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2018年1月8日月曜日

強気相場がますます高騰する可能性を感じる(ジェレミー・グランサム)

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GMOのジェレミー・グランサムが1月3日付で、「私見」と断り書きをした文章を公開していました。今回の株式市場がこれからどうなるのか、過去のバブルを振り返った上で、以前の彼とはずいぶん異なる見解を披露しています。冒頭部及びまとめの部分を中心にご紹介します。(日本語は拙訳)

Bracing Yourself for a Possible Near-Term Melt-Up (A Very Personal View) (GMO) [PDF]

バリュー投資を奉じる投資家の一員たる私自身が、今やなんとも興味深い場所に位置しているものだと感じています。「現在の市場は、米国史上において最も高値をつけた時期のひとつだ」と認識する一方で、巨大株式バブルの歴史を研究する一人として、「長く続いてきた今回の強気相場において、急騰期あるいは高騰期に踏み入ったことを示す兆候が現在観察できる」ことを認める自分がいるからです。市場が高値をつけていることを示すデータは、明解で現実のものです。「現在の価格が際立って高い」との結論を株式市場分析から得るのと同様に、たしかなものだと言えます。それとは対照的に、「株価高騰が続く」とする私見は、統計的要因と心理的要因を混ぜ合わせたところから導いています。ただしそれらの要因は、それぞれが大きく異なった過去の時期に基づいており、それがために利用可能な情報の多くが容易には比較できません。さらには、米国それも数件の事例に著しく依存しています。しかしながらおかしなことに、今回のバブルという意味では、「割高だ」とする単純な事実よりも、統計的ではないデータのほうがより説得力があると感じられます。読者のみなさんも、どうなのかは判断できないことでしょう。それはともかく、この文章で私がやるべきことは、統計的なものだけでなくあけっぴろげなものも合わせて、なるべく明瞭に証拠を示すことであります。(p. 1)

I find myself in an interesting position for an investor from the value school. I recognize on one hand that this is one of the highest-priced markets in US history. On the other hand, as a historian of the great equity bubbles, I also recognize that we are currently showing signs of entering the blow-off or melt-up phase of this very long bull market. The data on the high price of the market is clean and factual. We can be as certain as we ever get in stock market analysis that the current price is exceptionally high. In contrast, my judgment on the melt-up is based on a mish-mash of statistical and psychological factors based on previous eras, each one very different, so that much of the information available is not easily comparable. It also leans very heavily on a few US examples. Yet, strangely, I find the less statistical data more compelling in this bubble context than the simple fact of overpricing. Whether you will also, dear reader, remains to be seen. In any case, my task in this note is to present the evidence, both statistical and touchy-feely, as clearly as I can.

私の予想のまとめ(まったくの個人的見解によるもの)

・株価の高騰あるいはバブルの最終期が今後6か月から2年にわたって生じる可能性が、例えば50%以上の確率で考えられます。

・もし株価高騰が続いたとすれば、そのあとにバブルの破裂あるいは価格下落が生じる確率は、相当高い(例えば90%以上の確率)と思われます。

・もし株価高騰の後に下落が生じるとすれば、50%程度の下落率になる可能性がかなりあると思われます。

・そのような下落が生じた後には、1998年以前の水準だった15倍超の倍率まで反騰する可能性がかなり高い(2/3以上)と思われます。ただし直近20年間で見られた傾向の平均には若干とどかないでしょう。それ以降の傾向は、以前に記したレター『鳴動ならんや、さめざめと』で触れた航路を進み、従前の平均へとゆるやかに近づいていくと思われます。(p. 12)

Summary of my guesses (absolutely my personal views)

- A melt-up or end-phase of a bubble within the next 6 months to 2 years is likely, i.e., over 50%.

- If there is a melt-up, then the odds of a subsequent bubble break or melt-down are very, very high, i.e., over 90%.

- If there is a market decline following a melt-up, it is quite likely to be a decline of some 50% (see Appendix).

- If such a decline takes place, I believe the market is very likely (over 2:1) to bounce back up way over the pre 1998 level of 15x, but likely a bit below the average trend of the last 20 years, as the trend slowly works its way back toward the old normal on my“Not with a Bang but a Whimper” flight path.

以下の図は、現在の株式市場がやがてバブルの頂点に達すると仮定したS&P500のチャートです(グランサム氏による予想)。3400や3700という数字が書かれています。

(p. 4)

最後におまけです。ビットコイン相場と過去のバブル相場における頂点を対比したチャートです。(緑色:ビットコイン、えんじ色:南海バブル、紺色:チューリップ・バブル、黄色:1929年世界恐慌時のS&P500)

(p. 11)

2017年10月16日月曜日

現在の株高を説明する2つの要因(ジェレミー・グランサム)

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資産運用会社GMOのジェレミー・グランサム氏は、慎重派のマネージャーとして何度か取り上げてきました。しかし昨年後半あたりからの彼は警戒的な主張を弱め、市場の続伸を是認(あるいは諦観)するような見解を述べています。今回は、GMOが四半期ごとに公表しているレターから引用します。統計好きの彼らしく、「2つの指標が市場参加者の心理をあたため続けてきたことが、株高を導いている」と説明しています。(日本語は拙訳)

Why Are Stock Market Prices So High? (GMO Quarterly Letter 2Q 2017) [PDF]

投資や経済の世界では、この20年の間にほぼすべてのことが変化したものの、不変だったものがひとつあります。それは「人間の性質」です。私たちはそのことを多かれ少なかれ証明できますし、少なくとも株式市場における場合はそうだと言えます。

15年前に[同僚の]ベン・インカーと共に、S&P500のPER水準がどのように遷移するかを説明しようと考えて単純なモデルを構築しましたが、最近になって変更を加えました。ただしそのモデルは、PERの水準が理にかなっていることや相応であることを正当化したり、あるいは将来の株価を予測したりすることを狙ったものではありません。影響を及ぼす主たる要因に対して、市場がどのような典型的反応を示してきたのか、その傾向を表すだけのものです。モデルに含まれる要因のうち、格別に重要なものが2つあります。ひとつめが利益率で、高い値のほうが望ましいです。もうひとつがインフレーションで、こちらは安定的かつ低い値が望まれますが、低すぎる場合は除きます。(中略)

直近20年間で生じた大きな変化を理解するために試みてきたことから飛躍すると、まったくもって行動的な取り組みだけとなりました。妥当か否かはともかくとして、投資家は高い利益率にご執心ですし、微々たるものであっても安定した成長を好みます。その反対にインフレーションを嫌います。1925年から1997年の間、投資家の考えはずっとそうでした。そして新たな時代である1997年から2017年の間にも、まったく同じ考えを抱いてきました。つまり投資家の振る舞いという意味からすれば、「新たな時代に入った」とは到底言えません。相関係数にして0.9と、高い精度で以前と同じことを繰り返しています。1929年そして1965年に生じた市場の頂点では、どちらにおいても非常に短い期間でしたが、利益率とインフレの両方が好ましい数字でした。それとは対照的に、1997年から2017年に至るまでのほぼすべての期間において、投資家にとって好ましい状況がつづきました。ただし範疇外として、市場が下落した非常に短い期間が二度ありましたが。

市場とはこれほど容易に説明できるものなのでしょうか。まあ、実に92年分ありますからね。それでは私たち投資家は、この情報をもとに何ができるのか考えてみましょう。まずひとつ言えるのは、もし利益率やインフレ率が従来の標準的水準に戻る時期がやってくるとすれば、市場のPERも従来の平均へと実際に回帰するでしょう。反対にそのような期間がめぐってこないのであれば、PERはおそらく高いままでしょう。またそれとは別にわかることとして、市場の暴落を期待するのであれば、(2008年から2009年に起こったように)利益率が大幅に下落するか、(1979年から81年当時のように)インフレ率が劇的に上昇し続けるか、あるいはそれらの強力な組み合わせが起こるのを待つべきです。当然ながらそのいずれも起こる可能性はありますが、たぶん起こらないと思われますし、少なくともここしばらくはないと思います。

PERの遷移を説明するために私たちがとった行動的アプローチは、過去に試みてきた「各種要因のごった煮」よりも単純な公式で済みます。しかし少し前に書いたレター「鳴動ならんや、さめざめと」[原題はNot With A Bang But A Whimper。T.S.エリオットの詩の一部]のパート1やパート2で触れた論議と著しく似ています。どちらのアプローチにおいても支配的なのが、利益率の役割です。利益率が上昇することで利益の額を直接増加させるのみならず、利益額に適用されるPER倍率も上昇させます。同様にインフレも、どちらのアプローチでも2番目に強力な要因です。もちろんながら低インフレは金利を低下させ、「ごった煮」に含まれる重要な要素になると思われます。(PDFファイル10ページ)

In an investing and economic world in which almost everything seems to have changed in the last 20 years, one thing has remained constant: human nature. And, we can more or less prove it. At least in the case of the stock market.

Ben Inker and I designed a simple model 15 years ago to explain the shifts in P/E levels of the S&P 500. Recently we updated it. Our model does not attempt to justify the P/E levels as logical or deserved, nor does it attempt to predict future prices. It just shows what has tended to be the market’s typical response over the years to major market factors. By far, the two most important of these are profit margins, the higher the better, and inflation, where stable and lower is better, except not too low.

Now, cutting across that previous attempt to understand these major changes in our new 20-year era, comes an entirely behavioral approach. Whether sensibly or not, investors love high margins and like stable growth even if it’s modest, and hate inflation. They felt this way from 1925 to 1997 and they felt exactly the same way in our new era of 1997 to 2017. So, behaviorally it is absolutely not a new era. It is precisely - to a 0.90 correlation - the same ole same ole. The peaks of 1929 and 1965 delivered favorable margins and inflation inputs but for a very short while in both cases. In contrast, the period of 1997 to 2017 has delivered to investors their preferred conditions almost the entire time, with only two very quick time-outs for market breaks.

Can the market really be this easy to explain? Well, it has been for 92 years! And what can we investors do with this information? It tells us that if we re-enter a period of old normal profits and old normal inflation, the market’s P/E will indeed mean revert to its old average. And if we don’t re-enter such a period, the P/Es are likely to stay high. It tells us separately that if we expect a market crash, we should also expect to have a crash in margins (as we did in 2008-09) or a truly dramatic rise in sustained inflation (as we did in 1979-81) or some powerful combination. All of which is possible of course, but I think improbable, at least in the near term.

This behavioral approach to explaining shifts in P/Es is certainly a much simpler equation than my previous stew-of-factors approach. But it does have some powerful similarities to my earlier arguments found in Parts 1 and 2 of “Not With A Bang But A Whimper." In both approaches, the role of profit margins is dominant. Improved margins not only move the earnings up directly, but also the P/E multiplier applied to those earnings. Inflation is also a strong secondary factor in both approaches, for low inflation, of course, drives down the interest rates, which appear to be an important ingredient in the stew.

直近2回の暴落(2000年からのITバブル崩壊と2007年からの世界金融危機)を「非常に短い下落期間」とまとめるあたりは、さすがに投資界の重鎮です。長期的にみればたしかにその通りですが、思い切った投資ができるのは個人的にはそのような時期しかないので、「非常に短い期間」に備えて流動性に気を遣うこのごろです。

2016年2月24日水曜日

無傷で迎えることのできる大統領選投票日(ジェレミー・グランサム)

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GMOのジェレミー・グランサムが少し前にレターを公開していました。今後1年間の市場予測を試みているのは、年初ながらの恒例のようです。今回は、おなじみのキーワード「大統領選」が登場している文章を引用します。なお、もうひとつ取りあげられていた話題は「アメリカの強み(そしてカナダも含めた地理的強み)」についてでした。(日本語は拙訳)

GMO Quarterly Letter 4Q 2015 - Part II: 2015 and 2016, U.S. Equity Bubble Update, and Yet More on Oil [PDF] (GMO)

今回の株式市場における上昇[2009年から現在まで]では、もっとも重要な要素である「最大規模まで到達した大嵐」がみられません。孫に語りきかせるほどの狂乱した投機話や、個人投資家がみせるものすごい熱狂、感情の高ぶりや能力以上に過熱した経済、さらにはS&P500指数が最低でも2シグマ以上つまり2,300ポイントに到達していること、それらすべてが揃っている必要があります。現段階ではそのすべてを欠いていますから、「おそらく」大統領選投票日を程度の差はあれど無傷で迎えられると考えています。ただし私が言う「おそらく」という言葉の定義は、先に記した否定的な各要素によって50%をちょうど超える程度まで引き下げられていることに触れておきます。この予測では、中国については読みきれていません。最近はお決まりのワイルド・カードとなりましたが、現在の市場は中国の低成長を織り込んでいます(今後10年間の年間成長率を4%とするのは妥当な目標だと思います)。しかしGDP成長率が相当なマイナスまで後退したら、世界的な成長に対する比較的楽観視した私の見方は、もろくも崩れると思われます。(PDFファイル15ページ目)

The most important missing ingredient is a fully-fledged blow-off. This should come complete with crazy speculative anecdotes for your grandchildren, massive enthusiasm from individual investors, an overwrought, overcapacity economy, and, at minimum, a 2-sigma S&P 500 at 2300. Lacking all of this, I still believe it is "likely" that we will reach Election Day more or less intact. I will, though, admit to my definition of "likely" being beaten down by the negative factors listed earlier to something just over 50%. The wild card, as usual these days, is China. The market is discounting lower growth. (I believe 4% a year for the next 10 years would be a reasonable target.) But a deep entry into negative GDP numbers might ruin my relatively positive case for global growth.

2015年9月6日日曜日

自社株買い資本主義(ジェレミー・グランサム)

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前々回の投稿でご紹介したジェレミー・グランサムのレターから、もう一か所引用します。米国資本主義における問題点として、彼は次のような状況をあげて憂慮しています。「米国企業では自社株買いと低金利を背景に株高が進むことで、大量に付与されたストック・オプションの売却益を経営陣が享受している。そのおかげで資本投資に費やされる金額は平均以下にとどまり、雇用も改善しない」。今回ご紹介するのはそれに続く部分で、「自社株買い資本主義」の影響を受けた二次的状況の一端を説明しています。個人的には参考になった文章です。(日本語は拙訳)

新たな高い水準に達したまま進んでいるかにみえる米国企業の利益率ですが、ここでも数字が落ちずにとどまり続ける状況について触れておきます。これまでに、新たなストック・オプション文化によって生じた相互作用のことを論じてきました。自社株買いが高い水準で実施され、そのことが資本投資の水準や経済の成長をどれだけ減じているかについてです。そう、ここでも別の裁定が長々と働く姿がみてとれます。まるで心臓周辺の主要な動脈が閉塞することで、いくつもの微小な動脈を次第に拡張させていくかのようです。つまりはこうです。より長期的な視野に立ち、積極的に拡大をはかる非公開企業は、市場シェアを拡大させていくでしょう。おなじように、プライベート・エクイティーも長期的な優位性を拡大していくと思います。彼らは公開企業よりも多額の資本をすでに投資しているからです。同様にベンチャー・キャピタルも、公開企業に多くをさらわれていたとき以上の機会を手にするでしょう。しかし、そのように資本家の位置関係がゆっくり遷移するよりも若干速いペースで生じると思われる事態があります。それは、事業家や政治家やおそらくは現実的な経済学者さえも、ストック・オプション文化が現在招いているもの、特に低成長と低生産性に対してますます不満を抱くようになることです。(後略) (PDFファイル23ページ目)

Now, let's go back to the similar stickiness in U.S. profit margins, also bouncing along on a seeming new high plateau. I have discussed the interplay of the new stock option culture with its high level of buybacks and how this has reduced the level of capital spending and growth in the economy. Well, here also there are long-winded alternative arbitrage mechanisms, like a heart with clogged major arteries slowly developing a host of widened minor arteries. Private companies with more focus on the long term and more aggressive expansion will have a growing market share. Private equity will also have an incremental long-term advantage: they are already doing more capital spending than traded companies. Venture capital will also have more opportunities than they had previously, when public companies scooped up more of the opportunities. But perhaps slightly faster than this slow capitalist adjustment, businessmen, politicians, and perhaps even some of the more real-world economists will increasingly complain of the current consequences of the stock option culture, especially low growth and low productivity.

2015年9月2日水曜日

現在の米国民主主義の欠陥(ジェレミー・グランサム)

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GMOが2015年第2四半期レターを公開しています。ジェレミー・グランサムは投資におけるマクロ的なテーマをいくつかあげて、自分の見解の一部を記しています。今回は、米国における民主主義についての文章から引用します。(日本語は拙訳)

Ten Quick Topics to Ruin Your Summer [PDF] (GMO Quarterly Letter 2Q 2015)

7. 民主主義と資本主義における欠陥について考えてみる

民主主義について

「我々の調査によって浮かび上がった核心とは、次のようなものだった。経済的エリートや各種事業に関わる者を代表する組織的な団体は、米国政府が遂行する政策に対して独立した立場から大きな影響を及ぼす。それとは反対に、平均的な市民や興味をともにする者の単なる集団は、独立した影響力をほとんどあるいは一切持っていない」。これは、ギレンズとペイジが昨秋に発表した論文で示した決定的な結論です。収入水準を細分化できた政策約1,800件を調査した結果、収入の上位10%以上の人たちを「エリート」とざっくり定義すると、「選挙を通じた多数決による民主主義」は概して過去のものとなったことを見いだしたのです。

同調査について手短に済ませておくには、次の点を指摘しておけば十分だと思います。連邦議会が平均的な法案を可決する割合は31%です。提出された法案が平均的な市民の嫌がるものである場合、その確率は30%に低下します。一方で、平均的市民の望む法案では32%へ上昇します。ところがそれと対照的に、経済的エリートが望む法案の場合、絶対の保証はないものの、可決される確率は60%に上昇します。そしてエリートたちがその問題を心底嫌悪する場合、死刑宣告を受けたも同然で、法案可決の確率は1%になります。

その確率が1%なのか0.01%なのか、あるいは上位2,000件ほどだけが実際にその数字を決めているのか、いずれそれらを知ることは役に立つと思います。実のところ、[エリートが]上位10%ではないのは明らかだからです。それはさておき、そのデータ自身は次のように語っています。「人民の、人民による、人民のための政治」は、現実問題としてこの地上から消え失せてしまったようだ、と。もしリンカーンがいればまちがいなく、「それを蘇らせよう」と檄を飛ばすことでしょう。(PDFファイル19ページ目)

7. Trying to understand deficiencies in democracy and capitalism

Democracy

"The central point that emerges from our research is that economic elites and organized groups representing business interests have substantial independent impacts on U.S. government policy, while mass-based interest groups and average citizens have little or no independent influence." [Emphasis added.] This is the killer conclusion of a paper last fall by Gilens and Page. Based on the study of almost 1,800 policy issues for which income breakdowns were available, and defining the "Elite" generously as those above the 90th percentile, it finds that "majoritarian electoral democracy" is largely a thing of the past.

To keep the review of this study short, it is probably only necessary to point out that the average bill in the U.S. Congress has a 31% chance of passing; this chance falls to 30% when the proposed legislation is hated by average citizens and rises to 32% when they love it! In contrast, love from the economic elite, although not absolutely guaranteeing success, raises the chances of its passing to 60%. But when the elite truly detest an issue, it is like passing a death sentence: About 1% of these bills pass!

It would be helpful to know one day whether it is the 1%, the .01%, or only the top 2,000 or so who really drive this data, for it is surely not the top 10%. Other than that, the data speaks for itself: It would seem that "government of the people, by the people, for the people" has indeed, for practical purposes, "perish(ed) from the Earth." Lincoln would no doubt urge us to try to resuscitate it.

2015年5月8日金曜日

米FRBのバブル・トリオ(ジェレミー・グランサム)

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GMOのレター(2015年第1四半期)が公開されていました。昨日のニュースでFRBのイェレン議長の発言が話題になっていましたが、それと交錯する話題を引用します。(日本語は拙訳)

Are We the Stranded Asset? (and other updates) [PDF] (GMO Quarterly Letter 1Q 2015)

米国市場に関する現時点での短評: まだバブルではないが、いずれそうなるとの私見

奇妙にも操作されたこの世界でカギとなるのは、FRBが上昇相場の側についている間は強気派にかなりの望みがある点です。グリーンスパン、バーナンキ、そしてイェレンとつづく時代をとおして、FRBはバブルが最大限に膨張するまで資産価格の上昇をとめませんでした。2000年に米国成長株、そして2006年に米国住宅市場で起こったことは、驚くなかれ、実のところ3シグマの出来事だったのです。これらは米国史上飛び抜けて巨大な株式バブルと住宅バブルでした。またイェレンは前任者らと同じように、資産効果を生み出すために資産価格を押し上げるFRBの役割を誇示してきました。さらにこれまでの彼女は、「いかなる資産バブルの可能性であっても阻止する責務を感じない」とする彼らの見解とも同じようです。私からすれば、FRBが資産[価格]を動かす力を持っていることは認識できるわけですから(ただし経済を加速する力としては、がっかりするほど限定的です)、経済面での国際的な大事件が生じない以上、現在のFRBは今再びバブルが頂点に達するまで資産価格を刺激しつづけることを志向かつ決定した、と考えても筋が通っていると思われます。そして現時点ではまだその段階に至っていないのです。(PDFファイル9ページ目)

A brief update on the U.S. market: still not bubbling yet, but I think it will

The key point here is that in our strange, manipulated world, as long as the Fed is on the side of a strong market there is considerable hope for the bulls. In the Greenspan/Bernanke/Yellen Era, the Fed historically did not stop its asset price pushing until fully-fledged bubbles had occurred, as they did in U.S. growth stocks in 2000 and in U.S. housing in 2006. Both of these were in fact stunning three-sigma events, by far the biggest equity bubble and housing bubble in U.S. history. Yellen, like both of her predecessors, has bragged about the Fed's role in pushing up asset prices in order to get a wealth effect. Thus far, she seems to also share their view on feeling no responsibility to interfere with any asset bubble that may form. For me, recognizing the power of the Fed to move assets (although desperately limited power to boost the economy), it seems logical to assume that absent a major international economic accident, the current Fed is bound and determined to continue stimulating asset prices until we once again have a fully-fledged bubble. And we are not there yet.

上記のような市場予測のほかに、彼が取りあげる話題には人口問題や資源問題などがあります。超長期的な視点からながめることが多く、個人的には興味ぶかく読んでいます。

2014年7月30日水曜日

若い頃の投資で学んだこと(2)(ジェレミー・グランサム)

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ジェレミー・グランサムの若かりし頃の打ち明け話、前回につづいて後半部になります。(日本語は拙訳)

実のところ、1969年4月には決定的と言っていい出来事がもうひとつありました。その当時、マサチューセッツ州ニュートンにあるヴィクトリア風の魅力的な3階建ての家に、妻と私は心を奪われていました。しんとした静かな通りに面した家で、リンゴ園が隣接しており、背後にはまだ人の手が入っていない丘の斜面が続いていました。売り手の希望する値段は4万ドルでした(現在の感覚ではおそらく100万ドル以上だったでしょう)。直前に下落していたものの、我が家の資産には余裕がありました。そのため住宅ローンを借りずに家を購入し、新車のBMW2002型を買ったとしても(小型ながらも高速で目立ちすぎることもありませんでした。そしてかなり安かったのです)、まだ数千ドルが手元に残る計算でした。ところが提示した金額3万7千ドルは拒絶され、取り下げになりました。そしてその件を再検討している最中にも、手持ちの株価は崩れ始めました。振り返ってみれば、私は幸運でした。「かもしれない」にすっぱり別れを告げて、1株60ドル台前半でおさらばしたのです。結局のところ、アメリカン・レースウェイに集まった当初の群衆のほとんどは新しもの好きと好奇心によって構成され、熱狂的な客はまったくと言っていいほど付きませんでした。アメリカ人が自分たちのスポーツと感じるには、本物のレーシング・カーではなく、自分たちの乗っているような車でないとダメなのです。そんなこととは露知らずでした。さて、完全に破産したわけではなく、かといってすっかり心を入れ替えてもいなかった私は、損失分を取り返すことに熱を入れました。当然ながら、本物の勝ち馬に早々と出くわしました。その新しいアイデアとは「マーケット・モニター・データ・システム」と呼ばれるものです。後になってから振り返ってみても、まさに革新的な技術でした。どのブローカーの机上にも「モニター」つまり電子的画面を表示し、独自の市場を作ってオプション取引を行うことができました。ただし、ある数学教授によるこの発明にはあやまちが一つだけありました。時代の先を行き過ぎていたのです。その技術が完全に受け入れられたのは15年後のことでした。いや、なんとも。さて、[株価が]好調に上昇したところで、株主にもわかるようになったことがありました。「モニターがインストールされると急に費用がかかるようになるが、ビジネスは入ってこない」ことです。ほとんど皆無でした。私にとってその後の展開は、典型的な調子よりもはるかにタカのように進みました。しかし破産寸前になった2週間をなんとか乗り切り、マージン借入と銀行ローンを返済する金額を確保した上で手元に5千ドルが残りました。すでに私は起業家として会社を立ち上げており、無給で働いていました。最初の通年期末に表計算ソフトに記録されていた預かり資産は10億ドルということはなく、ディーンの友人が出した資金1件のみで10万ドルでした。幸いなことに妻がMITプレスで働いていたおかげで、ある程度の収入は得ていました。ですから、ボストン・グローブ紙を買えるのはセルティックスの重要なゲーム[バスケットボール]があったときだけで、新しい服はご法度、必要な食料は1週間に一度バック湾にあるイングリッシュ・ティー・ルームに行って買いだめすることになりました。しかし、苦い薬をかなり飲んだものです。それほど苦くないのもひとつありましたが。たとえば、ニューヨークでの18カ月を特徴づけた倹約生活は、妻にとって愉快なものではありませんでした。今と同じように当時でも、お金があると生活の質に大きな違いが出る場所でした。財産を蓄えて帰郷することは、彼女にとって価値のあることだったと思います。おそらくそうです。しかし彼女にとっていちばん不満だったのは、仕事から帰ったあとにほぼ毎回料理をしなければならないことでした。現在の働く女性ならば我慢している人はいないでしょう。まあ当然だと思います。しかし自己弁護になりますが、60年代にはそうするのが風潮だったのです。ええと、たしかそうだったような気が..。しかし私たちの蓄えが根こそぎ失われたことや、それによって私たちの基本計画がどうなるのか、つまり裕福な身で故郷へ帰るために蓄えることについては、妻は何も触れませんでした。一言もです。経済面で穴の開いた私たちのボートが浮かんでいられるように、彼女はその役割をみずから担ったのです。しかし妻は尽きることのない貸しを私に対して積み残してくれました。つづく46年間にわたって、それは消えずに残り続けました。つまりそういうことなのです..。

In fact, in April 1969 came another nearly defining event: my wife and I fell in love with a charming threefloor Victorian house in Newton, Mass on a very quiet street next to an apple orchard and backing on to some undeveloped hillside. Asking price: $40,000 (today's guess, perhaps $1 million or more). Our family capital account after its then recent decline would still have allowed us to: a) buy the house without a mortgage; b) buy a new BMW 2002 (small, fast, not too showy, and remarkably cheap); and c) have a few thousand left over. But our $37,000 offer was turned down and we backed off. And, even as we reconsidered, our stock began to crumble and I was lucky, with hindsight, to be able to say goodbye to all might-have-beens and to scramble out in the low $60s a share. It turned out that American Raceway's original crowd was based almost completely on novelty and curiosity and had nearly no hard-core followers; Americans liked their blood sports to be in cars that looked not like real racing cars, but in cars that looked just like their own. Who knew? Well, I was neither totally broke nor fully chastened, and was eager to make back my losses. Naturally, I bumped immediately into a real winner. The new idea was called Market Monitor Data Systems and this really was a breakthrough technology, even with hindsight. It was going to put a "Monitor," an electronic screen, on every broker's desk, so that they could trade in options, making their own market. This brainchild of a mathematics professor had only one flaw: it was way ahead of its time. Fifteen years later the technology was completely accepted. Oh, well. After a good rise it became clear to stock holders that expenses rose rapidly with monitors installed and no business followed. Almost none at all. And, following the developments far more hawk-like than was typical for me, I managed to leap out two weeks before bankruptcy with enough to pay down margin and bank loans, leaving me with about $5,000. By then, however, I was in an entrepreneurial start-up that paid no salary and ended its first full year not with the $1 billion under management that had featured in our spreadsheets, but with one account from a friend of Dean's of $100,000. Fortunately, my wife had a job at MIT Press, which paid about what one would expect. So, the Boston Globe would only be bought after important Celtics games, absolutely no new clothes were allowed, and once a week we would stock up on an all-you-can-eat meal at the English Tea Room in Back Bay. But, oh my, did I have lots of painful lessons to absorb and at least one not so painful. First, my wife had not been amused by the frugality that characterized our 18 months in New York, a city then and now where some spending money makes a big difference in the quality of life. For her, to go home with a nest egg was maybe worth it. Maybe. Her biggest gripe was cooking in almost every day after work. No working wife today would stand for it, and rightly so. All I can say in my defense is that that was the style in the 60s. Very weak, I know. But, when confronted with the total loss of our savings and therefore our main plan - saving to go home well-off - my wife said nothing. And I mean nothing at all. She put herself to the task of keeping our financially leaky boat afloat. My wife, however, accrued an inexhaustible supply of IOUs. Well, inexhaustible for the next 46 years anyway. So …

2014年7月28日月曜日

若い頃の投資で学んだこと(1)(ジェレミー・グランサム)

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GMOの最新のレター(2014年第2四半期)が公開されています。ジェレミー・グランサムの今回の文章は「サマー・エッセイ集」と題しており、いつものような深刻な雰囲気はそれほど感じられません。今回ご紹介するのは最後(4番目)のエッセイの一部で、彼が30歳ごろに経験した投資話がつづられています。(日本語は拙訳)

ちなみにGMOの預かり資産の総額は、この3月末の段階で12兆円弱とのことです。

Summer Essays [PDF] (GMO's 2Q 2014 Letter)

1968年の夏に、私にとって決定的な出来事がありました。キーストーン社に勤めはじめて間もない頃で、私と妻は3週間の休暇をとって、故郷のイングランドとドイツへ帰った時のことです。やり手の人たちと昼食を共にする機会がありました。新参者だった私にはそこに加わる完全な資格はまったくもってなかったのですが、話題に出てきた「本日の銘柄、アメリカン・レースウェイ社」には心を奪われました。実のところ、圧倒されんばかりでした。同社はF1グランプリ・レースをアメリカに導入しようとしていました。ある既設のレース場を取得しており、レースも一度開催していました。目新しさに加えて純粋な興味も集めたことで、大変な数の観客になりました。レース場をもう何か所か保有すれば、どれだけの大金が稼げるか計算できました。私のような部外者にも失敗しようがない機会だと思えました。騒音やスピード、危険、そして死に至るリスクまであるのですから、まさにアメリカ的です。英国人がこぞってヒーローとみなしていた当時のチャンピオンだった[原文ママ]スターリング・モスが、取締役として加わっていました。そういうわけで、私は同社の株を買いました。1株7ドルで300株分です。(人生で決定的なことがあると、細かいことまで覚えているものです。それが正確な記憶のときもあります)。休暇から戻るまでの間に、株価はなんと21ドルになっていました。当時は外からビジネスに携わることはありませんでした。そうするのは非常にむずかしかったからです。さあ、そこで私が選んだ道を披露しましょう。初期の教訓を吸収した姿をお見せする絶好の機会です。私のとった行動とは、意欲的なバリュー志向の株式アナリストならだれでもやったと思われることでした。つまり保有する他の銘柄をすべて売り払い、その株を3倍に増やしたのです。1株21ドルで900株になりましたが、ほとんどは借入金で買いました。良心や道徳、行動全般を高めようとしたビクトリア期の小説ならば、思い上がった野心の先には悲劇が待っているところです。しかし現実がもたらす教訓とは、もっとややこしいものでした。そしてご存知のように、現実は人を焦らすことが好きなのです。クリスマスになる前に、アメリカン・レースウェイ社の株価は100ドルを付けました。当時の基準でみても、また当然ながら自分の期待とくらべてみても、私たちは金持ちになりました。寝室が4部屋あるロンドン郊外の値ごろな家であれば、1万ポンドで買えました。これはボストンでは4万ドルになります。私たちの資産は、信用取引込みの税引き前で8万5千ドルありました。しかし資金を引き揚げてイングランドへ帰るという筋書きをつづける可能性は、もっと複雑な状況へと早々に変化してしまいました。キーストーンに入社した1968年の4月から1年が経ち、ファンドマネージャーのひとりであるディーン・ルバロンといっしょに退社して資産運用会社を始めることにしたのです。我々は1969年の半ばに偵察活動を始め、1月にはボストンの下町にあるバッテリーマーチ通りに面したバッテリーマーチ・ビルに事務所を開きました。パッとしない社名で、「バッテリーマーチ資産管理」という会社でした。キーストーンを離れることを決めた際には、1969年初にいくぶん下がり始めていたものの、1968年終盤に新たな虎の子となった私の資産が重要な役割を果たしました。(つづく)

The defining event for me was in the summer of 1968, when my wife and I took a three-week holiday back in England and Germany, shortly after joining Keystone. Lunching with some of the hot shots - being a newbie I was by no means a fully-fledged member - I was fascinated, indeed, almost overwhelmed, by the story du jour: American Raceways. The company was going to introduce Formula 1 Grand Prix racing to the U.S. It had acquired one existing track and had one race, hugely attended out of novelty as well as genuine interest. With a few more tracks we could calculate how much money - a lot - the company could make. It seemed to me as a foreigner to have little chance of failure. With noise, speed, danger, and even the ultimate risk of death, it seemed, well, just so American. And every Brit’s hero, the then current champion Stirling Moss, was on the Board. So I bought 300 shares at $7. (For defining events in your life you do remember the details. Sometimes even accurately.) By the time we returned from our vacation - in those days we were never in touch with business, it was just too difficult - the stock was at $21! Here was my opportunity to show that I had internalized early lessons; to demonstrate my resolve. So I did what any aspiring value-oriented stock analyst would do: I sold everything else I owned and tripled up! Nine hundred shares at $21, mostly on borrowed money. In a Victorian novel aimed at improving morals, ethics, and general behavior, this is where tragedy follows hubris. But real life is more confusing as to how it delivers lessons and it likes to tease, apparently. By Christmas, American Raceways hit $100 and we were rich by the standards of those days, and certainly compared to my expectations. You could still buy a reasonable four-bedroom house in the London suburbs for £10,000 and in Boston for $40,000, and we had about $85,000 after margin borrowings and before taxes due. But, the possibility of continuing the storyline by cashing in our chips and going home to England quickly became more complicated: a year after joining Keystone in April 1968, I left with one of the fund managers, Dean LeBaron, to start a new investment management company. We started a reconnaissance patrol in mid- 1969 and by January we had an office in the Batterymarch building on Batterymarch Street in downtown Boston, bearing the unsurprising name of Batterymarch Financial Management. In deciding to leave Keystone, my new nest egg of late 1968 played a key role even though it had begun to decline some in early 1969.

2014年5月18日日曜日

弱気派ジェレミー・グランサムの強気な予測

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GMOの最新の四半期レターが公開されています。いかにもジェレミー・グランサムらしい話題が登場しているので、彼の文章から引用してご紹介します。(日本語は拙訳)

Looking for Bubbles Part One: A Statistical Approach [PDF] (GMO's 1Q 2014 Letter)

一月(いちがつ)法則 [=一月効果]

今四半期にとりあげた中心的な主張とは別のものとして、私には弱気筋を支持する材料があります。いわゆる一月法則と呼ばれるもので、一月における株価動向によってその年の株価の騰落を予測します。

一月法則が生じる仕組みは、常に次のように考えられてきました。「年の暮れになると税金対策の損出しやクリスマスに支払われるボーナスのおかげで、人々は投資に回せるかなりの資金を手にする。そこで将来のことを自問し、年始早々に行動をとる。だから平均してみれば、法則が当たることのほうが多いだろう」というものです。ともかく、その法則は機能しているように思われます。奇妙な出来事が重なったことで、私たちにとってまさに初めての機関投資家の顧客が、このやりかたに則った唯一の仕事となりました。1978年の末のことで、その投資家は中西部のある年金基金でした。運用戦略は3つの要素から成り立っていました。大統領選サイクル、一月法則、金融緩和の度合いです。このやりかたで2年間はうまくいきました。しかし理事が交代するや否や、私たちは早々に首を切られました。彼からすれば単純すぎると思えたからです。それまでは伝統的なバリュー方式で株を選定することに注力していたため、その件はそれでおわりとなりました。35年前のこの出来事をあえて紹介するのは、大統領選サイクルと一月法則を使って各年の結果を予測するだけで、すばらしい成績をあげていたからです。その後の35年間には、データマイニングどころか実体験として検証することができました。35年前に発見したこととは、各年の初めの営業日5日間の騰落動向とその後の期間の騰落動向は同様のトレンドを描くとする予測が、よく的中することです。これによって、その年の騰落が予測できます。同じことが1月全体でみたときの騰落にも当てはまりました。

しかしこの法則は当時であっても既に古く、大統領サイクルと同じように「株トレーダー年鑑」では都度改訂されたものを目にするかもしれません。私が見たものは少し新しくなっており、「5日間の結果が1月の結果と逆の場合、つづく11か月ではトントンの騰落になる」と変わっていました。ですから私たちが関心を示すのは、2つのデータが整合している場合になります。つまり「上げ・上げ」と「下げ・下げ」の2つです。「上げ・上げ」の年は1932年以降に22回あり、2月から12月に生じた平均上昇率は11.6%でした。私が生まれた1938年以来で特筆すべき点は、22回のうちで平均を下回る年は1987年だけだったことです。その年は最初の9か月間で35%上昇しました。これは、かつてもっとも上昇率の高かった9か月間のひとつです。そしてテクニカルな暴落がやってきました。これは、行き過ぎたほどに適用されたポートフォリオ・インシュアランスが引き起こしたものと、私たちは信じています。

同様に注目すべき点は、1932年以来に14回あった「下げ・下げ」の年の成績です。年間騰落率の平均はぶざまなもので、6.6%の下落でした。1982年だけがかなりの上昇をみせました。こちらも覚えておいてほしいのですが、その年も8月まではじわじわと下落を続け、利益の7倍に相当する水準まで達しました。その後、年末上昇相場に突入したのです。さて、ここで触れておきますと、2014年は年初5日間と1月の両方が下落しました。つまり今年は「下げ・下げ」の年です。さらに10月1日までは、大統領選サイクルでみたときの最低の「2年目」に当たります。(グリーンスパン一味は金融緩和をしない年があったので厳しい時期もありましたが、1998年と2006年は「2年目」のなかで数少ない見事な成績をおさめた2回でした。FRBと市場が活気づいた年です)

その2つの法則はなぜ機能し続けているのでしょうか。これは非常に興味をそそる疑問です。興味のひとつとして、「下げ・下げ」の6%下落と「上げ・上げ」の10%上昇の差を鞘取りできれば、大もうけできるかもしれないことがあります。しかしもっと肝心なのは、それら2つの要因を投資家がまるで真剣に考えないことです。実際のところ、この要因はまったくもって尊重されていません。35年前の件はまやかしで薄弱と考えられています。その後の35年間ですばらしい実績をあげているのに、意見を変えてくれません。それらの要因を話題に出すと、資産運用のマネージャーは弱った顔を見せますし、(私たちの事例によれば)顧客も検討したがりません。しかし、当然ながらここが重要な点です。彼らにはプロとしての経歴がかかっているため、この話題は些細なことで、データマイニング的[重箱の隅]であり、単純すぎて真実とは思えないととらえています。一方で個人の投資家は、それらが好成績をあげる傾向は自分にとっては穏やかすぎるとみているようです。つまり最終的には、それらに応じて行動する人は誰一人いない結果となり(実にGMOも含めて)、そのことがまさしく機能し続ける理由となっています。

内情をつまびらかにしたほうがよいので、ここで告白致します。この法則を何十年間と学んできた私でさえ、実際に使ったことはほとんどありません。その理由は上述したものと同様です。個人的な資金についてもそうです。年老いた裕福な人間である私としては、現在は経歴上のリスクがない自己資金のわずかな額を、「下げ・下げ」の年には[市場から]遠ざけ、[大統領選サイクルの]「3年目」には振り向けています。幸いなことに、有用と思われるそれら2つの法則に従っても、誰のことも案じる必要はありません(GMOでさえも)。ええ、決して。

今後2年間に関する最善の予想

慎重なる投資家が判断する際には、複数年にわたる価値の予測だけ(あるいはほぼそれだけ)に基づくべきだ、とする警告は度々くりかえされてきました。それを踏まえた上で、私の予想を申し上げます。

1) 今年は2月1日から10月1日まではむずかしい局面がつづくでしょう。上げ同様に下げもあるでしょうが、おそらく下げのほうが少し大きい[原文はa little more]と思います。

2) しかし10月1日以降には、市場は強気になると思います。特に4月まで、もしくは次の選挙までの18か月間に(もっと長期にわたるひどい可能性もあります)2,250ポイントを超えてくると予想します。おそらく、けっこうな上昇幅になるでしょう。

3) 投票日が近くなるか終わって間もない頃に、バブル相場ははじけるでしょう。いつもバブルがそうなるように、本来のトレンドまで戻すと思います。最高値から半分あるいはもっと下がるかもしれません。それは、FRBが探し出してくる新たな弾薬によります。 (p.9)

The January Rule

Unlike my main thesis this quarter, I do have some support for the bears in the so-called January Rule: that the move in January predicts whether the balance of the year will be strong or weak.

The logic for the January Rule has always been that individuals have an unusual flow of investable funds at the end of the year from tax loss selling and from Christmas bonuses, and also at the end of the year ask themselves what lies ahead and act on that in early January and apparently get it moderately more right than wrong. In any case, the Rule seems to work. By a curious set of events, it turned out that our very first institutional account in late 1978 - a midwestern pension fund - was the only account we ever had that used this approach. It had three components: the Presidential Cycle, the January Rule, and a measure of monetary stimulus. It worked okay for two years, but just as soon as a new pension officer appeared, he fired us for having an approach that to him looked simple-minded and because we were busy doing traditional value stock picking by then, that that was the end of it. I offer this history to make the point that both the Presidential Cycle and the January Rule had excellent records then - 35 years ago - in simply predicting the outcome of each individual year. So when we review the 35 years that followed I find it more of a real-time experiment than data mining. What we found 35 years ago was that the first 5 trading days of each year had a good record of predicting a similar trend for the balance of the year. The same applied to the performance for the whole month of January. Although this rule was old even then, as was the Presidential Cycle, and could be regularly found updated in the annual "Stock Traders' Almanac," what I found that was slightly new was that when the 5 days contradicted the January results, the following 11 months were close to a wash. Our interest, therefore, was in those cases in which the two pieces of data confirmed each other: what I thought of as "up ups" and "down downs." Since 1932 there have been 22 "up up" years. The average gain from February to December those years was 11.6%. Most remarkably, since my birth in 1938, only 1 of the 22 occurrences was below average and that was 1987, a year that spent the first 9 months going up 35%, one of the strongest 9 months ever, before hitting the technical collapse caused, we believe, by the over-enthusiastic use of portfolio insurance.

Almost as remarkable have been the results of the 14 "down downs" since 1932, for which the average balance of the year is a dismal -6.6% with only 1982 showing a pretty big upside move. Remember, too, that even that year went down steadily through August until it hit seven times earnings and staged a late-year rally. It should be mentioned here that 2014 is a year in which both the first five days and the month of January were down - i.e., a "down down" year. It is also, until October 1, the weakest year of the Presidential Cycle, "a year two." (Although the Greenspan gang has had a hard time not stimulating every year, so that 1998 and 2006 were two of the few year twos that had respectable performance as the Fed and the markets got carried away.)

A very interesting question is why these two rules keep on working. Well, for one thing, to arbitrage the difference between a -6% year ("down down") and a +10% year ("up up") would take a lot of money. But more to the point, investors are very reluctant to take these two factors seriously. In fact, the factors are not respectable at all! They felt hokey and insubstantial 35 years ago and another very good 35 years of performance has not changed that. Managers seem embarrassed to talk about these factors and clients (based on our sample) are reluctant to consider them. And this of course is the point: they carry the career risk for professionals as being seen to be trivial, data mined, and just too simple to be true. Individuals, in contrast, probably find these outperformance tendencies to be too mild for their taste. The net effect is that no one (really, including GMO) acts on them and this is precisely why they have continued to work.

In the interest of full disclosure, I must confess that even as I studied these rules for decades I hardly used them at all, even personally, for reasons similar to those described. Today, older and wealthier and not exposed to career risk with my own money, I tilt a minimal amount away from "down down" years and toward year 3. Fortunately, I don't have to worry about anyone else (even GMO) following these two apparently useful rules. Ever.

Best Guesses for the Next Two Years

With the repeated caveat that prudent investors should invest exclusively or nearly exclusively on a multi-year value forecast, my guesses are:

1) That this year should continue to be difficult with the February 1 to October 1 period being just as likely to be down as up, perhaps a little more so.

2) But after October 1, the market is likely to be strong, especially through April and by then or in the following 18 months up to the next election (or, horrible possibility, even longer) will have rallied past 2,250, perhaps by a decent margin.

3) And then around the election or soon after, the market bubble will burst, as bubbles always do, and will revert to its trend value, around half of its peak or worse, depending on what new ammunition the Fed can dig up.

なお文中で登場する「大統領選サイクル」は、以下の過去記事で少しくわしく触れられています。

・慎重派投資家のジェレミー・グランサムが豹変?

2013年11月24日日曜日

慎重派投資家のジェレミー・グランサムが豹変?

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ファンド・マネージャーのジェレミー・グランサムに関する記事が、米経済誌バロンズ(Barron's)のWebサイトに掲載されていました。見出しが「今後2年間は強気の見通し」とあり、慎重派のあの人が心変わりしたとはなにごとかと思ったのですが、記事全体を読んでみて納得しました。いつものとおりでした。

Jeremy Grantham's Bullish Two-Year Outlook (Barrons.com)

バロンズに掲載された記事は、実は彼のファンドGMOの2013年第3四半期レターの文章そのものです。今回はその中から話題をいくつかご紹介します。なおグランサム氏のこの話題は、日経新聞のWebサイトでも取り上げられていました(「3割上昇後に急落? 米著名投資家のバブル論」)。(日本語は拙訳)

はじめの引用は、問題の箇所です。

私の個人的な想像では、米国株特に優良銘柄以外は、来年あるいは再来年までの可能性のほうが高そうですが、20%から30%ほど上がると思います。また新興市場を含む世界各国の株式市場も少なくとも部分的には追いつき、好転するでしょう。しかしそのあとにやってくるのが、1999年以来3度目となる深刻なまでの暴落です。グリーンスパンから始まってバーナンキ、イエレンとつづく面々は、おそらく休息をとるでしょう。彼らはみずからの経験による行く末をまぎれもなく予期しているはずです。もちろんですが、我々市民は相応の報いを受けることになります。

My personal guess is that the U.S. market, especially the non-blue chips, will work its way higher, perhaps by 20% to 30% in the next year or, more likely, two years, with the rest of the world including emerging market equities covering even more ground in at least a partial catch-up. And then we will have the third in the series of serious market busts since 1999 and presumably Greenspan, Bernanke, Yellen, et al. will rest happy, for surely they must expect something like this outcome given their experience. And we the people, of course, will get what we deserve.


次の引用こそ、彼の本音にあたる部分だと思います。(2013/11/25追記、一部訂正しました)

しかしそうなるまでは、投資家は米国市場がすでに相当割高だとわかっておくべきです。実際のところ、今後7年間のリターンは実質ベースでマイナスになると我々は確信しています。この夏にはほとんどの外国市場でも急上昇しましたが、いくぶん低いもののこれらも割高です。我々の見解では、分別ある投資家は総じて株式への投資分やリスク水準を既に減らしておくべきです。賢明な投資家(お望みならば「バリュー投資家」とも)は、相場が頂点に達する最終段階では、さまざまな楽しみをまず見送らざるを得ません。これはかなり苦しいことですが、投資における教訓のひとつなのです。今回の相場も、もはや例外ではありません。投機に参加したいという気持ちが慎重な姿勢をくじくかもしれませんし、たぶんそうなります。しかし、これが世の中というものです。中央銀行と共にある我らは、そうなって然るべきなのでしょう。

In the meantime investors should be aware that the U.S. market is already badly overpriced - indeed, we believe it is priced to deliver negative real returns over seven years - and that most foreign markets having moved up rapidly this summer are also overpriced but less so. In our view, prudent investors should already be reducing their equity bets and their risk level in general. One of the more painful lessons in investing is that the prudent investor (or "value investor" if you prefer) almost invariably must forego plenty of fun at the top end of markets. This market is already no exception, but speculation can hurt prudence much more and probably will. Ah, that's life. And with a Fed like ours it's probably what we deserve.


最後の引用はGMOらしい文章で、興味深い過去の事実を紹介しています。今回の彼の発言は、ここから始まっていたようですね。

GMOが設立された1977年の10月以来、36年間が経過しました。その間で、次期選挙に向けて景気を刺激するのが論理的・経験的に必要とされる大統領任期の3年目をみると、ほかの3年間合計よりも1.5倍以上の成績でした。一方の1,2年目はまさに引き締めの時期で、それに伴って市場も不調でした。もっとも不調だった5期分の大統領任期サイクルでは、1,2年目の平均の成績はマイナスでした。一方、3期分のサイクルでは非常に好調な成績におわっています。それら3期の結果が、過剰な刺激傾向を示すグリーンスパン=バーナンキ体制に完全に帰するとは言えませんが、ほとんどはそうだと言えるでしょう。大統領任期サイクルにおける1年間とは、始まりが10月1日で終わりが9月30日であることに留意しておいてください。その3期分のサイクルでの最初の2年間のリターンをみると、1996年のときが48%、1984年が43%、2004年が19%でした。さて、次の事実はおどろくべきものです。1996年から始まるサイクルの最終年は2000年ですが、市場が暴落した年です。1984年サイクルには1987年の暴落がありました。そして2004年サイクルでは2008年の金融危機が発生しています。現在のサイクルは1年目ですでに19%上昇しています。もちろん、非常に好調な2年間にとどまらず全部よかった、となるかもしれません。はたして、どうなることでしょうか。

Since October 1977 when GMO started, 36 years have passed. In that time - when logic and experience say you stimulate to help the next election - the third year has been over 1.5 times the other three added together and years one and two, when you should be tightening, have been commensurately weak. For the weakest five cycles, the average of years one and two was negative but for three cycles it was strong, even very strong. These three cannot be blamed totally on the Greenspan-Bernanke regime's tendency to overstimulate, but mostly they can. Bearing in mind that for us Presidential years run October 1-September 30, these three two-year returns were 1996, +48%; 1984, +43%; and 2004, +19%. Now, this is the scary part. 1996 ended in the 2000 crash, 1984 in the crash of 1987, and 2004 in the financial crash of 2008. In the current cycle we are already up 19% with a year to run! Of course, it may turn out to be a very strong two years and all will be well. Who knows?

2013年7月10日水曜日

かつてないほどむずかしい投資環境(セス・クラーマン)

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経済誌Forbesで、わたしが気にいっているファンド・マネージャー4名をまとめて取り上げている記事がありましたので、ご紹介します。

Beyond Buffett: Four Other Investor Letters The Pros Are Reading (Forbes)
(プロも読む、バフェット以外の著名投資家4名がしたためた書簡から)

マスコミにあまり登場しないセス・クラーマンのコメントのみ全訳し、ジェレミー・グランサム、ボブ・ロドリゲス、ハワード・マークスの3名分は一言に要約しました。(日本語は拙訳)

ジェレミー・グランサム(GMO)
「ことがうまく進めば、風力や太陽光発電のほうが石炭火力よりも安くつく」

ボブ・ロドリゲス(FPA)
「弱気に見ている対象: 米国連邦政府」

ハワード・マークス(Oaktree)
「株式に対して強気だが、今後数年間は年率6%程度の成績があげられれば御の字」

セス・クラーマン(Baupost)
「今日の投資環境は、この30年間仕事をしてきた中でもっとも難しいものかもしれません。これは相場が下落しているからではなく、上昇しているからです。政府が誤っているからではなく、過剰な振舞いを慢性的に続けているからです。我々の洞察力や分析用の道具が欠けているからでなく、起こりうる可能性の幅が非常に広いと考えているからです。投資先の候補が見つからないわけではなく、経済や金融システムの足元がおぼつかないせいで、それらの破綻が終息せずに続くリスクが、ほかのあらゆる要因よりもずっと大きいからです」。

"Investing today may well be harder than it has been at any time in our three decades of existence, not because markets are falling but because they are rising; not because governments have failed to act but because they chronically overreact; not because we lack acumen or analytical tools, but because the range of possible outcomes remains enormously wide; and not because there are no opportunities, but because the underpinnings of our economy and financial system are so precarious that the unabating risks of collapse dwarf all other factors."

2012年12月5日水曜日

若者の車離れはどうなるのか(GMO)

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ジェレミー・グランサムのGMOで、日本の情勢や日本株の見通しを概説したホワイト・ペーパーが公表されていました。このところグランサムは日本株を推していましたが、この文章でも日本企業の見通しは前向きです。

今回はそのなかで登場した日本の「若者の車離れ」について、一節を引用します。(日本語は拙訳)

Japan: After the Quake, After the Floods (GMO)

いくつかのデータによれば、若年層で自家用車の保有率が低下している原因として、低調な所得の伸び率(車を購入できない)、好ましからざる世帯構成(同居している親の車を借りる)、都市化の進展(駐車場不足)などが示されている。このことから、問題なのは車に対する興味ではなく、所得不足によるものであり、景気が上向いて若年層にも所帯を持つのに十分な蓄えができ、郊外へ転居するようになれば、この問題は解決するかもしれない。(p.4)

Some data hint at this, but any weakness in car ownership among younger people may also reflect factors such as weak income growth (cannot buy a car), weak household formation (living at the parents’ house and borrowing the parents’ car), and increased urbanization (no place to park a car). Rather than a lack of enthusiasm for cars, the problem may be a lack of income, solved once the economy picks up and the young have enough money to get married and move to the suburbs.


個人的には、少し楽観的かなという印象を受けました。たとえば、祖父母や両親からの生前贈与で自家用車を購入すると全額が所得控除される、というように税制が変更されれば、少しは消費動向が変わるかもしれませんね。すみません、ただの妄想です。

なお、総務省の「平成21年全国消費実態調査」と平成11年の同調査を比較したところ、たしかに30歳未満や30-39歳の世帯では、単身者および二人以上世帯のいずれも保有率は減少しています。

2012年11月28日水曜日

コモディティーの価格はどうなるか(ジェレミー・グランサム)

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GMOのマネー・マネージャーであるジェレミー・グランサムによるレター(2012年第3四半期)が公開されていました。題名は「ゼロ成長へ向かって」と、景気のよくない内容です。目新しいものはそれほどありませんが、今後のアメリカは低成長が続くだろうと、いくつかの要因から予測しています。労働人口の動態やサービス型経済に関する指摘も印象に残りましたが、主役の話題は資源問題でした。今回は、今後の商品市場に対する彼の見解を引用します。(日本語は拙訳)

On the Road to Zero Growth (GMO)

資源価格はまだ20%は割高だろうと私は確信しています。その背景として、短期的には供給が追いついてきたこと、一方ではその流れの中で賢明にも延期する動きがみられること、また投機筋の動向や、直近では中国の成長が鈍化していること、つまり中期的には年率5,6%といった低成長がみえてきたことが挙げられます。(この件については我が同僚のエドワード・チャンセラーが完全に当たっていましたが、彼の予測が早すぎたか、中国が現実を認めるのが遅すぎたかのどちらかでした)。私としてはこれを乗り切るために、あらゆる商品の価格がこれからさらに20%下落してもいいように、心の準備をしています。これには穀物も含まれますが、4シーズン連続で次も世界規模の作柄不良になるとは、私にはとても想像できません。しかし20%下落した後でも、商品価格は今後10年間で2倍になり、複利計算では年率7%増となるでしょう。これは全世界のGDP成長率よりずっと大きな数字ですし、アメリカや他の先進国の成長と比較すればひどく高いものです。私の見解では、年率で7%増加するということは、コスト面におけるパラダイムシフトになるとみています。

Today, I believe that resource prices probably still have about 20% fat in them, representing short-term supply catch-up, some judicious foot dragging in increasing supply, some speculation, and, more recently, a decline in Chinese growth, which seems very likely to settle onto a materially lower trend in the intermediate term of, say, 5% or 6% a year. (In this my colleague Edward Chancellor appears to have been completely right, although either he was early or the Chinese were slow to admit reality.) To capture this I am mentally allowing for a further decline of 20% in all commodities including grains, where I cannot get my brain around the idea of a fourth consecutive terrible global growing season! However, even after an imputed 20% markdown, the prices will still have doubled in 10 years or compounded at 7% a year. This is far higher than global GDP growth and painfully higher than growth in the U.S. or other developed countries. This 7% a year increase, in my opinion, represents a paradigm shift in costs.


ちなみにGMOが運用している預かり資産は1000億ドル、円換算では8兆円です。

2012年10月30日火曜日

すでに恐れおののく1年目(ジェレミー・グランサム)

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慎重派ファンド・マネージャーのジェレミー・グランサムが、チャーリー・ローズのインタビューに応じていました。トランスクリプトがBusinessweekに掲載されていたので、一部を引用します。株式市場の騰落と大統領選周期の関連についての話題です。(日本語は拙訳)

なおチャーリー・ローズは有名人を相手にインタビューすることが多い、本人自身も有名な司会者です。全盛期の久米宏さんのような人物、といったところでしょうか。ウォーレン・バフェットも何度か対談しています。

Charlie Rose Talks to Jeremy Grantham (Businessweek)

私は大統領選サイクルを崇めてきました。1932年にさかのぼってみると、大統領の任期1年目と2年目だけをみれば、市場からのリターンは実質ベースでゼロになります。リターンはすべて、多大なる3年目とまずまずの4年目に集中しているのです。我々はこの周期を10月1日から数えはじめるので、すでに恐れおののく1年目に突入しています。共和党はきわめて脆弱な経済に財政上の制約を加えようとしていますし、ヨーロッパの状況もあります。そして中国は、驚くほどゆっくりと失速しているところです。自重するのにぴったりの年だと思います。

I've hero-worshipped the presidential cycle. Going back to 1932, if you take the first and second year together, they've had no real return in the market. All of the return has been compressed into a gigantic Year Three and a respectable Year Four. For us, the cycle years start on October 1st. So now we're in the dreaded first year. And we have Republicans threatening to add fiscal constraints into a very fragile economy. We have the European situation. We have China stumbling in an incredible slow-motion style. I think it's a really good year to keep your head down.

この発言をみかけて、初めてグランサムの文章を読んだ時のことを思い出しました。2004年のことですから、大統領選のあった年です。世間知らずの自分にとっては、なるほどと感心した文章でした。以下の図が、大統領任期の各4年間の成績を示したものです。2004年時点の資料なのでデータは少し古いですが、上記のグランサムの発言のもとになっているものと思われます。


この図の引用元は、GMOのサイトに掲載されている、以下のPDFファイルの8ページ目です。ファイルをみるには、まずユーザー登録してログインし、[Library]-[Jeremy Grantham's Letters and Articles]から次のファイル名を探してください。

Skating on Thin Ice(Jeremy Grantham - Published 1/15/2004)

2012年8月16日木曜日

GDP成長率と株式リターン率の関係(GMO)

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拝見しているブログ『賢明なる投資!バフェる!グレアムる!フィッシャる!』で取り上げられていた「GDPの伸びと株価の相関性」の話題が気になっていました。この話題は過去にも各所で登場していますが(梅屋敷さま等)、たまたまジェレミー・グランサムのファンドGMOでも似たような話題に触れていたので、要点を引用します。(日本語は拙訳)

引用元PDFファイル
Reports of the Death of Equities Have Been Greatly Exaggerated: Explaining Equity Returns

「GDP成長率と株式からのリターン率には相関がない」
株式からのリターンを理解するために初めにみるのが、GDPの成長との関係である。一言でいえば、正の相関はない。株式からリターンをあげるのに、ある程度のGDPの成長が必要というわけではない。同様に、ある程度のGDP成長が株式市場でのリターンを示唆するものでもない。このことは実証されており、例えばディムソン=マーシュ=スタウントンによる1900年から2000年までの研究結果が示している。GDPが力強く成長することは、その国の株式市場が他の国よりも好成績をあげる最大の理由であると、多くの投資家はかたく信じている。しかし図1のように、20世紀をみればこの信念はあてはまらない。




The first point to understand about stock returns is their relationship with GDP growth. In short, there isn’t one. Stock returns do not require a particular level of GDP growth, nor does a particular level of GDP growth imply anything about stock market returns. This has been true empirically, as the Dimson-Marsh-Staunton data from 1900-2000 shows. Many investors are utterly convinced that strong GDP growth is the primary reason why one country’s stock market will outperform another. As we can see in Exhibit 1, this was certainly not the case in the 20th century. (p.1)

「企業利益の成長とGDPの成長には相関がある」
もし相関があるとすれば、道理に合わなくなる。ほかの条件がすべて同じだとすると、GDPの高成長率と株式市場からの低リターンが相関することになってしまうからだ。これはどういうことだろうか。企業があげる利益はGDPに連動して成長し、そして株価は利益に連動して上昇するものではないか。企業全体でみれば利益はGDPに連動して成長するとみて然るべきだし、株式市場の時価総額は利益に連動して成長すると期待されて当然だ。図4で示すアメリカ合衆国の例ではそうなっている。


Insofar as there is any relationship here, it’s a perverse one. All else equal, higher GDP growth seems to be associated with lower stock markets returns. How could this possibly be? Don’t earnings grow with GDP and stock prices with earnings? Aggregate corporate profits should indeed be expected to grow with GDP. And overall market capitalization of the stock market should be expected to grow along with aggregate earnings, as can be seen in the U.S. (Exhibit 4). (p.1)

「急成長がゆえに、株主へのリターンをある程度減じる」
急成長を望むのであれば、それに見合った投資が必要となる。この投資の原資は、配当せずに留保した利益か、株主利益を希薄化することによって作られる(注)。実際のところ、急成長をとげる国の企業では一般的に低配当率と株主利益の高希薄化の両方がみられる。そのどちらも、急激な成長にともなう増益効果を減じ、必要以上に株主リターンを引き下げている。

The faster you want to grow, the more you will need to invest, but this investment must either come from retained earnings (forgone dividends) or dilution of shareholders. In practice, companies in fast-growing countries generally exhibit both low dividend payout ratios and high rates of dilution of shareholders, both of which hurt shareholder returns enough to more than counteract the higher aggregate profit growth associated with fast growth. (p.4)

(注)
ここでは、新株発行と同様に借入金も株主利益の希薄化とみなしている。その理由として、資金の貸し手は公式には企業の所有者ではないが、キャッシュフローに対する権利だけでなく、破産や契約違反といった状況下で適用される期待権を有していることを考慮した。

(footnote)
For this purpose, I’m counting borrowing money as well as equity issuance as dilution of shareholders. Lenders may not officially have an ownership stake in the company, but they do have a right to some of its cash flow as well as having contingent rights under certain circumstances, i.e., bankruptcy or covenant breach.

「株式からのリターンの多くを占めるのは配当である」
株式市場からのリターンをみると、全体で見て大きな影響を与えるのは配当金だ。配当は過去のほとんどにおいて、株式投資家へのリターンの多くを担ってきた。図5は複利ベースで見た実質リターン及び実質EPSの成長を、実質GDPと比較する形で示している。全企業利益の総額や株式市場での時価総額の場合とは異なり、リターンやEPS成長はGDPと連動していないことが明確にあらわれている。


When we look at stock market returns, dividends have a very large impact on the total, providing the bulk of equity investor returns for most of history. Exhibit 5 shows the compound growth of real returns and real earnings per share against real GDP. Unlike aggregate profits and market capitalization, it is fairly clear that neither returns nor EPS grow in line with GDP. (p.4)

「全体として見ると、企業収益とEPSの相関が小さい理由」
全企業利益の総額や株式の時価総額は、EPSや株主に対する複利ベースのリターンとはほとんど相関していない。新会社設立、既存企業による増資、自己株式取得、M&Aといった企業活動が行われると、EPSは総計ベースの値から乖離したものになり得るからだ。

Total corporate profits and total stock market capitalization have very little to do with earnings per share or the compound return to shareholders because new companies, stock issuance by current companies, stock buybacks, and merger and acquisition activity can all place a wedge between the aggregate numbers and per share numbers. (p.4)

2012年8月11日土曜日

10年先を見越した投資をしている人たちへ(ジェレミー・グランサム)

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マネー・マネージャーのジェレミー・グランサムのレター(2012年第2四半期)が少し前に公開されていました(こちらのファイル)。あいかわらずの弱気路線ですが、食料を中心とした資源問題をとりあげており、個人的には興味深く読みました。

今回は投資の対象として資源関連をどうみているのか、彼の意見が示されている一節をご紹介します。(日本語は拙訳)

私の考えを一行でまとめると、こうなります。「人類が直面する問題には弱気。悲しいかな、それゆえに資源投資には強気」。当然ですが資源価格の高騰は今後避けられないと、1年前のときよりも確信しています。また残念なことに、それに端を発して社会的国際的な不安定さも増していくことでしょう。だからこそ、1年前に申し上げた「生き残るための投資方針」になおさら自信がもてるのです。10年以上先を見越した投資をしなければならない人たちは、これからは資源関係を主力投資先に加える道を進んでいくべきです。私の財団はあくまでも個人的なものなので、10年超の投資期間を顧客に強いるのが難しい機関投資家とは異なっていますが、ゆくゆくは資源関係に30%を投資するよう方針を定めています。もしかしたらまるで見当違いなのかもしれないと感じつつも、最近の大幅な価格下落を注視し、買い単価を少しずつ下げてきました。その結果、私の財団のポートフォリオのうち、20%の2/3に達しています。

The one-line summary is this: I am very bearish on the problems we humans face and, sadly, very bullish on resources. Not surprising, I am even more convinced than I was a year ago of the inevitability of rising resource prices (and, unfortunately, associated societal and international instability). Therefore I am more confident in my suggested investment battle plan of a year ago. For any responsible investment group with a 10-year horizon or longer, one should move steadily to adopt a major holding of resource-related investments. For my Foundation (i.e., personally as opposed to institutionally where, reasonably enough, we cannot impose 10-year plus horizons on our clients) I had adopted 30% in resources as my eventual target and was slowly averaging in, nervous of near-term substantial price declines, but even more nervous of completely missing my own point. In my Foundation, I have currently reached about the two-thirds point of 20%.


別の投資方針としてグランサムは、資源価格高騰の影響を受けにくかったり、利益率が十分に大きな「質の高い」銘柄を勧めています。

2012年2月29日水曜日

借り手にも貸し手にもなるな(ジェレミー・グランサム)

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ファンド・マネージャーのジェレミー・グランサムによる最新のレターが少し前に公開されました。こちらのファイルです。「ポローニアスじいさんからの投資の助言」という題名で、10の助言を記しています。今回は、そのうちの1つをご紹介します。

4. 辛抱して、長期でみること
よいカードがくるまで待ってください。とにかく待ち続けて、相場がとことん安いところまで下がったら、それが安全余裕となってくれます。「とてもよい」投資が「格別な」にかわるまで、今はただ苦悩に耐えるときです。個別株はたいてい持ち直しますし、相場全体は必ずそうなります。上述の規則[本引用では省略]に従っていれば、やがては悪いニュースを乗り越えられるでしょう。

4.Be patient and focus on the long term. Wait for the good cards. If you’ve waited and waited some more until finally a very cheap market appears, this will be your margin of safety. Now all you have to do is withstand the pain as the very good investment becomes exceptional. Individual stocks usually recover, entire markets always do. If you’ve followed the previous rules, you will outlast the bad news.


最近の市場での上昇ぶりをみると、この文章は少し前に書かれたものかと思わせる節があります。そうだとしても、以前ご紹介したボブ・ロドリゲスの発言「注意!この先危険」と似ていますね。ちなみに、このお二人は早めに警告を出すタイプです。

なお、ポローニアスとはハムレットの登場人物の一人です。レターの最終ページには、ハムレット第一幕第三場のせりふが引用されています。

2011年12月9日金曜日

日本も含んでます(ジェレミー・グランサム)

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前回取り上げたグランサムが、少し前のMarketWatchのインタビュー(9月21日)で優良銘柄(=ブルーチップ)を推薦していたので引用します。最近のUS市場ではグローバル企業の多くが割安で、ほかのバリュー・ファンド・マネージャーも同じような発言をしています。(日本語は拙訳)

同氏曰く「アメリカの株式市場はまた下げ相場になり、何年間かは低水準の株価が続くかもしれません。その間のアメリカ経済の成長率は、もっと順調なときのような3.4%というわけにはいかず、2%ぐらいに低迷するのではないでしょうか」

同氏が購入を勧める株は、GMOファンドの投資方針と同じように、贅沢品ではなく生活必需品を扱っている好財務な企業です。特に、新興国市場で配当を出している企業が狙い目とのことです。彼が言うには「新興国、欧州、豪州、東アジアの中から買いたいですね。日本も含んでますよ」

He said he expects another leg down for the U.S. stock market, one where shares could stay low-priced for years while U.S. economic growth plods along at maybe 2% annually instead of the relatively more robust historical average of around 3.4%.

Grantham advised taking a page from GMO and buying shares in companies with strong finances and which produce goods that people need, as opposed to luxury items. Look for dividend-paying opportunities in emerging markets especially. “I would own emerging and EAFE (the MSCI Europe, Australasia, and Far East Index), including Japan,” Grantham said.

2011年12月8日木曜日

S&P500の10年予測(ジェレミー・グランサム)

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アメリカのファンド・マネージャーのうち、共感できる人が何人かいます。そのうちの一人、GMOのジェレミー・グランサムが書く文章は興味深く、時々読んでいます。最近はひっぱりだこで忙しいらしく、ようやく公開された今回のレターThe Shortest Quarterly Letter Ever(December 2011)はメモを箇条書きした程度にとどまっています。

弱気筋というか慎重派で知られる同氏ですが、今回の図表も弱気です。グリーンスパンがFRB議長になる以前の株式バブル10回と同じように株価が調整したら、S&P500の今後10年間がどうなるかを示しています。レターの3ページの図です。








この図のとおりには推移しないと思いますが、ちょっと慎重になってしまいますね。