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2014年4月20日日曜日

2013年度バフェットからの手紙(付録) - 内部留保について

ウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイの株主向けに毎年書いている文章では、本題の範囲を超える話題については深入りせず、年次報告書(Annual Report)の末尾に付録として添付しています。2013年度版の付録には、「本源的価値(Intrinsic Value)」と題する一節がありました。この話題は2010年度にウォーレンが書いた文章ですが、2013年度版にも再掲されています。2010年度版が発表された頃は個人的に職務が極めて多忙だったため(そして大地震がやってきたため)、目を通していませんでした(あるいは読んだことを忘れてしまいました)。今回腰をすえて読んでみたところ、初歩的ながら肝心なことが書かれており、今さらながら感じ入っている次第です。数年前に発表されていた文章なのですでに広く取りあげられているかもしれませんが、ここでは拙訳にてご紹介します。

BERKSHIRE HATHAWAY INC. 2013 ANNUAL REPORT [PDF]

本源的価値を算出する際に使う3つめの要素は他よりも主観的なもので、足し算にも引き算にもなります。その要素とは内部留保の効率性、つまり留保された資金が将来どのように活用されるかを問うものです。わたしたちだけでなく多くの他社でも同じように、次の10年についても利益を社内に留めていくでしょうが、その金額は現在投じられている資本と同じかそれ以上に達すると思われます。そして留保された資金を半分にしてしまう会社があれば、2倍へと変える会社もあります。

企業の持つ本源的価値を見積もってまともな値に達するには、常に「今どれだけあるのか」を適切に計算した上で、「資金がどのように活用されるだろうか」という要因を評価しなければなりません。これはわたしたちに限らず、だれにとってもそうです。それというのも、当事者ではない外部の投資家は、会社の利益における投資家自身の持ち分を経営陣が再投資してくれるのを、ただただ待つばかりだからです。CEOがその仕事をうまく遂行してくれるようであれば、再投資される見込みによって会社の現在価値は高まります。一方でCEOの能力ややる気が疑わしい場合、現在価値は割り引いて考えなければなりません。この結果次第で大きな差がつくこともあります。1960年代の末頃にシアーズ・ローバックやモンゴメリー・ウォード[通販会社]のCEOが手にしていた当時の価値での1ドルは、[ウォルマートの]サム・ウォルトンにゆだねられた1ドルとは遠く離れた運命を歩むこととなったのです。(PDFファイル111ページ目)

There is a third, more subjective, element to an intrinsic value calculation that can be either positive or negative: the efficacy with which retained earnings will be deployed in the future. We, as well as many other businesses, are likely to retain earnings over the next decade that will equal, or even exceed, the capital we presently employ. Some companies will turn these retained dollars into fifty-cent pieces, others into two-dollar bills.

This "what-will-they-do-with-the-money" factor must always be evaluated along with the "what-do-we-have-now" calculation in order for us, or anybody, to arrive at a sensible estimate of a company's intrinsic value. That's because an outside investor stands by helplessly as management reinvests his share of the company's earnings. If a CEO can be expected to do this job well, the reinvestment prospects add to the company's current value; if the CEO's talents or motives are suspect, today's value must be discounted. The difference in outcome can be huge. A dollar of then-value in the hands of Sears Roebuck's or Montgomery Ward's CEOs in the late 1960s had a far different destiny than did a dollar entrusted to Sam Walton.



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