939年当時のドルで投資したものが、1960年代から80年代のドルで利益をあげてくれたのです。しかし、何百万という人たちに同じような印象を持ってもらうには、今となってはとても高くつきます。

<マンガー> たしかにそうですけれど、インフレーションが完全に制御不能になってしまうと、最後にどうなるかは誰にもわからないですよ。大恐慌の前にあった2回の大インフレがヒトラーを生みだしたのです。シーズ・キャンディーに望ましいからといって、インフレは望みませんね。

A related question asked which businesses are the best to own in an inflationary environment. Buffett responded the best business is one that you buy once and subsequently do not have to keep making capital investments. Real estate in general is a good example. If you built your own house or bought one 55 years ago, it was a one-time outlay. You then get an inflationary expansion in value. At businesses such as utilities or railroads, they keep eating up more money with depreciation charges inadequate during inflationary times. Any business with a heavy capital investment tends to be a poor business generally. A brand is a wonderful thing to own during inflation. See's Candies built their brand years ago. The value of a brand increases during inflation, as do any strongly branded goods. Gillette bought the entire radio rights to the World Series in 1939 for $100,000 when they broadcast the Yankees vs. Reds. Impressions of Gillette products were made during the Series that lasted for decades. A great investment that was made in 1939 dollars paid off in 1960-1980 dollars. Similar impressions on millions of minds now would cost a fortune.

Charlie agreed but said if inflation ever gets completely out of control, we have no idea how it would end up. The twosome of great inflation followed by the Depression brought us Hitler. He stated, "We don't want inflation because it's good for See's Candies."

2015年6月4日木曜日

2015年バークシャー株主総会;すぐれた企業の特徴とは

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、企業分析についてです。ここでも何度か取りあげているおなじみの話題ですが(参考記事)、うっかりするとおざなりにしてしまう大切なことです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 自信をもって今後10年間の利益を予測できる企業について、特徴が5つあるとすればどんなものがありますか。

<マンガー> 万能のやりかたなど知りませんね。業界というのはそれぞれ違いますから。我々は今も学習し続けています。だから10年前よりはうまくありたいと思いますよ。これだという公式は示せません。

<バフェット> 事業を購入する前にはさまざまな項目を検討します。ほぼそういったフィルターによって、買うのをやめにしています。事業が異なれば、適用するフィルターも非常に異なってきます。ですが5年から10年後にその事業がどうなるのか、それを考えるのに適切な程度は用意するように努めています。いつでも同じ質問が5つということはありません。ただし、「本当にこの事業の経営陣をパートナーにしたいのか」という質問は同じです。その答えが「いいえ」のときは、たとえどんなものでもそれ以上は検討しません。(笑いながら)5つの質問一式などはありません。あったとしてもチャーリーは隠して、わたしには教えてくれませんよ。

A shareholder asked if there were five characteristics of a company that gives one confidence to predict its earnings 10 years out in the future?

Charlie responded, “We don't have a one-size fits all. Every industry is different. We keep learning. What we did 10 years ago, we hope we are doing better now. We can't give you a formula.”

Buffett added that many items are considered before making a purchase. Most of their filters stop them from buying a business. Very different filters apply to different business, but they try to get a reasonable fix on what the business will look like in 5-10 years. It's not the same five questions. However, one question is, “Do we really want to be in a partnership with the management of this business?” If not, that will stop any further consideration. Buffett laughed, “We don't have a list of five. If we do, Charlie has kept it from me.”

2015年5月30日土曜日

2015年バークシャー株主総会;再生可能エネルギーについて

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、エネルギーに関する話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 分散型電源によるエネルギー供給は、バークシャーが営む公益事業の脅威となっていくでしょうか。

<バフェット> 分散型電源はバークシャーが注視している分野です。それに対する最大の防御は、エネルギーのコストを非常に低くすることです。[子会社の]ミッドアメリカンはその点ですばらしい仕事をしてきました。太陽エネルギーへ乗り換えたという人の数は微々たるものです。しかし、太陽エネルギーの貯蔵技術が劇的に改善されればちがってくると思います。

<マンガー> 再生可能エネルギーはもっと使われるようになりますよ。化石燃料はいつまでもとれませんから。バークシャーは再生可能エネルギーを強力にすすめており、その分野で非常によい位置に付けています。風力発電で追加収入が得られると、農家は喜んでいます。エネルギー貯蔵の技術がもっと改善される必要はありますが、これまでにも改善されてきました。再生可能エネルギーは人類やバークシャーにとって脅威にはなりません。大きな利益をもたらすものです。化石燃料が尽きたときに再生可能エネルギーがなければ、いったいどうなると思いますか。破壊されるものもあるでしょうが、それ以上の機会がありますよ。

Asked whether distributed energy will be a threat to Berkshire's utilities, Buffett said distributed energy is something Berkshire pays a lot of attention to. The best defense is to have very low cost energy. MidAmerican has done a very good job of that. The figures in terms of people who converted to solar energy are minuscule. Huge improvements in solar storage would make a difference.

Charlie said we will use a lot more renewable energy. Fossil fuels won't last forever. Berkshire is aggressive and very well located in terms of renewable energy. To have 20% of power in Iowa coming from the wind is very desirable. Farmers like the extra income they get from wind power. While we need better storage, the technology has been improving. Renewable energy is not a threat but a huge benefit to humanity and to Berkshire. Charlie asked, "What the hell would we do when the fossil fuels are gone if we didn't have this?" There will be some disruption but more opportunity.

2015年5月26日火曜日

2015年バークシャー株主総会;伴侶選びの要諦と節約のすすめ

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、人生における大切な(投資以外の)話題です。引用元は前回と同じです。会話調の拙訳も同様です。

[これより前の部分は省略]

<バフェット> 結婚相手を選ぶ際にいちばん大切なのは、頭のよさやおもしろさではありません。あれもこれもと望まない人を選ぶことです。

<質問> 世帯形成数が平均未満の増加にとどまっていますが、この変化は長期的につづくのでしょうか。それとも循環的なものでしょうか。米国でも、若者が両親と同居するヨーロッパのようになるのでしょうか。

<バフェット> これは循環的な可能性が高いと思います。世帯形成の増加数は底を打ちました。不況のときにはいつも下落しています。

<マンガー> (含み笑いしながら)まさに今こそ結婚すればいいのに、と思う孫が何人かいますよ。

(貯蓄に関する質問に対して言い返すように)どうやれば貯まるのかわからない人には、私からは教えようがないですね。

<バフェット> 貯蓄の習慣は早いうちから育てる必要があります。その後の人生を通じて、大変な違いになります。バークシャーの目標は、貯蓄に勤しむ良き習慣をみなさんのお子さんへ一連のマンガを通じて楽しめる形で示すことです。これは実際によい成果が出ていると思います。

お子さんが若いうちからお金に関する良い習慣を身に付けるように仕向けてあげれば、その後の人生を変えることができます。お金に関する良い習慣に取り組むには、早すぎるということはありません。

Buffett added when picking a marriage partner, the most important thing is not to look for intelligence or humor, but look for someone with low expectations.

With household formations below par, a shareholder asked if this was a secular change or a cyclical change. Will the U.S. become more like Europe where young folks live with their parents?

Buffett said it was more likely a cyclical change. Household formations have turned up. They always turn down during recession.

Charlie chuckled, "I have some grandchildren that I wish would marry someone suitable promptly."

When asked a question on saving, Charlie retorted, "If you don't know how to save, I can't help you."

Buffett said you need to develop good saving habits early on. They make an enormous difference in your life. Berkshire's goal is to present good saving habits in an entertaining way to young kids through a cartoon series, and he think it's actually having a good effect.

Encouraging good habits in your children early on with respect to money can change their lives. You can't start young enough on working on good money habits.

2015年5月20日水曜日

2015年バークシャー株主総会;「バフェット指数」について

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5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会から、いわゆる「バフェット指数」の話題です。引用元は前回と同じく、ヘンダーショット女史のメモになります。(拙訳では会話調に変更しています)

<質問9> バフェットさんは以前に、価格水準を評価する基準として、GDP比でみた株式時価総額の割合あるいはGDP比でみた企業利益の割合が高いと言われていました。それでは、現在の市場における評価額は高すぎだと思いますか。(参考記事)

<バフェット> GDPに対する利益水準の割合については、社会のある領域においては問題になるかもしれません。しかし米国のビジネスは、多くの企業が強いられている「ひどく」不利な税率もかかわらず、好調な年がつづいてきました。実のところは、米国企業が見事なほどに発展しつづけてきたからです。もう一方のGDP比での時価総額は、そのときの金利環境に大きく影響されます。現在は米国で極端な低金利になっており、ヨーロッパではマイナス金利です。これは、多くの人がありえないと考えていた状況です。国債の利回りが1%であれば、かつて5%だったときとくらべて[企業]利益はずっと大きな価値があります。機会費用は、実質的に収入の得られない債券を保有するか、株を保有するかのいずれかになるわけです。投資家が株式の価値を見定める際には、金利が信じられないほど低い世界にいるという文脈に立った上で、その低金利がいつまでつづくかを決める必要があります。日本で起きたように何十年も金利が低いままであれば、株価は安いと受けとめられるでしょう。しかし金利が通常の水準まで反転すれば、株価の水準は高いと思われるようになります。

<マンガー> 我々は予想をはずしたわけですよ。ならば、将来どうなるかを我々に訊くのは一体どうしたものですかね。

<バフェット> わたしたちはマクロに基づいて取引を決めません。マクロ要因によって買収をやめた記憶はひとつも思い当たりません。わかっているのは、1年後や2年後にどうなるかわからないことです。しかしバークシャーがよい事業を保有しているのであれば、実のところそれで違いが生じるわけではありません。買収を決める上で考慮にいれる重要な点は、事業がどれだけ強力なmoatを有しており、将来の利益率がどうなっていくのかを判断することです。お抱えのエコノミストが一人いる企業は、従業員が一人余計だと思いますね(笑)。

A shareholder noted that several valuation metrics Buffett has mentioned before such as market capitalization as a percentage of GDP and corporate profits as a percentage of GDP are at high levels. He asked if Buffett thought overall stock market valuations were too high?

While profits/GDP might be a concern for segments of society, Buffett remarked that American business has done well in recent years, despite the "terrible" disadvantage of U.S. tax rates claimed by many companies. The fact is American business has prospered incredibly. The stock market capitalization/GDP is very much affected by the fact we live in an interest rate environment that many would have thought was impossible with extremely low interest rates in the U.S. and negative interest rates in Europe. Profits are worth a whole lot more if the Government bond yield is 1% than if the yield were 5%. The opportunity cost is owning bonds earning practically nothing or stocks. Investors need to look at stock values in the context of a world with incredibly low interest rates and determine how long low interest rates will likely prevail. If interest rates remain low for decades like they did in Japan, stocks will look cheap. If interest rates revert to normal levels, stock valuations would appear high.

Charlie asked, "Since we failed to predict what did happen, why would anyone ask us what our prediction is for the future?"

Buffett said they don't make deals based on macro factors. He can't recall a time ever where Berkshire turned down an acquisition due to macro factors. He said, "We know we don't know what the next 12 or 24 months will look like." It really doesn't make a difference if Berkshire is holding a good business. The important consideration in making acquisitions is determining how strong the competitive moat of the business is and what will be the profitability over time. He joked, "We think any company that has an economist has one employee too many."