ot

2015年11月30日月曜日

人として成長するには(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その8です。後半はウォーレンが好んで取り上げる話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問9> 投資家が企業を評価する際に、本来問うべきなのにあまり実行されていない質問とは何でしょうか。

<バフェット> まずは業界中の7,8社を調べて、よくあるデュー・ディリジェンス上の質問を経営陣に投げかけます。また各企業の経営陣には、どの競合企業であれば今後10年間をとおして自分の純資産を喜んで投じたいかを質問します。同じように、競争相手のうちショートしたいのはどの会社かも訊きます。そうすることで、その業界一筋で働いてきた人でも認識できないような業界に関する重要な気づきが得られます。

個々人のレベルでは、交友関係の中でこのやりかたをしてみるのがよいと思います。

友人の中を見渡せば、真似をするならこの人が一番だと思える人がいるでしょうし、あの人のようにだけはなりたくないと思える人もいるでしょう。次のように考えれば先ほどのやりかたができます。どの人物であればその人の将来の10%を保有したいと思えるか。あるいは、どの人であればショートしたいと思えるか。保有したいほうの人では真似したいと感じる資質をつきとめて、それを自分でも吸収できるよう努めるわけです。またショートしたい友人については、その反対を実行します。みなさんはまだ若いですから悪い習慣を取り除くことができます。「習慣という鎖は、初めは軽すぎて感じられないが、やがて重くなって壊せなくなる」と言いますから。[同様の過去記事のひとつ]

Question #9: What are questions investors should ask but usually don't when evaluating companies?

Answer #9: Start by looking at 7-8 companies in the industry and ask the management typical due diligence questions. Also, ask the management of each company which competitor they would be willing to put their net worth in for the next 10 years. Then ask which of their competitors they would short. This will provide important insights into the industry that even those who work their whole life in the industry would not realize.

On a personal level, I recommend that people do this with the network of people they know.

Among your friends, who is one person you most want to emulate and who would you want to be least like. You can approach this by thinking about which of your peers you would want to own 10% of for the rest of their lives and which ones you would like to short. Then identify the qualities that make you want to emulate them and try to internalize those qualities. Do the opposite for the friends you would want to short. You are currently still young and can get rid of your bad habits, "The chains of habit are too light to be felt until they are too heavy to be broken".

2015年11月28日土曜日

米国か、それとも中国か(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットがYahoo Financeのインタビューに応じていました。トランスクリプトも掲載されています。今回引用するのは、米国と中国の将来をくらべた話題です。(日本語は拙訳)

Yahoo Finance Exclusive: What Warren Buffett is most optimistic about

米国か、それとも中国か

どちらの国も上々の場所になると思いますが、どちらかがいいかは選べません。それはわからないのですが、20年後の中国経済は今よりもずっと発展しているでしょうし、米国経済も20年後には今よりずっと発展していると思います。ですからわたしたちの子供は、わたしたちよりも向上した環境で生活できると思います。選挙の時期がやってくると「子供たちは今のような生活ができなくなる」と喧伝されますが、まるっきり100%ナンセンスです。GDP成長が2%であっても、一人当たりでは1%以上になります。それが一世代つづけば、米国における次の世代の人たちは今の生活よりも一人当たり25%分向上することになります。ですから、どちらの国にとっても非常に良い未来が待っていると思います。

Buffett on U.S. vs China

I think both will be good places. I can’t pick one over the other. I don’t know but the Chinese economy is going to be far ahead of where it is now 20 years from now and the United States economy is going to be far ahead of where it is now 20 years from now. Our children are going to live better than we live. During, in a political season to hear people say your children aren’t going to live as well as you do – that is total 100% nonsense. I mean, even at 2% GDP that’s over 1% per capita and in one generation that means the next generation is going to live 25% better than we live per capita in the United States so both countries have a very, very good future.


2015年11月26日木曜日

この世界には2種類の知識がある(チャーリー・マンガー)

0 件のコメント:
チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の15回目です。すばらしいです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

私がよくとりあげる話に、マックス・プランク[物理学者]のことで言い広められているものがあります。こんな逸話です。ノーベル賞を受賞したあとの彼は、新しい量子力学の標準となる講義をドイツ国内で同じようにして回りました。そうするうちに彼のお抱え運転手を務めていた人間が講義の内容を暗記してしまいました。そこでプランクにこう申し出たのです。「プランク教授、いつも同じでは退屈かと存じますので、ミュンヘンでは手前が講義をして、だんなさまは運転手の帽子をかぶってお座り頂くのはいかがでしょう」。プランクは「ぜひとも」と答えました。朝目覚めた運転手は量子力学の長い講義をしました。ところが話の済んだ後に、物理学のある教授が席を立ち、おぞましいこと極まる質問を投げかけてきました。そこで話し手は次のように答えました。「これはまた、ミュンヘンのような進んだ街で、そのように初歩的な質問を受けるとは思いもよりませんでした。それでは、私の運転手に答えさせるとします」(聴衆笑)。[同じ話題にふれた過去記事]

しかし私がこの話をしたのは、すばやく機転を利かせた主人公を誉めたいからではありません。この世界には2種類の知識があると考えるからです。ひとつはプランクが到達した知識で、人が真実を理解する類いのものです。努力の末に勝ち取ったものであり、それだけの資質も備わっていました。もうひとつが運転手のみせた知識です。彼が学んだことは長々と話をするためのものでした。話し手は大物めいて見えるかもしれませんし、良い声質の持ち主たることもあるでしょう。見事な印象を与えるかもしれません。しかし結局のところ彼らの得た知識とは運転手の知識であり、真なる知識を装ったものにすぎません。これで私は、米国における実質的にすべての政治家を描写したと思います(聴衆拍手)。みなさんはこれからの人生において、なるべく多くの責任をプランク的知識を持つ人々へ担わせようとすれば、そして運転手的知識を持つ人から取り除こうとすれば、そこで問題が生じると思います。みなさんに反対する強烈な力が働くからです。

私の属した世代はみなさんの世代に対していくらか失敗を残してしまいました。カリフォルニアの議員として左派からは折り紙付きの左翼を、右派からも折り紙付きの右翼をますます送り込み、議会のほとんどを占めるようになったからです。そのだれも排除することはできません。これが、我々の世代がみなさんの世代へやってしまったことです。みなさんならば、「ずっとずっと単純であってほしい」と望まないわけはないですよね。

I frequently tell the apocryphal story about how Max Planck, after he won the Nobel Prize, went around Germany giving a same standard lecture on the new quantum mechanics. Over time, his chauffeur memorized the lecture and said, "Would you mind, Professor Planck, because it's so boring to stay in our routines, if I gave the lecture in Munich and you just sat in front wearing my chauffeur's hat?" Planck said, “Why not?” And the chauffeur got up and gave this long lecture on quantum mechanics. After which a physics professor stood up and asked a perfectly ghastly question. The speaker said, "Well, I'm surprised that in an advanced city like Munich I get such an elementary question. I'm going to ask my chauffeur to reply." (Audience laughs.)

Well, the reason I tell that story is not celebrate the quick wittedness of the protagonist. In this world I think we have two kinds of knowledge: One is Planck knowledge, that of the people who really know. They've paid the dues, they have the aptitude. Then we've got chauffeur knowledge. They have learned to prattle the talk. They may have a big head of hair. They often have fine timbre in the voices. They make a big impression. But in the end what they've got is chauffeur knowledge masquerading as real knowledge. I think I've just described practically every politician in the United States. (Audience claps.) You're going to have the problem in your life of getting as much responsibility as you can into the people with the Planck knowledge and away from the people who have the chauffeur knowledge. And there are huge forces working against you.

My generation has failed you to some extent. More and more, we're delivering to you in California a legislature in which mostly the certified nuts from the left, and the certified nuts from the right, are allowed to serve. And none of them are removable. That's what my generation has done for you. But, you wouldn't like it to be too easy, would you?

2015年11月24日火曜日

わたしを有利にしてくれること(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その7です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問8> ソーシャル・メディアが発展したり、情報が常に入ってくるようになったせいで、学生は腰を落ち着けて考えたり、あなたが過去にやっていたような考えをまとめる力を失いつつあると思います。小説よりもちょっとした情報を好むのが現代です。こういった件を問題だとお考えですか。またこれまで経歴を積まれてきた中で、深い独自の考えをめぐらすことで生まれる影響とはどんなものだったのでしょうか。

<バフェット> 考えることに多くの時間を割けるようになったのも、わたしたちが成功できた上で良かった点です。バークシャーでは会議はないですし、委員会もありません。腰を落ち着けて読み物をする以上に知的な方法はないと考えています。実のところ、わたしとチャーリーはそればかりしているのです。

効率的市場とは、それを教わる学生を不利にする教えです。読み物をして価値をみつけようとする人をとても有利にすることになります。読んだり考えたりすることを心がけず、[携帯]電話に夢中になっている人がいれば、わたし個人としてはそれが強みになります。他人が朝食の内容をツイートしたりしている間に、10-K[年次有価証券報告書]を何件か読むことで知識が得られるわけです。

わたしが生きてきた間にさまざまな変化がありましたが、世間の人が時間をつぶすやりかたは特にそうでした。

Question #8: With the rise of social media and constant information it seems students are losing the ability to sit down, think, and formulate their own thoughts like you have in the past. We prefer short bits of information to novels. Can you talk about whether you view this as a problem and the impact that deep and independent thought has had on your career?

Answer #8: A good part of our success is that we spend a lot of time thinking. At Berkshire, we don't have any meetings or committees, and I can think of no better way to become more intelligent than sit down and read. In fact, that's what Charlie and I mostly do.

The teaching of efficient markets produces a disadvantage for students and a big advantage for those who read and try to find value. It personally give me an edge when other people are not paying attention to reading and thinking, and are instead on their phones. It means that I gain knowledge from reading a few 10-K's while others are tweeting what they had for breakfast.

I've seen a lot of change in my lifetime, especially among how people spend their time.

2015年11月22日日曜日

不平等のほうがうまくいく場合(チャーリー・マンガー)

0 件のコメント:
チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の14回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

「できるだけ不平等にすることで、びっくりするほどうまくいくことがよくある」、このアイデアも大切だと思います。どういうことか、おわかりですか。UCLAのジョン・ウッデンが世界一のバスケットボール・コーチとなったときに示唆的な例を示してくれました[過去記事]。彼はチーム内の下から5人に対してこう言ったのです。「諸君がプレーに参加することはない。練習するときの相手役をすればいいのだ」。一方、上位の7名はほとんどの試合に出場しました。機械のように学ぶことがいかに重要か、思い出してください。彼らはあらゆるプレーに関わったおかげで、なおさら学ぶようになりました。不平等主義を採用したことで、ウッデンは以前よりも多くの勝ち星を挙げるようになったのです。競争の激しい世界で戦っていくには、学習機械としてもっとも素養があり、かつ決意の固い人たちが参画する場を最大限に増やすほうがいいことがよくあります。人として到達できる最上のものを欲するのであれば、まさにそれを目指すべきですよ。みなさんのお子さんが脳の手術を受けようとする際に、手術を交代で行っている外科医50人の候補からくじ引きで一人を選びたいとは考えないでしょう。あるいは、行き過ぎた平等主義によって設計された飛行機になど乗りたくありませんね。それと同じ形でバークシャー・ハサウェイを経営してほしくもないでしょう。最高のプレイヤーには多くの時間を費やしてほしいはずです。

Another idea that I found important is that maximizing non-egality will often work wonders. What do I mean? Well, John Wooden of UCLA presented an instructive example when he was the number one basketball coach in the world. He said to the bottom 5 players, "You don't get to play - you are practice partners." The top seven did almost all the playing. Well, the top seven learned more - remember the importance of the learning machine - because they were doing all the playing. And when he adopted that non-egalitarian system, Wooden won more games than he had won before. I think the game of competitive life often requires maximizing the experience of the people who have the most aptitude and the most determinations as learning machines. And if you want the very highest reaches of human achievement, that's where you have to go. You do not want to choose a brain surgeon for your child by drawing straws to select one of fifty applicants, all of whom take turns doing procedures. You don't want your airplanes designed in too egalitarian a fashion. You don't want your Berkshire Hathaways run that way either. You want to provide a lot of playing time for your best players.

備考です。チャーリーは不平等主義が有利な事例を挙げていますが、過去記事「最も信頼できるモデルとは」等ではバックアップの有効性も正しく認識しています。

2015年11月20日金曜日

1990年代終盤を思い出させる(ドナルド・ヤクトマン)

0 件のコメント:
バリュー志向のマネージャーであるドナルド・ヤクトマン氏のことは何度か取りあげています。少数の大企業に集中投資する彼のスタイルは一般の投資家にとってなじみやすく、参考になるものがあると思います(過去記事でもポートフォリオを載せました)。今回は、ファンドの顧客向けに彼が書いた第3四半期のレターから引用します。(日本語は拙訳)

AMG Yacktman Focused Fund 2015 Q3 COMMENTARY [PDF]

この第3四半期の投資環境は、私たちのやりかたにとってずっと有利なものでした。現在の市場は1990年代の終盤に少し似ていると考えています。株価の高い時期が長期間継続した強気相場が終わる前の頃です。私たちがバリューを求めるやりかたは、今年は現在のところ後れをとっています。世の中の投資家はいくつかの割高な成長株を追いかける一方、注目すべき価値を提供しながらも短期的な問題が進行中の証券を避けてきたからです。しかし同様の環境が重なった1990年終盤には、成績低調な時期が存在したことで、長期にわたるずば抜けた好成績が準備されたのでした。

この数か月の間に、投資比率を大幅に増やすことができたお気に入りの投資先が何件かありました。一方で、好成績だった投資先は縮小あるいは売却しました。本物のバーゲンが到来したときにはもっと積極的かつ楽観的になれるものですが、そうなるのはほとんどの場合下落相場においてです。当ファンドを管理運営するにあたり、私たちはこれまでどおり辛抱強く、慎重に、そして客観的であり続けて参ります。(p. 2)

The investment environment was much more favorable to our approach during the third quarter. We believe the current market is a bit like the late 1990s, near the end of that expensive, long-running bull market. Our value style has lagged so far this year, as investors have chased a few high-priced growth stocks and shunned securities that offered compelling valuations but were undergoing near-term issues. Under a similar set of circumstances in the late 1990s, a period of underperformance set up exceptional outperformance over the long term.

In the last few months we were able to significantly increase our weightings in some of our favorite ideas while reducing or selling investments that have performed well. We become more aggressive and opportunistic when true bargains materialize, and this happens most during declining markets. As always, we will continue to be patient, diligent and objective when managing the AMG Yacktman Focused Fund.

2015年11月18日水曜日

アクティビスト投資家について(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その6です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問7> 現在の企業統治の状況をどのようにみなしていますか。アクティビスト[物言う投資家]の存在は株主に価値をもたらすのでしょうか。

<バフェット> もしわたしが資産運用者になりたてで、資金を募ることだけを考えていたら、自分はアクティビストだと公言すると思います。すごく流行っていますからね。ですがアクティビスト投資家の数が増えるにつれて、行動を起こす先の企業をみつけるのがむずかしくなります。その一方で、企業における経営陣の自浄作用は失敗しつづけてきました。

アクティビスト投資家で問題なのは、株価が「跳ね上がる」ことだけを求めている様子がみられる点です。短期的な視野で動くアクティビストは個人的には好まないので、応援するアクティビスト投資家は一握りになると思います。

アクティビストの時代はまだ頂点には達していません。アクティビストの率いるファンドが儲からなくなるまでは続くと思います。すごいアイデアが馬鹿げたものに変わるまで、金融界はそのアイデアをずっと後押しします。ですが大切なのは、アイデアがどこまで通用するのかを忘れないことです。アクティビスト投資家の数が増えすぎれば、いずれは問題になります。

Question #7: How would you characterize the state of corporate governance today? Do activist investors bring value to shareholders?

Answer #7: If I were solely interested in attracting money as a new money manager, I would call myself activist investor as they are very popular now. As the numbers of activist investors grow, these managers are having more and more trouble finding companies to be active in. On the other hand, the self-cleansing method of management in companies has continuously failed.

One problem with activist investors is that they are sometimes only looking for a "pop" in the stock, so I personally do not like the short term horizon of some activists and would only back a small handful of activist investors.

The activist phase has not reached its peak yet and will be with us until activist funds stop making money. Wall Street pushes great ideas until they are silly. It is important to remember the limitations of ideas and once there are too many activist investors there will be problems.

2015年11月16日月曜日

ニッチとは居心地の良い場所(日東電工髙﨑社長)

0 件のコメント:
今週号の日経ビジネス(2015年11月16日号 No.1816)で日東電工がとりあげられていました。髙﨑社長のインタビュー記事もあり、興味深い内容でした。同社の強みが感じられた文章を以下に引用します。

はじめは髙﨑社長の発言です。

<問> ニッチを重視すると言っても、ニッチな分野は市場規模も限られます。どう稼ぐのでしょうか。

<答> もうかるかどうかではなく、もうけるんですよ。ニッチと言うと「隙間」というイメージがあるかもしれませんが、我々の考え方はちょっと違います。市場規模が小さいというより、競合がなかなか入れない「居心地の良い場所」が我々の定義するニッチです。

ここを守り続ければいずれ大きな事業に育つ可能性もある。今は大きな収益基盤となっている液晶パネル向けの偏光板だって 、最初は電卓など小さい市場からスタートしているんです。

<問> 模倣対策はどうしているんですか。

<答> そこは、ビジネスモデルから特許でバチッと押さえます。過去にたくさん苦い汁を吸っていますからね。

特許で守らなければ、どんなに良い物ができても、すぐまねされて、あっという間に追いつかれます。それこそ世界中で特許を取っておかないと戦えない。攻めの特許戦略が必要なんです。(p. 80)

もうひとつはCTOの西岡氏による説明です。

「『こんな製品があればいいのに』と思ったお客さんは、それを作ってくれそうな企業に相談する。結果的に、様々な分野で市場シェアの高い製品を抱える我々の元に、顧客ニーズが集まるようになる。そうした情報を照らし合わせることで、ものになりそうな技術、なりにくそうな技術の見極めができる」(p. 75)

蛇足です。数年前に当社へ投資してから少しずつ売却し、現在は1単元を残すのみです。名残惜しくて売り切れない。当社もそんな企業のひとつです。

2015年11月14日土曜日

反証と知恵とチェックリスト(チャーリー・マンガー)

0 件のコメント:
チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の13回目です。今回はチャーリーおなじみのテーマです。短くまとめられた発言ですが、リンク先の過去記事では詳しく説明されています。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

客観性を保つことのできる定型的なやりかたに従っていれば、当然ながら認知の面でとても有益です。ダーウィンが反証することに熱を入れたのはだれもが知っているとおりですね。自分が信じて愛した考えに対してこそ、彼は熱心に反証を試みたのです[参考記事]。できるだけ正しく考えることが人生だとすれば、そのような手順は欠かせません。そしてもうひとつ必要なのが、チェックリストを使って確認することです。これはたくさんのあやまちを防いでくれますよ。パイロットだけのものではないのです[参考記事]。多岐にわたる基礎的な知恵を身につけるだけでなく、その知恵を頭の中のチェックリストに並べて使うことです。そこまでうまくいく方法は、他にはありません。

Engaging in routines that allow you to maintain objectivity are of course, very helpful to cognition. We all remember that Darwin paid special attention to disconfirming evidence, particularly when it disconfirmed something he believed and loved. Routines like that are required if a life is to maximize correct thinking. And one also needs checklist routines. They prevent a lot of errors, and not just for pilots. You should not only possess wide-ranging elementary wisdom but also go through mental checklist routines in using it. There is no other procedure that will work as well.

2015年11月12日木曜日

善意が最悪につながるとき(『人と企業はどこで間違えるのか?』)

0 件のコメント:
遅ればせながら『人と企業はどこで間違えるのか?』を読みました。本書はビル・ゲイツが推薦した本として知られていますが、さらに元をたどればウォーレン・バフェットにたどりつくとのことです。本書では米国経済界で起こった10件の出来事(原書Business Adventuresでは12件)が節度ある文章で語られており、自然と引き込まれました。今回引用するのは1962年5月に起きた株式市場の暴落後に、ある株式ブローカーが書き残した文章です。

私たちはブローカーならではの憂鬱も抱えていた。顧客は誰もが裕福というわけではない。にもかかわらず、私たちの助言のせいで多大な損失を被っているのだ。信じてもらえないかもしれないが、他人の金を失うことはどうしようもなく嫌なものだ。あの暴落が起きるまで、相場は12年間も上昇し続けてきた。誰でも10年ものあいだ、自分や顧客にひたすら利益ばかりもたらしてきたら、自分はとてつもなく有能だと思うようになる。自分はすごい、金儲けの達人だ、と。しかし相場が崩れ、無力さが露呈した。あのとき誰もがいくばくかの自信を失い、すぐにはそれを取り戻すことができなかった。どうやら市場が受けた衝撃は、ブローカーがデ・ラ・ヴェガの提唱する次の基本ルールを守るべきだったと後悔するほど大きかったようだ--「株の売買についてはけっして助言してはならない。なぜなら、洞察力が鈍ったとき、善意の助言が最悪の結果につながることがあるからだ」(p.322)

参考までに当時のS&P指数のチャートを転載します。1929年は別格として、第2次大戦後の上昇がつづく期間では急激な下落だったようにみえます。

(出典) The Intelligent Investor (4th Revised Edition)

こちらはおまけです。上述の話とは別のもので、アメリカ政府で原子力委員会の委員長などを務めた人物デビッド・リリエンソール氏に関する章からです。民間企業の経営者へと転身した彼が、ストック・オプションで財産を築いたことについて抱いていた想いです。

「(前段省略)ここ数年、『金持ちになるってどんな気分だ』としょっちゅう訊かれます。最初は暗に非難されているようで気分が悪かったのですが、もう慣れました。今ではとくにどうこう思わないと答えています。本音はというと……ただし、これを言うと傲慢に聞こえるでしょうが……」

「いいえ、ちっとも傲慢じゃないわ」、リリエンソール夫人が先回りして言った。

「いや、傲慢さ。だが、とにかく言わせてもらうなら」とリリエンソールは続けた。「ある程度の財産があれば、お金はそれほど重要だとは思いません」

「私はそうは思わないわ」と夫人は反論した。「お金が重要じゃないと言えるのは若いうちよ。若ければなんとか頑張れますから気にならないでしょう。でも、歳をとってくるとお金があれば何かと心強いものです」(p.268)

2015年11月10日火曜日

所得格差について(ウォーレン・バフェット)

3 件のコメント:
ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その5です。今回は2件分の質疑です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問5> あなたとマンガーさんは今後50年間の展望を書かれたとのことですが、実のところどうなっていくのでしょうか。

<バフェット> これまでの50年間を通じて、容易に拡張していける事業を買うことに専念してきました。そのように企業を買収したことで、容易に拡張できるものを築けたと信じています。またわたしたちが保有しているのは、妥当な水準で成長することができ、正しい形態や文化を持った事業でもあります。

<質問6> 所得格差[原文はincome inequality]についてどのようにお考えですか。

<バフェット> 所得の平等性[原文はincome equality]はますます悪化すると思います。ですが、「所得格差」という言葉には誤りがあります。平等になることを目指すべきとしているからです。目指すところは機会の平等です。しかし資本主義が発展するほど、下位10%や20%の人はいっそう取り残されていくと感じるでしょう。これは、社会がより専門化してきたからそうなったと言えます。農業の時代だったころには、IQが150の人と80の人で所得の差をみても、ひどくはありませんでした。農作業をする人がほとんどだったからですね。その後、製造業の時代に移って専門化が若干進んだものの、まだ大丈夫でした。そして現在の市場構造は、特定の技能を持った人が有利になっています。たとえばボクシングの場合、TVが登場する前には1回の拳闘試合で最強のボクサーが得ていた金額は6千ドルほどだったでしょう。しかし今やマニー・パッキャオ対フロイド・メイウェザー・ジュニアの試合では、数億ドルになると思います。つまり、まずはTVを発明した人がいましたし、その後にボクシングの試合興行で金を儲ける人がでてきたわけです。

所得格差に影響する大きな要因として税制も挙げられます。大金持ちを優遇するよう、大幅に歪められています。申告ベースによる収入の上位400名が払っている税率は20%を下回っています。

実際のところ、市場システムでは不平等を正すことはできません。ですが、わたしたちが持つシステムの中では最良のものだと思います。

Question 5: Both you and Mr. Munger are writing down your 50-year visions. What are these visions going to be?

Over the past 50 years, we've always focused on buying companies that are scalable. With the companies that we've acquired, we believe we have created something very scalable. We also have the right form, culture and business to grow at a reasonable rate over time.

Question #6: How do you feel about income inequality?

Answer #6: Income equality will get worse but the term income inequality is in itself flawed because implies that equality is something we should aspire to. We should aspire towards equal opportunity. But as capitalism moves forward, the bottom 10% or 20% will find themselves further and further behind. This is because society has become much more specialized. Back in the farming days, the income difference between someone with an IQ of 150 vs. someone with an IQ of 80 would not have been disastrous, since most people could do farm work. Then we moved into manufacturing, a bit more specialized, but still okay. Now the market structure is giving more advantage to people with particular skills. Take the example of boxing. Before the advent of TV, the best boxers may be getting six thousand dollars per fight. Now we have Manny and Mayweather, who will be fighting for hundreds of millions. Someone came along and invented TV, and then someone figured out how to promote the fight and make money.

Another big factor that affects income inequality is the tax code, which is largely skewed to favour the super rich. The top 400 gross income earners based on their tax returns pay less than 20% tax.

So the market system doesn't really address inequality. However, it is the best system that we have.

同様の内容を扱った過去記事(ウォーレンの講演)として、「社会への貢献度とそれに対する報酬について」があります。

2015年11月8日日曜日

投資家にウソをついたのではない(『HARD THINGS』)

0 件のコメント:
少し前に『HARD THINGS』という本を読みました。著者のベン・ホロウィッツはネットスケープのマーク・アンドリーセンとITベンチャー企業を経営し、事業を大企業へ売却することに成功した人物です。畏敬すべき経歴に聞こえるかもしれませんが、事業経営の内情はIT企業によくあるドタバタの連続です。IT業界で働く人であれば(ベンチャー企業であればなおさら)、肯きたくなる局面が何度もでてきます。その意味で個人的には「激動の時期を駆け抜けた、あるCEOの回顧録」として読みました。

さて今回は、同書で何度か取り上げられているアンディ・グローブ(インテルの元CEO)の発言を引用します。

2001年の大インターネットバブルの最終時期、大手IT企業が軒並み四半期目標を大幅に下回ったときに、なぜ誰もバブル崩壊を予知できなかったのかと考えた。2000年4月のドットコム不況のあと、シスコ、シーベル、HPなどは、自分たちの顧客の多くが壁にぶつかるのを見て、すぐに景気後退に気づいたはず、とあなたは考えるかもしれない。しかし、おそらく史上最大規模の早期警告システムが作動していたにもかかわらず、どのCEOも強気の予測を繰り返した。自分たちの四半期が劇的に吹き飛ばされる寸前まで。私はアンディに、なぜ偉大なCEOたちが、迫りくる自らの運命についてウソをつくのか尋ねてみた。

彼らは投資家にウソをついたのではなく、自分にウソをついていたのだとアンディは言った。

アンディは、人間、特にものをつくる人たちは、良い先行指標にしか耳を貸さないと説明した。たとえば、CEOは自社サービスの登録者数が通常の月間成長率を25パーセント上回ったと聞けば、切迫した需要の大波に耐えられるよう、すぐにエンジニアを追加するだろう。一方、登録者数が25パーセント減少すれば、CEOは同じくらい熱心かつ緊急に、言い訳の説明をするだろう。「この月は低調だった。休日が4日もあり、ユーザーインタフェース(UI)を変更したことによってさまざまな問題が起きた。どうか、パニックにならないでほしい!」

どちらの先行指標も誤りだったかもしれないし、正しかったかもしれないが、この架空のCEOはほぼすべてのCEOと同様に、ポジティブな指標に対してのみ行動を起こし、ネガティブな指標に対しては、説明を探すだけだ。(参考記事)(p.128)

2015年11月6日金曜日

勝者の心構えとは(ハワード・マークス)

0 件のコメント:
少し前の投稿でご紹介したハワード・マークスのレター"Inspiration from the World of Sports"から、もう一か所引用します。(日本語は拙訳)

勝者の心構えとは

私の場合、メモを書き終えるその時に最後のひらめきが思い浮かぶことがよくあります。先週末のファイナンシャル・タイムズ紙で、現在の世界ランキング第1位のテニス選手であるノバク・ジョコビッチの興味深いインタビュー記事がありました。勝者の心理状態について彼が発言した一文に目がとまりました。

「どんなテニスの試合でも、勝敗の半分はコートに入る前にまちがいなく決まっていますね。自分を信じられなければ、恐れのほうが勝ってしまいます。そうなると、もう手に負えません。そしてその違いは紙一重なのです」

ジョコビッチの発言を読んで、10月の初めに交わした対話を思い出しました。そのときの話題は、私がかつてほとんど記したことのない「自信」についてでした。飛び抜けた成績をおさめるのに不可欠な属性の中で、これは高い順位に位置付けられるものです。

運動選手が平均以上であるためには抜きん出ていなければなりません。レベルの高いテニスの試合では、相手がリターンできないような「ウィナー」ショットを打たないと勝てません。強力なショットで、かつライン際かネットぎりぎりに打ち、相手の「凡ミス」を誘うわけです。しかしそうする能力に欠けていれば成功しないでしょう。つまり、それを試みること自体が賢明でないのです。一方、必要な能力を備えた人であれば、「ウィナーを狙う試合で闘う」際にそれを試みるだけの資格があります (過去のメモ"What's Your Game Plan"をご参照のこと)。

これは、イェール大学の[投資担当オフィサーだった]デイビッド・スウェンセンが「不快な特異性」と表現した投資上の行動と似ているとも言えます。これが実際に意味するのは「すばらしい投資とは、ほとんどの場合において不快なところから始まる」ということです。あるいは「ほとんどの人が不快と感じるものへ関与する」といったほうが適切かもしれません。ずば抜けた成果をあげるには、他の人には見えていない(あるいは価格へ織り込み済と思われる以外の)価値を信じる必要があります。リスキーで不確かだと他人が考えるものを買うわけです。うまくいかなければ困った事態に発展するほど大量に買うわけです。それでは、自信を必要とする行動の例にはどのようなものがあるでしょうか。

・あるものを50ドルの値段で買った後に25ドルに下落して、間違っているのはあなただと「市場」が告げているときに、そのまま保有し続けるか買い増しすること。

・(200ドルの価値があると考えて)50ドルの値段で買ったものが100ドルになった際に、「慎重にも利益の一部を確定させる」のを拒むこと。

・その会社が破産して債券価格が暴落している最中に、伝統的な知恵に逆らってあえて「落下中のナイフをつかみ取る」こと。

・好みの銘柄を、自分の比較対象である指数に占める割合よりも大幅に買うこと。あるいは、指数の構成銘柄ながらも自分の嫌う銘柄を完全に排除すること。

それぞれの例において、浅く(第一段階)しか考えない者は伝統的かつ容易であって強い自信を必要としないことを実行します。しかし深く(第二段階)考える者はものごとを違った見方でとらえ、それゆえに上に挙げたことを進んで実行します。ただし確信が得られなければ、そうはしないでしょう。私が知っているすばらしい投資家諸氏は自分に自信を持ち、深く考えられる人たちです。群集から離れようとも、まったく意に介しません。

投資家が自信を持つのはすばらしいことですし、そのおかげで大胆に振舞えるのもすばらしいことです。ただし、その自信に裏付けがあるときにかぎります。最後に示したこの条件は、投資家は冷徹かつ率直に自分自身を評価しなければならないことを意味します。自信不足やそれゆえに大胆な行動に及び腰でいるよりも、傲慢さや自己過信のほうが危険だからです。「なにが危ないのかわかっていないのは問題ではない。危なくないと信じきっていることが問題になるのだ」、マーク・トウェインがそう発言した時、彼の胸中も同じだったでしょう。そしてノバク・ジョコビッチが「紙一重だ」と言ったのも、同じことを示していたに違いないと思います。(p. 8)

The Victor's Mindset

It often seems that just as I'm completing a memo, a final inspiration pops up. This past weekend, the Financial Times carried an interesting interview with Novak Djokovic, the number one tennis player in the world today. What caught my eye was what he said about the winner's mental state.

I believe that half of any victory in a tennis match is in place before you step on the court. If you don't have that self belief, then fear takes over. And then it will get too much for you to handle. It's a fine line.

Djokovic's statement reminded me of a conversation I had earlier this month, on a subject I've written about rarely if ever self-confidence. It ranks high among the attributes that must be present if one is to achieve superior results.

To be above average, an athlete has to separate from the pack. To win at high-level tennis, a player has to hit "winners"-shots his opponents can't return. They're hit so hard, so close to the lines or so low over the net that they have the potential to end up as "unforced errors." In the absence of skill, they're unlikely to be executed successfully, meaning it's unwise to try them. But people who possess the requisite skill are right in attempting them in order to "play the winner's game" (see "What's Your Game Plan").

These may be analogous to investment actions that Yale's David Swensen would describe as "uncomfortably idiosyncratic." The truth is, most great investments begin in discomfort - or, perhaps better said, they involve doing things with which most people are uncomfortable. To achieve great performance you have to believe in value that isn't apparent to everyone else (or else it would already be reflected in the price); buy things that others think are risky and uncertain; and buy them in amounts large enough that if they don't work out they can lead to embarrassment. What are examples of actions that require self-confidence?

・Buying something at $50 and continuing to hold it - or maybe even buying more - when the price falls to $25 and "the market" is telling you you're wrong.

・After you've bought something at $50 (thinking it's worth $200), refusing to "prudently take some chips off the table" when it gets to $100.

・Going against conventional wisdom and daring to "catch a falling knife" when a company defaults and the price of its debt plummets.

・Buying much more of something you like than it represents in the index you're measured against, or entirely excluding an index component you dislike.

In each of these cases, the first-level thinker does that which is conventional and easy - and which doesn't require much self-confidence. The second-level thinker views things differently and, as a consequence, is willing to take actions like those described above. But they're unlikely to be done in the absence of conviction. The great investors I Know are confident second-level thinkers and entirely comfortable diverging from the herd.

It's great for investors to have self-confidence, and it's great that it permits them to behave boldly, but only when that self-confidence is warranted. This final qualification means that investors must engage in brutally candid self-assessment. Hubris or over-confidence is far more dangerous than a shortage of confidence and a resultant unwillingness to act boldly. That must be what Mark Twain had in mind when he said, "It ain't what you don't know that gets you into trouble. It's what you know for sure that just ain't so." And it also has to be what Novak Djokovic meant when he said, "It's a fine line."

2015年11月4日水曜日

給料取りはつらいよ(チャーリー・マンガー)

0 件のコメント:
チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の12回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

他に避けるべきこととして、不適切な動機づけがあります。報酬体系が不適切なゆえに、馬鹿げた行為や悪しき振舞いを重ねたほうが報われる。そんな環境に身を置きたいとは思わないでしょう。人間の認知や行動を御するものとして不適切な動機づけは強力に働きますから、その影響を避けるべきです。一例としてわかると思いますが、現代の法律事務所において長時間にわたる報酬請求時間を下限として強要しているところが、少なくともいくつかあります。報酬請求時間の下限が年間2,400時間になるような場所では、私はやっていけなかったですよ。さまざまな問題をもたらしたでしょうから。私はそんなことはしませんでした。これからみなさんが直面するそういった状況をどう解決したらよいか、私にはわかりません。そのような重大な問題にどう対処するかは、みなさん自身が見つけ出す必要があります。

同様に、不適切な関わり合いも避けるべきことです。尊敬できないし、同じようにもなりたくない。そんな上司の下で働きたくないのは殊更だと思います。危険ですから。だれもが権威的存在によって多かれ少なかれ管理されています。特に報酬を決定できる存在によってです。この危険に正しく対処するには、能力と意思の両方が必要です。私の場合、尊敬できる人を見つけ出して策を講じました。その際に、ほとんどだれのことも批判せずに済ませました。これでたいていは、正しい種類の人の下で働けるようになりました。きちんと配慮した上でうまくやれるだけの賢さがあれば、そういった行為を許可してくれる法律事務所は多いと思います。一般的に言って、尊敬して然るべき人の下で働けば、より満足のいく人生を過ごせるものです。

Another thing to avoid is being subjected to perverse incentives. You don't want to be in a perverse incentive system that's rewarding you if you behave more and more foolishly, or worse and worse. Perverse incentives are so powerful as controllers of human cognition and human behavior that one should avoid their influence. And one of the things you're going to find in at least a few modern law firms is high billable-hour quotas. I could not have lived under a billable-hour quota of 2400 hours a year. That would have caused too many problems for me. I wouldn't have done it. I don't have a solution for you for the situation some of you will face. You'll have to figure out for yourselves how to handle such significant problems.

Perverse associations are also to be avoided. You particularly want to avoid working directly under somebody you don't admire and don't want to be like. It's dangerous. We're all subject to control to some extent by authority figures, particularly authority figures who are rewarding us. Dealing properly with this danger requires both some talent and will. I coped in my time by identifying people I admired and by maneuvering, mostly without criticizing anybody, so that I was usually working under the right sort of people. A lot of law firms will permit that if you're shrewd enough to work it out with some tact. Generally, your outcome in life will be more satisfactory if you work under people you correctly admire.

2015年11月2日月曜日

アナリストの分析は読みません(ウォーレン・バフェット)

0 件のコメント:
ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その4です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問4> 他人のアイデアを参考にして利益をあげたことはありますか。

<バフェット> 自分のアイデアでやるのが好みです。まずまずの金額で売買されている優れた企業がいいですね。シケモク銘柄に投資して利益をあげることはできます。投資金額が小さければうまくいきますし、以前はもっと効果的でした。けれども、シケモクから事業を築くことはできません(参考記事)。アナリストの分析は読みません。いろんなアイデアが差し出されますが、外部からのアイデアを求めてはいません。自分の得意な領域にとどまっていますから。つまり、魅力的な優れたアイデアにあまり注目が集まっていない様子がたびたび見られても、バークシャーの運用資産[原文はAUM; Assets Under Management]にとって潜在的な投資先とは、かなり狭い世界にとどまることを意味しています。たとえば韓国市場について最近調べたところ、おもしろい機会をいくつか見つけました。

1950年(1951年刊)のムーディーズ業種別マニュアルを使っていたころに、1433ページの後ろにうまい案件がいくつかありました。そのときわたしが注目したのはウェスタン保険社でした。EPSが29ドルのところ、株価は高値でも13ドルでした。この件を教えてくれた人は誰もいませんでしたよ。保険ブローカーに問い合わせて大丈夫だとわかったので、同社の株を買い込んだわけです。

結局は、「加工されていない」財務諸表そのものを読んで、その業界に属する人と話をするやりかたが好きですね。

Question#4: Have you ever made money on someone else's ideas?

My preference is for my own ideas. I prefer to find good companies trading at fair prices. You can make money on cigarette butt investing but this works better with small amounts of money and was more effective years ago. You can't build businesses out of cigar butts. I don't read analyst reports and, although I get served up many ideas I don't seek outside ideas. I stay within my circle of competence. Berkshire's AUM means the universe of potential investments is smaller even though good, attractively priced ideas are often poorly covered. For instance, recently I did screening of the Korean market and found a few interesting opportunities.

I used a 1950s (1951) Moody's manual by sector. There was some good stuff in the back on page 1433.Western Insurance was a company that I looked at. It had an EPS of $29 and the high price was $13. Nobody showed me this. So I checked it out with insurance brokers and it checked out OK so I bought into the company.

All in all, I prefer to read "raw" financial reports and talk to industry representatives.