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2012年10月22日月曜日

大差をつけて市場に勝てるか(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーの世知入門です。これまでの基礎的な概念を踏まえた上で、今回からは株式投資の話題に進みます。(日本語は拙訳)

最初の問いについて考えてみましょう。「株式市場の本質とは何だろうか」。これは、私がロースクールを卒業してからずっとあとに猛威をふるうようになった効率的市場仮説の話につながります。

実に興味深いことに、世界的に有名なある経済学者がバークシャー・ハサウェイの株を少なからず保有しています。バフェットが経営権を握った初期の頃からのことです。彼の書いた教科書には「株式市場は完璧に効率的で、市場に勝てる人は誰もいない」とあります。しかし彼自身の資金はバークシャーに投じられ、そのおかげで彼は裕福になりました。パスカルの有名な賭けと同じで、彼は自分の主張をヘッジしていたのです。

株式市場は効率的だから、それに打ち勝つのは無理なのでしょうか。たしかに効率的市場仮説は、だいたいのところは当たっています。市場はきわめて効率的であり、知性ある投資家が規律に従って株式を選定したとしても、大差をつけて市場に勝つのはきわめて難しいのです。

実際のところ、並みは並みでしかなく、あらゆる人が市場に勝つというのはありえません。常々言っているように、上位の2割に入れるのは20%の人だけなのが世の定めです。ですから質問の答えは、「市場は効率的なところもあるし、非効率なところもある」となります。

The first question is, “What is the nature of the stock market?” And that gets you directly to this efficient market theory that got to be the rage - a total rage - long after I graduated from law school.

And it's rather interesting because one of the greatest economists of the world is a substantial shareholder in Berkshire Hathaway and has been from the very early days after Buffett was in control. His textbook always taught that the stock market was perfectly efficient and that nobody could beat it. But his own money went into Berkshire and made him wealthy. So, like Pascal in his famous wager, he hedged his bet.

Is the stock market so efficient that people can't beat it? Well, the efficient market theory is obviously roughly right - meaning that markets are quite efficient and it's quite hard for anybody to beat the market by significant margins as a stock picker by just being intelligent and working in a disciplined way.

Indeed, the average result has to be the average result. By definition, everybody can't beat the market. As I always say, the iron rule of life is that only twenty percent of the people can be in the top fifth. That's just the way it is. So the answer is that it's partly efficient and partly inefficient.


なお「パスカルの賭け」とは、数学者として有名なパスカルが神の実在を信じるかどうか確率論的に判断し、「神は実在する」ほうを選んだものです。この逸話を初めて知ったときには古くさい印象を受けましたが、時がたつにつれて建設的だと感じるようになってきました。

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