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2014年5月30日金曜日

公立学校体制の重要性について(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その24、質疑応答が3件です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 学費を得るにはどのような方法がもっともよいとお考えですか。

<バフェット> いちばんいいのは誰かからもらうことです。実のところわたしも大学の学費は自分では払いませんでした。両親が出してくれたのです。[ネブラスカ大学の]リンカーン・ジャーナル誌のマーク・シークレストさんの元で働いていたのですが、稼いだお金は全部貯金し、証券を買うのに使いました。みなさんにも自分のやれる方法があると思います。親御さんが出してくれるのもいいですし、奨学金を出してくれる先がみつかれば、それもよいでしょう。しかし自分で稼ぐしかないのであれば、そうせざるを得ないと思います。

Q. What do you feel is the best way to get money to pay for college?

A. The best way is to have somebody give it to you. Actually, my parents paid for my college education, so I did not. I worked for Mark Seacrest at the Lincoln Journal, but I took all that money and saved it to buy securities. You do it any way you can. If you've got a parent to give it to you, terrific. If you've got somebody that will give a scholarship to you, terrific. And, if you have to work for it, you know, that's what you have to do.


<質問者> バークシャー・ハサウェイには「バフェット・プレミアム」が上乗せされていると聞いたことがあります。それがどのようなものか、またなぜ存在しているのかご意見をお聞かせください。

<バフェット> これまでと同じように、将来もわたしたちがうまくやるだろうと考えている人がおられます。こう考えてみるとどうでしょう。競馬場に出向いて、過去にすばらしい成績をあげた13歳の馬に賭けるというのは。この例では過去から将来を推定していますが、果たしてそれほどのプレミアムがあるとはわたしには思えません。もちろん単なる個人的な意見ですが。

Q. I've heard the existence of a Buffett premium in regards to Berkshire Hathaway. Could you explain what that is and maybe comment on the reason for its existence.

A. Some people think we will do as well in the future as we have in the past. And, you can compare that to going out to the race track and betting on a 13-year-old horse that had a great record up to then. It's an extrapolation of the past and I don't think there is that much of a premium in it anyway, but that's just my own opinion.


<質問者> 私はカリフォルニアのロサンゼルスに住んでいます。生活するという意味ではかなりひどい場所だと一般的には考えられています。しかしオマハの祖母を訪ねたところ、一人あたりの犯罪発生数はロサンゼルスよりも悪いことがわかりました。50年代や60年代にそこまで犯罪の中心だったかは知りません。しかしバフェットさんは政治的にあるいは資産家として、経済上の取り組みへと立ち返らせたり、スーパーへ買い物を行く途中に殺されないようにするには、どうすればいいと思われますか。

<バフェット> その前提を是が非でも受け入れたいとは思いませんが、かといって無視しているわけでもありません。ある地域社会の犯罪率をよそと比べる際には、かなり微妙なところがあります。たとえば市街地を測定対象にした、ということがあるからです。特にSMSA (標準大都市統計地域; Standard Metropolitan Statistical Area)による人口統計が関係しているとすれば、SMSAは市の中心街を対象にしているのです。さて、犯罪に関する問題がどんなものであっても、わたしには妙案や即効薬を示すことはできません。しかし社会として取り組めるもっとも大切なことは、優れた公立学校体制を維持することだと考えています。いちど失ってしまえば、取り戻すのはとてもむずかしいことですが。だれもがなるべく同じ出発点からスタートできるように、社会として力を尽くすことが不可欠だと思います。

しかし現状はそうなっていません。収入が少ない人の子供とくらべると、わたしの子供のほうがあらゆる優位を手にできる状況です。ここには大きな格差があります。もちろん、持って生まれた能力にも格差はありますし、育った環境でも格差は生じます。しかし、社会から提供される教育に格差があってはならないと思います。都市、特に大都市が次々と優れた公立学校体制を失っていけば、それも大きな一因となってさまざまな社会的問題を将来生み出すことになると思います。もしわたしがなにかひとつやれるとすれば、つまり魔法の杖を振るうことができれば、優れた公立学校体制を築く方法を知りたいものです。宗教的な理由を除けば、自分の子供を私立の学校にやりたいとは誰も考えなくなる仕組みです。良き教育を受けさせたいために私立の学校に通わせる必要がなくなるでしょう。しかしロサンゼルスの公立学校体制は、少なくみても多くの点ですでに崩壊しています。ロサンゼルスに住む友人は公立学校の体制が整っているとは建前として言うものの、自分の子供は私立の学校に行かせています。ワシントンDCで政治家がやっていることとちょうど同じです。連邦の議員で子供を公立校へやっている人は、基本的にはいないと思います。40年前にワシントンDCにいたときにはわたしは公立の学校へ通いましたが、すばらしい学校でした。その学校には上下院の議員の子供が6人かそれ以上いました。現在のワシントンでは、二級とされている体制に入ることをひとたび余儀なくされると 公立校の生徒には同じ機会が回ってこなくなります。この問題を解決する妙案は、わたしには思いつきません。

企業経営や投資のことはこれまで長くやってきましたから 、いろいろわかっています。しかし、だからといって今日の社会的な問題に対してすばらしい洞察を生み出せるわけではありません。ここに慈善における問題のひとつがあります。わたしの資産をもとにした財団の理事もこの問題を抱えることになると思います。ビジネスでは簡単な問題を解決すればよく、絶好球を待つことができます。1,000社もの企業から選ぶ必要はなく、今後もコーラが飲まれ続けるか判断するだけです。そして製造・流通させるために、多額の費用が使われるわけです。慈善や社会的な状況となると、それがちょうど反対になります。あらゆる御しがたい問題、つまり解決するのが実にむずかしかったり、何十年とかかる問題が自分に渡されます。政界で働く人はきわめてむずかしい問題に取り組んでいますが、どんな気持ちなのかよくわかります。彼らが取り組んでいるのは、昨年や一昨年、あるいはそれ以前からずっと解決できずにきた問題なのですから。

わたしが死んだ後にはバフェット財団が慈善活動に携わり、すごく重要であると同時にすごく解決困難な問題に取り組むことになります。彼らにはうまくやってほしいと願っています。どれだけ重要なことが彼らに要求されるのか、また解決したり意思決定するのがどれほどむずかしいものとなるか、わたしにも理解できると思います。うまくやってほしいものですが、彼らのやろうとすることがどれほどむずかしいかは、そのときわたしがどこにいようとも理解できると思います。

Q. Mr. Buffett, I live in Los Angeles, California, which is generally regarded as being a horrible place to live anymore, but visiting my grandmother in Omaha, I find that the crime rate per capita is, I believe, worse than in Los Angeles. I don't know in the 50's and the 60's if crime was not such a forefront thing, but I'm wondering if you either politically or with your own personal fortune have any ideas on how to get us focused back on economic issues and not getting murdered on the way to the supermarket.

A. I don't necessarily want to accept the premise, and I'm not denying the premise. I just think when you compare the crime statistics of one community verses another, that can become quite tricky, because to some extent they are measuring the city, for example. Specifically, you become involved in how much of the population of the SMSA (Standard Metropolitan Statistical Area) is metropolitan in that city. I have no great answer or fast answers to any crime problems. I think the most important single thing society can do something about - although it gets very tough if you've lost it - is to maintain an outstanding public school system. I think it's essential that everyone comes as close to starting at the same starting point as possible in society.

Now, it isn't going to happen, because my kids are going to have all kinds of advantages that some low income person's kids aren't going to have. And, there is a huge disparity. There is also a disparity in the talents they are born with. There is a disparity in the environment they have. But, there shouldn't be a disparity in the education they receive from society. I think to the extent that one city after another - particularly the large ones - have lost a good public school system, that is a big contributing factor to a lot of social problems that follow. If I could do one thing, if I had a magic wand, I would try to figure out a way to have an outstanding public school system where there was no reason for anybody to send their kids, except for religious reasons, to private schools. Private schools wouldn't be needed in order to get a good education. But I know Los Angeles's public school system, at least in many parts, has deteriorated. I have friends out there and they will pay lip service to a good public school system, but they will send their kids to private school, just like our legislators do in Washington, D.C. Essentially, I don't think there is anybody in Congress who sends their kids to the public schools. I went to public school in Washington, D.C. 40 years ago, and it was first class. We had half a dozen or more kids of Senators or Congressmen at that school. Today in Washington, public school students are not getting the same shot at the opportunities in America, if they have been forced into a system that is second class. I don't have great solutions to this problem.

I know something about running business and investing, because I've been doing it for a long time. But, that does not give me great insight into a lot of the social problems of the day. One of the problems with philanthropy - and my foundation's board will have this problem with my funds - is that in business, I get to solve the easy problems. I get to wait for fat pitches. I don't have to make a choice among 1,000 different companies. All I have to do is decide people are going to keep drinking Coke. And, there is a lot of money to be made in manufacturing and distributing it. In philanthropy and in social situations, it's just the reverse. All of the intractable problems - the ones that are really tough to solve, the ones that take decades - are the ones that get thrown at you. That's why I do feel empathy for people in politics, because they are dealing with the toughest problems. They are dealing with problems that people couldn't solve last year, or the year before, or the year before that.

Regarding philanthropy, after I die, the Buffett Foundation will be tackling problems that are terribly important, but also terribly difficult to solve, and I wish them well. And I'll understand how important the requests are that they'll receive, and how terribly difficult it will be to solve, to make decisions, and I wish them well. But I'll understand; wherever I am I'll understand, if they have difficulty accomplishing that.


ウォーレンの意を汲んだのか、ビル・ゲイツの財団では米国内向けの教育支援プログラムを実施しているようです。

College-Ready Education (Bill & Melinda Gates Foundation)

2014年5月28日水曜日

(8136)サンリオの限界、鳩山体制の終わり

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決算説明会の翌日にあたる5月22日(木)、下落基調だったサンリオの株価がさらに暴落しました。終値は前日比16%安の2,598円にとどまりましたが、一時はストップ安2,410円をつけました(Yahoo!株価情報)。当社IRはその状況に対して「アナリストが発表した内容が混乱を招くもととなっている」との見解を示し、誤解を解くように要請しました(当社発表[PDF])。アナリストの発信では「ビジネスモデルの方針転換が利益率の低下につながる可能性がある」とあったそうですが、あえて婉曲な表現にとどめたように感じられます。本心では、「経営の質が低下するリスクがある」と書きたかったのではないでしょうか。

来期予想も増収増益を掲げている当社の「経営の質が低下する」とはどういうことなのか。今回は、ここ数年間のサンリオの動きを踏まえた上で個人的な見解を記述します。

1. 株価の動向と市場の不安
投資家の視点でみたときの当社は、20年来「悩ましい企業」でありつづけました。余剰資金の運用失敗、そしてテーマパーク事業の不振が企業価値を損ねてきたからです。当社の株価に新しい春がやってきたのは2010年でした。当時700円ほどだった株価は成長期待によって4年近く上昇し続け、昨年9月のピーク時には6,000円をつけました。しかし現在は高値の半分を割り込み、2,800円前後まで下落しています。

[サンリオ株価の動向; Google 10年超のチャート]

2. 業績の推移
近年の業績は2008年度を底にして2009年度以降回復し、再成長の軌道に乗りました。利益成長に大きく貢献しているのは海外事業(ほとんどがライセンス供与)です。一方の国内事業(物販、ライセンス、テーマパーク)は当時からほとんど横ばいがつづいています。

[営業利益の推移; 当社説明会資料より。誤差あり]

3. 業績反転の主導者
業績回復のきっかけとなったのは、当社の辻邦彦副社長(故人。後述)が社外から人材を招へいしたことでした。その人物とは、現常務取締役の鳩山玲人(れひと)氏です。高名な一族の一員で1974年生まれの鳩山氏は大学卒業後に三菱商事に入社し、当社にかかわる業務等に携わった後、ハーバードのビジネススクールに進学してMBAを取得しています。また辻邦彦副社長に声をかけられたことで2008年5月に当社に入社し、経営に参画することとなりました。

[鳩山玲人氏; 早稲田大学サイト記事より借用]

現社長の息子である辻邦彦副社長は当社でずっと仕事をしてきました。父親の辻信太郎社長は現在80歳代半ばと高齢であり、副社長が経営管理の実質的な責任者を務めていたものと想像されます。また先日行われた決算説明会(後述)で辻信太郎社長が発言していたように、この6月には辻邦彦副社長の昇進が内々定していました。副社長は父親社長が築いてきた当社の長短両面をよく理解していたはずです。その想いの一部は数年前の有価証券報告書に課題として端的に表現されています。

[2005年度有価証券報告書]
当社グループは、Project2006により売上高指向から利益指向へシフトし、国内外において物販ビジネスの拡大とともにライセンスビジネスに注力し、特に、厳しい現状を踏まえての国内における販売力強化が当面の課題と認識しております。(PDF14ページ目)

辻邦彦副社長が鳩山氏を迎え入れた2008年度を底にして業績が改善しはじめました。海外ライセンス展開が伸長したことが大きく、鳩山氏が少なからず貢献していることがうかがわれます。短中期で成果のあがる戦略を見定めるとともに、欧米の現地法人を指揮し、顧客との直接交渉にも参加してきたようです。自身や鳩山家の人脈も役立ったかもしれません。中期計画(Project2015)は円安の好条件も重なったおかげで、1年前倒しの2013年度に営業利益目標を達成しています。

業績の数字以外にも鳩山氏の貢献度はうかがえます。過去の決算説明会の映像をみると、アナリストからの質問に応じている主役は彼でした。登場する話題は経営全般にわたっており、たとえばM&Aや配当性向といった資本配分、定量的なパフォーマンス管理に基づいた業務の評価・改善、業界でのポジションを意識した上での長期的なビジョン策定の必要性などにも触れていました。このことは、彼が最上層の経営に深くかかわっていたことを裏付けています。

鳩山氏の示す経営管理の方針や戦略実行のやりかたは基本から逸れておらず、聞いていて違和感を感じさせません。アメリカなどの優良企業の経営者と似た雰囲気です。説明内容は具体的で的を外すことが少なく、聞き手に安心感を与えるもので、アナリストからも評価されていたと思います。ただしそのようなやり方はスマートにみえるため、「若造の経営ごっこ」と受けとめられる危うさも負っていたかもしれません。

4. 辻邦彦副社長の死去(2013年11月)
2013年11月20日に辻邦彦副社長が急死しました。以下の報道記事によれば、出張先のロサンゼルスで客死されたとのことです。株価は2013年9月にピークをつけており、副社長が死去された後もひきつづき下落が続き、今日に至っています。

「ハローキティ」サンリオ株急落の陰で御曹司急死 [副社長の写真あり] (週刊文春WEB)

5. 「鳩山ショック」(2014年5月22日)
先週の5月21日に、当社の前期決算発表会が行われました。「この頃思うこと」と題した恒例の説話の中で、辻信太郎社長が当面の経営体制を発表しました。社長自身は留任のままで、辻邦彦副社長の抜けた穴を埋めるために各事業・現地法人の責任者をより前面に立たせ、全体を統括指揮する人物としては江森常務を指名しました。経営企画室長である彼は三菱銀行の出身であり、借入先銀行からの連絡役・お目付け役だと想像します。現在の当社は業績低迷から抜け出して好調な時期に入っています。そのような時期にとられた新体制に対して、説明会に参加していたアナリストからは疑念が度々投げかけられていました。

半年前まで経営改革のリーダーであった鳩山常務はどうやらその責務を解かれたようで、この2年間業績が低迷している欧州担当となりました。欧州は海外事業の中でもっとも利益貢献の大きかった地域でしたが、現在は米州(おもにアメリカ)に逆転されています。市場規模が大きいためにうまくテコ入れできれば大きな利益回復が期待できます。その意味で、鳩山常務を専任として問題対応にあてるのは理に適った判断だと思います。しかし当社の船頭から鳩山常務を外したことは大きな方針転換だと、少なくとも証券業界は受けとめたように感じました。

決算発表会における鳩山常務の様子には興味ぶかい点がありました。ここで比較したいのは、昨年11月6日に開催された第2四半期決算会での振舞いです。アナリストに対する応答は彼が中心になってこなしており、態度や回答内容からは自信がうかがえます。以下の両リンク先に映像があります。

[サンリオ2013年度第2四半期決算説明会; 鳩山常務(左)、江森常務(右)]

そして先日の5月21日に開催された決算説明会での様子です。前回までと大きく違った点を以下に列挙します。

[サンリオ2013年度決算説明会; 鳩山常務(前列左端)、辻社長(同右端)]

(1) 席次がひとつ後退していること(たとえば1:29:20-)
前回までは社長からかぞえて3番目でしたが、今回は4番目になっています(女性秘書を除く)。物理的にも社長から遠い座席に座っています。

(2) アナリストが質問する内容のメモをとらないこと(たとえば1:34:15-1:35:09)
質問に対しては基本的には社長や江森常務が回答し、固有の質問だけ鳩山常務が答えること、と事前に段取りされていたと思われます。しかし、自分が答える必要のない質問でもメモをとって備えておくのは大人が一般的にやることです。この席での鳩山氏はペンをとっておらず、自分には様々な権限がなくなったことを態度で示しています。(第2四半期決算映像では、たとえば54:15-での映像でメモをとっている)

(3) 質疑応答の際の視線の動き(1:31:20-1:33:25)
過去の映像では、鳩山常務はアナリストへ話をする際には視線を頻繁に移動させる傾向がみられます。しかし前回までと今回では、その動き方が大きく異なっています。前回まではメモの内容と質問者の双方に対して交互に視線を向けていました(2013月11月開催の第2四半期決算では、たとえば映像の55:20-)。今回は視線が左右へ泳いでおり、しかも質問者に対して力強くありません。これは潜在意識にある不安が表出したものと個人的には捉えました。この場合、権限や立場が大きく縮小されたことを示すと受けとめることができます。「欧州の立て直しを一時的に命じられたものの、仕事にけりがつけばかつての仕事に戻れる」、彼がそのような約束に基づいていたとすれば、ここで指摘した不安げな様子はみせなかったと思います。

6. 今後のサンリオと鳩山常務
鳩山常務が当社において自分の望む仕事を遂行できる可能性は大きく低下したと想像します。いい話があれば他社へ移る可能性は極めて高いと思われます。一方の辻信太郎社長にとっては、鳩山常務がやめることに異論はないようにみえます。ただし欧州立て直しの観点では鳩山常務の利用価値は大きく、たとえば今後1,2年間は結果が出ることと両建てで待つ手も考えられます。

鳩山常務はコミットメントを旨としており、欧州立て直しはきちんと取り組むと思われます。その仕事に区切りがつく1年後あるいは2年後に向けて、次の活躍の場を探しながら過ごす日々になるものと想像します。あくまでも個人的な見解ですが、鳩山氏にふさわしいのは自分を必要と考えてくれて大きな仕事を任せてくれる環境だと思います。ただし次の職場では、「偉大なるネコちゃん」の力を頼ることはできませんが。

7. 当社の企業価値
当社の営む事業の質は極めて高いために、経営者が大きなミスをするぐらいではなかなか揺らぎません。当社にとってこのことは幸福でもあり不幸でもあります。そして辻邦彦副社長と鳩山氏のコンビが海外ライセンス事業を大幅に強化したことで、この数年間で基礎体力が向上しています。このことは、鳩山常務がいなくても当社がひきつづき成長できる可能性が高いことを意味します。

鳩山常務が欠けることで本当に問題なのは、「当社が大化けする機会が遠ざかり、あるいは喪われる」可能性が高まることです。辻邦彦副社長と鳩山氏の間では、大きな夢を共有していたように思えてなりません。株式市場もそれを期待して評価を高めてきたことでしょう。しかし副社長が亡くなり、そして鳩山常務が外された現在では、当社に対する評価が低下して当然だと思います。しかしそうであっても当社の実力は地に落ちることはなく、「少なくともしばらくは堅実な成長が期待できる質の高い事業」と評価できると考えます。

株価に対する個人的な見解としては、5月22日に暴落した終値2,600円前後は「わずかに割安」な領域に突入したとみています。実際にわたしも22日と23日にわたって当社の株をはじめて購入しました(平均購入単価2,600円強)。株価は現在反転して上昇中ですが、まだ大幅な割安とは言えず、2,600円あるいは先日のストップ安2,410円を割り込んでくる可能性は十分に考えられます。配当利回りを考慮すると下落率は小さくとどまると思いますが、もし厳しく下落すれば買い増しするつもりです。

以下の表は、鳩山常務の去就の観点から決定木を書いて企業価値を算出したものです。意思決定上で重要な要素はほかにもあるはずですが、現在の当社の状況で重要なのは経営の手綱さばきにあると簡略化できれば、このような粗い評価でも何らかの意味はあるだろうと考えています。ただし数字をみれば明らかなように、予定調和的なバイアスがかかっている可能性は承知しているつもりです。

[サンリオ企業価値の評価]

2014年5月26日月曜日

2003年当時のチャーリー・マンガーの予言

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チャーリー・マンガーによる講演『経済学の強みとあやまち』の31回目、今回で最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<男性の質問者> デリバティブ契約の取引から生じる金融危機についてですが、バフェットさんは、精霊が瓶から飛び出し、深酒した分だけ二日酔いもひどくなる、と言っていました。そのシナリオがどのように進むのか、何か予想されていますか。(質問者は勘違いしている。当人はデリバティブについて質問しているが、バフェットはそれに対して「金融版の大量破壊兵器」と言った)

<マンガー> 大惨事を予想して当てるのは、当然ですがきわめてむずかしいことです。しかし確信をもって言えますが、やがて大きな災厄に見舞われます。現在のシステムは無責任すぎて、とても正気とは思えません。改善したと考えているものも、実は直っていません。複雑すぎて私には正しく判断することはできませんが、しかし何兆ドルもの金額が関わっているなど信じがたいものです。その複雑さや、会計処理のむずかしさ、そして動機づけが大きくなりすぎて資産価値やものごとを明確にすることに対して甘い考えを抱いている実態ときたら、とても信じがたい状況です。

デリバティブの契約を解消するのは、苦闘であり時間もかかる仕事です。エンロンがそうしようとしてどうなったかはご存知でしょう。監査済みの純資産が消失したのですよ。この国のデリバティブに関する会計では、得たことのない利益やどこにも存在しない資産が多数報告されているのです。

それから、「横領相当」による影響が大きい上に、デリバティブ取引に際した一般の横領による影響もあります。それらを元に戻すことにも痛みを伴います。痛みがどれほどの規模になるのか、どれだけうまく対処できるのか、わたしには何とも言えません。しかし公正な目で巨大なデリバティブ取引を本気で精査してみれば、ひと月もやればもううんざりだと感じるでしょう。ここはルイス・キャロル(『不思議の国のアリス』の著者)の世界かと、いかれ帽子屋のお茶会かと疑うでしょう。その仕事に携わる人たちがいかに間違ったことを精確に実行しているか、とても信じられないと思います。最低の経済学の先生が神々のように思えるほどです。その上、堕落しているせいでさらなる愚行が生み出されています。『大破局(フィアスコ)』[原題: F.I.A.S.C.O.]という本を読んでみてください。著者のフランク・パートロイは法学の教授であり、過去にはデリバティブのトレーダーだった人ですが、デリバティブ取引の世界がいかに腐敗しているかを内部にいた人間の目から描いています。彼が勤めていた会社は、ウォール街の中でも最大かつ最上とみなされていた一社です。この本を読んでいると胸くそが悪くなりますよ。

<ラジニーシュ・メータ> もう一つ質問をお受けしましょう。次のクラスが控えていますので。次の方、どうぞ。

<男性> カリフォルニア州住民提案13号[固定資産税率の上限制定]の欠陥についてウォーレンは自分が検討したことを発表していましたが、それに対して否定的な反応がありました。さらにそのことで[シュワルツェネッガーからその発言を控えるようにとの]忠告を受けましたが、それに対して彼はどう反応しましたか。ショックを受けたり、おどろいていましたか。

<マンガー> ウォーレンを驚かせるのは至難の業です。もう70歳を過ぎていますからね、彼はいろいろ経験してきましたし、頭の回転が速い人です。概して選挙の前になると、彼はある種の話題を避けるようにしています。ですから私がここにきているわけですよ(笑)。

Male: …financial destruction from trading of derivative contracts. Buffett said that the genie's out of the bottle and the hangover may be proportionate to the binge. Would you speculate for us how that scenario can play out? [The question was garbled, but the person asked about derivatives, which Buffett has called "financial weapons of mass destruction."]

Munger: Well, of course, catastrophe predictions have always been quite difficult to make with success. But I confidently predict that there are big troubles to come. The system is almost insanely irresponsible. And what people think are fixes aren't really fixes. It's so complicated I can't do it justice here - but you can't believe the trillions of dollars involved. You can't believe the complexity. You can't believe how difficult it is to do the accounting. You can't believe how big the incentives are to have wishful thinking about values and wishful thinking about ability to clear.

Running off derivative book is agony and takes time. And you saw what happened when they tried to run off the derivative books at Enron. Its certified net worth vanished. In the derivative books of America, there are a lot of reported profits that were never earned and assets that never existed.

And there are large febezzlement effects and some ordinary embezzlement effects that come from derivative activity. And the reversal of these is going to cause pain. How big the pain will be and how well it will be handled, I can't tell you. But you would be disgusted if you had a fair mind and spent a month really delving into a big derivative operation. You would think it was Lewis Carroll [author of Alice's Adventures in Wonderland]. You would think it was the Mad Hatter's Tea Party. And the false precision of these people is just unbelievable. They make the worst economics professors look like gods. Moreover, there is depravity augmenting the folly. Read the book "F.I.A.S.C.O.", by law professor and former derivatives trader Frank Partnoy, an insider account of depravity in derivative trading at one of the biggest and best-regarded Wall Street firms. The book will turn your stomach.

Rajneesh Mehta: We'll take one more question. There's a class outside that has to come in. So one more question.

Male: Could you describe Warren's reactions to the advice about the negative reaction that he got from musing about defects of California's Prop Thirteen? Was he shocked, surprised?

Munger: It's hard to shock Warren. He's past seventy, he's seen a lot. And his brain works quickly. He generally avoids certain subjects before elections, and that is what I am going to do here. (Laughter).


この講演は2003年10月に行われているので、チャーリーやウォーレンが2008年の金融危機の激しさを正しく予見していたことが確認できます。個人的な邪推ですが、チャーリーが積極的な株式投資を控えていたのは、その見通しがあったことも一因だったように思えます。

2014年5月24日土曜日

2014年バークシャー株主総会;経営者コンビについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモから「経営者コンビ」の話題です。今回の文章も、以前にご紹介したメモから引用しています。(日本語は拙訳)

<質問13:ベッキー・クイック> 後継者の質問はよくあげられますが、チャーリーの後継者は検討されていますか。お二人のような力強いコンビは続くのでしょうか。

<バフェット> わたしにとってチャーリーは「炭坑のカナリア」をしてくれています[先鋒役の意]。チャーリーは先日90歳に達しましたが、どうやら中年期をうまく過ごしているようで、わたしにとっても励みとなっています(笑)。しかしご指摘されたことはわたしも気になっていました。チャーリーの代わりのことを話に出す人はいませんね。わたしのあとを継ぐCEOがだれであろうと、親密な仲間といっしょに仕事をするだろうと思っています。これは実にすばらしい経営方式ですよ。わたしたちがいっしょに働いたことで、バークシャーは成功できました。そのことに疑問の余地はありません(拍手)。[コカ・コーラの]ゴイズエッタとキーオのコンビや、キャップ・シティーズのトム・マーフィーとダン・バークもそうです。お互いの才能を補うものすごい二人が組んだことで、会社は大きく発展しました。これはすばらしい経営のしかたです。しかし他の人ではうまくやれないでしょう。わたしの後継者の代になって数年たっても、だれかと付き合いを持ったりパートナーとなる人がいないとしたら、それはきっとおどろくでしょうね。そういう人がいることで業績が発展しますし、分かちあう楽しさもひろがります。しかしチャーリーの後継者となると、だれも話題にあげませんね。

<チャーリー> この世の中に心配ごとはそれほどないですからね。90歳にもなれば、みんなもうすぐお迎えの時期です。

<バフェット> カナリアが話していますよ(笑)。

Q13: BQ: Successor question is common, but any discussion about a replacement for Charlie? Dynamic duo still?

WB: Charlie is my canary in the coal mine. Charlie recently turned 90, and I find it encouraging how he is handling middle age. [laughter] But now I'm getting sensitive ‐‐ you raised a point ‐‐ they never talk about replacing Charlie. I think likely that whoever replaces me as CEO will have someone they work with very closely, it is a great way to operate. Berkshire is better off because we worked together, there is no question. [clapping] I do think Goizueta & Keogh, Cap Cities Tom Murphy & Dan Burke, and company accomplished far more because of two incredible people with complimentary talents. It is great way to operate. You can't will it to somebody. If a few years after successor takes over, I'd be very surprised if there wasn't some relationship or partnership, it can enhance achievements and the fun they have. But no one has brought up successor to Charlie.

CM: I don't think the world has much to worry about. Most 90 year old men are gone soon enough.

WB: The canary has spoken. [laughter]

2014年5月22日木曜日

(解答)顧客の不正をとめるには(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門、23回目です。前回の話題を受けた解答にあたる文章です。(日本語は拙訳)

しかしそうではなく、こう話しかけたらどうなるでしょう。「それを実行すれば、あなたのもとで働く3名はその事実を知ることになります。つまり、いつ恐喝されるかもしれない状況に身をおくわけです。これまで築いてきた評判だけでなく、ご家族や財産も危険にさらすことになりますが、よろしいのですか」。

これがけっこううまくいきます。しかも説明しているのは本当のことです。しかし、そういうやりかたで良き振る舞いをさせねばならない相手のために、長い時間を費やしたいと考えるものでしょうか。私にはそうは思えません。ただし、そうせざるを得ない立場に陥っているのであれば、他人を説得する際には何よりも当人の心を惹く物事に訴えるやりかたがうまくいくものです。これもまた生物学的な要因に深く根ざした、強力な心理的原理のひとつです。

心理的な原理をまったく使い損ねた例を、ソロモンでみたことがあります。ソロモンの法務担当役員のことになりますが、社内で起きたあらゆる不正なトレーディングの実態について、CEOのグッドフレンドから連邦当局へ速やかに説明すべきだ、と彼は考えていました。その件にはグッドフレンドは参画しておらず、彼が企んだものではなかったのですが、その法務担当役員はグッドフレンドに行動するよう促しました。つまり、「あなたから説明することの法的な必要性は、たぶんないと思います。しかしそうするほうが正しいことですから、ぜひすべきです」といった内容のことを言ったのです。

しかし、そのやりかたはうまくいきませんでした。嫌な仕事というのは後回しにしやすいものです。結局、グッドフレンドの選んだ道は後回しにすることでした。

その法務担当役員がソロモンで仕える相手は、CEO以外にはほとんどいませんでした。CEOが首になれば、彼も共に首になるのです。ですから、彼の地位は風前の灯火でした。引き延ばしにしているCEOに正しいことをしてもらうよう説得して、仕事を守る必要がありました。

その作業を適切に遂行させるのは、実は朝飯前のことでした。法務担当役員氏はボスに向かって単にこう言えばよかったのですから。「ジョン、このままだとあなたの身を滅ぼすことになりますよ。財産を失うかもしれませんし、名声だって吹き飛びます」。それでうまく進んだはずです。CEOという人間は破滅を迎えるとか、恥をしのぶとか、首にされることを好まない人種なのです。

ソロモンの法務担当役員だった彼は頭脳明晰な上に寛容な人物で、正しい考えを抱いていました。しかし職を失うことになりました。ちょっとした初歩的な心理学を使えなかったからですね。相手の興味に働きかけるのが、ほとんどの場合もっともうまくいきます。彼にはそれがわかっていませんでした。

しかしみなさんが同じような状況に直面した時に、同じようによろしくない結果をむかえる必要はありません。グッドフレンドと彼の法務担当役員がどうなったのか、それが思い出せれば大丈夫です[グッドフレンドもCEOを退任。過去記事を参照]。正しい教訓とは、実際に取り組んでみれば容易に体得できるものです。それを身につけることで、他人ではうまくできない重要な局面でも、それこそ有益な働きをすることができます。賢明かつ勤勉で公正な人間となり、正しい道を歩むように上手に説得できるようになれば、これもまた価値をもたらしていると言えます。

But, instead, you can say to him, "You can't do that without three other people beneath you knowing about it. Therefore, you're making yourself subject to blackmail. You're risking your reputation. You're risking your family, your money, etc."

That is likely to work. And you're telling him something that's true. Do you want to spend a lot of time working for people where you have to use methods like that to get them to behave well? I think the answer is no. But if you're hooked with it, appealing to his interest is likely to work better as a matter of human persuasion than appealing to anything else. That, again, is a powerful psychological principle with deep biological roots.

I saw that psychological principle totally blown at Salomon. Salomon's general counsel knew that the CEO, Gutfreund, should have promptly told the federal authorities all about Salomon's trading improprieties in which Gutfreund didn't participate and which he hadn't caused. And the general counsel urged Gutfreund to do it. He told Gutfreund, in effect, "You're probably not legally required to do that, but it's the right thing to do. You really should."

But it didn't work. The task was easy to put off - because it was unpleasant. So that's what Gutfreund did - he put it off.

And the general counsel had very little constituency within Salomon except for the CEO. If the CEO went down, the general counsel was going down with him. Therefore, his whole career was on the line. So to save his career, he needed to talk the dilatory CEO into doing the right thing.

It would've been child's play to get that job done right. All the general counsel had to do was to tell his boss, "John, this situation could ruin your life. You could lose your wealth. You could lose your reputation." And it would have worked. CEOs don't like the idea of being ruined, disgraced, and fired.

And the ex-general counsel of Salomon is brilliant and generous - and he had the right idea. However, he lost his job because he didn't apply a little elementary psychology. He failed to recognize that what works best in most cases is to appeal to a man's interest.

But you don't have to get similarly lousy results when you face similar situations. Just remember what happened to Gutfreund and his general counsel. The right lessons are easily learned if you'll work at it. And if you do learn them, you can be especially useful at crucial moments when others fail. And to the extent that you do become wise, diligent, objective, and, especially able to persuade in a good cause, then you're adding value.


さまざまな心理的な原理については、以下の過去記事のシリーズでもご紹介しています。

(目次)誤判断の心理学

2014年5月20日火曜日

(問題)顧客の不正をとめるには(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門、22回目です。今回もすばらしい話ですがちょうど問答形式に分けられるので、解答にあたる後半部は次回の投稿でご紹介します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なお、答え自体はむずかしいものではありません。他人の気持ちをうまく誘導できる人であれば、自然にやっていることだと思います。

<質問者> Outstanding Investors Digest[バリュー投資家に好評のインタビュー誌]に掲載されていたあなたに関する記事のおわりで、資産運用マネージャーの中で付加価値を生み出しているのはごくわずかな人だけだ、とありました。ここで話をお聞きしているのは未来の法律家たちですが、仕事を通じて価値を加えられるようになるにはどうしたらよいか、何か推奨して頂けますか。

<マンガー> 正しく考えられる人ならば、大きな価値を加えられると思います。また勇気を必要とするときに大いなる自信を以って介入することを賢くも学んだとしたら、これも大きな価値をもたらします。はたまた職場や顧客や自分が気にかけている者を破滅に導くバカげたことが起きないように防いだり止めたりできれば、大きな価値を生んだことになります。

みなさんにも建設的な妙技を使いこなすことはできますよ。ひとつ例をあげてみましょう。スキャデン・アープス[全米最大級の法律事務所]のジョー・フロム[ミスター買収と呼ばれた有名な弁護士]は、[ハーバードでの]学生時代のクラスメートでした。彼が弁護士としてあれほどまでに成功した理由のひとつは、印象に残るちょっとしたたとえ話をひねり出すのがとても上手だったことです。彼のたとえ話は要所を衝いており、うまく働きました。そうです、顧客などを良い方向へと仕向けたいときに少しばかりおもしろい例をつかって説得するのは、非常に有益なやりかたです。

それができるのはひとつの才覚と言えます。ですから、世界中のジョー・フロムは生まれつき才能のある人ばかりだと思うかもしれません。しかし彼はその才能に磨きをかけてきたのです。そのような能力は、だれにでもある程度は備わっています。だから、みなさんも能力を磨くことができます。

ときには、[非合法]すれすれの案件に関わることもあるでしょう。たとえば顧客が脱税したいと考えているとします。税法なぞ限界のむこうに押しやってしまおうと持ち出す彼は、そうしないと首を縦に振ってくれません。せっかくできたイカサマをやり逃したと思うと、残念な気持ちで朝からヒゲも剃れないぐらいです。世の中にはそのような人たちがいるのです。もっと激しく燃えるように生きなければ、と感じる性質の人種です。

そのような状況に接する方法として、2つのやりかたが考えられます。ひとつめは、「彼のためには働けません」と避けて通る方法です。もうひとつはこうです。「生活の状況を考えると、彼の仕事を受ける必要がある。しかし彼のために働くからといって、欺こうと考えたのは私ではない。ならば、仕事を引き受けよう」。

もうひとつ考えられるのは、本当に彼がバカなことをやりたがっているのであれば、「あなたのやっていることは間違いですよ。私には良くないことだと思えます」と彼に言うやりかたです。しかし、これはうまくいかないでしょう。

そのやりかたでは相手の怒りを招くだけです。彼のほうが年長でしょうから、説得に応じるどころか、こう反論してくるでしょう。「そういう君は一体何様だ。この世の道徳を決めるのは自分だ、とでも思っとるのかね」。(この項つづく)

Q: At the end of your article in OID, you mentioned that only a select few investment managers actually add value. Since you're speaking to an audience of future lawyers, what would you encourage us to do in order to be able to add value in our profession?

To the extent you become a person who thinks correctly, you can add great value. To the extent you've learned it so well that you have enough confidence to intervene where it takes a little courage, you can add great value. And to the extent that you can prevent or stop some asininity that would otherwise destroy your firm, your client, or something that you care about, you can add great value.

And there are constructive tricks you can use. For example, one reason why my old classmate, Joe Flom of Skadden Arps, has been such a successful lawyer is that he's very good at dreaming up little, vivid examples that serve to pound the point home in a way that really works. It's enormously helpful when you're serving clients or otherwise trying to persuade some in a good cause to come up with a little humorous example.

The ability to do that is a knack. So you could argue that the Joe Floms of the world are almost born with a gift. But he's honed the gift. And to one degree or another, all of you were born with the gift. And you can hone it, too.

Occasionally, you get into borderline stuff. For instance, suppose you've got a client who really wants to commit tax fraud. If he doesn't push the tax law way beyond the line, he can't stand it. He can't shave in the morning if he thinks there's been any cheating he could get by with that he hasn't done. And there are people like that. They just feel they aren't living aggressively enough.

You can approach that situation in either of two ways: (A) You can say, "I just won't work for him," and duck it. Or, (B) you can say, "Well, the circumstances of my life require that I work for him. And what I'm doing for him doesn't involve my cheating. Therefore, I'll do it."

And if you see he wants to do something really stupid, it probably won't work to tell him, "What you're doing is bad. I have better morals than you."

That offends him. You're young. He's old. Therefore, instead of being persuaded, he's more likely to react with, "Who in the hell are you to establish the moral code of the whole world?"

2014年5月18日日曜日

弱気派ジェレミー・グランサムの強気な予測

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GMOの最新の四半期レターが公開されています。いかにもジェレミー・グランサムらしい話題が登場しているので、彼の文章から引用してご紹介します。(日本語は拙訳)

Looking for Bubbles Part One: A Statistical Approach [PDF] (GMO's 1Q 2014 Letter)

一月(いちがつ)法則 [=一月効果]

今四半期にとりあげた中心的な主張とは別のものとして、私には弱気筋を支持する材料があります。いわゆる一月法則と呼ばれるもので、一月における株価動向によってその年の株価の騰落を予測します。

一月法則が生じる仕組みは、常に次のように考えられてきました。「年の暮れになると税金対策の損出しやクリスマスに支払われるボーナスのおかげで、人々は投資に回せるかなりの資金を手にする。そこで将来のことを自問し、年始早々に行動をとる。だから平均してみれば、法則が当たることのほうが多いだろう」というものです。ともかく、その法則は機能しているように思われます。奇妙な出来事が重なったことで、私たちにとってまさに初めての機関投資家の顧客が、このやりかたに則った唯一の仕事となりました。1978年の末のことで、その投資家は中西部のある年金基金でした。運用戦略は3つの要素から成り立っていました。大統領選サイクル、一月法則、金融緩和の度合いです。このやりかたで2年間はうまくいきました。しかし理事が交代するや否や、私たちは早々に首を切られました。彼からすれば単純すぎると思えたからです。それまでは伝統的なバリュー方式で株を選定することに注力していたため、その件はそれでおわりとなりました。35年前のこの出来事をあえて紹介するのは、大統領選サイクルと一月法則を使って各年の結果を予測するだけで、すばらしい成績をあげていたからです。その後の35年間には、データマイニングどころか実体験として検証することができました。35年前に発見したこととは、各年の初めの営業日5日間の騰落動向とその後の期間の騰落動向は同様のトレンドを描くとする予測が、よく的中することです。これによって、その年の騰落が予測できます。同じことが1月全体でみたときの騰落にも当てはまりました。

しかしこの法則は当時であっても既に古く、大統領サイクルと同じように「株トレーダー年鑑」では都度改訂されたものを目にするかもしれません。私が見たものは少し新しくなっており、「5日間の結果が1月の結果と逆の場合、つづく11か月ではトントンの騰落になる」と変わっていました。ですから私たちが関心を示すのは、2つのデータが整合している場合になります。つまり「上げ・上げ」と「下げ・下げ」の2つです。「上げ・上げ」の年は1932年以降に22回あり、2月から12月に生じた平均上昇率は11.6%でした。私が生まれた1938年以来で特筆すべき点は、22回のうちで平均を下回る年は1987年だけだったことです。その年は最初の9か月間で35%上昇しました。これは、かつてもっとも上昇率の高かった9か月間のひとつです。そしてテクニカルな暴落がやってきました。これは、行き過ぎたほどに適用されたポートフォリオ・インシュアランスが引き起こしたものと、私たちは信じています。

同様に注目すべき点は、1932年以来に14回あった「下げ・下げ」の年の成績です。年間騰落率の平均はぶざまなもので、6.6%の下落でした。1982年だけがかなりの上昇をみせました。こちらも覚えておいてほしいのですが、その年も8月まではじわじわと下落を続け、利益の7倍に相当する水準まで達しました。その後、年末上昇相場に突入したのです。さて、ここで触れておきますと、2014年は年初5日間と1月の両方が下落しました。つまり今年は「下げ・下げ」の年です。さらに10月1日までは、大統領選サイクルでみたときの最低の「2年目」に当たります。(グリーンスパン一味は金融緩和をしない年があったので厳しい時期もありましたが、1998年と2006年は「2年目」のなかで数少ない見事な成績をおさめた2回でした。FRBと市場が活気づいた年です)

その2つの法則はなぜ機能し続けているのでしょうか。これは非常に興味をそそる疑問です。興味のひとつとして、「下げ・下げ」の6%下落と「上げ・上げ」の10%上昇の差を鞘取りできれば、大もうけできるかもしれないことがあります。しかしもっと肝心なのは、それら2つの要因を投資家がまるで真剣に考えないことです。実際のところ、この要因はまったくもって尊重されていません。35年前の件はまやかしで薄弱と考えられています。その後の35年間ですばらしい実績をあげているのに、意見を変えてくれません。それらの要因を話題に出すと、資産運用のマネージャーは弱った顔を見せますし、(私たちの事例によれば)顧客も検討したがりません。しかし、当然ながらここが重要な点です。彼らにはプロとしての経歴がかかっているため、この話題は些細なことで、データマイニング的[重箱の隅]であり、単純すぎて真実とは思えないととらえています。一方で個人の投資家は、それらが好成績をあげる傾向は自分にとっては穏やかすぎるとみているようです。つまり最終的には、それらに応じて行動する人は誰一人いない結果となり(実にGMOも含めて)、そのことがまさしく機能し続ける理由となっています。

内情をつまびらかにしたほうがよいので、ここで告白致します。この法則を何十年間と学んできた私でさえ、実際に使ったことはほとんどありません。その理由は上述したものと同様です。個人的な資金についてもそうです。年老いた裕福な人間である私としては、現在は経歴上のリスクがない自己資金のわずかな額を、「下げ・下げ」の年には[市場から]遠ざけ、[大統領選サイクルの]「3年目」には振り向けています。幸いなことに、有用と思われるそれら2つの法則に従っても、誰のことも案じる必要はありません(GMOでさえも)。ええ、決して。

今後2年間に関する最善の予想

慎重なる投資家が判断する際には、複数年にわたる価値の予測だけ(あるいはほぼそれだけ)に基づくべきだ、とする警告は度々くりかえされてきました。それを踏まえた上で、私の予想を申し上げます。

1) 今年は2月1日から10月1日まではむずかしい局面がつづくでしょう。上げ同様に下げもあるでしょうが、おそらく下げのほうが少し大きい[原文はa little more]と思います。

2) しかし10月1日以降には、市場は強気になると思います。特に4月まで、もしくは次の選挙までの18か月間に(もっと長期にわたるひどい可能性もあります)2,250ポイントを超えてくると予想します。おそらく、けっこうな上昇幅になるでしょう。

3) 投票日が近くなるか終わって間もない頃に、バブル相場ははじけるでしょう。いつもバブルがそうなるように、本来のトレンドまで戻すと思います。最高値から半分あるいはもっと下がるかもしれません。それは、FRBが探し出してくる新たな弾薬によります。 (p.9)

The January Rule

Unlike my main thesis this quarter, I do have some support for the bears in the so-called January Rule: that the move in January predicts whether the balance of the year will be strong or weak.

The logic for the January Rule has always been that individuals have an unusual flow of investable funds at the end of the year from tax loss selling and from Christmas bonuses, and also at the end of the year ask themselves what lies ahead and act on that in early January and apparently get it moderately more right than wrong. In any case, the Rule seems to work. By a curious set of events, it turned out that our very first institutional account in late 1978 - a midwestern pension fund - was the only account we ever had that used this approach. It had three components: the Presidential Cycle, the January Rule, and a measure of monetary stimulus. It worked okay for two years, but just as soon as a new pension officer appeared, he fired us for having an approach that to him looked simple-minded and because we were busy doing traditional value stock picking by then, that that was the end of it. I offer this history to make the point that both the Presidential Cycle and the January Rule had excellent records then - 35 years ago - in simply predicting the outcome of each individual year. So when we review the 35 years that followed I find it more of a real-time experiment than data mining. What we found 35 years ago was that the first 5 trading days of each year had a good record of predicting a similar trend for the balance of the year. The same applied to the performance for the whole month of January. Although this rule was old even then, as was the Presidential Cycle, and could be regularly found updated in the annual "Stock Traders' Almanac," what I found that was slightly new was that when the 5 days contradicted the January results, the following 11 months were close to a wash. Our interest, therefore, was in those cases in which the two pieces of data confirmed each other: what I thought of as "up ups" and "down downs." Since 1932 there have been 22 "up up" years. The average gain from February to December those years was 11.6%. Most remarkably, since my birth in 1938, only 1 of the 22 occurrences was below average and that was 1987, a year that spent the first 9 months going up 35%, one of the strongest 9 months ever, before hitting the technical collapse caused, we believe, by the over-enthusiastic use of portfolio insurance.

Almost as remarkable have been the results of the 14 "down downs" since 1932, for which the average balance of the year is a dismal -6.6% with only 1982 showing a pretty big upside move. Remember, too, that even that year went down steadily through August until it hit seven times earnings and staged a late-year rally. It should be mentioned here that 2014 is a year in which both the first five days and the month of January were down - i.e., a "down down" year. It is also, until October 1, the weakest year of the Presidential Cycle, "a year two." (Although the Greenspan gang has had a hard time not stimulating every year, so that 1998 and 2006 were two of the few year twos that had respectable performance as the Fed and the markets got carried away.)

A very interesting question is why these two rules keep on working. Well, for one thing, to arbitrage the difference between a -6% year ("down down") and a +10% year ("up up") would take a lot of money. But more to the point, investors are very reluctant to take these two factors seriously. In fact, the factors are not respectable at all! They felt hokey and insubstantial 35 years ago and another very good 35 years of performance has not changed that. Managers seem embarrassed to talk about these factors and clients (based on our sample) are reluctant to consider them. And this of course is the point: they carry the career risk for professionals as being seen to be trivial, data mined, and just too simple to be true. Individuals, in contrast, probably find these outperformance tendencies to be too mild for their taste. The net effect is that no one (really, including GMO) acts on them and this is precisely why they have continued to work.

In the interest of full disclosure, I must confess that even as I studied these rules for decades I hardly used them at all, even personally, for reasons similar to those described. Today, older and wealthier and not exposed to career risk with my own money, I tilt a minimal amount away from "down down" years and toward year 3. Fortunately, I don't have to worry about anyone else (even GMO) following these two apparently useful rules. Ever.

Best Guesses for the Next Two Years

With the repeated caveat that prudent investors should invest exclusively or nearly exclusively on a multi-year value forecast, my guesses are:

1) That this year should continue to be difficult with the February 1 to October 1 period being just as likely to be down as up, perhaps a little more so.

2) But after October 1, the market is likely to be strong, especially through April and by then or in the following 18 months up to the next election (or, horrible possibility, even longer) will have rallied past 2,250, perhaps by a decent margin.

3) And then around the election or soon after, the market bubble will burst, as bubbles always do, and will revert to its trend value, around half of its peak or worse, depending on what new ammunition the Fed can dig up.

なお文中で登場する「大統領選サイクル」は、以下の過去記事で少しくわしく触れられています。

・慎重派投資家のジェレミー・グランサムが豹変?

2014年5月16日金曜日

イエス・キリストを掲げた広告(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによる講演『経済学の強みとあやまち』の30回目です。短い質疑応答があるのでもう1回つづきますが、今回が実質的な最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

私からの話を締めくくるにあたって、もうひとつお粗末な話を披露したいと思います。限られたレパートリーにしがみついていると、間違った考えに達することを示す話です。この話の主人公は、旧世界からアメリカにやってきたハイマン・リーボウィッツという人物です。彼は新しい国にやってきたものの、昔と同じように家業の釘製造に励みました。苦労に苦労を重ねて、小さな釘事業がやっと大きな成功をおさめました。そこで彼の妻はこう言いました。「あんたも年なんだからさ、フロリダにでも行って仕事のことは息子に任せておしまいよ」。

彼は事業を息子に任せてフロリダへと離れました。ただし業績報告は毎週受け取っていました。フロリダにそれほど長く滞在する間もなく、業績が赤字へと急降下しました。実にひどいものでした。そこで彼は飛行機に乗って工場のあるニュージャージーに戻りました。空港から工場へ向かう途中、煌々と照らされた巨大な野外広告をみかけました。十字架に架けられたキリストが描かれており、その下に次の説明文が大きく付けられていました。「このときにもリーボウィッツ社の釘が使われていました」。彼は工場へ行って怒鳴りたてました。「このばかったれ小僧が。おまえは一体何をしたと思っているのだ。会社がここまでくるのに50年もかかったんだぞ」。息子が答えました。「父さん、大丈夫ですよ。ちゃんと直しておきますから」。

彼はフロリダに戻りましたが、さらなる報告を受けとっても業績は悪くなる一方でした。そこでまたもや飛行機で戻ることにしました。空港を出て標識に従うまま運転していくと、明かりのついた例の大きな広告がみえました。今度の十字架には何も架けられていませんでした。しかしなんとまあ、十字架の下でキリストは地面に放り出されていました。そして広告の文句はこうです。「リーボウィッツ製の釘は使われていませんでした」(笑)。

たしかに笑える話です。しかし間違った考えに囚われている人がたくさんいる状況をみれば、それほど馬鹿げた話ではありません。ケインズはこう言っています。「難しいのは新しい考えを取り入れることではない。古い考えを捨てることだ」。もっとうまく表現しているのがアインシュタインです。頭を使う仕事で成功をおさめた要因として、彼は「好奇心、集中、根気、自己批判」を挙げています。彼の言う自己批判とは、最愛にしてまるで駄目な自分のアイデアをうまくお払い箱にできる能力のことです。みずからが出した駄目なアイデアを上手に捨てられるようになれば、それはすばらしい才能と言えます。

今日の短い話に登場していた大きな教訓をふりかえってみましょう。私が言いたかったのはこうです。様々な学問分野にわたる数々の重要な技を用い、それを流暢に使えるようになるまで腕をみがき、経済学だけでなくあらゆることに活用すること。また複雑さや逆説には避けられないものがありますが、それでがっかりしないように。それらは、問題解決をいっそう楽しくするものだからです。私を導いてきた言葉として、再度ケインズからご紹介しましょう。「厳密にやって間違えるよりも、だいたい当たっているほうがましだ」。

最後に、同じような場で申し上げたことを繰り返して締めくくりとします。「学際的なやりかたに熟達したら、以前に戻りたいとは思わないだろう。両手を切り落とすようなものだから」。

これでおわりです。あとはみなさんの望むまでご質問を受けましょう(拍手)。

As I conclude, I want to tell one more story demonstrating how awful it is to get a wrong idea from a limited repertoire and just stick to it. And this is the story of Hyman Liebowitz, who came to America from the old country. In the new country, as in the old, he tried to make his way in the family trade, which was manufacturing nails. And he struggled, and he struggled, and finally, his little nail business got to vast prosperity, and his wife said to him, "You are old, Hyman, it's time to go to Florida and turn the business over to our son."

So down he went to Florida, turning his business over to the son, but he got weekly financial reports. And he hadn't been in Florida very long before they turned sharply negative. In fact, they were terrible. So he got on an airplane, and he went back to New Jersey where the factory was. As he left the airport on the way to the factory, he saw this enormous outdoor advertising sign lighted up. And there was Jesus, spread out on the cross. And under it was a big legend, "They Used Liebowitz's Nails." So he stormed into the factory and said, "You dumb son! What do you think you're doing? It took me fifty years to create this business!" "Papa," he said, "trust me. I will fix it."

So back he went to Florida, and while he was in Florida, he got more reports, and the results kept getting worse. So he got on the airplane again. Left the airport, drove by the sign, looked up at this big lighted sign, and now there's a vacant cross. And, lo and behold, Jesus is crumpled on the ground under the cross, and the sign said, "They Didn't Use Liebowitz's Nails." (Laugher).

Well, you can laugh at that. It is ridiculous, but it's no more ridiculous than the way a lot of people cling to failed ideas. Keynes said, "It's not bringing in the new ideas that's so hard. It's getting rid of the old ones." And Einstein said it better, attributing his mental success to "curiosity, concentration, perseverance, and self-criticism." By self-criticism, he meant becoming good at destroying your own best-loved and hardest-won ideas. If you can get really good at destroying your own wrong ideas, that is a great gift.

Well, it's time to repeat the big lesson in this little talk. What I've urged is the use of a bigger multidisciplinary bag of tricks, mastered to fluency, to help economics and everything else. And I also urged that people not be discouraged by irremovable complexity and paradox. It just adds more fun to the problems. My inspiration again is Keynes: Better roughly right than precisely wrong.

And so, I end by repeating what I said once before on a similar occasion. If you skillfully follow the multidisciplinary path, you will never wish to come back. It would be like cutting off your hands.

Well, that's the end. I'll take questions as long as people can endure me. (Applause)

2014年5月14日水曜日

2014年バークシャー株主総会;資本コストについて

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモの決定版と思われるものが出始めました。以下のリンク先がそれです。今回はそのメモから資本コストの話題を引用します。ただし前回ご紹介したメモの内容と照らし合わせた上で、訳文を適宜補正しています。(日本語は拙訳)

Notes from the 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (著者:Peter Boodell氏他、掲載サイト:Scribd)

<質問8> 並外れたリターンをあげる能力によって経営陣の良しあしの度合いがわかると思いますが、会社の規模が大きすぎるともなれば、それはむずかしくなると思います。巨額の設備投資が必要な会社が[子会社として]新たに加わったことで、資本コストはどうなりましたか。

<バフェット> 規模の大きさが業績の足かせになるのは言うまでもありません。それが本当に足を引っ張るところまでわたしたちは進んで、そのことを確かめてみるつもりです。市場価値が3,000億ドルもの資本となると、以前と同じリターンはあげられません。たしかアルキメデスは十分に長いテコがあれば世界を動かせると言ってましたよね。わたしにもそのテコがあればと思います。さて2つの質問に答えますと、資本コストとは何かですが、わたしたちが2番目に優れていると考えるアイデアが生み出すものだと思います。そしていちばんのアイデアとは、それを超えるものを指します。どうやれば資本コストを決められるかは、過去に何度も議論されてきましたが...。

<マンガー> まともなものは、ひとつも聞いたことがないですね。

<バフェット> わたしたちにもわかりませんが、[投資先の企業が]わたしの良しとしない考えであっても賛成票を投じるつもりです。少しは例外があると思いますが[コカ・コーラ社の議決権行使を棄権した最近の話題に引っかけている]。長期的な観点で[資本効率を]まさに確かめるには、留保した資本1ドルが1ドル超の市場価値を生み出しているかをみればよいと思います。何十億ドルと投下したコスト以上に増えていけば、わたしたちはそのままつづけていきます。あるカナダの企業に30億ドル近くの資本を投下しましたが、きっと成功するでしょうし、当時は30億ドルでその投資をするのが最良の選択でした。ところで、CEOが実行したがっている案件に対して「それは資本コストを超えられません」とCFOが反対するような例は、一度も目にしたことがありません。一方わたしたちは事業を評価できると考えていますし、当社の資本の状況もわかっています。資本コストは重要な課題なので、継続的に見定めています。

<マンガー> 「資本コスト」という言いかたを我々はしませんね。ウォーレンの言うところの、つまり「投下した以上に市場価値を増やす」とする定義は、ビジネススクールでは決して教えないでしょう。「留保したものによって、いっそうの価値を生み出す」、これこそ最良の表現です。我々が正しく、連中がまちがっている。それだけですよ。

<バフェット> ほら、彼よりもわたしのほうがまともに見えるでしょう(笑)。(p.5)

Q8: Gregory Warren, Morningstar (GW): The measure of a good management is ability to generate outsized returns, but sheer size makes it hard. What is cost of capital now, with new capex‐heavy firms?

WB: There is no question that size is an anchor to performance. We intend to prove that up to the point it starts really biting. We can't have same returns on capital base, market cap of $300bil. Archimedes, didn't he say he could move the world if he had a long enough lever, and wish I had that lever. We'll answer two questions. Cost of capital is what can be produced by our second best idea. Our best idea has to exceed that. We've heard so many discussions on how to figure out the cost of capital…

CM: I've never heard an intelligent one.

WB: We don't know, I probably vote if I don't like it but some exceptions to that. The real test over time is that the capital we retain produces more than a dollar of market value over time. If we keep putting billions in, and adding more than their cost, we'll keep doing it. We are spending close to $3bil on a Canadian company, and we will be better off and that was best thing to do that day with that $3bil. I've never seen a CEO wanting to do a deal and a CFO say it didn't exceed cost of capital. We think we can evaluate businesses, we know our capital. We are constantly measuring that opportunity cost, it is an important subject.

CM: A phrase like "cost of capital" we just don't use it. Warren's definition of adding more in market value than we put in will never be taught in business school - the phrase to retain to create more value, is the best description. It's simple: we're right, and they are wrong.

WB: I look good compared to him, don't I? [laughter]


ウォーレンはさりげなく示していますが、この会話に登場するもうひとつの大切なことは、個人的には「テコ」だと感じました。

2014年5月12日月曜日

デカルト『方法序説』

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デカルトの『方法序説』を拾い読みしていたところ、有名な一節にたどりつきました。ものごとを考えるときに還元主義的に取り組む方法です。本ブログでよく取り上げているダーウィンやチャーリー・マンガーのやりかたは、ここに通じていたのですね。岩波文庫の翻訳から引用します。

法律の数がやたらに多いと、しばしば悪徳に口実をあたえるので、国家は、ごくわずかの法律が遵守されるときのほうがずっとよく統治される。同じように、論理学を構成しているおびただしい規則の代わりに、一度たりともそれから外れまいという堅い不変の決心をするなら、次の4つの規則で十分だと信じた。

第一は、わたしが明証的に真であると認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れないことだった。言い換えれば、注意ぶかく速断と偏見を避けること、そして疑いをさしはさむ余地のまったくないほど明晰かつ判明に精神に現れるもの以外は、何もわたしの判断のなかに含めないこと。[参考記事]

第二は、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。[参考記事]

第三は、わたしの思考を順序にしたがって導くこと。そこでは、もっとも単純でもっとも認識しやすいものから始めて、少しずつ、階段を昇るようにして、もっとも複雑なものの認識にまで昇っていき、自然のままでは互いに前後の順序がつかないものの間にさえも順序を想定して進むこと。[参考記事]

そして最後は、すべての場合に、完全な枚挙と全体にわたる見直しをして、なにも見落とさなかったと確信すること。[参考記事1][参考記事2] (p.28)

2014年5月10日土曜日

聖人と、歩く地雷原(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーの(再考)世知入門、21回目です。子を持つ親として参考にしたい話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 法律に関する実務やビジネスに携わる一員として、ご説明にあったモデルを実践で活かしましたか。またそうであれば、どのように活用しましたか。それはどんな風に機能したのですか。法律事務所がその種のモデルを支持しているようには見えない、とわたしを含めた多くの人が感じていると思います。

<マンガー> たしかにモデルはそこにもあります。しかし学術界で不適切な動機づけがみられるように、法律業界にも同じことが言えます。実際、細かい点では法律事務所のほうが悪い場合もいくつかあります。

ここに法律実務におけるもうひとつのモデルがあります。私がまだまだ若かった頃に父は法務を仕事としていましたが、ここで父の親友の一人だったグラント・マクフェイデン氏の話をしましょう。父の仕事の顧客でもあった彼はオマハでパイオニア・フォードのディーラーをしていましたが、見事なまでにすばらしい人でした。アイルランド系の彼は、まだ若い頃に父親に折檻されたせいで農場から逃げ出してきました。教育を受けていなかったので、彼はまったくの独力で道を切り開きました。独立独歩の彼は誠実な魅力あふれるすばらしい人で、実に見事な人物でした。

私の父の顧客にはそれとは反対の人もいました。自慢が絶えず、背伸びしすぎで、不公正でいて、尊大かつむずかしい人でした。たしか14歳ごろだったはずですが、私は父にこう尋ねてみました。「父さんはどうしてX氏の仕事ばかりしているのですか。あの無理している自慢屋のことです。グラント・マクフェイデンさんのようなすばらしい人の仕事のほうが少ないですよ」。

父は言いました。「グラント・マクフェイデンさんは従業員を正しく扱い、顧客には正しく接し、問題には正しく向かい合う人だね。頭のおかしな人が関わってきたらすばやくその人のところへ歩み、できる限り速やかに出ていくように努めている。だからグラント・マクフェイデンからくる法律の仕事では、おまえがいつまでもコカ・コーラを飲んでいられるような金額にはならないわけだ。ところがX氏のほうは、見事なまでに法律の仕事をもたらしてくれる『歩く地雷原』なのだよ」。

この例は法務における問題のひとつを示しています。つまり仕事のうちのかなりの割合が、著しく問題のある人たちに関することで占められるということです。彼らは大金になる法律の仕事を生み出してくれます。たとえ自分の顧客が聖人のような人物であっても、ひどく問題な人が係争相手であったり、さらには陪審員だったりすることがよくあります。私がその職業から離れることにしたのは、それも理由のひとつです。

あとは私自身の強欲さによるものですが、強欲なるままに進んで成功できたおかげで、気高く分別のある人間になる道のりが楽なものとなりました。ベン・フランクリンが気づいていたように「からっぽの袋は立たせにくい」のです。

二人の顧客のことを尋ねたときに父が示してくれたモデルは、まったくもって正当な教訓話でした。彼は正しい教えを授けてくれたのです。その教えとはこうです。「家族を養う必要があれば、筋の通らない尊大な人の仕事を受けねばならないときもある。しかし自分の人生はグラント・マクフェイデンのように歩みなさい」と。これはすばらしい教えだと思います。

そして父は非常に賢明なやりかたで教えてくれました。つまり、ただそれを教え込むのではなく、すこしばかり思いを凝らさないと得られない方法で語ってくれたことです。グラント・マクフェイデンのようにふるまうべきだ、とみずからの力で考えられるように要求されたわけですが、私ならうまく考えられるだろうと父は期待しました。実際のところ、今日まで何十年間もその考えを心に抱きつづけてきました。非常にうまい教え方だったと思いますよ。

これは初歩的な心理学の話でしたね。つまり初歩的な文学と同じです。よき文章は読み手の理解をややも広げてくれますし、うまく働きます。よりよく心にとどめるようになります。ここに、関与する傾向[原文はcommitment]や一貫性の傾向が生じます。つまりその内容について考えをめぐらせば、自分の中にうまく叩き込まれるわけです。

みなさんは法律家あるいは経営者として、私が父から学んだことや別のことをだれかに教えたいと考えるようになると思います。その際には、今説明したようなやりかたで教えることもできます。このやりかたは子供に教えるのにもってこいですよ。私の父は意図してそのように間接的な方法をとりました。それがどれだけ強力なものか考えてみてください。クック船長が心理学を巧みに使ったかのように効きます。そのとき以来、私は生涯を通じてグラント・マクフェイデンを模倣しようと努めてきました。そうできなかったことが何度かあったかもしれません。しかし、少なくとも努力はしてきました。

Q: As someone who's been in legal practice and business, how did you incorporate, or did you incorporate, these models into your legal practice? And how did it work? I suspect many of us have seen law firms that don't appear to adhere to these kinds of models.

Well, the models are there. But just as there are perverse incentives in academia, there are perverse incentives in law firms. In fact, in some respects, at the law firms, it's much worse.

Here's another model from law practice: When I was very young, my father practiced law. One of his best friends, Grant McFayden - Omaha's Pioneer Ford dealer - was a client. He was a perfectly marvelous man - a self-made Irishman who'd run away uneducated from a farm as a youth because his father beat him. So he made his own way in the world. And he was a brilliant man of enormous charm and integrity - just a wonderful, wonderful man.

In contrast, my father had another client who was a blowhard, overreaching, unfair, pompous, difficult man. And I must have been fourteen years old or thereabouts when I asked, "Dad, why do you do so much work for Mr. X - this overreaching blowhard - instead of working more for wonderful men like Grant McFayden?"

My father said, "Grant McFayden treats his employees right, his customers right, and his problems right. And if he gets involved with a psychotic, he quickly walks over to where the psychotic is and works out an exit as fast as he can. Therefore, Grant McFayden doesn't have enough remunerative law business to keep you in Coca-Cola. But Mr. X is a walking minefield of wonderful legal business."

This case demonstrates one of the troubles with practicing law. To a considerable extent, you're going to be dealing with grossly defective people. They create an enormous amount of the remunerative law business. And even when your own client is a paragon of virtue, you'll often be dealing with gross defectives on the other side or even on the bench. That's partly what drove me out of the profession.

The rest was my own greed, but my success in serving greed partly allowed me to make easier the process of being honorable and sensible. Like Ben Franklin observed, "It's hard for an empty sack to stand upright. "

I'd argue that my father's model when I asked him about the two clients was totally correct didaction. He taught me the right lesson. The lesson? As you go through life, sell your services once in a while to an unreasonable blowhard if that's what you must do to feed your family. But run your own life like Grant McFayden. That was a great lesson.

And he taught it in a very clever way - because instead of just pounding it in, he told it to me in a way that required a slight mental reach. And I had to make the reach myself in order to get the idea that I should behave like Grant McFayden. And because I had to reach for it, he figured I'd hold it better. And, indeed, I've held it all the way through until today - through all of these decades. That's a very clever teaching method.

There, again, we're talking about elementary psychology. It's elementary literature. Good literature makes the reader reach a little for understanding. Then, it works better. You hold it better. It's the commitment and consistency tendency. If you've reached for it, the idea's pounded in better.

As a lawyer or executive, you'll want to teach somebody what my father taught me or maybe you'll want to teach them something else. And you can use lessons like this. Isn't that a great way to teach a child? My father used indirection on purpose. And look at how powerfully it worked - like Captain Cook's wise use of psychology. I've been trying to imitate Grant McFayden ever since - for all my life. I may have had a few lapses. But at least I've been trying.

2014年5月8日木曜日

2014年バークシャー株主総会;自分の強みの見分け方

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2014年5月に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次株主総会、質疑応答のメモがなかなか出揃いません。そのため、今回も軽めの話題を1件だけご紹介します。原文のメモはScribdにアップロードされていたものです。しかしこういう返答を延々と即興でやれるのも大した才能だと思います。(日本語は拙訳)

Berkshire Hathaway Annual Meeting Notes 2014 (著者:CanadianValue, 掲載サイト:Scribd)

<質問者> どうすれば「自分の土俵」がわかりますか。

<バフェット> いい質問ですね。自分のことを現実的にみていますし、ビジネス以外の世界でも当てはまると思います。

チャーリーとわたしはその境界線をそこそこ上手に見定めてきた、と思っています。わたし自身は、特に小売業界のときに外に出てしまったことがよくありました。バークシャーの株を売ることから[企業を買収して]経営権を買うことへと計画を変えたときに、土俵の外に出ていたのです。しかし最後にはなんとかうまくいきました。[少し前の質疑で、小売業界の企業を買収した話題が登場している]

一方、ブラムキン夫人[ミセスB]は[被買収の対価として]バークシャー株を選びませんでした。それをまちがいだったと考える人がいるかもしれませんが、そうではありません。彼女には自分が何を知らないのかがわかっていました。彼女がわかっていたのは不動産や小売りのことで、それでずっと昔からやってきたのです。

<マンガー> 自分の強みを知るのにそんなにかかるとは思いませんね。たとえば身長が160cm弱ならNBA[バスケットボール]は期待できないだろうし、95歳だったらハリウッド映画に出るロマンチックな主役は来ないだろうし、体重が140kgだったらボリショイ・バレエのダンサーもダメでしょうし...。

<バフェット> わたしのやりたいことを全部外しているじゃないですか。

<マンガー> いや、これはおバカさんの相手をするときに役に立つわけです。幸いなことに、そういう場面がたくさんありますから。(p.12)

Q: How does one figure out what one's circle of competence is?

WB: It is a good question. It is a question of being self-realistic, and that applies outside of business as well.

I think Charlie and I have been reasonably good at defining the perimeter of that limit. For myself, I have gone out of that area more often in retail than in other areas. I was outside my circle of competence when I decided to change my plan from selling shares of BRK to buying control, but that ended up working out.

Mrs. Blumkin didn't take BRK stock, which some people might consider a mistake, but it wasn't. She knew what she didn't know. She knew real estate and retail and that took her a long long way.

CM: I don't think it takes that much to figure out competence. If you're 5'2" you probably shouldn't count on the NBA, if you're 95 years old you probably shouldn't count on being the romantic lead in a Hollywood movie, if you're 300 pounds you shouldn't count on dancing in the Bolshoi ballet…

WB: You're ruling out all the things I want to do.

CM: I just knew that it would help to compete against idiots, and luckily there are a lot of them around.

2014年5月6日火曜日

経営者教育について(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その23です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> [子会社の]経営陣を訓練したり指導するにはどうすればいいと考え、バークシャーで実践されていますか。

<バフェット> おもしろい質問ですね。実のところ、なにもしていません。たぶん半分ぐらいの[子会社の]経営陣はMBAかビジネスに関する他の教育を受けていて、もう半分の方々はそうではないと思います。良き経営者がどう作られるのか、興味がありますね。というのはビジネスの言葉[=会計]を理解していなければなりませんし、わたしが言うところの「商売魂」や「商売志向」を持つべきだと思うからです。しかし、わたしとしては経歴のことはまったく気にかけていません。ソロモンにいたときには、履歴書をみせてほしいとはだれにも聞きませんでした。ですから彼らがどこの学校を出たのか知らなかったですし、それが違いになるとは考えていませんでした。ミセスBの話をしましたが、彼女に学歴を聞いて白紙を出してきても、わたしにはそれでかまいません。ボーシャイムズを築き上げたアイク・フリードマンが学校で何をしたのか、あるいはその前はどうだったのか、そういうことも知りません。わたしには全然重要なことではないのです。基本的なやりかたとしてわたしたちは、すでに事業を成功させた人から買収して、そのまま経営してもらうのを好んでいます。打率が3割5分とか3割7分5厘の人の事業を買ってそのまま楽しく続けてもらうほうが、空地で野球をしているところへ出かけて熱心に観察し、3割5分打てますとか3割7分5厘いけますと申告する人をみつけるよりもずっといいです。ただし後者のやりかたをしないとは言っていません。後者でやったことも何度かあります。ただ、前者で行けるならばそのほうがいいです。新人をちゃんと仕込むのは大変だとわかっていますから。わたしたちにはすばらしいマネージャーが揃っていますが、65歳を超える人も多く、ビジネスに関する教育を受けていない人もたくさんいます。ちなみにわたしとしては、ビジネスに関する教育が害になるとは思っていません。わたしもペンシルバニア大学とネブラスカ大学、そしてコロンビア大学で教わりました。3か所のビジネススクールへ通い、それぞれの場所でいろんなことを学びましたが、実際に多くを学んだのは後の2つの学校です。学校でビジネスを学んだことはかなり有利に働いたかもしれません。ですが、不可欠なことだとは思っていません。

Q. What kind of management training or mentoring do you believe in and actually practice at Berkshire?

A. Well, that's interesting. We really don't do any. Perhaps half of our managers have MBAs or have had other kinds of business training. Probably half of them didn't. It's interesting to me what makes a good manager, because I think you have to understand the language of business, and you should have what I would call a "business mind" or "business orientation." But, we don't care about background at all. When I was at Salomon, I did not ask to see anyone's resume. I didn't know where any of the dozen went to school. It just didn't make a difference to me. You know Mrs. B; if I asked her for her educational experience and she handed me a blank piece of paper, that would be fine with me. Ike Freidman, who built Borsheim's - I don't even know what he did in terms of school, or what he had done. It really is irrelevant to me. We basically like to buy into businesses where people have already succeeded and then keep them on. I would much rather have somebody who has been batting .350 or .375, buy their business and try and keep them happy than have to go out and start casting around the sandlots looking for people who tell me they are going to bat .350 or .375. I'm not saying I won't do the latter. We've done some of the latter, but when you can do the former, we like it. We find it's hard to teach a new dog old tricks. We've got some terrific managers, many of whom are over 65 and many of whom did not have a business education. I don't think a business education hurts, incidently. I got one at Penn, Nebraska and Columbia, so I went to three different business schools and learned a lot at each place. Actually, I learned more at the last two. It can be quite advantageous, but I don't think it is essential.

2014年5月5日月曜日

2014年バークシャー・ハサウェイ株主総会;買えば買うほどお得です

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5月3日(土)にウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが年次株主総会を開催しました。参加者数は38,000名を超えていると伝えられています。質疑応答のメモはいずれ献身的な方々によってアップロードされると思いますので、それを待って訳文付きでご紹介するつもりです。ひとまずは大手メディアが公開しているメモのリンク先を2つあげておきます。

Berkshire Hathaway's 2014 Shareholder Meeting (The New York Times)

Recap: The 2014 Berkshire Hathaway Annual Meeting (The Wall Street Journal)

今回は1件だけですが、NYTの文章から引用します。(日本語は拙訳)

ある株主の質問から派生して、バフェット氏とマンガー氏のどちらのほうが倹約家かという話題になった。

マンガー氏いわく、個人的な消費という点では相方のほうだとのこと。バフェット氏はこう付け加えた。「家が6軒も8軒もあったら、わたしの生活はひどくなりますよ」。

マンガー氏は[会場の]センチュリーリンク・センターに集った群衆を見渡して、こう断言した。「聴衆の中には同じように考える倹約家の姿がたくさんみえますね」。

しかしながらバフェット氏は集団にむかって、ここにいる間はお金を使うように促した。「買えば買うほど節約できますよ」、彼は声を立てて笑った。[各種子会社が出店を出したりして、株主向けに割引販売している]

A shareholder question leads to a question of who is more frugal, Mr. Buffett or Mr. Munger?

Mr. Munger says that on personal consumption, it's his counterpart. Mr. Buffett adds this: My life would be worse with 6 or 8 houses, says

Mr. Munger, peering into the CenturyLink Center crowd, declares that he sees a lot of like-minded frugal individuals in the audience.

That said, Mr. Buffett urges the gathering to spend while they're here. "The more you spend, the more you save at these prices," he chortles.

2014年5月4日日曜日

経済学における不完全性定理(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによる講演『経済学の強みとあやまち』の29回目です。悪徳の話題は今回までで、この講演も終わりに近づいてきました。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

妬みのからんだ悪徳がもたらすものから、興味深い問題がもう一つ生じています。モーセの戒律では賢明なことに、妬みに対して非常に厳しい批判を向けていました。彼らがいかに厳しく指摘していたか、覚えているでしょう。汝、隣人のロバをむさぼってはならない、隣人のはしためをむさぼってはならない、汝は…。人間とはどれだけ妬みがちなのか、妬みがどれだけ大きな問題を引き起こすか、古きユダヤ人はよくわかっていました。厳しい指摘だったものの、それは正しかったのです。しかし、マンデビルの著書『蜂の寓話』を覚えていますか。彼は(私からみれば)確信を以って自説を、つまり妬みは消費という性癖を焚きつける強力な原動力である、と開陳していました。ですから十戒で禁じられたこのひどい悪徳が、経済学にとってはあらゆる好ましい結果をもたらすことになります。つまり、経済学には誰一人逃れることのできない逆説があるわけです。

私がまだ若かったころに[数学者の]ゲーデルが皆の人気を集めていました。彼は、数学上のシステムには苛立たしいほどの不完全性を必ず伴っていることの証拠を見つけました。私はそのとき以来、数学には摘出することのできない欠陥が多々あり、逆説を含まない数学はあり得ないことを、先達の教えとして受けとめています。いかに懸命にやろうとも、数学者でいる以上はいくらかの逆説とは付き合っていかざるを得ないのです。

数学者が自らの創ったシステムから逆説を取り除けないのであれば、お粗末な経済学者が逆説を取り除くことはありません。言うまでもなく、その他大勢の我々でも同じです。しかし、このことは問題ではありません。逆説があればこそ、人生はおもしろいのです。私が逆説に出くわすとすれば、次のどちらかになると思います。このことを合点していたはずなのにまるっきりのバカをやらかすか、あるいは自分が従うやりかたの限界ぎりぎりを試す充実した時となるかです。どちらに転ぶかは人生のおもしろいところです。

Another interesting problem is raised by vice effects involving envy. Envy wisely got a very strong condemnation in the laws of Moses. You remember how they laid it on with a trowel: You couldn't covet thy neighbor's ass, you couldn't covet thy neighbor's servant girl, you couldn't covet…. Those old Jews knew how envious people are and how much trouble it caused. They really laid it on hard, and they were right. But Mandeville - remember his fable of bees? He demonstrated convincingly - to me, anyway - that envy was a great driver of proclivity to spend. And so, here's this terrible vice, which is forbidden in the Ten Commandments, and here it's driving all these favorable results in economics. There's some paradox in economics that nobody's going to get out.

When I was young, everybody was excited by Godel, who came up with proof that you couldn't have a mathematical system without a lot of irritating incompleteness in it. Well, since then, my betters tell me that they've come up with more irremovable defects in mathematics and have decided that you're never going to get mathematics without some paradox in it. No matter how hard you work, you're going to have to live with some paradox if you're a mathematician.

Well, if the mathematicians can't get the paradox out of their system when they're creating it themselves, the poor economists are never going to get rid of paradoxes, nor are any of the rest of us. It doesn't matter. Life is interesting with some paradox. When I run into a paradox, I think either I'm a total horse's ass to have gotten to this point, or I'm fruitfully near the edge of my discipline. It adds excitement to life to wonder which it is.

2014年5月2日金曜日

清算価値による評価(セス・クラーマン)

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マネー・マネージャーのセス・クラーマンの著書『Margin of Safety』から、今回からは清算価値の話題です。企業清算や分割は(少なくとも現代の)日本ではあまりなじみのない慣行です。そのためこの話題は退屈に感じるかもしれませんが、企業価値を評価する手段のひとつとして飛ばさずに取りあげます。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

清算価値

企業の清算価値とは、企業の有する価値を保守的に評価したもので、考慮する対象は有形資産に限られ、継続価値として評価される無形資産は含めない。すなわち株式の値段が1株当たりの清算価値まで安くなっていれば、それはどん底の評価に近く、しばしば魅力的な投資となる。

清算価値分析は理論に基づいた上で企業の価値を評価しているものの、価値を認識する手段として実際によく使われているものではない。一般に企業の資産は、清算するよりも継続企業のまま分割したほうが全体として高く評価される。つまり清算価値とは、通常は最悪の事態を想定したときの評価となる。事業を継続中の企業が分割されたときでさえ、分割された各部分の多くは実際には清算されず、継続中の事業体のまま売却される。清算価値の一形態として解散価値[意味としては解体価値]があるが、これには企業活動を継続するかそれとも清算するかを判断し、分割された各部分の最高価値を見いだす作業も含まれる。企業清算と伝えられるほとんどのものは、実際には分割である。解散価値を超えていれば、常に継続事業価値は維持されている。

清算価値分析においては、どのように資産を評価すればよいだろうか。清算が整然と遂行されるのであれば、「投げ売り」よりも高い価値が認められるのはほぼ確かである。しかし清算時の企業には、いつも時間があるとは限らない。企業が資金面で行き詰まっていれば、速やかに清算(つまり投げ売り)することで残された財産の価値を最大化できるかもしれない。投げ売りとなった場合には、在庫の評価額はその性質によるが簿価よりも相当大幅に割り引いて考えなければならない。同様に、売掛金もかなり割り引くべきであろう。事業の性質や顧客の素性、金額の多寡、そして多少なりとも事業が継続しているかどうかといった要因すべてが、個々の売掛金から認識される最終的な金額に対して影響を及ぼす。

Liquidation Value

The liquidation value of a business is a conservative assessment of its worth in which only tangible assets are considered and intangibles, such as going-concern value, are not. Accordingly, when a stock is selling at a discount to liquidation value per share, a near rock-bottom appraisal, it is frequently an attractive investment.

A liquidation analysis is a theoretical exercise in valuation but not usually an actual approach to value realization. The assets of a company are typically worth more as part of a going concern than in liquidation, so liquidation value is generally a worst-case assessment. Even when an ongoing business is dismantled, many of its component parts are not actually liquidated but instead are sold intact as operating entities. Breakup value is one form of liquidation analysis; this involves determining the highest value of each component of a business, either as an ongoing enterprise or in liquidation. Most announced corporate liquidations are really breakups; ongoing business value is preserved whenever it exceeds liquidation value.

How should investors value assets in a liquidation analysis? An orderly liquidation over time is virtually certain to realize greater proceeds than a "fire sale," but time is not always available to a company in liquidation. When a business is in financial distress, a quick liquidation (a fire sale) may maximize the estate value. In a fire sale the value of inventory, depending on its nature, must be discounted steeply below carrying value. Receivables should probably be significantly discounted as well; the nature of the business, the identity of the customer, the amount owed, and whether or not the business is in any way ongoing all influence the ultimate realization from each receivable.