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2015年1月8日木曜日

2014年の投資をふりかえって(2)シルバーの価格及び需給動向

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昨年は主にシルバー(銀)に関する対象へ投資しました。今回は話題の前半として、シルバーに関する一般的な動向に触れておきます。

1. 価格動向
シルバーのスポット価格(2000年以降)

日本で大地震があった2011年の4月に高値48ドル台に達して以来、シルバーの価格は3年以上にわたって下落しつづけてきました。2014年12月末のスポット価格は15.5ドルと、高値の1/3まで下落しました。年初比では19.43ドルからなので、約20%の下落です。個人的には18ドルを下回り続けることはないだろうと考えていたのですが(参考記事)、その一線を超えて3か月以上が経った今でも18ドルを回復できていません。

シルバーのスポット価格(2014年)

昨年の下落傾向は単一のものではなく、2つの期間あるいは要因に分別できるととらえています。上の図をみればわかるように、前半の6月末までは下落局面ながらも反発を繰り返しており、18ドルは割り込んでいませんでした。しかし7月以降に米ドルの上昇が始まると、他の通貨や資源と同様に継続的な下落を始めました。そのため円ベースでみると、7月以降のシルバーの価格下落はそれほど厳しいものではないことがわかります(下図)。

円換算によるシルバーのスポット価格(2014年)

シルバーの価格を事実上決定しているのは、アメリカの先物市場であるCOMEX(Globexも含む)です。現在の先物市場は一部の限られたプレーヤー(主に大銀行)が活躍している場であり、価格を誘導することもできます。さらに言えば、シルバーの価格の方向性はゴールドの価格によって決定され、ひいては主要国中央銀行や政府の思惑が影響していると思われます。

2. 需給動向
以前の投稿では、主に生産者によって構成されている団体The Silver Instituteが公開している2010年の調査結果をとりあげました。今回はその3年後にあたる2013年の統計(同書p.7に掲載)を引用します。

World Silver Survey 2014 A Summary [PDF]

<需要>

(単位: Moz(ミリオン・オンス))
種別2010年2013年
産業用途487.4536.2
写真72.750.4
宝飾品167.0198.8
銀食器50.350.0
コイン等101.3245.6
(小計)878.71081.1
正味投資分178.0-96.0
(合計)1,056.8985.1

上の表で正味投資分がマイナス96.0Mozというのは、総体としての投資家が手持ちの在庫を売り越して供給不足を補ったことを意味しています。

2010年は金融危機が発生してそれほど時間がたっていない時期で、経済が大きく停滞し、シルバーの需要も落ち込みました。その年と比較しているので数字の増加率は重要な指標にはならないと思いますが、定性的な傾向はつかめると思います。

・写真用途の減少量よりも産業全般の増加量が上回ってきています。写真用途は50Mozと全体に占める割合が小さくなり、需要減退への影響度が縮小し続けます。

・産業用途のうち太陽光発電パネル向けの長期的な需要増加が予想されています。ただし実際の需要には波があり、報告書の本文によれば、2013年に需要が縮小した地域があると記されています(たとえばアメリカ)。最近の原油価格の下落も太陽電池には向かい風になるため、この分野での需要は横ばいが続くかもしれません。

・一方で特筆すべき点は、コインやバーの需要増です。シルバーの著名アナリストであるテッド・バトラーは、J.P.モルガン・チェースがそれらを買い込み、ETFからも現物を引き出し、デリバティブの売建玉を相殺する以上の現物を保有するに至った、と読んでいます。たしかにアメリカ造幣局等のシルバー・コインの出荷数量は、数年前とくらべて大きく増加しています。しかし彼の予想がはずれていたとしても、価格下落局面で需要を増加させるという経済学的に正当な購買者がいることは、今後数年間の総需要量を占う上で大きな要因として考えてよいのかもしれません。

<供給>

種別2010年2013年
鉱山からの新規産出735.9819.6
政府部門による売却44.87.9
スクラップ215.0191.8
鉱山会社の正味ヘッジ売り61.1-34.3
(合計)1,056.8985.1

・採鉱・生産する金属の価格が下落中の局面では、鉱山会社はキャッシュフローの減少を補うために生産量を増加させる傾向があります。それも手伝っているせいか、近年は生産量が増加しています。ただし調査会社ロイターGFMSの報告では、2015年以降は生産量が減少すると予測しています。

・政府部門からの売却は、2011年以後のデータを見る限り激減しています(同報告書p.9)。

・鉱山会社のヘッジ売りとは、先物市場であらかじめ売り建てておき、収益を確定させる手段などを指します。数字がマイナスになっているということは、総体としての生産者が流通を絞ったり先送りしていると解釈できそうです。

・シルバーを生産する鉱山会社には2種類あります。ひとつは主にシルバーを含む鉱物を採掘する会社です。もうひとつは他の資源(ゴールド、銅、鉛、亜鉛等)を主に含む鉱物を採掘し、その副産物としてシルバーも生産する会社です。以前にも述べましたが(過去記事)、シルバー主体の会社にとって現在の価格水準では会計上の利益が大幅に減少し(あるいは赤字)、会社の余命(あるいは株主価値)を削っているような状況です。

・しかしシルバーの供給量の多く(約70%)を担うのは、もう一方の種類の鉱山会社です。たとえば以下のサイトではシルバーの生産量上位10社が挙げられています。その中でシルバー主体の会社は2社ほどです。

World's top 10 silver producers updated – companies & countries (Mineweb)

シルバーを主体としないそれらの鉱山会社は、金属価格の値動きが相対的に小さいために、企業の体力も現在のところは安定的です。そのためシルバーの価格が下落しても、採算が合わないために採掘を休止する可能性は非常に小さく、シルバーの供給が急減するリスクは考えにくいものです。

ただしシルバーだけでなく、他の金属(特にゴールドや銅)の価格も低い状況がつづくことも考えられます(現在の状況です)。多額の資金を必要とする大型の鉱山開発プロジェクトは、ここぞという苦境で延期される傾向があります。そのようなプロジェクトは再開されても、商業生産開始までに余計な手続きや作業を必要とします。ですから、現在のような金属価格の状況がつづいて新規鉱山開発が停滞すると、既存鉱床の品位低下を補えずにシルバーの供給量が減少するサイクルへといずれ遷移します。そこまでいくと直近で供給不足を埋められるのは、ETFなどの形ですでに地上在庫となっている現物やスクラップになります。

現在の価格下落に伴って、シルバーのETFやコイン、宝飾品といった地上在庫の需要が増加しています。これを裏返せば、つまり価格が反転して十分に上昇すれば、これまでに在庫となった現物が流通市場に戻って供給不足を埋める可能性はほぼ確実です。そのため、鉱山側の総供給量がしばらく回復しない状況になったとしても、「価格が上昇するのであれば」需要を満たす現物が中期的に不足することはないと想像します(USGSが出した2014年の報告[PDF]からデータを借りれば、現状の生産量が続く仮定での可採年数は、単純計算で約20年間です)。もちろん価格上昇に伴って新規に加わる投資家の需要も大きくなるはずです。その場合、新規投資家と産業需要家による価格の競り合いが起こるのではないでしょうか。そのような局面がつづけばブームとなり、やがてはさまざまな供給体制が追いついて需給のバランスが落ちつき(あるいは崩れて)、価格はふたたび下落するでしょう。しかし「今」がそのようなブームの局面ではないことは明らかです。

上のほうの文章で、「シルバーの価格を決めているのは先物市場である」と書きました。しかし現物の受け渡しを伴う市場において極端な価格変動が進めば、最後に大きな影響力を発揮するのは「現物を供給する能力」だと想像しています(そのほかに、市場のルールを変更するという強制力も考えられますが)。

2014年1月8日水曜日

2013年の投資をふりかえって(2)継続投資銘柄:シルバー(銀)

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シルバー(銀)への投資時期は2012年からではないのですが、何度か話題にとりあげているので現状を記しておきます。シルバーは2005年から投資しはじめ、途中で何度か全売却してきましたが、現在はあらためて買い増しの局面です。

■シルバー(現在の投資対象の銘柄:SLV)

<価格の動向>
メディアでも取り上げられていたように、他の商品と同様、シルバーも大幅に下落した1年でした。年初のスポット価格が30.34$、年末は19.43$でした。36%の下落です。


<投資方針>
下落に応じて適宜追加購入しました。現在の価格水準であれば強気でいます。その理由を以下に記します。


1. (需要面)工業用途の需要が今後も伸びると思われること
今後のエネルギー動向において「電気」というエネルギー形態の利用用途や範囲はますます広まるでしょうし、太陽光を利用した発電も漸増するとみています。シルバーは金属中で最高の導電率や反射率(可視光)を持ち、またゴールド(金)とくらべて単価が安いことから、それらなどの工業分野で素材として広く使われています。将来における経済発展と効率化を指向したエネルギー消費の増大という観点からみて、シルバーに対する需要はひきつづき増加すると予想します。

統計資料によれば、景気拡大がつづいた2003年から2008年までは工業用途での需要は増加していました。一方、2009年の金融危機で大きく落ち込んだ需要が2010年に回復した後、この数年間は減少しています。この統計値の信頼性は判断しかねますが、10年来の傾向としては横ばいあるいは漸増とみてよいかと思います。

(出典: World Silver Survey 2013 A Summary pdfファイル11ページ目)

2. (需要面)価値貯蔵手段として認知・選好されていること
シルバーは歴史的に「マネー」の主役だったため、価値貯蔵手段として認知されており、特に中国及びインドでその傾向が顕著です。人口が多い2つの新興国でこのような傾向があり、また実需として実体化してきたことは、需要面で今後も追い風になると予想します。

上に記した2種類の需要を合わせると、シルバーの総需要の7,8割を占めます。残りは宝飾品と写真用途、銀食器などです。つまり上述した両者の動向が需給に大きく影響を及ぼすことになります。

3. (価格面)現在の価格水準が生産者コストとほぼ同等であること
現在の市場価格は鉱山会社の総コスト(産出・製錬コスト + 事業継続上のコスト)に近い水準まで下がってきました。鉱山側のコストダウンの余地はあるものの、それは現在および将来の供給を減じるものとなります。そのため、供給面からみて現在の価格が長期的(3年以上)に継続する可能性は低いと予想します。たとえばシルバーの主要生産者であるPan American Silver Corp.(PAAS)の2013年度第3四半期のIR資料によれば、3Qのコストは16.26$ですが、通年では18.86$となっています。たとえば探鉱プロジェクトを延期してコストを抑え、収益改善を図っています。

(出典: 同社IR資料、2013/8/15付 "Q2 2013 CONFERENCE CALL PRESENTATION" 18ページ目)

以前ご紹介したシルバーのアナリストであるテッド・バトラーは[過去記事など]、シルバーの価格が低いのはアメリカの大銀行JPモルガン・チェースによる価格操作の影響が大きいと主張しています。彼の主張もそれなりに説得力があり、その説を信じたい気持ちもありますが、今は単純に価格とコストに注目しています。

2013年4月16日火曜日

金銀など大幅下落

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銀(シルバー)の話題は久しぶりになります。昨日の銀CMEスポットの終値は$22.66(-3.23, -12.48%)、銀ETFのSLVは$22.09(-3.19, -12.62%)でした。これで2010年秋の水準まで戻したことになります。動くのが早すぎると毎度感じているのですが、SLVの買い増しを始めました。以前に$15以下ならば現物を買いたいと書きましたが(過去記事)、もう少し前倒しでもいいかという思いもあります(たとえば$18)。


ところで今回は金(ゴールド)の下落率も銀と同じぐらい大きかったようですね。このところみられなかった見事なチャートです。

2012年11月28日水曜日

コモディティーの価格はどうなるか(ジェレミー・グランサム)

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GMOのマネー・マネージャーであるジェレミー・グランサムによるレター(2012年第3四半期)が公開されていました。題名は「ゼロ成長へ向かって」と、景気のよくない内容です。目新しいものはそれほどありませんが、今後のアメリカは低成長が続くだろうと、いくつかの要因から予測しています。労働人口の動態やサービス型経済に関する指摘も印象に残りましたが、主役の話題は資源問題でした。今回は、今後の商品市場に対する彼の見解を引用します。(日本語は拙訳)

On the Road to Zero Growth (GMO)

資源価格はまだ20%は割高だろうと私は確信しています。その背景として、短期的には供給が追いついてきたこと、一方ではその流れの中で賢明にも延期する動きがみられること、また投機筋の動向や、直近では中国の成長が鈍化していること、つまり中期的には年率5,6%といった低成長がみえてきたことが挙げられます。(この件については我が同僚のエドワード・チャンセラーが完全に当たっていましたが、彼の予測が早すぎたか、中国が現実を認めるのが遅すぎたかのどちらかでした)。私としてはこれを乗り切るために、あらゆる商品の価格がこれからさらに20%下落してもいいように、心の準備をしています。これには穀物も含まれますが、4シーズン連続で次も世界規模の作柄不良になるとは、私にはとても想像できません。しかし20%下落した後でも、商品価格は今後10年間で2倍になり、複利計算では年率7%増となるでしょう。これは全世界のGDP成長率よりずっと大きな数字ですし、アメリカや他の先進国の成長と比較すればひどく高いものです。私の見解では、年率で7%増加するということは、コスト面におけるパラダイムシフトになるとみています。

Today, I believe that resource prices probably still have about 20% fat in them, representing short-term supply catch-up, some judicious foot dragging in increasing supply, some speculation, and, more recently, a decline in Chinese growth, which seems very likely to settle onto a materially lower trend in the intermediate term of, say, 5% or 6% a year. (In this my colleague Edward Chancellor appears to have been completely right, although either he was early or the Chinese were slow to admit reality.) To capture this I am mentally allowing for a further decline of 20% in all commodities including grains, where I cannot get my brain around the idea of a fourth consecutive terrible global growing season! However, even after an imputed 20% markdown, the prices will still have doubled in 10 years or compounded at 7% a year. This is far higher than global GDP growth and painfully higher than growth in the U.S. or other developed countries. This 7% a year increase, in my opinion, represents a paradigm shift in costs.


ちなみにGMOが運用している預かり資産は1000億ドル、円換算では8兆円です。

2012年8月3日金曜日

シルバーの需要動向(2011年)

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最近は値動きが小さいかあまり注目されていないシルバー(銀)ですが、その動向は適宜追いかけるようにしています。シルバーの著名なアナリストであるテッド・バトラーによると、シルバーの相場はごく少数のJPモルガン・チェースのような大銀行によって操作されているとされています。そのため短期的な価格を推し量りたければ、それらの動向を考慮する必要があるかもしれません。一方、中長期の値動きとなると、他の商品と同様に需給の力関係がきいてくるようです。今回は、その需要動向に関する話題です。

シルバーの生産者等による業界団体The Silver Instituteが、2011年度の概況を最近公開しました(World Silver Survey 2012 A Summary)。それによれば、シルバーの加工用需要(つまり純投資用を除いたもの)は前年比で1.5%減になったとのことです。


今回同書から引用するのは、比率の最も大きい産業向け需要に関する一節です。(日本語は拙訳)

産業用途における需要は、通年で2.7%減の48,650万オンスとなった。第4四半期になって想定以上に需要が後退したため、第1四半期での増加分は帳消しになった。2011年末にみられた需要後退の原因は、主として最終ユーザーである需要家が欧州財政危機による[ユーロ]離脱を懸念して発注を控えたことによるものだった。また一部の用途では価格高騰に伴う節減や他材料による代替もいくぶんみられ、需要減の一因となった。セクター別に見ると、太陽光関連の減少がもっとも目を引いた。ただし潜在的な需要が減少したことよりも、在庫過剰の問題が大きかった。アメリカにおける昨年の需要減の大半がこれに起因するものだったが、絶対額ベースでは日本での減少が大きかった。とくに第4四半期にはエンドユーザーからの受注減がひどかった。絶対額の変動が3番めに大きかったのは中国だが、これは5%にのぼる増加であり、過去最高を記録した。

A largely unexpected slump in industrial demand during the fourth quarter outweighed strong first half gains, generating a full year loss of 2.7% to 486.5 Moz (15,132 t). The weakness seen late in 2011 was chiefly the result of industrial end-users slashing orders due to fears over the fallout from the Eurozone’s sovereign debt crisis. There was also a degree of pressure on offtake from price-led thrifting and substitution in some areas of industrial use. On a sectoral basis, the main feature last year was a fall in photovoltaic demand, which resulted from inventory mismatches, rather than a drop in underlying demand. That also explains much of US losses last year, although its absolute fall was just eclipsed by Japan, which suffered more from the fourth quarter drop in end-user orders. The third largest absolute change related to China but in this instance it was a rise of nearly 5% to a new record.

蛇足になりますが、個人的な見解としては、エネルギー消費が増大しつつも二酸化炭素の排出を抑えることが強く要求される時代においては、シルバーの有用性が下がることはないと考えています。その上で価格がどこまで許容できるのかは、使用用途によって異なってくると捉えています。

2012年3月30日金曜日

シルバーの投資でいちばんへまをやった人

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ウォーレン・バフェットに対する反論としてマーク・ファーバーの見解を以前ご紹介しましたが(過去記事)、今回はシルバー陣営からのものをご紹介します。Jim Cookという、シルバー・アナリストのエッセイREMEMBER SILVERから引用します。(日本語は拙訳)

先日、ウォーレン・バフェットがゴールドについて否定的なコメントを出したので、ウォール街の住人やワシントンの役人たちを刺激したようです。ゴールドの信奉者は怒り心頭ですよ。しかし、バフェット氏の矛先がシルバーには向いていなかったのは、なぜでしょう。それは、彼こそがシルバー投資でいちばんへまをやった張本人だったからかもしれませんな。なにせ、一時期は世界中のシルバーの供給量の37%を保有していたんですよ。1オンス6ドル平均で1.3億オンス[合計で約800億円]買ったのが、1998年の5月。ところが2006年になって1オンス7.5ドルで売ってます。もし2010年まで我慢していれば、50億ドル[4000億円]の利益がでたでしょうに。そうそう、2006年にこういってましたな。「早く買ったのですが、早く売ってしまいました。シルバーは失敗しました」

His recent negative comments on gold titillated the Wall Street and Washington establishment. Gold bugs seethed with resentment. However, Mr. Buffett didn’t mention silver in his latest barrage of opinions. That’s probably because he’s the dumbest silver investor in history. At one time he owned 37% of the worlds known silver supply. In May 1998 he purchased 130 million ounces of silver at an average price of $6.00. He sold it in 2006 for $7.50 an ounce. If he had held it until 2010 he would have made a profit of $5 billion. He commented in 2006 that “I bought early and sold early. Silver was my fault.”

シルバーでの失敗というとハント兄弟のほうが有名ですが、あちらは「投資」ではなく「投機」といったところでしょうか。

さて、ここでご紹介したかったのは、実はこの一節ではなく、同じサイトに転載されているTed Butlerの文章です。過去のものがこちらに一覧されています。テッドは、世界でいちばん信頼されているであろうシルバーのアナリストで、わたしがシルバーに投資しはじめたのも彼の文章を読んだのがきっかけでした。ネタが少ないので話題が繰り返されていますが、基本的な知識を得るには役に立つかと思います。

最近はゴールドと共にシルバーの価格も下がってきており、再び注視する時期がやってきました。

2012年3月10日土曜日

マーク・ファーバー対ウォーレン・バフェット

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マーク・ファーバーは逆張りで有名な投資家です。見た目がちょっとこわいおじさんですが、切れ味のよい論理的な主張で人気があります。ジム・ロジャーズと同じように、ここ何年かは商品強気を説いてきました。今のところは当たってますね。

先日ご紹介したバークシャー・ハサウェイの「株主のみなさんへ」では、ウォーレン・バフェットは彼らしい表現でゴールドに対する懐疑的な評価を展開していました。今回ご紹介するのは、マーク・ファーバーによる逆の見解です。引用元の記事はBuy Gold “Right Away” Says Marc Faberです。(日本語は拙訳)

最近になってウォーレン・バフェットが、資産としてのゴールドを否定的にみる見解を表明したが、いうまでもないがファーバーは強く反対している。ゴールドを保有していない投資家は大きなリスクに直面している。ファーバーは幾度もそう述べてきた。債務不履行とか、G7各国の中央銀行が協調して自国通貨を減価させるようなこともありうる。それらのリスクはまだ消えていない、と彼は確信している。

ファーバーは言う。「ゴールドをぜんぜん保有していない?私なら今すぐ買い始めますよ。ただし、値段は下がるかもしれないのをお忘れなく」

Without saying so, directly, Faber disagrees strongly with Warren Buffett’s recent and controversial negative assessment of gold as an asset. Faber has stated on numerous occasions that investors who own no gold take on enormous risk, including debt defaults and/or currency devaluations, as central banks of the G-7 seek to simultaneously devalue its respective currencies. He believes those risks remain alive and well.

“If you don’t own any gold, I would start buying some right away, keeping in mind that it could go down,” states Faber.


こちらは、ゴールドの現在の価格水準についての見解です。

ゴールドがバブルかどうか議論されているが、ファーバーはそのような説は抱いていない。ゴールドにはバブルの兆候がみられない、と彼は何度も言ってきた。ゴールドを保有している投資家はほとんどいないのだから、「ナスダックや不動産に投資すれば金持ちになれると言われたけれど、今回もそれと同じだ」というような雑音は気にしないように、とも。

「ゴールドはバブルではない。まだバブルじゃなかった1973年には、40%も調整したのだ」とファーバーは言う。200ドルの記録的な水準をつけたあとに100ドル近くさがったときの、否定的だった見方を振り返った。

As far as the debate whether gold is in a bubble, Faber doesn’t hold to that thesis. He, on several occasions, has said the signs of a bubble in the gold market aren’t there. So few investors hold any gold, never mind raving about it as a road to riches, as was the case of the Nasdaq and real estate.

"No, gold is not in a bubble. It wasn’t in a bubble in 1973, either, but it still corrected by 40% then," says Faber, referring to the negative sentiment at that time in the gold market after the price sank to nearly $100, from a record high of $200.


2000年前半には、ウォーレンもシルバーを大量に買い集めていました。価格が大きく上昇する前に処分してしまいましたが、商品の動向は引き続き監視していると思います。単なる予感にすぎないのですが、ウォーレンは今後のゴールド・バブル(とその後の急落)を想定し、警告の意味を含めてあのような文章を書いたのかもしれません。

2012年2月11日土曜日

ゴールドや債券よりも株式がよい理由(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットはアメリカの経済金融誌Fortuneに時折寄稿していますが、今週号(2/27)の記事Warren Buffett: Why stocks beat gold and bondsでは代表的な投資先3つ(株式、債券、金)のうち、株式がよいことを改めて説いています。ウォーレンがきまぐれに話題を取り上げることは少ないので、それなりのサインや警鐘をこめているかと思われます。一部を抜粋してご紹介します。(日本語は拙訳)

まずは債券などの通貨ベースの投資についてです。

通貨に裏付けられた投資先としては、MMF、債券、モーゲージ証券、銀行預金などがあります。それらはたいてい安全な投資とみなされていますが、実際は最も危険な資産に含まれるものです。ベータ[=価格変動の相対的な度合い]はゼロかもしれませんが、リスク[=バフェット言うところの購買力の低下]は大きいのです。

数世紀にわたって、それらの投資対象は多くの国で投資家の購買力を低下させてきました。発行条件通りに利息が支払われ、満期償還されてもです。この好ましからぬ事態は、今後も繰り返されることでしょう。各国政府は貨幣の究極的な価値を決定しますが、ときにはシステミックな要因が働いて、インフレを招くような政策をとらせることにもなるでしょう。が、そのような政策は、ときには手のつけようがなくなるものです。

Investments that are denominated in a given currency include money-market funds, bonds, mortgages, bank deposits, and other instruments. Most of these currency-based investments are thought of as "safe." In truth they are among the most dangerous of assets. Their beta may be zero, but their risk is huge.

Over the past century these instruments have destroyed the purchasing power of investors in many countries, even as these holders continued to receive timely payments of interest and principal. This ugly result, moreover, will forever recur. Governments determine the ultimate value of money, and systemic forces will sometimes cause them to gravitate to policies that produce inflation. From time to time such policies spin out of control.


現在の状況では、通貨関連の投資には手を出したくありません。それでも、バークシャーとしては、主に短期のものになりますが、その手の投資先に多大な資金を投じています。

Under today's conditions, therefore, I do not like currency-based investments. Even so, Berkshire holds significant amounts of them, primarily of the short-term variety.


次に、ゴールドへの投資についてです。

この手の投資が成功するには、買い手が増えていかなければなりません。同様にその買い手たちも、これからも別の買い手が増えると信じているからこそ、集まってくるのです。つまり保有者たちの心にあるのは、資産自体が何かを生みだすかではなく、むしろ他人がもっと熱心に欲するだろうと信じていることなのです。まあ、ゴールドはこれからもじっとしたままでしょうが。

This type of investment requires an expanding pool of buyers, who, in turn, are enticed because they believe the buying pool will expand still further. Owners are not inspired by what the asset itself can produce -- it will remain lifeless forever -- but rather by the belief that others will desire it even more avidly in the future.


確かに、ゴールドは産業用や装飾用にも使われています。しかし、それらの需要は限られており、新産金を吸収できるほどではありません。

True, gold has some industrial and decorative utility, but the demand for these purposes is both limited and incapable of soaking up new production.


今日では、世界中のゴールドは合計で17万トンになります。これを全て集めて溶かすと、一辺が20メートル強の立方体をつくれます。野球場の内野にすっぽり入るような感じの大きさです。現在の価格が1オンス1,750ドルなので、立方体全部では約750兆円です。この立方体を「金の山」[pile Au]と呼びましょう。

次に、同じ金額をかけて「商いの山」[pile Business]を作ってみましょう。まずアメリカ合衆国の全ての農地を買い上げます。総面積は160万平方キロメートルで[=およそ日本4個分]、毎年の生産高は16兆円になります。それからエクソン・モービル16社分を付け足します。同社は純利益3.2兆円で、世界で最も利益をあげている企業です。それだけ買っても、手元にはまだ80兆円残ります(これだけ派手に買い物をした後ですから、すっからかんになったとは感じないでください) 。どうでしょう、750兆円を持っている投資家が「商いの山」をやめて「金の山」を選ぶなんて、想像がつくでしょうか。

Today the world's gold stock is about 170,000 metric tons. If all of this gold were melded together, it would form a cube of about 68 feet per side. (Picture it fitting comfortably within a baseball infield.) At $1,750 per ounce -- gold's price as I write this -- its value would be about $9.6 trillion. Call this cube pile A.

Let's now create a pile B costing an equal amount. For that, we could buy all U.S. cropland (400 million acres with output of about $200 billion annually), plus 16 Exxon Mobils (the world's most profitable company, one earning more than $40 billion annually). After these purchases, we would have about $1 trillion left over for walking-around money (no sense feeling strapped after this buying binge). Can you imagine an investor with $9.6 trillion selecting pile A over pile B?


最後に、株式投資についてです。

我が国のビジネスは、市民の求める商品やサービスを効率的に提供し続けるでしょう。たとえてみると商業的な「牛」といえるものですが、世紀をこえて生き永らえ、ますます大量の「ミルク」を出してくれるのです。その価値は交換手段[=貨幣]によってではなく、どれだけ「ミルク」を出してくれるかで決まるものでしょう。ミルクの売上から得られる利益は複利で増えて飼い主へ報います。20世紀の間に、ダウ平均が66から11,497へ上昇したようにです。(それから、配当も山ほどありました)

Our country's businesses will continue to efficiently deliver goods and services wanted by our citizens. Metaphorically, these commercial "cows" will live for centuries and give ever greater quantities of "milk" to boot. Their value will be determined not by the medium of exchange but rather by their capacity to deliver milk. Proceeds from the sale of the milk will compound for the owners of the cows, just as they did during the 20th century when the Dow increased from 66 to 11,497 (and paid loads of dividends as well).


バークシャーは、第一級のビジネスをより多く所有することを目標としています。できればまるごと所有したいのですが、それなりの量の株式を保有することもあります。この種の投資はある程度の期間でみれば、先にあげた3種類の投資の中で大きな勝ちをおさめるものと信じています。そして、ずっと大切なのは、もっとも安全だろうということです。

Berkshire's goal will be to increase its ownership of first-class businesses. Our first choice will be to own them in their entirety -- but we will also be owners by way of holding sizable amounts of marketable stocks. I believe that over any extended period of time this category of investing will prove to be the runaway winner among the three we've examined. More important, it will be by far the safest.


ウォーレンの主張は常に一貫しており、少し先の未来をみすえています。必ず当たるわけではないですが、彼やチャーリー・マンガーによる予兆めいた発言には、耳を傾けたいと思います。個人的には少しばかり銀に投資しているので、ちょっと耳の痛い話でした。

2011年12月29日木曜日

銀に関する基本知識(1)需要と供給

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12/28も銀CMEスポットは下落し、終値が$27.15(-5.50%)となりました。今夜はETFのSLVを少し買い増しします。








さて、今回は銀の需給動向について基本情報をご紹介します。わかりやすい参考資料がThe Silver Instituteにあります。World Silver Survey 2011 A Summaryです。

以下は、同書p.6にある2010年の世界の銀需給動向です。(日本語訳は拙訳)
単位は、Moz(ミリオンオンス)です。

■供給
鉱山からの新規産出 735.9
政府部門による売却 44.8
スクラップ 215.0
鉱山業者のヘッジ売り 61.1
--------------------------
合計 1,056.8

■需要
産業用途 487.4
写真 72.7
宝飾品 167.0
銀食器 50.3
コイン 101.3
純投資 178.0
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合計 1,056.8

需給の両側の合計値が一致しているのは、需要側の純投資の値で帳尻を合わせているためです。

ここ10年ほどの需要動向の推移はp.10に載っています。総需要はほぼ横ばい状態だったのですが、構成比は変化しています。デジカメが主流となったことで写真用途が漸減する一方、産業用途が漸増しています。しかし写真向けはもはや70Moz強しか使われておらず、減りしろはあまり残っていません。銀の電気的特性を考えると今後も産業用途は増加すると思われるため、総需要は漸増すると個人的には予想しています。

2011年12月28日水曜日

銀価格は引き続き低迷

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今年の銀の価格は、結局は年初と同じ水準に落ち着きそうです。夏まではマーケットの様子を追っている時間が取れなかったのですが、こうして落ち着いて値動きを見ると、5月と9月の大きな下落はほんの数日間に集中していますね。









前の2年間の上昇が大きかったので乗り遅れたかとやや後悔していましたが、最近の価格下落傾向が続いてくれれば、願ったりかなったりです。ただし、急いで買いすぎないように注意が必要ですね。$15以下であれば、現物でも買いたいです。



2011年12月15日木曜日

金銀スポットも下落(2011/12/14)

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金と銀の値段がさがってきました。昨日の銀CMEスポットの終値は$29.02、銀ETFのSLVは$28.07です。3ヶ月ほど前に話題にしたときの水準に戻りました(9/23(金)のSLVは$29.98)。以下はCMEスポットの3年チャートです。









少しずつですが、またSLVを買い始めました。一方、株式のほうは静観中です。

2011年10月19日水曜日

11/18,貴金属はどうなった?

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先日の書き込みの関連ですが、アメリカのデリバティブ取引の監督官庁CFTCは10/18の会合で、商品先物取引等において一社あたりの建玉上限を設けることを3対2の賛成多数で決定しました。米ブルームバーグが報じています

Oct. 18 (Bloomberg) -- The top U.S. derivatives regulators voted 3 to 2 today to curb trading in oil, wheat, gold and other commodities after a boom in raw-materials speculation, record- high prices and years of debate and delay.

とはいっても、上限が適用されるのは"swap"を規定してから60日後で、いつごろになるのか当局は回答せずとのことです。当月限以外の制限は2012年末からとしているので、マーケットで動きが出てくるのは来年のことでしょうか。

The commission estimates that the limits will affect 85 energy traders, 12 metals traders and 84 traders of certain agricultural contracts. The caps will go into effect 60 days after the agency defines the term “swap.” The agency declined to estimate when that will be. Limits outside the spot month are likely to go into effect in late 2012.

2011年10月17日月曜日

いよいよ明日10/18、どうなる貴金属

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ゴールドやシルバー等の商品はUS先物市場での不正操作が疑われてきましたが、明日10/18に管轄当局であるCFTCが過剰な建玉を制限する規制について採決することとなりました。先週のロイターの記事からの引用です。
The head of the U.S. futures regulator has the support he needs to pass a long-awaited rule that would curb excessive speculation in commodity markets, a source with knowledge of the agency's rule-making told Reuters on Tuesday.

The U.S. Commodity Futures Trading Commission announced on Tuesday that it would vote on October 18 on a rule limiting the number of contracts any one speculative trader could hold in commodity markets.

採決を二度も延期していましたが、上院議員から10/6に委員会で証言するよう迫られていました。ブルームバーグの記事になります。
The U.S. Commodity Futures Trading Commission, which has yet to complete Dodd-Frank Act limits on excessive speculation, will face scrutiny about the trading curbs at an Oct. 6 hearing led by Senator Carl Levin.

ところが、10/18の実施を確約したとのことで、委員会出席はキャンセルされました。ロイターの記事です。
WASHINGTON, Oct. 4 (Reuters) - A U.S. Senate watchdog has
canceled an Oct. 6 hearing focused on excessive speculation
after the futures regulator said it would finalize new trading
curbs later this month, the head of the panel told reporters on
Tuesday.

The U.S. Commodity Futures Trading Commission has set "a
fixed date" of Oct. 18 to vote on a measure that would limit
the number of contracts any one speculative trader could hold
in commodity markets, said Senator Carl Levin, head of the
Senate's Permanent Subcommittee on Investigations.

個人的にはシルバー(銀)の動向に注目しています。JPモルガン・チェースのショート・ポジションが一体どうなるのか。おそらく抜け道が用意されると思いますが、見ものですね。