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2017年7月14日金曜日

電子が感情を持ち合わせていたら(ハワード・マークス)

前回につづいて、ハワード・マークスのレターから短い文章ですが引用します。「予測」に関する話題です。(日本語は拙訳)

未来については、事実というものは存在しません。あるのは、ただの見解です。自分が予想したマクロ的な将来を心底から断言する人は、無知ゆえの発言なのか、それとも自信過剰か、あるいは嘘をついているのか、いずれもみずからの先見性を誇張しています。

経済や金利や通貨や市場の動向は、科学的なプロセスに従った結果として進展するものではありません。そこには感情や弱さや偏向をいだいた人間が介在するので、大幅に予測不能なものが形成されます。物理学者のリチャード・ファインマンは、かつて次のように述べました。「それぞれの電子が感情を持ち合わせていたら、物理学はどれだけ難しくなるんだろうね」と。

不確実なことに対する予測に基づいて大胆な行動に出るのは、単に筋ちがいなだけではなく、危険なやりかたです。マーク・トウェインは次のように言っています。「やっかいごとになるのを知らないのが問題ではない。確信していたのに当たらないのが問題なのだ」。(p. 9)

There are no facts about the future, just opinions. Anyone who asserts with conviction what he thinks will happen in the macro future is overstating his foresight, whether out of ignorance, hubris or dishonesty.

Developments in economies, interest rates, currencies and markets aren’t the result of scientific processes. The involvement in them of people – with their emotions, foibles and biases – renders them highly unpredictable. As physicist Richard Feynman put it, “Imagine how much harder physics would be if electrons had feelings!”

Taking bold action based on forecasts of things that are uncertain isn’t just misguided; it’s dangerous. As Mark Twain said, “It ain’t what you don’t know that gets you into trouble. it’s what you know for certain that just ain’t true.”

蛇足ですが、とんちんかんな発言を見聞きしたときには、わたし自身も上記のような二者択一(無知あるいは嘘つき)でとらえているので、上の文章には共感できました。

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