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2018年4月16日月曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(4)正しい生き方とは

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前回に続いて、デイリー・ジャーナル社株主総会でチャーリー・マンガーが発言した内容です。短いですが、大切なことがすし詰めの文章です。(日本語は拙訳。意味段落での改行追加あり)

だからと言って、我々のしてきたことや心構えが時代遅れで、もう役に立たないと言っているわけではないですよ。今はただ見込みが薄いというだけです。「釣り人のおきて」というのがありますが、これは秀逸です。釣りをする上での規則、その1が「釣りたい魚のいるところで釣れ」、その2が「規則その1を忘れるな」[過去記事]。投資においても同じことが言えますね。魚がたくさん集まっている場所では、釣り人の腕前の良さを気にする必要はありません。しかし大量に釣り上げられた場所では、どれほどの腕利きでもさしたる釣果はあげられないでしょう。現在のこの世界をみれば、いたるところが後者に当てはまります。

しかし、それで意気消沈するのは違いますね。そうではなく、人生とは先の長いゲームで、易しい時期もあればむずかしい時期もあり、好機がやってくれば不運に見舞われることもあるわけです。だから正しい生き方とは、「あるがままを受けいれ、最善を尽くす」、そう歩むことです。年を取るまでには、みなさんにも好機がやってくるでしょう。一生の間に二度ばかり、それで打ち止めかもしれません。しかし、そのうちの一度でも物にできれば上出来ですよ。さあ、偉ぶった物言いはここまでにして、質問を受けましょう。

That’s not to say what we did and the attitudes that we had are obsolete or won’t be useful, it’s just that their prospects are worse. There’s a rule of fishing that’s a very good rule. The first rule of fishing is “fish where the fish are”, and the second rule of fishing is “don’t forget rule number one.” And in investing it’s the same thing. Some places have lots of fish and you don’t have to be that good a fisherman to do pretty well. Other places are so heavily fished that no matter how good a fisherman you are, you aren’t going to do very well. And in the world we’re living in now, an awful lot of places are in the second category.

I don’t think that should discourage anyone. I mean life’s a long game, and there are easy stretches and hard stretches and good opportunities and bad opportunities. The right way to go at life is to take it as it comes and do the best you can. And if you live to an old age, you’ll get your share of good opportunities. It may be two to a lifetime, that may be your full share. But if you seize one of the two, you’ll be alright. Well with that pontification done, I’ll take questions.

2018年4月12日木曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(3)そう簡単には大儲けできない

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前回に続いて、デイリー・ジャーナル社株主総会でチャーリー・マンガーが発言した内容をご紹介します。(日本語は拙訳。意味段落で改行追加しました)

[29:59]

資産運用業界における報酬体系、これは実におもしろいですね。昔から多額の資金を扱ってきた存在として、例えばマサチューセッツ・インベスターズ・トラスト(MIT)があります。同社は、ミューチュアルファンド[=投資信託]が許可された頃からの草分けでした。たしかに当時は称賛を集め、敬意を払われるに足る会社でしたよ。しかし運用資産が7,000億ドルかそこらを超えて、若き男女をおおぜい雇って要員を拡大するなどして、投資先を最低でも50件以上に拡大させたとなれば、S&P[500]平均の成績を上回る確率は減少して、ほぼ皆無へと至るでしょうね。もちろん彼らは、顧客がどれだけ払ってくれるのか思案したでしょう。実際のベーシス・ポイントはどうであれ、MITは長期にわたって運用報酬をとっていくのですから、プレッシャーを感じたり、自分たちの世界がおびやかされていると感じているかもしれません。

もうひとつ、おびやかされている領域があります。もしも手数料として「1アンド20」、すなわち運用資産総額の1%分に加えて利益の20%分を徴収する、あるいはもっとひどく資産総額の2%及び利益の20%を徴収するとしましょう。そして運用資産が300億ドルほどもあるとすれば、野心満々な部下の若者らはこぞって、理不尽なまでの金持ちに一刻も早くなりたいと欲するでしょう。そんな状況で顧客のために好成績をあげられる可能性は、いかほどだと思いますか。そういった手数料をとる普通の組織であれば、顧客がよい成績をあげる確率はわずかでしょうね。だからウォーレン[・バフェット]がヘッジファンド勢と対決して勝ちをおさめたのですよ[過去記事]。ウォーレンがS&P平均に賭けたのに対して、彼らは選り抜きの天才たちに賭けました。非常に高額の手数料をとる者たちです。しかし、その高い手数料が首をしめるのです。

競争のはげしい世界では、単純に証券を買うだけで大きな優位を得ようとするのは、それは大変なことです。何十億ドルもの資金で取り組む上に、多額の手数料が足枷となる状況で、「証券会社側の出すリサーチなどをいろいろ読んで、身を粉にして働ければうまい成果があがる」と考えるなんて、なおさらです。それは幻想ですよ。幻じみた見方で世の中と向き合うのは、正しいやりかたとは言えませんね。「現在直面している世の中よりも、バークシャーが台頭し始めた頃のほうが単純だった」とは思いませんし、「我々がしてきたのと同じやりかたをすれば、同じような成果を得られる」とも思いませんね。

I think the incentive structure in investment management is very interesting. If you look at the people who have a ton of money from the past, like say the Massachusetts Investor Trust or something like that, which pioneered Mutual Fund investing in the early days after Mutual Funds were allowed. It was certainly a respectable and honorable place. But once it gets to be $700 billion or whatever it is, and hires a lot of young men and has a big staff and so forth…and young women too…and spreads its investment over 50 securities at least, the chances that it’s going to outperform the S&P average really shrinks to about zero. And of course they wondered what we’ll keep paying, whatever number of basis points Massachusetts Investor Trust’s management operation charges for the long-term, and they may feel under pressure and that their world is threatened.

Another place that’s threatened. Suppose you’re charging say 1 and 20, one percent off the top and twenty percent of profits…or even worse, two percent off the top and twenty percent of profits…and you’ve got $30 billion or so under management and an army of young ambitious people, all of whom want to get unreasonably rich very fast. What are your chances of doing better for your clients? Well the average entity that charges those fees, the chances the clients will do well is pretty poor. That’s the reason Warren won that bet against the hedge funds. Where he bet on the S&P averages and they bet on carefully selected bunch of geniuses charging very high fees. And of course the high fees will just kill you.

It’s so hard in a competitive world to get big advantages just buying securities, particularly when you’re doing it by the billion, and then you add the burden of very high fees and think that by working hard and reading a lot of sell-side research and so forth, that you’re going to do well. It’s delusional. It’s not good to face the world in a delusional way. And I don’t think, when Berkshire came up, we had an easier world than you people are facing this point forward, and I don’t think you’re going to get the kind of results we got by just doing what we did.

2018年4月8日日曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(2)長老一同の知恵深さ

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2月に開催されたデイリー・ジャーナル社株主総会の模様から、前回の内容を受けたチャーリー・マンガーの語りをご紹介します。読み手によって解釈に差がつきそうな内容ですが、年齢を重ねてきた人ならではの、厚みがある見解だと感じました。そして、こまかいジョークのほうも楽しめます。(日本語は拙訳。意味段落で適宜改行しています)

(27:23)

<チャーリー・マンガー> 諸君が資金を託している人物も、その中に含まれていますね。我々には長い期間は残されていません。だからと言って、当社がうまくやれないとは言っていませんが(笑)、運用期間の点では実に興味深いものがありますね。

風変わりなるバークシャー・ハサウェイの取締役陣は年寄りばかりですし、経営陣も高齢です。年寄りの取締役をそろえているという点でバークシャー・ハサウェイやデイリー・ジャーナル社を超える組織はただひとつ、モルモン教会だけですよ(笑)。モルモン教を統率する集団には、すばらしい性質が2つあります。ひとつめは、[預言者などの]聖職者は無給であること。もうひとつは、率いる人たちは男性ばかりで、齢はおよそ85歳から100歳であること(笑)。彼らはこの仕組みを、ほかの教会よりもうまく運営しているわけです。無給の聖職者、そして高齢の男性陣ですよ。当然ながら我々は、バークシャーとデイリー・ジャーナル社でその仕組みを真似しています(笑)。その上、ずいぶんと高齢なバークシャーの取締役諸氏よりも、当社の取締役のほうがさらに高齢者ときています。ウォーレンいわく、「バークシャーと比べて当社では、若い連中がどうなのかいつも見て回っている」とのことですよ(笑)。

これは少しばかり珍妙なことですね。この世の中でどの教会が、人々を幸せにし続けるなどで最高の成績をあげているかと考えたら、(音声不明瞭)モルモン教会だというわけですから。無給の聖職者、それも85歳以上の男性だけで統率しているとは、だれに想像できるでしょう。なんとも不可思議な結末です。その意外な結末を良しとすべきなのでしょうね。私自身、奇妙な成り行きばかりが続いた人生を歩んできたことは、なんといっても間違いないですし。今日ここにいること自体、おどろきですよ。ある人によれば、私の敬する老婦人が94歳の誕生日パーティーでこう言ったそうです。「こうしてここにいられて、すごくうれしいわ」。いや、実際はこう言ったのです。「こういうのがなくても、すごくうれしいわ」(笑)。つまり私が言いたいのはそういうことです。奇妙なことですよ。

Charlie: Those include those who you’re invested with. We do not have a long runway. That doesn’t mean the company won’t do well, (laughter) but in terms of investment management runway, it’s rather interesting.

Berkshire Hathaway’s peculiar in that its directors are so old and its managers are so old. The only institution that exceeds Berkshire Hathaway and the Daily Journal in terms of old directors in office is the Mormon Church. (laughter) The Mormon church is run by a group of people and they have two wonderful qualities. There’s no paid clergy in the Mormon church. And the ruling powers in a group of males between about 85 and 100. And that system is more successful than any other church. No paid clergy and very old males. Obviously we are copying that system at Berkshire and the Daily Journal. (laughter) And we are so much older than the Berkshire directors who are also very old. Warren says we’re always checking to see how the young fellows are doing at the Daily Journal versus Berkshire.

It is slightly weird. But the world is…who would have guessed that the church with the best record for keeping people happy and so on and so on…(inaudible)…which is the Mormon church. Who would have guessed that it had no paid clergy, run only by males who are about 85 and up? Now that is a very odd result. I guess I should like odd results, because I’m sure as hell living a life of a lot of odd results. And I’m very surprised to be here. Somebody said, an old woman whom I liked, said at her 94th birthday party, “I’m very pleased to be here”, in fact she said, “I’m very pleased to be anywhere.” (laughter) Well that’s what it is, and it is weird.

2018年4月4日水曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(1)理想のマネー・マネージャー

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チャーリー・マンガーが会長を務めるデイリー・ジャーナル社の株主総会が、今年の2月14日に開催されました。そのトランスクリプトを公開してくださっているサイトがありましたので、一部をご紹介します。まず今回は「飛び抜けたマネー・マネージャー」に関する話題です。(日本語は拙訳。また意味段落で改行しています)

Charlie Munger: Full Transcript of Daily Journal Annual Meeting 2018 (Latticework Investing)

(21:00)

<チャーリー・マンガー> (前略)我々取締役会のひとりが、「どんな投資アドバイザーでも有するべき特質」を列挙していましてね。彼は、プロの投資家を選び出す後継担当者へその内容を伝えたところ、その人物は即座に半数をクビにしてしまいました。そのような異色の結果となった以上、[取締役の]ピーター・カウフマン本人から資産運用者を選定する際に使う「ファイブ・エース」方式を説明してもらおうと考えたわけです。それではピーター、よろしく。

<ピーター・カウフマン> 「飛び抜けたマネー・マネージャーとして推薦できるのは、どのような人物なのか」をご説明する上で、これから示す一連の条件を思い至りました。それらが的確なものであってほしいと思いますし、それにあてはまる当人のかたが、実際に決定をくだす人物へ結びつけてほしいとも思います。そうなれば私からではなく、その最終的な決定者からの話として受けとめるわけですから、より説得力が増すことでしょう。さて、私の考えた5つの条件に「ファイブ・エース」と名付けましたが、「ファイブ・エース」とはワイルドカードを使用するポーカーにおいて最強の役を指しています。

では、それぞれのエースを挙げていきます。1枚目のエースは「曇りなき誠実さ」です。2枚目のエースは「顧客から請け合ったことは何であれ、難なく軽々とこなせる能力」です。3枚目のエースは「正負両方向に対して、本当に公正な手数料体系」です。4枚目のエースは「投資対象となる領域において競争が少ないこと」です。そして5枚目のエースが「長期的な投資期間が見込めること」です。つまり、その運用者がまだ若いことを意味します。さらに、「もしそのような5つの特性すべてを有するマネー・マネージャーを探し出せたとしたら、やるべきことが2つある」と申し添えておきます。ひとつめは、その人物へ速やかに資金を託すこと。ふたつめは、許されるかぎりの全資金を託すことです。この会場にはマネー・マネージャーの方がおられるのは承知していますし…、

<チャーリー> それはもう、そのとおりですよ!(笑)

<ピーター> …さらには会場におられるマネー・マネージャーを雇っている方もおられます。もしマネー・マネージャーを雇う立場であれば、その人物を評価する上ですぐれた基本原理となります。

<チャーリー> そのとおり。しかし、雇った人の半数をクビにするには費用がかさむでしょうね(笑)。

<ピーター> しかし、もしみなさん自身がマネー・マネージャーであれば、この5つを「希求すべきことがら」とするほうが、たぶんもっと重要でしょう。「マネー・マネージャーとして、自分はどのような特質を持ち合わせるべきか」。まずは完璧に信用できる人物たるべきですし、「やります」と発言したことは実際に造作なくこなせなければなりません。手数料については、正負どちら側でも基本的に公正な体系を採用すべきです。そして競争の少ない領域をさがすべきです。というのは周知のように、謎を秘めている事業には余地が残されているからです。競争の激しい領域だとしたら、一体どのようなたぐいの余地が残っているでしょうか(質問21参照)。最後の5番目ですが、みなさんのなかには非常に幸運な方がたくさんおられます。「長期の投資期間」の欄には、「該当する」との印をつけられるでしょう。史上最高のマネー・マネージャーの方には、4つのエースしか当てはまらない人がいます。それは5番目に該当しないからです。

One of our directors came up with a list of qualities that any investment advisor should have. And he gave it to a future picker of professional investors, and the picker immediately fire half his picks. And I thought that was such a peculiar outcome that I’ll let Peter Kaufman share with you his ‘five aces’ system for picking an investment manager. Peter, go ahead.

Peter Kaufman: So I came up with this list in giving reference to a very exceptional money manager. And I not only wanted to give what I thought was the correct reference, I wanted the person that I was giving the reference to, to in turn be able to relate this above to the real shot-caller. So that a compelling narrative would be transferred from me directly to the ultimate shot-caller. So I came up with what I call the “five aces”. The five aces being the highest hand you can have in a wild card poker game.

Ace number one is total integrity. Ace number two is actual deep deep fluency on whatever it is you say you’re going to do on behalf of the client. Ace number three is a fee structure that is actually fair in both directions. Ace number four is an uncrowded investment space. Ace number five is a long run-way. Meaning that the manager is reasonable young in age. I further add that if you ever find a money manager who possesses all five of these characteristics, there are two things you should do. One, you should put money with them immediately. And number two, put as much money as you are allowed to put. Now I know we have money managers in the room, and we have…

Charlie: Do we ever! (laughter)

Peter Kaufman: And we have people who employee money managers who are in the room. If you employ money managers, this is an excellent formula to evaluate your money managers.

Charlie: Yeah, but it will cost you to fire half those you’ve hired..or you have hired. (laughter)

Peter Kaufman: But perhaps more importantly, if you’re a money manager, this should be your list of five aspirations. What characteristics should I seek as a money manager to possess? I should be completely trustworthy. I should have actual deep fluency in what I claim that I’m going to do. I should adopt a fee structure that’s generally fair in both directions. I should seek an uncrowded space because as we all know, in business where there’s mystery, there’s margin. What kind of margin are you going to have in a crowded space? (Note: See Question 21) And number 5, many of you in here, you’re very fortunate. You get to check that box for having a long runway. Some of the best money managers in history only get four out of these five aces because they don’t qualify for number five.

備考です。訳文や原文中に記されている時刻のハイパーリンク先は、総会の模様を録音した音声データを聞くことのできるサイトになっています(チャーリーの発言はあいかわらず爆笑を誘っています)。残念ながら映像のほうは、Youtubeにアップロードされた様子はないようです。いずれそのときが来れば、そちらへの紹介リンクも追記します。

2018年3月28日水曜日

私が勧めるメンタル・モデル(エドワード・ソープ)

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Twitterのほうでご紹介しましたが、ギャンブラーとしても有名な天才数学者エドワード・ソープのインタビュー記事が、米投資雑誌バロンズのサイトに掲載されていました。短い記事ですが、個人的には再読したい文章ばかりです。今回ご紹介するのは、本サイトで主要な話題として取り上げている「メンタル・モデル」の話題です。(日本語は拙訳)

なお、下記リンク先は購読者のみのアクセス制限付きです。無料で読みたい方は、たとえばTwitterの投稿でご紹介したGoogle検索経由などの方法でアクセスしてください。

Why Edward Thorp Owns Only Berkshire Hathaway (Barron's)

<質問> あなたの新刊『どんな市場でも闘える男』[未訳; 原題はA Man for All Markets]から、どのような教訓を得てほしいとお考えですか。

<ソープ> 己のためにできる最高のこととは、「みずからを教育して、明確かつ合理的にものごとを考えられるようにすること」です。数学や科学、論理的思考を身につけるのに役立つでしょう。その次に大切なのは、広い分野にわたって、書物を読んだり興味をいだくことです。もしそうできれば、道具として使えるものを増やすことができます。(バークシャー・ハサウェイの副会長である)チャーリー・マンガーは多種多様なメンタル・モデルの持ち主ですが、それらはものごとを考える上での短縮法といえるものです。私自身も手持ちがありますが、お気に入りのひとつに「外部性を理解せよ」というものがあります(他者の経済活動から生じる波及効果)。

たとえば、私が自宅に火災保険をかけたとしましょう。すると、となりに住むご家族は若干安全になります。これが「正の外部性」です。一方、環境性能の低いガソリン車に乗って大気を汚染させるにもかかわらず、なんの対価も支払わない人がいるとすれば、それが「負の外部性」です。もうひとつの例として「銃」があげられます。客が銃を買っていったことで、販売業者は大儲けをします。しかしその客が他人を殺せば、社会が大きな費用を支払うことになります。一方で、銃の販売業者は何も支払いません。

さまざまな問題を分析しようとする際に、「外部性」を考えるのは有効なやりかたです。もし「負の外部性」をもたらす人に対して、その責任をとらせるようにすれば、多くの問題が解消されます。単刀直入な解決例をあげてみましょう。自動車は年間3万5千人の命を奪っています。もし自動車を運転したければ、免許証が必要ですし、訓練もそうですし、損害を与えたときのために保険も必要です。それと同じように、銃の場合も保有者に責任を持たせるべきです。たとえば、紛失した際にはその旨を報告しなければなりません。銃の場合でも同じようにすれば、何千もの銃器を保有することはできなくなるでしょう。それを引き受ける保険会社など考えられないですから。AR-15[半自動ライフル銃]に必要な保険料はいくらになると思いますか。おそらくは相当な金額になるでしょう。

Q: What lessons do you want people to come away with from A Man for All Markets?

A: That the best thing you can do for yourself is to educate yourself to think clearly and rationally. It helps to have math or science or logical training. The next is to be widely read and curious. If you are that way, you have so much more to use in terms of tools. [Berkshire Hathaway Vice Chairman] Charlie Munger has a collection of multiple mental models—shorthand ways to think of things. I also have my own, and one of my favorites is to understand externalities [spillover effects from other economic activity].

For example, if I buy fire insurance for my house, my neighbor is a little safer. That’s an externality benefit. If someone drives a polluting gasoline car and uses the atmosphere as a waste dump without paying any consequences, that’s a negative externality. Another one is guns. Gun dealers make a lot of money, their clients go out and kill people, and society pays huge costs. Gun dealers don’t.

Externalities are a good way to start analyzing problems. A lot of problems go away if you make people who distribute negative externalities pay the consequences. There’s a neat solution. Automobiles kill about 35,000 people a year. If you want to drive a car, you need a license, some training, and also insurance if your car does damage. People have to be accountable for their guns, just like cars. If your car is stolen, you are expected to report it. [What if it were the] same with guns? People wouldn’t be able to accumulate thousands of guns, because what insurance company will insure it? What do you think the insurance would be for an AR-15? It would be very high.

2018年3月24日土曜日

2017年度バフェットからの手紙(8)資本主義を育むところ

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2017年度「バフェットからの手紙」から、ちょっとした話題をひろい集めました。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

バークシャー子会社における買収について。
最後になりますが、買収によって成長してきた[子会社の]プレシジョン・キャストパーツ社が、防食材やパイプ関連のシステム及びコンポーネントを製造しているドイツのヴィルヘルム・シュルツ社を買収しました。ただし、これ以上の説明はご勘弁ください。不動産仲介や建築会社やトラック・ステーションの活動について疎いように、生産現場のこともわたし自身がよく知らないからです。

ありがたいことに、この件で知識を並べ立てる必要はありません。プレシジョン社のCEOを務めるマーク・ドネガンは製造会社における卓越した経営者で、配下のあらゆる事業をうまくいくように仕立てあげているからです。ときに「現物」に賭けるよりも「人物」に賭けたほうが、確かなことがあります。(PDFファイル5ページ目)

Finally, Precision Castparts, a company built through acquisitions, bought Wilhelm Schulz GmbH, a German maker of corrosion resistant fittings, piping systems and components. Please allow me to skip a further explanation. I don’t understand manufacturing operations as well as I do the activities of real estate brokers, home builders or truck stops.

Fortunately, I don’t need in this instance to bring knowledge to the table: Mark Donegan, CEO of Precision, is an extraordinary manufacturing executive, and any business in his domain is slated to do well. Betting on people can sometimes be more certain than betting on physical assets.

年次株主総会おなじみの卓球仲間について。
友人のアリエル・シンが、日曜日にモールのほうにも参加して卓球の勝負を挑む人を待っています。アリエルにお会いしたのは彼女が9歳の時でしたが、そのときすでに彼女から1点も取れませんでした。アリエルは2012年のオリンピックで米国の代表選手を務めました。物おじしない方はぜひ、彼女に挑戦して腕前を試してみてください。開始時刻は午後1時です。昨年はビル・ゲイツがけっこういい勝負をしましたので、今年も挑むと思います(でもアリエルに賭けたほうがいいですよ)。わたし自身は、助言者として参加するにとどめておきます。(PDFファイル14ページ目)

My friend, Ariel Hsing, will be in the mall as well on Sunday, taking on challengers at table tennis. I met Ariel when she was nine, and even then I was unable to score a point against her. Ariel represented the United States in the 2012 Olympics. If you don’t mind embarrassing yourself, test your skills against her, beginning at 1 p.m. Bill Gates did pretty well playing Ariel last year, so he may be ready to again challenge her. (My advice: Bet on Ariel.) I will participate on an advisory basis only.

年次株主総会における質疑応答について。
上述したように、少なくとも54件の質問を受けるつもりです。アナリストやジャーナリスト各氏からは6件ずつ、そして聴衆のみなさんからは18件分です。それ以降、聴衆のみなさんからさらに質問があればお受けします。過去には、チャーリーとわたしで60件以上の質問を受けたことが何度もあります。質疑応答の終了時刻は3時半です。(PDFファイル15ページ目)

All told, we expect at least 54 questions, which will allow for six from each analyst and journalist and for 18 from the audience. After the 54th, all questions come from the audience. Charlie and I have often tackled more than 60 by 3:30.

総数が10数名の本社スタッフについて。
本社に務める仲間は相変わらずの素晴らしい人ばかりです。SECなどの当局に必要な数多くの用件を効率よくさばき、連邦所得税の申告では32,700ページにわたる文書を提出し、州税の申告3,935件を監督し、株主やメディアから寄せられる止むことのない要求に対応し、年次報告書を送付し、この国最大の年次株主総会にむけた準備にいそしみ、取締役会の活動を調整し、このレターに含まれる事実確認を行う、そのような作業の項目は延々と続きます。

彼らは事業上のあらゆる作業を快く受けてくれ、信じられないほど効率的に処理し、容易で快適な日常をわたしが過ごせるように手助けしてくれます。彼らの活動は、バークシャーだけに限定されるものではありません。たとえば、わたしとの質疑対話のためにオマハを訪問しに来る大学生たちが、昨年は200件の申し出のなかから40件が選ばれましたが、それらを対応してくれました。またわたしが受けるあらゆる要請にも応じてくれますし、旅行の準備や、さらには昼食時にハンバーガーとフレンチ・フライ(もちろん、ハインツ・ケチャップがたっぷり)も持ってきてくれます。また年次総会においては、こうあってほしいと願うあらゆるやりかたを以って、快く尽くしてくれます。彼らはバークシャーで働くことを誇りにしてくれますが、そんな彼らと働けることをわたしも誇らしく思います。(PDFファイル15ページ目)

We continue to have a wonderful group at headquarters. This team efficiently deals with a multitude of SEC and other regulatory requirements, files a 32,700-page Federal income tax return, oversees the filing of 3,935 state tax returns, responds to countless shareholder and media inquiries, gets out the annual report, prepares for the country’s largest annual meeting, coordinates the Board’s activities, fact-checks this letter - and the list goes on and on.

They handle all of these business tasks cheerfully and with unbelievable efficiency, making my life easy and pleasant. Their efforts go beyond activities strictly related to Berkshire: Last year, for example, they dealt with the 40 universities (selected from 200 applicants) who sent students to Omaha for a Q&A day with me. They also handle all kinds of requests that I receive, arrange my travel, and even get me hamburgers and French fries (smothered in Heinz ketchup, of course) for lunch. In addition, they cheerfully pitch in to help at the annual meeting in whatever way they are needed. They are proud to work for Berkshire, and I am proud of them.

ウォーレンやチャーリー亡き後の、バークシャーの経営陣について。
最後に最高の話題を。バークシャーの取締役会は2018年初に、新たな取締役としてアジート・ジェインとグレッグ・アベルを選出し、さらには両名を副会長に任命しました。今ではアジートが保険事業を、そしてグレッグがその他の事業を統括しています。チャーリーとわたしは、投資及び資産配分の職務に専念していきます。

アジートとグレッグが当社のために働いてくれているのは、わたしのみならず、株主のみなさんにとっても実に幸運なことだと思います。長らく当社と共にあった両名には、バークシャーという名の血潮が通っています。彼らの性格は才能と合致しており、そのことがすべてを語っています。

5月5日には、ぜひオマハへいらしてください。バークシャーは資本主義を育むところ、その一同が総出でお迎えします。(PDFファイル16ページ目)

I’ve saved the best for last. Early in 2018, Berkshire’s board elected Ajit Jain and Greg Abel as directors of Berkshire and also designated each as Vice Chairman. Ajit is now responsible for insurance operations, and Greg oversees the rest of our businesses. Charlie and I will focus on investments and capital allocation.

You and I are lucky to have Ajit and Greg working for us. Each has been with Berkshire for decades, and Berkshire’s blood flows through their veins. The character of each man matches his talents. And that says it all.

Come to Omaha - the cradle of capitalism - on May 5th and meet the Berkshire Bunch. All of us look forward to your visit.

株式市場が大幅に下落して、さらには円高が進むようであれば、そのときこそ日本人にとってバークシャー株を買う好機だと思います。はたしてその日がやって来るのか、今は成り行きに任せるばかりです。

2018年3月20日火曜日

企業の成長、自社株買い、株価について(ウォーリー・ワイツ)

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バリュー志向のマネージャーであるウォーリー・ワイツのインタビュー記事から、さらに引用します。オーソドックスな内容ですが、銘柄選択及び購入価格に関する大切な側面が簡潔に語られています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 企業は、いつ配当を支払うべきですか。あるいはいつ自社株買いをすべきでしょうか。

<ワイツ> [投資先の]企業には、1株当たり事業価値の長期的成長に焦点を置いた資本配分を実施してほしいと考えています。その中で筆頭に挙げたいのが、「高いリターンの得られる機会があれば、その事業に再投資する」という選択肢です。また自社株買いもよいと思います。ただし本源的な事業価値よりもずっと安い値段で株が売買されている場合の話です。反対に、株価が本源的価値よりも高いのであれば、資金の下手な使いかたです。過去を振り返れば、高値のときに熱狂的に買う一方で、安値のときに多く買えなかった経営陣がたくさんいました。しかしその足跡はお粗末の連続だったにもかかわらず、継続株主にとってみれば、自社株買いは1株当たりの価値を増加させる上で非常に効果的な手段になり得ます。そして配当ですが、これは多くの株主にとって魅力的かもしれません。しかし現在の低金利環境では、「利回りを追求する」動きゆえに保証なき株価高騰を招いた例が、数多くみられます。

JR: When should a company pay a dividend or repurchase stock?

WW: We want companies’ capital allocation decisions to be focused on long-term growth in business value per share. Our first choice is reinvestment in the business if the company has high return opportunities to do so. Stock buybacks are great if the stock sells well below its intrinsic business value and terrible if the stock price is above intrinsic value. Historically, many managements have bought enthusiastically at high prices and failed to buy much at cheap prices. However, despite a history of poor execution, buybacks can be very effective in increasing the value per share for remaining shareholders. Dividends can be an attraction for many shareholders, but in this low interest rate environment, it appears that “chasing yield” has resulted in unwarranted stock price inflation in many cases.

<質問> 低成長率の現代において、利益をともなった成長ができる企業に投資するのは、どれほど大切なのでしょうか。

<ワイツ> 成長は、事業の価値を算出するのに重要な要素です。しかし私たちにとって問題なのは、事業価値に対する株価であって、成長率そのものではありません。近年では、将来の見通しが立つ成長というものが稀になってきています。また[余剰の]価値がとぼしくなってきたせいで、代金を支払いすぎた投資家が多くいるに違いありません。そのような見方をとってきたことが、近年における私たちの相対的成績に、影響を及ぼしてきました。しかし「たとえ素晴らしい企業だとしても、払い過ぎるのは投機的である」と強く思います。

JR: How important is it to invest in companies that can grow profitably in this low-growth world?

WW: Growth is an important factor in calculating business value. What matters to us, though, is stock price relative to business value, not a growth rate, per se. Predictable growth has been rare in recent years, and we believe that many investors have been over-paying because of its scarcity value. This opinion has impacted our relative performance in recent years, but we believe that over-paying for even a great business is speculating.

備考です。自社株買いと事業拡大のどちらを優先すべきかについては、ウォーレン・バフェットが昨年書いたレターでも取り上げられていました。

2016年度バフェットからの手紙(1)自社株買いについて

2018年3月16日金曜日

割引率について(ウォーレン・バフェット)

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バリュー投資サイトのGuruFocusで、ウォーレン・バフェットが過去にインタビューで語った内容を取り上げている記事がありましたのでご紹介します(原典は、バリュー投資家にとっておなじみのOID誌です;Outstanding Investor Digest)。今回の文章は短いですが、前2回つづけた投稿(過去記事1, 2)のカギとなるものです。(日本語は拙訳)

Buffett and Munger on Discount Rates and How They Read Annual Reports (Grahamites氏の記事、GuruFocus)

<バフェット> 将来における現金の収支を見積もることができたら、それらの数字を現在価値へと引き直すために、割引率をいくつにすればよいかが問題になります。わたしの感覚では、ほとんどの資産においておそらく長期国債[おそらく30年債]の利回りが最適な数字だと思います。ただしわたしだけでなくチャーリーもそうですが、「金利が低い側にある」という印象を持っているときは、おそらく長期国債の利回りそのものを使おうとは考えないと思います。そのようなときには、ふつう1ポイントか2ポイント追加するかもしれません。しかし、この一連の説明を聞いた方は、長期国債の利回りを使ってみたくなるでしょう。そうだとしたら、株式と債券における経済的な面での違いは事実上なくなります。違っているのは、債券の場合は将来どれだけのキャッシュフローが得られるのか知り得るのに対して、株式の場合は自分でそれを見積もらなければならない点です。これは骨の折れる仕事ですが、ずっと大きな見返りが得られる可能性を秘めています。それゆえ、仮想的な収入には関わりたくないのでしたら、農地やアパートやそういったものを見積もったほうがいいでしょう。少なくとも、わたしたちはそうしています。

Buffett: And once you’ve estimated future cash inflows and outflows, what interest rate do you use to discount that number back to arrive at a present value? My own feeling is that the long-term government rate is probably the most appropriate figure for most assets. And when Charlie and I felt subjectively that interest rates were on the low side – we’d probably be less inclined to be willing to sign up for that long-term government rate. We might add a point or two just generally. But the logic would drive you to use the long-term government rate. If you do that, there is no difference in economic reality between a stock and a bond. The difference is that the bond may tell you what the future cash flows are going to be in the future – whereas with a stock, you have to estimate it. That’s a harder job, but it’s potentially a much more rewarding job. Logically, if you leave out psychic income, that should be the way you evaluate a farm, an apartment house or whatever. And in a general way, Charlie and I do that.

2018年3月12日月曜日

ウォーレン・バフェットの株式投資入門:金利と債券と株式について

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「バフェットからの手紙」を公開したウォーレン・バフェットが、恒例となっているベッキー・クイックのインタビューを受けていました。そのなかから、昨年後半にも話題になっていた金利に関する質疑応答を引用してご紹介します。なお長文の段落は、意味段落で適宜改行しました。(日本語は拙訳)

FULL TRANSCRIPT: BILLIONAIRE INVESTOR WARREN BUFFETT SPEAKS WITH CNBC’S BECKY QUICK ON "SQUAWK BOX" TODAY (CNBC)

<質問者: ベッキー・クイック> 株式に強気で来た理由として、現時点では金利の状況もそうだとのご意見ですが、たしか以前に「金利は株価に作用する重力であり、十分に低ければ株価は必ずや上昇する」と言われていましたね。しかし市場では実に奇妙なことが起こっています。雇用に関する報告が良好だといううれしいニュースが出たとたん、突如として不安が漂うようになりました。金利が上昇し、連銀が予想以上に上昇率を高めるのではないかと、みんな心配性になっています。朝起きて確かめる度に、10年物の国債利回りが3%へと戻りつつあります。このことで投資家は、いえ「少なくともトレーダーは」と言うべきですね、何が起きているのだろうと気がかりになっています。この件をどんなふうに捉えていますか。

<ウォーレン・バフェット> そうですね、ベッキー、もし30年物の米国債を買ったとしますよ。するとすべてのクーポンが付いてきます。今は電子的になりましたが、昔はそうだったのです。とにかくクーポンが全部付いてきます。クーポン毎に3%などが支払われるとします。今から30年後までずっとですよ。そして最後になると、額面分の金額を返してくれます。

それでは株式はどうなのかと言いますと。それと同じようなものです。クーポンがたくさん付いてきます。ただし、数字は印刷されていません。その数字を印刷することが、株式を買う投資家のやるべきことなのです。数字が10%だとしましょうか。ほとんどの米国企業は、有形資本比で10%以上の利益をあげています。この債券[的にとらえることのできる株式]が10%だとすれば、3%と書かれている債券よりも、ずっと高い価値があります。しかし米国債が10%であれば、あなたが買った債券[風の株式]の価値は変わります。GMやバークシャー・ハサウェイなどの一部を[株式として]買うということは、現金の形で徐々に戻ってくるわけです。バークシャーの場合はずっと先になりますが、大きな金額になるでしょう。それらがクーポンなのです。そのクーポンをどう考えればいいのか投資家として決断するのは、買うのは自分だからですし、価値を割り引いた金額で買うからです。しかし物差しとしての米国債の利回りが高くなれば、ほかの債券[=株式など]の価値は魅力が薄れます。これが[この手の話題についての]経済的な理屈です。

1982年や83年には長期米国債の利回りが15%になりました。当時ROEが15%だった企業は、そのような環境では簿価分の価値しかありませんでした。30年物のストリップス[=割引債]を買えば、年率15%を確実にできたからです。当時12%の利益を得ていた企業は水準以下だったことになります。しかし現在のように米国債の利回りが3%であれば、12%の利益をあげる企業はすごく素晴らしいと言えます。ですから、そういった企業には法外な値段がついているわけです。

<質問> だから以前に、「3%は15%からほど遠い」とおっしゃったのですね。

<バフェット> そのとおりです。ただし、3%から15%へ上昇した様子を目にしたことはありますが。

<質問> たしかに。その途中で「なんと、2.4%から2.9%へ上がったのね。これは大きな違いだわ」と感じる変曲点がありますか。

<バフェット> その数字はそれほどではないですね。そんなに大きくはないです。

<質問> 過去を振り返れば、まだ...

<バフェット> そのとおりです。

<質問> ...絶対的な意味で大きく変化しておらず、パーセンテージもそれほど上昇していない、と受け止めるべき段階ですか。

<バフェット> ROE12%をあげている企業が再投資をしているのと比べれば、2.4から2.9%へ上昇した数字にはそれほど意味はありません。S&P[500]の数字はそれこそ云十年分もありますが、有形資本比でみてもっと高い数字をあげてきました。ですから、もっと高い値段になっていくわけです。

<質問> その途上で転換点があるのですか。それともそういったものは徐々に減少するのですか。

<バフェット> それはだれにもわかりません。ただし、重力として働きます。つまり「債券の利回りが来年には15%になる」と教えてくれれば、今にも手放したい株がいろいろありますし、15%の債券をたくさん買いたいところです。1982年にそうしていればと思ったりしますが、実際には買いませんでした。

<質問> それでは、もし「来年の長期債は4.5から5%で売買される」と私からお伝えしたら、どうなりますか。

<バフェット> それはたしかに違いますね。しかし例のときに長期債を保有するのは愚かでしたよ。この件は年次報告書で触れていますが、まさしく愚かなことでした[過去記事]。巨大な公的年金基金やその手の機関投資家が、座して債券を保有していました。4%あるいは5%近辺で買ったのかもしれません。しかし3%前後になると、額面以上の価格で売り買いしています。そのような考えかたでは、非常にバカげた行動をとることになります。

BECKY QUICK: And part of the reason that you've been so bullish on equities for many years at this point is the interest rate environment. You've looked at interest rates and said, "Interest rates are gravity on stock prices. And when interest rates are so low, stock prices inevitably are going to climb." There's been this really weird thing that's been happening in the markets. Where all of a sudden, good news that we got from a good jobs report made people start to worry that interest rates were going to climb and that the Fed was going to raise rates more than anticipated. People got really nervous around that. You can still see it every time we get up on the ten year back towards 3%. It gives investors, or at least traders I should say, some concerns about what's happening. How do you kind of gauge all of that?

WARREN BUFFETT: Becky, a bond, if you buy a 30-year government bond, it has a whole bunch of coupons attached. In the old days it does, now it's all electronic. But it has a whole bunch of coupons. And the coupon pays 3%, or whatever it may say. And you know that's what you're going to get between now and 30 years from now. And then they're going to give you the money back.

What is a stock? A stock is the same sort of thing. It has a bunch of coupons. It's just they haven't printed the numbers on them yet. And it's your job as an investor to print those numbers on it. If those numbers say 10% and most American businesses earn over 10% on tangible equity. If they say 10%, that bond is worth a hell of a lot more money than a bond that says 3% on it. But if that government bond goes to 10%, it changes the value of this equity bond that, in effect, you're buying. When you buy an interest in General Motors or Berkshire Hathaway or anything, you are buying something that, over time, is going to return cash to you. Maybe a long time in terms of Berkshire, but it'll be bigger numbers. And those are the coupons. And your job as an investor to decide what you think those coupons will be because that's what you're buying. And you're buying the discounted value. And the higher the yardstick goes, and the yardstick is government bonds, the less attractive these other bonds look. That's just fundamental economics.

So in 1982 or '83, when the long government bond got to 15%, a company that was earning 15% on equity was worth no more than book value under those circumstances because you could buy a 30-year strip of bonds and guarantee yourself for 15% a year. And a business that earned 12%, it was a sub-par business then. But a business that earns 12% when the government bond is 3% is one hell of a business now. And that's why they sell for very fancy prices.

BECKY QUICK: So 3% is a long way from 15% that you were just talking about.

WARREN BUFFETT: Absolutely. But I watched it go from 3-15% though, too.

BECKY QUICK: Right. Is there an inflection point on that way because people think, "Oh my gosh, we've gone from 2.4% to 2.9% and that is a big difference."

WARREN BUFFETT: It isn't much. That's not much.

BECKY QUICK: Historically speaking, that's still the way we should be measuring these things

WARREN BUFFETT: Absolutely.

BECKY QUICK: Not on the absolute movement or the percentage gain movement over time?

WARREN BUFFETT: 2.4-2.9% is nothing if you're comparing it with businesses that earn 12% on equity and reinvest. And the S&P, you can just look at the figures for decades, has earned on tangible equity, it's earned a lot more than that. And it translates into more, higher prices than it should.

BECKY QUICK: Is there a tipping point along the way, or is it a gradual decline in terms of these things?

WARREN BUFFETT: Nobody knows. Yeah. But it is gravity. I mean, if you told me interest rates were going to be 15% next year on bonds, you know, there's a lot of equities I wouldn't want to own now. And I would buy a lot of governments at 15%, and I kind of wish I had in 1982, but I didn't.

BECKY QUICK: If I told you that the long bond was going to trade at 4.5-5% next year, what would you (think)?

WARREN BUFFETT: It makes a difference. But it's been idiotic to own long bonds during the last, you know, I talk about this in the report. It's just been idiotic. And big, public pension funds and all that, they sat there and they owned bonds. Now, they may have bought them on a 4% or 5% basis. But if they go to a 3% basis, they're selling way above par. The way people think about it is that they do some very silly things.

2018年3月8日木曜日

割引率および割安度について(ウォーリー・ワイツ)

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バリュー・ファンドのマネージャーであるウォーリー・ワイツのインタビュー記事をひきつづき引用します(前回分の投稿はこちら)。今回の話題はDCF法で使う「割引率」と、適正価格からどれだけ割安であれば購入に踏み切るのかの「割安度」の話です。オーソドックスな内容ですが、取り組む上での工夫や具体的な数字に触れていて、参考になります。(日本語は拙訳)

<質問> 調査対象の企業に対しては、どれも同じ割引率を使いますか。それともリスクや他の要因にもとづいて必要なリターン率を決めますか[=つまり割引率を適宜調整するか]。

<ワイツ> 同じ割引率を使って[評価]モデルを作成しています。現在適用しているのは9%です。しかし各企業には「事業の質」を評価した異なった点数を与えますから、モデル中で正当化された「残存倍率」[残存価値を算出する方法で使われる乗数]にそれが影響してきます。また、将来の予想キャッシュフローがどれだけ正確なのか、その信頼性は企業によって異なります。そのため、ポートフォリオ・マネージャーが「価値」からどれだけ割り引くかは、各々異なってきます。他の人たちも、そういったものと同様の要因を調整する際に、それぞれの割引率を使っているはずだと思います。ただし、企業分析中の異なった段階においてですが。

<質問> すばらしい企業には妥当な金額を出すのですか。そうでなければ、少なくとも安全余裕をどの程度とりますか。

<ワイツ> チャーリー・マンガーが示してきた「素晴らしい企業をそこそこの値段で買う」とする見識を、ウォーレン・バフェットは確信していますね。その「素晴らしい」企業と、それよりもずっと普通の企業に違いはありますが、もし価値を正しく測ることができるのであれば、その違いは評価プロセスにおいてひとまとめにすべきです。評価額から安全をみるための余裕率(私たちの標準としては最低でも30%)を妥協すべきではありません。

しかし、あらゆる株が高く、絶対的な意味で安いものがないようなときは、相対的価値という考えがしのびこんできます。手元に現金が残っていても私たちのように気にかけない運用者は、数少ないと思います(現金比率が20から25%になることもあります)。しかし今日の市場では、実のところ私たちががっちり保有している株式に、購入時の決まりとして価格対価値比を70%とした制限をずっと超えたものがあります。「70%以上の値段でもポジションを取り始めたり買い増ししたりするのか」、わたしたちもそう見られるようになってしまいました。そういった数字に何か特別な意味合いはないのですが、しかし安値で買ったときのほうが(それが安全余裕です)、良いリターンを達成する確率が高いことはわかっています。

JR: Do you use the same discount rate for every business you are researching or do you adjust your required rate of return based on risk and/or other factors?

WW: We use the same discount rate, currently 9%, for each of our models. However, we use varying “business quality” scores for different companies and this impacts the warranted “terminal multiple” in the model. Also, our confidence in the accuracy of the estimates of future cash flows will vary from company to company, and the portfolio manager will vary their required (price) discount from “value” accordingly. We believe that others who use varying discount rates are adjusting for these same factors, but at a different stage of the analysis.

JR: Will you pay a fair price for a great business? If not, what is the minimum margin of safety you require?

WW: Warren Buffett credits Charlie Munger with convincing him of the wisdom of “paying a fair price for a great business.” The differences between a “great” business and a more ordinary one should be incorporated in the valuation process so if value (V) is measured correctly, we shouldn’t have to compromise on the discount from full value that we seek (generally at least a 30% discount).

However, when all stocks seem expensive and nothing seems cheap in absolute terms, the concept of relative value creeps in. We are willing to hold more in cash reserves than most managers (sometimes as much as 20-25%), but in today’s market, we find ourselves holding onto stocks with price-to-value (P/V) ratios well above our 70% threshold for buying. We have even been known to pay over 70% to initiate or add to a position. There is nothing magic about any of these numbers, but we know that the odds of earning high returns are better when we buy at a cheaper price (the margin of safety).

2018年3月4日日曜日

2017年度バフェットからの手紙(7)CEOの心強い味方、Excel

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2017年度「バフェットからの手紙」から、今回は企業買収に関する節のうち、一般向けの話題を引用します。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

買収について

バークシャーの価値を高める構成要素として、次の4点が挙げられます。ひとつめが、十分な規模を有した単体型の企業買収。ふたつめが、当社がすでに保有している事業に合致した拡張型の買収。3つめが、多岐にわたる既存事業での増収及び利益率の改善。最後の4つめが、株式及び債券に投資している巨額のポートフォリオから得られる投資利益、です。この節では2017年に行った買収についてご説明します。

単体型の新しい案件をさがす際には、主要な資質として次の点を求めています。今後も持続しうる競争力を有していること、有能かつ良質な経営陣がいること、事業運営上不可欠な純有形資産に比して優れたリターンをあげていること、魅力的なリターンが期待できる内部成長の機会があること、そして買収価格が適切であること、です。

2017年に検討した実質的にすべての案件が、上に述べた最後の要件を越えられませんでした。「まばゆい」からは程遠いものの「満足できる」程度の事業であっても、その値段は過去最高を記録していたのです。実際のところ楽観的な買収者勢にとっても、買収価格は納得できないも同然だったと思います。

しかし、なぜ買収側は暴挙に出るのでしょうか。その理由のひとつは、CEOという役職が「大丈夫うまくいきます」という種類の人間を、またもや指名するからです。ウォール街のアナリストや取締役会が、CEOという役職者に対して買収を検討するよう要請するのは、成熟期にある十代の子供に対して、あたかも「ちゃんとセックスするんだぞ」と念を押すかのように思えます。

案件を切望しはじめたCEOは、買収を正当化した将来の見通しを出すはずです。部下たちは声援を送るとともに、事業領域の拡大ぶりや、企業規模に応じて増加しがちな報酬の水準を描いてくれるものです。多額の手数料をかぎつけた投資銀行家も、同じように褒め上げるでしょう(「髪を切ったほうがいいかな」とは床屋に訊ねないように)。買収先の業績推移では買収を正当化するのに不足がある場合、大幅な「シナジー」[重複部門の削減など]が業績予想に盛り込まれます。[Excelなどの]スプレッドシートが残念な数字を出すことはありません。

破格の安価で借入れできる機会が2017年には潤沢にあったことで、買収活動に拍車がかかりました。割高な買収をしようとも、借入金によって資金を調達していれば、結局のところ一株当たり利益は増加するのが常ですから。対照的にバークシャーでは、買収案件を評価する際には増資を前提にしています。全額借入れは好みませんし、多額の借入金を特定の事業に割り当てるのは、概して見当違いです(ある種の例外は別とします。たとえばクレイトン社が有する貸付ポートフォリオ用の債務や、当局の規制を受けている公益事業での固定資産に関する債務)。さらにシナジーは考慮に入れませんし、実際にそれが発揮された例もあまりみかけません。

借入れを避けてきたことで、当社のリターンは何年にもわたって抑えられてきました。しかしチャーリーもわたしも、夜にはぐっすり眠れています。「必要のないものを手にいれるために、手元の必要なものを危険にさらす」、そんなことをするのは正気を失っているに違いない、と二人とも思っています。50年前から、そう考えていました。信頼してくれる若干の友人や親族の資金を元に、それぞれが投資パートナーシップを運営していた頃です。そして100万名になる「パートナー」がバークシャーに加わった今日も、同じように考えています。

このところの買収日照りにもかかわらず、「非常に大きな買収ができる機会が、やがてはいくつかあらわれる」とわたしたちは信じています。それまでの間は、次の単純な決めごとに従うばかりです。「慎重さに欠けた行動を他人がとるほどに、わたしたちはますます慎重に身を処すること」。(PDFファイル3ページ目)

Acquisitions

There are four building blocks that add value to Berkshire: (1) sizable stand-alone acquisitions; (2) bolt-on acquisitions that fit with businesses we already own; (3) internal sales growth and margin improvement at our many and varied businesses; and (4) investment earnings from our huge portfolio of stocks and bonds. In this section, we will review 2017 acquisition activity.

In our search for new stand-alone businesses, the key qualities we seek are durable competitive strengths; able and high-grade management; good returns on the net tangible assets required to operate the business; opportunities for internal growth at attractive returns; and, finally, a sensible purchase price.

That last requirement proved a barrier to virtually all deals we reviewed in 2017, as prices for decent, but far from spectacular, businesses hit an all-time high. Indeed, price seemed almost irrelevant to an army of optimistic purchasers.

Why the purchasing frenzy? In part, it’s because the CEO job self-selects for “can-do” types. If Wall Street analysts or board members urge that brand of CEO to consider possible acquisitions, it’s a bit like telling your ripening teenager to be sure to have a normal sex life.

Once a CEO hungers for a deal, he or she will never lack for forecasts that justify the purchase. Subordinates will be cheering, envisioning enlarged domains and the compensation levels that typically increase with corporate size. Investment bankers, smelling huge fees, will be applauding as well. (Don’t ask the barber whether you need a haircut.) If the historical performance of the target falls short of validating its acquisition, large “synergies” will be forecast. Spreadsheets never disappoint.

The ample availability of extraordinarily cheap debt in 2017 further fueled purchase activity. After all, even a high-priced deal will usually boost per-share earnings if it is debt-financed. At Berkshire, in contrast, we evaluate acquisitions on an all-equity basis, knowing that our taste for overall debt is very low and that to assign a large portion of our debt to any individual business would generally be fallacious (leaving aside certain exceptions, such as debt dedicated to Clayton’s lending portfolio or to the fixed-asset commitments at our regulated utilities). We also never factor in, nor do we often find, synergies.

Our aversion to leverage has dampened our returns over the years. But Charlie and I sleep well. Both of us believe it is insane to risk what you have and need in order to obtain what you don’t need. We held this view 50 years ago when we each ran an investment partnership, funded by a few friends and relatives who trusted us. We also hold it today after a million or so “partners” have joined us at Berkshire.

Despite our recent drought of acquisitions, Charlie and I believe that from time to time Berkshire will have opportunities to make very large purchases. In the meantime, we will stick with our simple guideline: The less the prudence with which others conduct their affairs, the greater the prudence with which we must conduct our own.

今回までの投稿で、一般向けの話題はひととおりご紹介できたかと思います。これにて本シリーズは終わりとなります。ただし「保険事業」に関する節から文章を適宜切り出して、改めて取り上げるかもしれません。

もうひとつ、こちらはおまけです。今回の文章でウォーレンは「非常に大きな買収ができる機会」としていましたが、もう一歩具体的な情報が入った話を、昨年の株主総会で発言していました。あくまでもトランスクリプトでの確認で、買収とも株式投資とも言ってはいませんでしたが。

2018年3月3日土曜日

2017年度バフェットからの手紙(6)大暴落が待っている

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2017年度「バフェットからの手紙」から、前回につづく文章です。(日本語は拙訳)

短期でみたときに価格が無秩序に変動するせいで、長期的な価値の成長ぶりを覆い隠す鮮明な例が、バークシャー自身にもあります。この53年間において当社は利益を再投資し、複利が持つ魔法の力を利かせつづけることで、会社の価値を高めてきました。年を追うごとに前進してきました。しかしバークシャー株のほうは、実に激しい下落を4回経験しました。その惨状ぶりは次のとおりです。

期間高値安値下落率
1973年3月~1975年1月9338-59.1%
1987年10月2日~1987年10月27日4,2502,675-37.1%
1998年6月19日~2000年3月10日80,90041,300-48.9%
2008年9月19日~2009年3月5日147,00072,400-50.7%

「借入金に頼って株を保有してはならない」、その理由を説明するために、わたしにはこれ以上のものを取りそろえることはできません。短期的には、株価がどれだけ下落するのか言い当てる術はありません。借入れた金額が少なく、下落市場によって持ち株が即座には脅かされなくても、おぞましい見出しや絶句するような解説に触れれば、心中穏やかではいられないかもしれません。平静を保てなければ、適切な判断は下せないものです。

当社(や他社)の株式はこれからの53年間に、上の表と同じような下落に見舞われることでしょう。しかし、それがいつ起こるのかは誰にもわかりません。いつであろうと信号機が黄色を飛ばして、青から赤に変わるかもしれないからです。

しかし大幅な下落が生じたときに、債務に縛られていない者の手にはめったにない機会がやってきます。そのときこそ、[文筆家の]キップリングが詩作『もしもー』にしたためた文章を噛みしめるときです。

もしも、どんな君のことにも周りが心乱しても、落ち着いていられれば、
もしも、辛抱強い君がずっと飽きずに待っていられれば、
もしも、君の頭で考えられて、それ自体を目的と取り違えなければ、
もしも、だれからも疑われるときに己を信じていられれば、
世界は君のものであり、すべてはそこにあるのだから。

(PDFファイル9ページ目。この節、おわり)

Berkshire, itself, provides some vivid examples of how price randomness in the short term can obscure long-term growth in value. For the last 53 years, the company has built value by reinvesting its earnings and letting compound interest work its magic. Year by year, we have moved forward. Yet Berkshire shares have suffered four truly major dips. Here are the gory details:

Period High Low Percentage Decrease
March 1973-January 1975 93 38 (59.1%)
10/2/87-10/27/87 4,250 2,675 (37.1%)
6/19/98-3/10/2000 80,900 41,300 (48.9%)
9/19/08-3/5/09 147,000 72,400 (50.7%)

This table offers the strongest argument I can muster against ever using borrowed money to own stocks. There is simply no telling how far stocks can fall in a short period. Even if your borrowings are small and your positions aren’t immediately threatened by the plunging market, your mind may well become rattled by scary headlines and breathless commentary. And an unsettled mind will not make good decisions.

In the next 53 years our shares (and others) will experience declines resembling those in the table. No one can tell you when these will happen. The light can at any time go from green to red without pausing at yellow.

When major declines occur, however, they offer extraordinary opportunities to those who are not handicapped by debt. That’s the time to heed these lines from Kipling’s If:

“If you can keep your head when all about you are losing theirs . . .
If you can wait and not be tired by waiting . . .
If you can think - and not make thoughts your aim . . .
If you can trust yourself when all men doubt you . . .
Yours is the Earth and everything that’s in it.”

備考です。今回の「バークシャー株暴落」の話題は、昨年開催されたデイリー・ジャーナル社の株主総会で、チャーリー・マンガーも口にしていました(過去記事)。この経験は彼らにとって錨(いかり)のような役割を果たしているのかもしれませんね。

もうひとつ、こちらは蛇足です。上の文中で暴落時の日付が記されていたので、自分の売買記録を確認してみました。バークシャーのB株、2009年3月5日に購入していました。分割前の株価で2,339.75ドルでした。ただし、その数日後の3月9日に買った株のほうが安かったです。こちらは2,302.9ドルでした。ウォーレンの日付と若干ずれているのは、B株だったからか、それとも取引時間中だったからか。どちらにせよ、「バイ・アメリカン」と宣言したウォーレンが正しかったと認められるのは、まだ先のことでした。

2018年3月2日金曜日

2017年度バフェットからの手紙(5)定番の教え:株式投資の捉えかた

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2017年度「バフェットからの手紙」から、バークシャーが手がけている投資について触れた節をご紹介します。今回分の後半はウォーレンの主張としておなじみの内容ですが、読むたびに姿勢を正される気がします。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

投資の状況について

以下の表は、当社が投資した普通株のうち、年末時点で市場評価額が大きかった15件を並べたものです。ただしクラフト・ハインツ社の3億2,544万2,152株は含んでいません。バークシャーは同社の支配会社に名を連ねているので、「持分」法によって会計報告することになっているからです。貸借対照表上にはクラフト・ハインツ社の株式分として、GAAP準拠の数字で176億ドルを計上しています。一方でその市場価格は253億ドル、取得原価は98億ドルでした。



* バークシャーの子会社各社が設立している年金基金が保有する株式は除きます。
** この数字は実際の購入価格であり、税額計算時の基礎となるものです。一方、GAAP上の「費用」はいくつかの点で異なっています。GAAPの規則では減損が要求されているからです。

上記の銘柄の中には、トッド・コームズあるいはテッド・ウェシュラーが手掛けているものも複数含まれています。彼らはわたしと共にバークシャーにおける投資業務を担当しています。二人ともわたしから独立しており、おのおのが120億ドル以上の資産を運用しています。毎月出してくれるポートフォリオの概略をみてから、彼らが下した決定を知ることもよくあります。彼らの運用資産は合算すると250億ドルですが、そのなかにはバークシャーの一部の子会社が設立している年金からの受託分、80億ドル超が含まれています。上述したように、年金における投資分はバークシャーの持ち株を示した上の表には含まれていません。

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チャーリーとわたしは、バークシャーが保有している普通株のことを、市場で取引されているものではありますが、発行元企業の所有権だとみなしています。「株価チャート」の形状や、アナリストが発表する「目標」株価や、メディアに登場する解説者の意見、そういったものに基づいて売買するための「単なる銘柄コード」、とは考えていません。そうではなく、投資先の事業が成功を収めれば(ほとんどはそうなると信じていますが)、わたしたちがした投資も同じように成功を収める、と確信しているだけです。その見返りがそこそこで終わることもあるでしょう。逆に、キャッシュ・レジスターが鳴り響いて止まないこともあるでしょう。あるいは、手痛い失敗をすることもあると思います。しかし全体としてみれば、いずれはかなりの成果を手にできるはずです。米国では、株式に投資する者には追い風が吹いているのです。

当社の株式ポートフォリオ、これを「さまざまな公開企業に分散させた『少数株主としての所有権』」と称しますが、そこからバークシャーが2017年に受け取った配当金は37億ドルになりました。この数字はGAAP準拠の報告値に含まれていますし、四半期及び年次報告で言及している「営業利益」にも含まれています。

しかしその配当金の金額では、当社の保有株式から生まれ出る「真の」利益を十全にはとらえていません。「株主に関する事業上の原則」を何十年にもわたって掲載してきましたが(年次報告書19ページ)、その原則6で次のように記しています。「投資先企業があげた利益のうち内部留保されたものは、少なくとも同じ金額がキャピタル・ゲインの形で将来還元されることを期待する」と。

GAAPで定められた新たな規則によって、未実現損益を毎回の会計報告に記載するように強制されたこともあり、当社における譲渡益(及び損失)の認識額には波が生じると思います。しかし当社の投資先が留保する利益は、それらをひとまとまりとして捉えれば、いずれはそれ相応のキャピタル・ゲインの形でバークシャーに還元される、と確信しています。

上述してきた「価値の蓄積」と「留保利益」のつながりは、短期的には感知できないと思います。株価とは、年ごとに蓄積される本来的な価値にはどうやら縛られずに、騰落するものです。しかしやがては、度々引用されてきたベン・グレアムの格言が、真実だったとわかる日がきます。「短期でみれば、市場とは投票機である。しかし長期になれば、秤量機に変わる」日が。

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(この節、次回につづく)

Investments

Below we list our fifteen common stock investments that at yearend had the largest market value. We exclude our Kraft Heinz holding - 325,442,152 shares - because Berkshire is part of a control group and therefore must account for this investment on the “equity” method. On its balance sheet, Berkshire carries its Kraft Heinz holding at a GAAP figure of $17.6 billion. The shares had a yearend market value of $25.3 billion, and a cost basis of $9.8 billion.

[The table is omitted by the blog author.]

* Excludes shares held by pension funds of Berkshire subsidiaries.
** This is our actual purchase price and also our tax basis; GAAP “cost” differs in a few cases because of write-downs that have been required under GAAP rules.

Some of the stocks in the table are the responsibility of either Todd Combs or Ted Weschler, who work with me in managing Berkshire’s investments. Each, independently of me, manages more than $12 billion; I usually learn about decisions they have made by looking at monthly portfolio summaries. Included in the $25 billion that the two manage is more than $8 billion of pension trust assets of certain Berkshire subsidiaries. As noted, pension investments are not included in the preceding tabulation of Berkshire holdings.

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Charlie and I view the marketable common stocks that Berkshire owns as interests in businesses, not as ticker symbols to be bought or sold based on their “chart” patterns, the “target” prices of analysts or the opinions of media pundits. Instead, we simply believe that if the businesses of the investees are successful (as we believe most will be) our investments will be successful as well. Sometimes the payoffs to us will be modest; occasionally the cash register will ring loudly. And sometimes I will make expensive mistakes. Overall - and over time - we should get decent results. In America, equity investors have the wind at their back.

From our stock portfolio - call our holdings “minority interests” in a diversified group of publicly-owned businesses - Berkshire received $3.7 billion of dividends in 2017. That’s the number included in our GAAP figures, as well as in the “operating earnings” we reference in our quarterly and annual reports.

That dividend figure, however, far understates the “true” earnings emanating from our stock holdings. For decades, we have stated in Principle 6 of our “Owner-Related Business Principles” (page 19) that we expect undistributed earnings of our investees to deliver us at least equivalent earnings by way of subsequent capital gains.

Our recognition of capital gains (and losses) will be lumpy, particularly as we conform with the new GAAP rule requiring us to constantly record unrealized gains or losses in our earnings. I feel confident, however, that the earnings retained by our investees will over time, and with our investees viewed as a group, translate into commensurate capital gains for Berkshire.

The connection of value-building to retained earnings that I’ve just described will be impossible to detect in the short term. Stocks surge and swoon, seemingly untethered to any year-to-year buildup in their underlying value. Over time, however, Ben Graham’s oft-quoted maxim proves true: “In the short run, the market is a voting machine; in the long run, however, it becomes a weighing machine.”

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2018年3月1日木曜日

2017年度バフェットからの手紙(4)バフェットらしいあざやかな教訓

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2017年度「バフェットからの手紙」から、「賭け」の話題は今回でおわりです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

投資という行動には、「将来になってからもっと多くの消費ができるように、今日の消費を辛抱すること」が含まれます。「リスク」とは、この目的が達成できない可能性を指す言葉です。

その基準に従えば、「無リスク」とされていた長期債へ2012年の時点で投資するのは、普通株に長期投資するよりもずっとリスキーな選択でした。2012年から2017年にかけてのインフレ率が年間1%だとしても、プロテジェとわたしが手放した米国債の購買力は減っていたでしょう。

ただし早々に申し上げておきたいのですが、「明日や来週、あるいは来年であってさえも、短期の国内債券とくらべると株式のほうがリスキーである」ことは、たしかにそのとおりです。はるかにリスキーです。しかし投資期間が長期になるにつれ、米国株からなる分散されたポートフォリオのリスクは、債券よりも累進的に小さくなっていきます。ただし、「その時点での金利と比較して妥当な株価収益率で株式を買うこと」という条件が付きます。

長期的視野に基づいている投資家、たとえば年金基金や大学基金、倹約派の個人投資家は、投資上の「リスク」を量るために、ポートフォリオにおける債券対株式の比率を使うのは、たいへんな間違いです。ポートフォリオに含まれた質の高い債券でさえ、リスクを増加させることがしばしばあります。

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さて、わたしたちの果たした「賭け」から得られた最後の教訓になります。それは「大局的で『易しい』判断に付き従い、行動を慎むこと」です。10年にわたる賭けの間、[プロテジェ側が選択した]200名を超すヘッジ・ファンドのマネージャー諸氏が何万回と売買を繰り返したのは、ほぼ間違いないと思います。彼らのほとんどは判断を下す際に熟考し、どれもうまい一手だと信じていたのは、疑うところがないでしょう。投資の判断を下す前には、10-K[有価証券報告書]から学んだり、経営陣と対話したり、業界紙を読んだり、ウォール街のアナリストと意見交換をしたことでしょう。

一方プロテジェとわたしのほうは、調査や識見や才気のいずれに頼ることもなく、10年間でただ一度だけ、投資上の決定を下しました。保有していた債券を、100倍超になる利益倍率で(売却金額/利回り = 95.7/0.88)、売却すると決めただけでした。なおその際の「利益」とは、残りの5年間にわたって増加することのない値です。

売却後に手にする両者の資金は、バークシャーという名の単一の証券へと移ります。それはすなわち、多岐にわたる堅実な事業を保有したことになります。利益の留保分が使えるのですから、バークシャーの価値が年率8%に満たない成長にとどまるとは思えませんでした。たとえ景気がそこそこ程度だとしてもです。

このように幼稚園程度の分析が済んだところで、プロテジェとわたしは債券から株式への交換を実行し、一息つきました。いずれ8%が0.88%を上回るのは確実だろうと思っていました。それも「大幅に」ですよ。

(この節、おわり)

Investing is an activity in which consumption today is foregone in an attempt to allow greater consumption at a later date. “Risk” is the possibility that this objective won’t be attained.

By that standard, purportedly “risk-free” long-term bonds in 2012 were a far riskier investment than a long-term investment in common stocks. At that time, even a 1% annual rate of inflation between 2012 and 2017 would have decreased the purchasing-power of the government bond that Protege and I sold.

I want to quickly acknowledge that in any upcoming day, week or even year, stocks will be riskier - far riskier - than short-term U.S. bonds. As an investor’s investment horizon lengthens, however, a diversified portfolio of U.S. equities becomes progressively less risky than bonds, assuming that the stocks are purchased at a sensible multiple of earnings relative to then-prevailing interest rates.

It is a terrible mistake for investors with long-term horizons - among them, pension funds, college endowments and savings-minded individuals - to measure their investment “risk” by their portfolio’s ratio of bonds to stocks. Often, high-grade bonds in an investment portfolio increase its risk.

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A final lesson from our bet: Stick with big, “easy” decisions and eschew activity. During the ten-year bet, the 200-plus hedge-fund managers that were involved almost certainly made tens of thousands of buy and sell decisions. Most of those managers undoubtedly thought hard about their decisions, each of which they believed would prove advantageous. In the process of investing, they studied 10-Ks, interviewed managements, read trade journals and conferred with Wall Street analysts.

Protege and I, meanwhile, leaning neither on research, insights nor brilliance, made only one investment decision during the ten years. We simply decided to sell our bond investment at a price of more than 100 times earnings (95.7 sale price/.88 yield), those being “earnings” that could not increase during the ensuing five years.

We made the sale in order to move our money into a single security - Berkshire - that, in turn, owned a diversified group of solid businesses. Fueled by retained earnings, Berkshire’s growth in value was unlikely to be less than 8% annually, even if we were to experience a so-so economy.

After that kindergarten-like analysis, Protege and I made the switch and relaxed, confident that, over time, 8% was certain to beat .88%. By a lot.

最初の印象で「あっさり」と書きましたが、表面的な読み方ゆえの感想でした。くりかえし読むほどに、教訓や人生哲学やさまざまな教えが読み取れ、あいかわらず勉強になる文章だと感じるようになりました。なお、他の節もひきつづき取り上げるつもりです。

2018年2月28日水曜日

2017年度バフェットからの手紙(3)バカだねと思われることが必要なとき

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2017年度「バフェットからの手紙」から、前回に続いて「賭け」の話題です。(日本語は拙訳)

最終的な「賭け」の結果は、次のようになりました。

暦年 ファンドA ファンドB ファンドC ファンドD ファンドE S&Pファンド
2008 -16.5% -22.3% -21.3% -29.3% -30.1% -37.0%
2009 11.3% 14.5% 21.4% 16.5% 16.8% 26.6%
2010 5.9% 6.8% 13.3% 4.9% 11.9% 15.1%
2011 -6.3% -1.3% 5.9% -6.3% -2.8% 2.1%
2012 3.4% 9.6% 5.7% 6.2% 9.1% 16.0%
2013 10.5% 15.2% 8.8% 14.2% 14.4% 32.3%
2014 4.7% 4.0% 18.9% 0.7% -2.1% 13.6%
2015 1.6% 2.5% 5.4% 1.4% -5.0% 1.4%
2016 -3.2% 1.9% -1.7% 2.5% 4.4% 11.9%
2017 12.2% 10.6% 15.6% N/A 18.0% 21.8%
累計 21.7% 42.3% 87.7% 2.8% 27.0% 125.8%
年率 2.0% 3.6% 6.5% 0.3% 2.4% 8.5%

(注)プロテジェ・パートナーズとの合意によって、各ファンド・オブ・ファンズの名称は非公開としました。ただしわたし自身は、年次監査報告を受け取っています。なお2016年のファンドA・B・Cの数字は、昨年記載した内容から若干改訂しました。またファンドDは2017年中に解散したため、年間損益率の平均値は運営されていた9年間の成績をもとに算出してあります。

5本のファンド・オブ・ファンズは素早い駆け出しをみせ、2008年にはどれもがインデックス・ファンドを負かしました。しかしその後はまるでうまくいきませんでした。つづく9年間はどの年も、ファンド・オブ・ファンズ全体としてみればインデックス・ファンドから遅れを取ったのです。

あえて申し上げておきますが、その10年の間で株式市場の動向に異例なところは何もありませんでした。2007年の終わりごろに投資の「専門家」各氏に依頼して、普通株の長期的収益率を予想してもらえば、その平均値は8.5%に近い数字になったでしょう。これはS&P500が実際に記録した数字です。そのような環境であれば、儲けをあげるのは易しいことです。実際のところ、ウォール街の「助力者」たちが手にした総額は、びっくり仰天の金額でした。しかしながらその人たちが大いに潤った一方で、彼らに資金を投じた多くの投資家にとっては、失われた10年間となりました。

投資の成績はたゆたうものですが、手数料を遠慮されることはありません。

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今回の「賭け」によって、投資におけるもうひとつの重要な教訓があらわになりました。市場はおおむね合理的ですが、ときにおかしな行動をとります。その際に現れる機会をつかむには、まばゆい知性は必要ありません。経済学の学位も、アルファやベータといったウォール街で使われる専門用語になじんでいる必要もありません。そうではなく投資家に必要なのは、群集心理にみられる恐怖や熱狂から距離をおき、一握りの単純なファンダメンタルを凝視できる力です。かなりの期間にわたって、平凡と思われたりあるいはアホとさえ思われたりする道を、あえて選べる心持ちも欠かせません。

プロテジェとわたしは当初、最終的に必要な100万ドルを用意するために、財務省発行の額面50万ドルの割引債(ストリップスと呼ばれることがあります)をそれぞれ購入しました。その債券を買う価格が、それぞれ31万8,250ドルだったのです。これは1ドルに対して64セントを若干下回る値段でした。この金額を払うことで、10年後に50万ドルずつを受け取る算段でした。

その名称からおわかりになると思いますが、両者が買った債券には利子が支払われません。しかし(割り引いた値段で購入しているため)、満期まで保有すれば年率にして4.56%の利益が得られます。当初は年ごとに得られるリターンだけを考えており、2017年末に債券が満期を迎えることで、賭けの勝者側が指定する慈善先に100万ドルを贈るつもりでした。

しかし購入した後になって、債券市場で実に奇妙なことが起こりました。2012年の11月に、満期日まで残り5年ほどとなったわたしたちの債券が、額面価格の95.7%で買われていたのです。その値段になると、満期までの利回りは年率1%以下でした。正確には0.88%でした。

なんとも貧相なリターンなので、わたしたちが債券に投資していることが、米国株に投資するのとくらべてひどく間抜けなように思えました。S&P500であれば、すなわちそれは「米国におけるビジネスを時価総額によって適宜重みづけした大断面」のようなものですが、株主資本(つまり純資産)利益率にして年率10%を大きく上回る稼ぎを、長期間にわたってあげてきたのですから。

2012年11月、つまりわたしたちがこの件を考え直した時点で、S&P500に投資することで受け取れる配当金のリターンは年率2.5%、つまりわたしたちが購入した財務省証券の利回りの約3倍でした。しかも配当金が増額されていくのは、まず間違いないと言えました。それだけではなく、500社を構成する各社は莫大な資金を留保していました。各社はその資金を使って事業を拡大したり、よくあるように自社株を買い戻すことでしょう。どちらであろうと、いずれは1株当たり利益を大幅に増加させるはずです。1776年以来いつもそうだったように、いかなる困難な時期が来ようと、米国経済は前進し続けてきたのです。

2012年の末に債券と株式の間で評価の釣り合いが大幅に乱れたことで、プロテジェとわたしは次の点を合意しました。「両者が購入した債券を当初の予定より5年早く売却し、得られた資金でバークシャーのB株を11,200株買うこと」です。その結果、ガールズ・インクのオマハ事務所が先月受け取った金額は、当初望まれていた100万ドルではなく、222万2,279ドルとなりました。

お断りしておきますが、2012年に債券から乗り換えた後のバークシャーが、きわだった業績を残したわけではありません。しかし傑出する必要はなかったのです。結局のところ、バークシャー株からあがる利益が、年間利回り0.88%の債券に勝てばいいだけのことでした。獅子奮迅の働きは不要でした。

債券をバークシャー株に交換することの唯一のリスクは、2017年末の株式市場が極端に弱い事態にめぐり合ってしまうことでした。しかしその可能性は非常に小さい(いつであろうといくらかは存在します)だろうと、両者ともに考えていました。そう結論付けた理由は2つあります。ひとつめは、2012年末のバークシャー株が妥当な値段だったことです。ふたつめは、「賭け」が終わりとなるまでの5年間のうちに、バークシャーがほぼ確実に資産を大幅に蓄積させると考えられたからです。ただし、そうではあっても交換によって生じる、今回の慈善に関するあらゆるリスクを排除するために、2017年末にバークシャーの11,200株を売却しても100万ドルに満たない場合には、わたしが不足分を埋め合わせる旨、合意しました。(PDFファイル11ページ目)

(この節、まだつづきます)

Here’s the final scorecard for the bet:

[The performance chart is omitted by the blog author.]

Footnote: Under my agreement with Protege Partners, the names of these funds-of-funds have never been publicly disclosed. I, however, have received their annual audits from Protege. The 2016 figures for funds A, B and C were revised slightly from those originally reported last year. Fund D was liquidated in 2017; its average annual gain is calculated for the nine years of its operation.

The five funds-of-funds got off to a fast start, each beating the index fund in 2008. Then the roof fell in. In every one of the nine years that followed, the funds-of-funds as a whole trailed the index fund.

Let me emphasize that there was nothing aberrational about stock-market behavior over the ten-year stretch. If a poll of investment “experts” had been asked late in 2007 for a forecast of long-term common-stock returns, their guesses would have likely averaged close to the 8.5% actually delivered by the S&P 500. Making money in that environment should have been easy. Indeed, Wall Street “helpers” earned staggering sums. While this group prospered, however, many of their investors experienced a lost decade.

Performance comes, performance goes. Fees never falter.

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The bet illuminated another important investment lesson: Though markets are generally rational, they occasionally do crazy things. Seizing the opportunities then offered does not require great intelligence, a degree in economics or a familiarity with Wall Street jargon such as alpha and beta. What investors then need instead is an ability to both disregard mob fears or enthusiasms and to focus on a few simple fundamentals. A willingness to look unimaginative for a sustained period - or even to look foolish - is also essential.

Originally, Protege and I each funded our portion of the ultimate $1 million prize by purchasing $500,000 face amount of zero-coupon U.S. Treasury bonds (sometimes called “strips”). These bonds cost each of us $318,250 - a bit less than 64¢ on the dollar - with the $500,000 payable in ten years.

As the name implies, the bonds we acquired paid no interest, but (because of the discount at which they were purchased) delivered a 4.56% annual return if held to maturity. Protege and I originally intended to do no more than tally the annual returns and distribute $1 million to the winning charity when the bonds matured late in 2017.

After our purchase, however, some very strange things took place in the bond market. By November 2012, our bonds - now with about five years to go before they matured - were selling for 95.7% of their face value. At that price, their annual yield to maturity was less than 1%. Or, to be precise, .88%.

Given that pathetic return, our bonds had become a dumb - a really dumb - investment compared to American equities. Over time, the S&P 500 - which mirrors a huge cross-section of American business, appropriately weighted by market value - has earned far more than 10% annually on shareholders’ equity (net worth).

In November 2012, as we were considering all this, the cash return from dividends on the S&P 500 was 2.5% annually, about triple the yield on our U.S. Treasury bond. These dividend payments were almost certain to grow. Beyond that, huge sums were being retained by the companies comprising the 500. These businesses would use their retained earnings to expand their operations and, frequently, to repurchase their shares as well. Either course would, over time, substantially increase earnings-per-share. And - as has been the case since 1776 - whatever its problems of the minute, the American economy was going to move forward.

Presented late in 2012 with the extraordinary valuation mismatch between bonds and equities, Protege and I agreed to sell the bonds we had bought five years earlier and use the proceeds to buy 11,200 Berkshire “B” shares. The result: Girls Inc. of Omaha found itself receiving $2,222,279 last month rather than the $1 million it had originally hoped for.

Berkshire, it should be emphasized, has not performed brilliantly since the 2012 substitution. But brilliance wasn’t needed: After all, Berkshire’s gain only had to beat that annual .88% bond bogey - hardly a Herculean achievement.

The only risk in the bonds-to-Berkshire switch was that yearend 2017 would coincide with an exceptionally weak stock market. Protege and I felt this possibility (which always exists) was very low. Two factors dictated this conclusion: The reasonable price of Berkshire in late 2012, and the large asset build-up that was almost certain to occur at Berkshire during the five years that remained before the bet would be settled. Even so, to eliminate all risk to the charities from the switch, I agreed to make up any shortfall if sales of the 11,200 Berkshire shares at yearend 2017 didn’t produce at least $1 million.

2018年2月27日火曜日

2017年度バフェットからの手紙(2)10年越しの賭けの結果

2 件のコメント:
2017年度「バフェットからの手紙」からの引用が続きます。今回からの話題は、ウォーレンが前年度にとりあげた「賭け」の続きです(日本語は拙訳)。やはり今回も、この話題が一般(=非株主)向けのメイン・テーマだと思います。本シリーズの前回分投稿はこちらです。

なお、前年度分を紹介した投稿は以下のとおりです。未読の方は先に読まれることをお勧めします。

2016年度バフェットからの手紙(3)100歳になっても生きているだろうか
2016年度バフェットからの手紙(4)S&P500ファンドの威力
2016年度バフェットからの手紙(5)手数料は眠らない
2016年度バフェットからの手紙(6)アクティブ勢VSパッシブ勢
2016年度バフェットからの手紙(7)あのサルのように運が良ければ
2016年度バフェットからの手紙(8)金持ちはどう感じているのか
2016年度バフェットからの手紙(9)金持ちが熟練者と出会うとき

終わりをむかえた「例の賭け」から得られた、投資に関する意外な教訓

2007年12月19日にわたしが始めた10年越しの賭けについて、9割がた進んだ昨年の段階で、詳細な報告をしました(年次報告書に含めたその全文は、今回の年次報告書[PDF]の24-26ページに再掲してあります)。そして今では最終的な数字がそろいました。さまざまな観点において目を見張る結果でした。

賭けを始めた理由は2つありました。ひとつめは、わたしが拠出する31万8,250ドルをもとに、不相応なほど大きな金額に増やしたかったためです。わたしの予想する通りにものごとが進めば、2018年の初めにガールズ・インクのオマハ事務所へ寄付されることになる資金です。ふたつめは、わたしが確信していることを広く知ってもらいたかったからです。つまりそれは、「アクティブな運用者が関わらないS&P500のインデックス・ファンドを選ぶことで、実質的に費用のかからない投資となるわたしのやりかたが、ほとんどの資産運用のプロよりも優れた成績を、いずれは達成する」という考えです。ただしその「助力者」たる方々は、敬意を払われた上に、金銭面での見返りも厚遇されるとは思いますが。

この問題に取り組むことには、はなはだしく重要な意味があります。米国の投資家は毎年多額の費用を投資助言者へ支払っています。さまざまな階層にわたるがゆえの費用が課されることもよくあります。そのような投資家を全体としてとらえたときに、はたして支払った金額にふさわしい対価を受けているのでしょうか。実際のところ、助言者に対する総支出に対してなにかを受け取っているのでしょうか。

賭けの相手となったプロテジェ・パートナーズはS&P500の成績を上回ることをねらって、5本の「ファンド・オブ・ファンズ」を選択しました。彼らが選んだこの数が、少ないということはありません。ファンド・オブ・ファンズを5本選んだということは、結局のところ200本のヘッジ・ファンドへ投資することになったからです。

ウォール街では投資助言会社として知られているプロテジェは、実質的に5名の投資専門家を選んだことになります。さらには各々がヘッジ・ファンドを運営している、投資の専門家を数百名抱えたことになります。これは、「頭脳とアドレナリンと自信に満ちたエリートからなる要員のそろった集団」ということになります。

5本のファンド・オブ・ファンズそれぞれを運営するマネージャーには、さらに有利な点がありました。みずからのポートフォリオに含まれているヘッジ・ファンドを、10年の間に入れ替えることができた点です。実際のところ彼らは、新たな「スター」へ資金を投下し、その一方で運用者の神通力が失われたヘッジ・ファンドからは資金を引き揚げました。

プロテジェ側の役者諸氏は、成功に対する大きな見返りを約束されていました。ファンド・オブ・ファンズの運営者だけでなく、選択された各ヘッジ・ファンドの運営者も、儲けの大幅な部分が分配されることになっていたのです。たとえそれが単に市場全体が上昇したときであっても、です。(わたしたちがバークシャーを経営し始めた以降で10年にわたる期間を考えたとき、1年ずつずらすと都合43回ありましたが、S&P500はそのすべてにおいて、プラスだった年数がマイナスだった年数を上回りました)

成功に応じて受けられるそういった見返りは、本来は強調すべきところを、おいしくて巨大なケーキの上に塗り伸ばされていました。たとえファンドが10年の間に投資家の資金を失ったとしても、運用者諸氏は大金持ちになることができたでしょう。資産額に対する割合が、平均にして「驚きの2.5%前後」にのぼる固定手数料を、ファンド・オブ・ファンズへ投資する者が毎年支払うとなれば、それも実現する話です。その手数料の一部はファンド・オブ・ファンズ5本の各運用者へ、そして残りは下位にあたるヘッジ・ファンドの200名超にのぼる運用者へとわたったのです。(PDFファイル10ページ目)

(この節、つづく)

“The Bet” is Over and Has Delivered an Unforeseen Investment Lesson

Last year, at the 90% mark, I gave you a detailed report on a ten-year bet I had made on December 19, 2007. (The full discussion from last year’s annual report is reprinted on pages 24 - 26.) Now I have the final tally - and, in several respects, it’s an eye-opener.

I made the bet for two reasons: (1) to leverage my outlay of $318,250 into a disproportionately larger sum that - if things turned out as I expected - would be distributed in early 2018 to Girls Inc. of Omaha; and (2) to publicize my conviction that my pick - a virtually cost-free investment in an unmanaged S&P 500 index fund - would, over time, deliver better results than those achieved by most investment professionals, however well-regarded and incentivized those “helpers” may be.

Addressing this question is of enormous importance. American investors pay staggering sums annually to advisors, often incurring several layers of consequential costs. In the aggregate, do these investors get their money’s worth? Indeed, again in the aggregate, do investors get anything for their outlays?

Protege Partners, my counterparty to the bet, picked five “funds-of-funds” that it expected to overperform the S&P 500. That was not a small sample. Those five funds-of-funds in turn owned interests in more than 200 hedge funds.

Essentially, Protege, an advisory firm that knew its way around Wall Street, selected five investment experts who, in turn, employed several hundred other investment experts, each managing his or her own hedge fund. This assemblage was an elite crew, loaded with brains, adrenaline and confidence.

The managers of the five funds-of-funds possessed a further advantage: They could - and did - rearrange their portfolios of hedge funds during the ten years, investing with new “stars” while exiting their positions in hedge funds whose managers had lost their touch.

Every actor on Protege’s side was highly incentivized: Both the fund-of-funds managers and the hedge-fund managers they selected significantly shared in gains, even those achieved simply because the market generally moves upwards. (In 100% of the 43 ten-year periods since we took control of Berkshire, years with gains by the S&P 500 exceeded loss years.)

Those performance incentives, it should be emphasized, were frosting on a huge and tasty cake: Even if the funds lost money for their investors during the decade, their managers could grow very rich. That would occur because fixed fees averaging a staggering 2.5% of assets or so were paid every year by the fund-of-funds’ investors, with part of these fees going to the managers at the five funds-of-funds and the balance going to the 200-plus managers of the underlying hedge funds.

2018年2月26日月曜日

2017年度バフェットからの手紙(1)減税及び会計基準変更による影響

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2/24(土)付けで2017年度の「バフェットからの手紙」を公開しています。今回は全16ページと、少なくとも今世紀に入ってから最も短いレターです。一読した印象も「地味であっさり」といったところですが、よく考えれば大切な文章も当然ながら見受けられます。これからまじめに読み込むつもりです。

今回は冒頭の文章から、拙訳付きでご紹介します。言葉通り、バークシャーの株主に向けた話題です。

SHAREHOLDER LETTER 2017 [PDF] (Berkshire Hathaway)

バークシャー・ハサウェイの株主のみなさんへ、

2017年度において、バークシャーの純資産は653億ドル増加しました。その結果、クラスA株及びクラスB株のいずれにおいても、1株当たりの簿価は23%増えています。過去53年間において(すなわち現経営陣が就任した後のことですが)、1株当たりの簿価は19ドルから21万1,750ドルに増加しました。これは年率にして19.1%の増加率になります。

巻頭にあげた[業績推移の]表は、30年間にわたって同じ書式を使ってきました。しかし2017年度は、これまでのお決まりから大きく逸脱しています。バークシャー内で達成したこと以外のものが、当社利益の大幅な部分を占めたからです。

そうではあるものの、650億ドルになる利益は現実のものですから、ご安心ください。ただし、バークシャー自身の活動によって得た金額は、360億ドルにとどまっています。残りの290億ドルは、議会が連邦税法を改定したことによって、12月にもたらされたものです。(税務的な面によってバークシャーが得た利益に関する詳細は、年次報告書のK32やK-89~K-90ページをご参照ください)

そのような財務上の事実があることをお断りしましたので、早速バークシャーの経営状況についてご説明したいと思います。しかし、もう1件だけお待ちください。GAAP(米国会計基準)に規定された新たな会計基準について、触れておかねばならないからです。この改定によって今後提出される四半期及び年次の会計報告では、バークシャーの純利益の数字が大幅に変形したものとなります。それによってメディアに登場する解説者や投資家が誤解してしまうことが、たびたび生じると思われます。

新たな規則は、「株式投資における未実現損益の期間増減額を、純利益の数字へ含めて報告書に記載しなければならない」点を要求しています。そのことで、GAAPに準拠する当社の経営成績は、実に荒々しく気まぐれに変動することになるでしょう。バークシャーは市場で取引されている株式を1,700億ドル保有しています(ただしクラフト・ハインツ社の当社持ち分を除く)。それら持ち株の評価額は、四半期ごとの会計期間において100億ドル以上容易に変動します。そのような規模で旋回する数字を報告利益に加えることは、当社の営業成績を描き出すまさしく重要な数字を台無しにします。バークシャーが示す「稼ぎ」は、分析しようにも役に立たないものとなるでしょう。

この新たな規則によって、コミュニケーション上の問題も併せて生じます。この問題は以前からも存在していました。「[証券売却時の]実現損益を当社の純利益に含めるように」と、会計規則が強制していたからです。そのため、過去の四半期及び年度ごとの決算発表の際には、「それらの実現益には気を取られないように」とみなさんに常々警告してきました。なぜならば未実現損益と同様に、その数字も不規則に変動するからです。

証券を売却した理由の大半は、その時期にそうするのが賢明だと思えたからでした。「なんとかして報告利益に影響させたい」と考えたわけではありません。その結果、ポートフォリオ全体が残念な成績の間に大幅な実現益を計上したことが、当社では往々にしてありました(その反対もありました)。

未実現益に関する新たな規則は、実現益に適用されている現行の規則がもたらした歪曲を、一層悪化させると思われます。そのため、みなさんが納得のいく数字を得られるように、それに必要な調整値を四半期ごとに説明する労苦を、わたしたちは背負うことになります。しかし決算発表時に映像で流れる解説はたちまち反応を受けがちですし、新聞の見出しでは必ずと言っていいほど前年比でみたGAAP純利益の増減に焦点を当てています。その結果、メディアはときに数字を強調した報道を行い、多くの読者や視聴者を不必要に怖がらせたり、煽り立てたりします。

わたしたちはこの問題を緩和するために、「決算報告の発表時期を、金曜日の遅い時刻つまり市場が終了してから少し後、あるいは土曜日の早朝にする」との慣習をつづけたいと考えています。それによって市場が開く月曜日までに、みなさんが分析にかける時間をなるべく多くとれるようになり、また資産運用者たるプロの方々が自分たちの見解を含めた解説を配布する余裕ができるでしょう。そうだとしても、会計のことがチンプンカンプンな株主の間では、かなりの戸惑いが生じると思われます。

バークシャーがもっとも心を砕いていること、それは1株当たり調整後利益を生む力を増加させることです。その指標はわたしだけではなく、長きにわたるパートナーであるチャーリー・マンガーも傾注しています。またみなさんもそうであってほしい、と両名とも望んでいます。それでは、引き続いて2017年度の星取表を説明します。(PDFファイル2ページ目)

To the Shareholders of Berkshire Hathaway Inc.:

Berkshire’s gain in net worth during 2017 was $65.3 billion, which increased the per-share book value of both our Class A and Class B stock by 23%. Over the last 53 years (that is, since present management took over), per-share book value has grown from $19 to $211,750, a rate of 19.1% compounded annually.

The format of that opening paragraph has been standard for 30 years. But 2017 was far from standard: A large portion of our gain did not come from anything we accomplished at Berkshire.

The $65 billion gain is nonetheless real - rest assured of that. But only $36 billion came from Berkshire’s operations. The remaining $29 billion was delivered to us in December when Congress rewrote the U.S. Tax Code. (Details of Berkshire’s tax-related gain appear on page K-32 and pages K-89 - K-90.)

After stating those fiscal facts, I would prefer to turn immediately to discussing Berkshire’s operations. But, in still another interruption, I must first tell you about a new accounting rule - a generally accepted accounting principle (GAAP) - that in future quarterly and annual reports will severely distort Berkshire’s net income figures and very often mislead commentators and investors.

The new rule says that the net change in unrealized investment gains and losses in stocks we hold must be included in all net income figures we report to you. That requirement will produce some truly wild and capricious swings in our GAAP bottom-line. Berkshire owns $170 billion of marketable stocks (not including our shares of Kraft Heinz), and the value of these holdings can easily swing by $10 billion or more within a quarterly reporting period. Including gyrations of that magnitude in reported net income will swamp the truly important numbers that describe our operating performance. For analytical purposes, Berkshire’s “bottom-line” will be useless.

The new rule compounds the communication problems we have long had in dealing with the realized gains (or losses) that accounting rules compel us to include in our net income. In past quarterly and annual press releases, we have regularly warned you not to pay attention to these realized gains, because they - just like our unrealized gains - fluctuate randomly.

That’s largely because we sell securities when that seems the intelligent thing to do, not because we are trying to influence earnings in any way. As a result, we sometimes have reported substantial realized gains for a period when our portfolio, overall, performed poorly (or the converse).

With the new rule about unrealized gains exacerbating the distortion caused by the existing rules applying to realized gains, we will take pains every quarter to explain the adjustments you need in order to make sense of our numbers. But televised commentary on earnings releases is often instantaneous with their receipt, and newspaper headlines almost always focus on the year-over-year change in GAAP net income. Consequently, media reports sometimes highlight figures that unnecessarily frighten or encourage many readers or viewers.

We will attempt to alleviate this problem by continuing our practice of publishing financial reports late on Friday, well after the markets close, or early on Saturday morning. That will allow you maximum time for analysis and give investment professionals the opportunity to deliver informed commentary before markets open on Monday. Nevertheless, I expect considerable confusion among shareholders for whom accounting is a foreign language.

At Berkshire what counts most are increases in our normalized per-share earning power. That metric is what Charlie Munger, my long-time partner, and I focus on - and we hope that you do, too. Our scorecard for 2017 follows.

2018年2月24日土曜日

ヨギ・ベラの卓見(ウォーリー・ワイツ)

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前回の投稿につづいて、ウォーリー・ワイツのインタビュー記事を引用します。今回の話題は「価格決定力」と「価値評価」についてです。ウォーレン・バフェットと同じように、ちょっとした冗談を折り込むのがワイツ氏も上手ですね。マネー・マネージャーとしての研鑽を積んでおられるようです。(日本語は拙訳)

<ロトンティ> 最近お書きになった文章の中で、「ほとんどの業界において企業側の価格決定力が弱くなった。それというのも、インターネットを利用して価格をすみやかに比較できる能力を、買い手側が手にしたからだ」としています。それではどのような種類の企業であれば、今もなお強力な価格決定力を確実に持っていると思いますか。

<ワイツ> 強力な価格決定力とは、手元に維持するのが難しいものです。今でもそれが存在すると考えられるのは、たとえばライセンスに守られた独自製品やニッチ製品、フランチャイズ契約、特許が挙げられます。また莫大な初期投資を必要とする事業であれば、優位性があるかもしれません。しかし資本がごく安価に調達できたり横溢している時期に、安全といえる企業はほとんどないでしょう。ほかには「ネットワーク効果」が発揮されることで、市場を「勝者の総取り」によって独占できるかもしれません。しかしこれも優位性が営々とつづくものは、きわめてわずかです。

<ロトンティ> 価値評価をどのように考えていますか。ディスカウンティド・キャッシュ・フロー(DCF)分析を使いますか。売却金額を定めていますか。また、好みの評価指標がありますか。たとえばPER、PBR、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)利回りはどうですか。

<ワイツ> 私たちが信奉している理論が2つあります。第一に、「事業の価値は、将来得られるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いたものである」こと。第二に、「事業価値は、いずれ株価に反映されるであろう」ことです。しかしヨギ・ベラが言ったように、「理論と実践に理論上の違いはないが、実践してみると違いはある」ものです。

おなじみの評価指標は、様々な文脈を考慮して使わなければ、ほとんど意味がありません。DCF分析も同様にかなり鈍い道具で、「科学的精度を有する」という幻想を生み出しかねません。以前からの冗談でこんなものがあります。「DCFで使う割引率と掛けて、ハッブル宇宙望遠鏡と解く」。その心は、「数度動かせば、別の惑星系が見える」。

そうであれ、私たちが念入りに調べる企業については、DCFモデルを必ず作成しています。ただしモデルが一点の場所として示す「価値」は、すなわち購入に踏み切れと指示するものではありません。しかしモデルを構築するアナリストはその作業を通じて、当該企業がどのように機能しているか必然的に理解することになります。またモデルが存在すること自体によって、私たちの投資検討チームが企業の魅力や価値を議論・討議しやすくなります。

FCFについて一点申し上げますと、その定義は使う人それぞれによって異なっています。私たちは「随意利用可能な」キャッシュ・フローの意味で使っています。これは保守・保全費用を支払った後の現金収支[原文はcash earnings]を指しており、成長を期した投資費用は含みません。一例をあげると、ホテルは客室を定期的に改装する必要がありますが、これは保守・保全費用になります。一方、新規の客室棟を建て増す場合は成長投資、すなわち「随意」分となります(この差異は財務諸表上で明確ではないこともありますが、違いがある点を認識しておくことが大切です)。

「売却目標」についてですが、企業価値の見積もりや計算に変更があったり、株価が満額あるいは割高だと思われたり、さらには資本投下先としてもっと魅力的な対象が他にある場合に売却します。

JR: You recently wrote that the pricing power of companies in most industries has decreased because of the shopper’s ability to quickly compare prices using the Internet. Which types of companies do you believe still have strong pricing power?

WW: Strong pricing power is hard to come by. Unique products and niches protected by licenses, franchise agreements, patents, etc. still exist. Businesses that require huge, upfront capital investments can have an advantage, but in a period of very cheap and abundant capital, few companies are safe. “Network effects” can lead to “winner take all” market dominance, but again, very few advantages are permanent.

JR: How do you think about valuation? Do you use discounted cash flow analysis? Do you set sell targets? Do you have a preferred valuation ratio such as price-to-earnings (P/E), price-to-book (P/B), free cash flow (FCF) yield?

WW: We believe in the theory that (1) the value of a business is the present value of its future cash flows and that (2) business value is likely to eventually be reflected in its stock price. However, as Yogi said, “In theory there is no difference between theory and practice. In practice, there is.”

Popular valuation ratios mean very little without lots of context. Discounted cash flow analysis is also a very blunt instrument which can create the illusion of scientific precision. There’s an old joke that DCF discount rates are like the Hubble Telescope…move it a couple of degrees and you’re in a different solar system.”

We do make DCF models on all the companies we get serious about, though. While the single point “value” that comes out of the model doesn’t dictate our buying decision, building the model forces the analyst to understand how the business works and the model itself facilitates discussion/debate among our investment team about the attractiveness and value of the business.

One note on “FCF”: Practitioners differ on the definition of “free cash flow.” We talk about “discretionary” cash flow. That is, cash earnings after maintenance capex but before growth investments. For example, regular refurbishment of hotel rooms is required - maintenance capex. Adding a new wing of rooms is discretionary - growth capex. (The difference may not always be clear from financial statements but the distinction is important.)

As for “sell targets,” we sell if our estimate or calculations change, if a stock becomes fully/over-valued, or if we have a more attractive alternative use of the capital.

さて本日2月24日(土)の夜10時には、バークシャー・ハサウェイの年次報告書(及び「バフェットからの手紙」)が公開される予定です。新たな副会長2名の件は、必ずや取り上げられることでしょう。また現在の金利環境についても触れそうな印象があります。そして、アップル社や暗号通貨の話題は登場するでしょうか。

2018年2月20日火曜日

バリュー投資家ウォーリー・ワイツのインタビュー

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ときどき取り上げるバリュー志向のファンド・マネージャー、ウォーリー・ワイツ氏が顧客向けレターの最新版を公開していました。そのなかで、株式投資情報サイトのモトリー・フールから受けたインタビュー記事が転載されていますので、一部をご紹介します。(日本語は拙訳)

Value Matters: Fourth Quarter 2017 Letter to Investors (Weitz Investment Management, Inc.)

(前略)その一方で、投資からのリターンがなだらかに、あるいは想定可能なスケジュールにもとづいて得られることはありません。株式市場から「冷や飯を食わされる」期間がしばらく続くことには、すっかり慣れっこになっています。私たちの場合、「安い株を買い、高い株を売る」ことのどちらも、早い時期に実行することがよくあります。しかし作為的な低金利環境がここまで継続していることや、[証券が]高い評価を受けている現状や経済及び地政学的なリスクに直面しても投資家が無頓着でいることを過小評価していました。その結果、慎重を期した私たちのポートフォリオに対して、相対的リターンという意味でマイナスの影響をもたらしました。

そのようなやりかたで私たちが投資するのは、「長期にわたる投資期間でみたときに、成功する確率を最大化できる」と考えているからです。顧客であるみなさんから寄せられた資金は、大学進学にかかる費用や引退後に快適な生活水準を保つといった長期的な目標に向けたものと受けとめています。そのため、短期的な成績競争には重きを置いていません(資産が大幅に増加する年があっても、やぶさかではありませんが)。

(中略)

自分たちの投資プロセスやそれを実践する能力については、満足しています。それが不朽の原則にもとづいているからです。そして、「論理的に価値を測定できる資産は、高低どちらへも誤った値付けが必ず生じる」と考えています。なぜならば、「投資家はときに感情に従い、高値で買って安値で売る」ものだからです。ウォーレン・バフェットが言っているように、私たちのやるべきことは「他人が恐れをなすときに買い、他人が欲深いときに売る」ことにあります。先だってモトリー・フールから受けたインタビューの記事を、以下に一部再掲します。私たちの取り組むバリュー投資がどのようなものなのか、思い起こす際のお役に立てれば幸いです。

On the other hand, investment returns do not arrive smoothly or on a predictable schedule. We are very accustomed to being “out of step” with the stock market for stretches of time. We are often early both in buying cheap stocks and selling expensive ones. However, we underestimated the persistency of artificially low interest rates as well as investor complacency in the face of high valuations and both economic and geopolitical risks. As a result, our overly cautious portfolio positioning has had a negative impact on our relative returns.

The reason we invest the way we do is that we think it gives us the highest probability of success over long investment periods. We are investing client capital with an eye to funding long-term goals such as college education and improving the quality of life in retirement. We are not focused on short-term performance contests (though we are not opposed to outsized annual gains from time to time).

We feel good about our investment process and our ability to implement it because we think it is based on timeless principles. We believe that assets with logically measurable values become mispriced—both on the high and low sides—because investors’ emotions lead them to, on occasion, buy high and sell low. Our job, as Warren Buffett has said, is to “buy when others are fearful and to sell when they are being greedy.” A portion of our recent interview published by The Motley Fool is reproduced on the following pages. Hopefully, it will provide a good reminder of how we approach our version of value investing.

ここからがインタビュー記事になります。

ワイツ資産管理会社における連携作業及び利益について
創業者ウォーリー・ワイツが語る、見込み投資先のみつけかたと評価方法
2017年11月、モトリー・フール社ジョン・ロトンティ記

<ジョン・ロトンティ> 質の高いビジネスをどのように定義していますか。

<ウォーリー・ワイツ> ある著名な投資家がすばらしいビジネスについて次のように定義したことがあります。「原価は1円、売値は100円。そして中毒性があること」。この冗談はやがて魅力を失います、次の一言が付け加えられてからですね。「ただし顧客の命を奪うこと」。おそらくだれもが次のような事業を保有したいと考えることでしょう。まずは、大幅な競争優位性(バフェット言うところの「濠」(moat))を持っていること。2番目に、余剰の現金を生み出すこと。3番目に、当該事業において高いリターンを生み出す再投資の機会を有していること。そして4番目に、経営者が誠実であると共に、強力な資本配分の能力を持っており、株主を事業上のパートナーとして処遇し、長期的視点から1株当たりの企業価値を成長させることに注力する人物であること、です。

<ロトンティ> 投資に関するチェックリストをお使いですか。もしそうであれば、どのような項目をあげられているのか、少しばかり教えていただけないでしょうか。

<ワイツ> 正式なリストは作成していません。しかし作るとすれば、「質の高いビジネス」に関する属性が筆頭にくると思います。「生存能力」や「支配力の継続性」に関する項目がいくつか来るでしょう。「慎重な形で」借り入れを活用することは気にしませんが、会社の財務が十分な強靭さを持ち、想像し得るほぼすべての困難時にも耐えられる点は要求します。「パラシュートは、ほぼ常に開いていますから」では不十分です。スカイダイビングをするつもりはありません。

<ロトンティ> どのようにして投資対象の範囲を狭めているのか、またその範囲がどれほど広いものなのか、ご説明いただけますか。

<ワイツ> 正式のスクリーニングはあまりやりません。しかし10名からなるアナリストとポートフォリオ・マネージャーは、各々が投資候補の案を収集しています。読み物をしたり、各社と対話をしたり、投資業界内で話を交わしたり(バイサイド[機関投資家]とセルサイド[証券会社]の両方)などです。そして、あげられた投資候補について調査分析し、議論します。そのような精査を通過したものが、購入対象となったり、あるいは価格が適切と思われる時期が来たときに実際に投資する対象として、「待機」リストに加えられます。

<ロトンティ> 好みの業界や、あるいは避けている業界がありますか。

<ワイツ> 理屈の上では、投資候補に対して広く柔軟性をもって取り組んでいます。しかしながら、その企業がどのように機能しているのか理解できることが不可欠ですし、5年から10年後にどんな様子になっており、その期間内にどれだけの現金を生み出せるのか、それらを妥当に見積もれることも必要です。「予測可能であること」を要求するので、コモディティー関連あるいは競争が厳しくて急激に変化するビジネスには、あまり興味がありません。「軽資本」で済み、ケーブルテレビのような継続契約のビジネスのほうが好みです。正味で現金を生み出し、そこそこの借入で済む企業がいいですね。

[以降もインタビューは続く]

Collaboration and Profit at Weitz Investment Management
Founder Wally Weitz talks about how he finds and evaluates potential investments.
By John Rotonti • The Motley Fool • November 2017

John Rotonti:How do you define a high-quality business?
Wally Weitz: One well-known investor used to define a great business as one whose product cost a penny, sold for a dollar, and was addicting. That joke lost its appeal when people began to add, “but it kills its customers.” We would probably all like to own businesses that (1) have significant competitive advantages (Buffett’s “moat,”) (2) generate excess cash, (3) have high return reinvestment opportunities in the business, and (4) management with integrity and strong capital allocation skills who treat shareholders like partners in the business and who focus on long-term growth in the per share value of the business.

JR: Do you use an investing checklist? If so, would you mind sharing a few of those checks?
WW: We don’t have a formal list. If we did, the attributes of a “high-quality business” listed in No. 1 would be on it. There would also be some “viability” and “staying power” items. We are fine with the “prudent” use of leverage, but we insist that a company’s balance sheet be strong enough to withstand almost any conceivable type of adversity. “The parachute almost always opens” is not good enough—we don’t go sky-diving.

JR: Please explain how you narrow down your investable universe and how large that universe is.
WW: We do not do much formal screening, but each of our ten analysts and portfolio managers collects potential ideas from reading, interacting with other companies, talking to others in the investment business (both buy side and sell side), etc. Potential ideas are researched and discussed. Those that survive scrutiny may be bought or placed on the “on-deck” list for future investment when the price is right.

JR: Are there any industries you tend to prefer? Or avoid?
WW: We have great theoretical flexibility in what we may invest in. However, we need to be able to understand how the business works, to be able to make a reasonable estimate of what it will look like in 5-10 years and how much cash it will generate over that period. The need for predictability tends to lessen our interest in commodity related or highly competitive and rapidly changing businesses. We tend to favor “capital-light” and subscription businesses like cable TV. We like net cash generators and companies with modest leverage.

質の高いビジネス(high-quality business)に関する話題は、過去記事でも何度か登場しています。たとえば、以下のような記事があります。

・企業はすばらしくても自分はがっかり(アーノルド・ヴァンデンバーグ)
・レストランを品定めするように(ジョン・テンプルトン)