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2017年6月24日土曜日

2016年度バフェットからの手紙(7)あのサルのように運が良ければ

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2016年度「バフェットからの手紙」から引用します。前回のつづきです。(日本語は拙訳)

上に記したわたしの主張を単純な方程式へ入れてみたいと思います。もし投資の世界全体がグループA(アクティブ投資家)とグループB(不動な投資家)で構成されているとしたら、グループBの費用控除前の成績は平均点そのものとなる定めにあります。これはグループAも同じです。つまり、費用の安いグループのほうが勝者となるわけです(理論的なこだわりがあってささいながらも触れておきたいのですが、この公式にはわずかに修正すべき点があります。詳細に触れるほどのものではありませんが)。グループAの費用が不当なほど高いとしたら、大幅に差をつけられてしまうでしょう。

もちろんですが、腕利きの人たちのなかにはS&Pをしのぐ成績を長期間にわたってあげることが明白な人もいるでしょう。ただしこれまでわたしが見てきたなかで、この難題を成し遂げるだろうと早い段階から期待できたプロは10名程度にとどまりました。

わたしが知らない人のなかには、わたしが見出したそのような人たちと同じ能力を持つ人が、数百人あるいはたぶん数千人にのぼるのは間違いないはずです。けっきょくは、不可能でも何でもない仕事だからです。ただし問題なのは、好成績をあげようとするマネージャーの大多数が失敗におわる点です。「資金を出してほしい」とみなさんへ要求する人はどうでしょうか。やはり、「うまくやり遂げられる例外的な人」ではない可能性がかなり高いと思います。ビル・ルーアン[=セコイア・ファンドの創業者]は実にすばらしい人物でした。それだけではなく、60年前に「まずまちがいなく長期間にわたって卓越した投資成績をもたらす」と思えた人物でした。その彼が、ここで取り上げている話題についてうまく言い表しています。「資産運用の世界では、ものごとは革新者から始まって、模倣者が引き継ぎ、やがてヘボの大群へと伝わっていくのだ」と。

「高給取りのマネージャーで、なおかつ報酬に見合った価値を提供してくれる」という稀な人物をさがす作業がなおさら複雑になるのは、「素人で起こるのとまさしく同じように、投資のプロにおいても短期的にみると運が良かっただけ」という事実があるからです。たとえば年のはじめに1,000人のマネージャーが市場の予測をしたとします。するとかなりの確率で、9年間連続して正解を出す人が少なくとも一人はいます。もちろんサルが1,000匹いても同じように、知恵をたたえた預言者のように見える1匹を輩出するでしょう。しかし違う点がひとつあります。幸運なサルのほうには、投資を任せようと列をなす者の姿がみられない点です。

最後になりますが、「投資で成功したがために失敗を産み出す」、そのような働きをする3つのつながり合った現実があります。はじめに「成績が良いと早々に資金の奔流を呼び集める点」です。次に「投資資金が山と積みあがることで、かならずや成績の重しとなる点」です。数百万ドルならばたやすくても、数十億ドルでは手を焼くようになります(涙)。3つめに「それにもかかわらず、ほとんどのマネージャーが新規の追加資金を求める点」です。これは彼ら個人の方程式のせいです。つまりは、「運用資産が増えれば、受取り手数料も増える」わけです。

わたしにしてみれば、その3点に何ら新しいところはありません。1966年1月に、わたしは4,400万ドルの資産を運用していました。そのときに有限責任パートナーに向けて次のように書きました。「規模が大きくなることは、今後の成績にとって有益ではなく有害になりやすい。そう強く感じています。わたし個人の成績ではそうならないかもしれませんが、みなさんの成績ではおそらくそうなるでしょう。そのようなわけで、バフェット・パートナーシップ・リミテッド(BPL)の新たなパートナーは今後は迎え入れないつもりです。妻のスージーにはすでに言ってあります。『次の子供ができたとしても、その子たち用のパートナーシップは他をあたってほしい』と」。

締めくくりましょう。ウォール街の住人が何兆ドルもの資産を管理していて高額な手数料をとっているのであれば、とびぬけた利益を刈り取れるのはふつうはマネージャーのほうであって、顧客のほうではありません。規模が大きかろうが小さかろうが、どちらの投資家も低コストのインデックス・ファンド一筋でやったほうがいいと思います。

So that was my argument - and now let me put it into a simple equation. If Group A (active investors) and Group B (do-nothing investors) comprise the total investing universe, and B is destined to achieve average results before costs, so, too, must A. Whichever group has the lower costs will win. (The academic in me requires me to mention that there is a very minor point - not worth detailing - that slightly modifies this formulation.) And if Group A has exorbitant costs, its shortfall will be substantial.

There are, of course, some skilled individuals who are highly likely to out-perform the S&P over long stretches. In my lifetime, though, I’ve identified - early on - only ten or so professionals that I expected would accomplish this feat.

There are no doubt many hundreds of people - perhaps thousands - whom I have never met and whose abilities would equal those of the people I’ve identified. The job, after all, is not impossible. The problem simply is that the great majority of managers who attempt to over-perform will fail. The probability is also very high that the person soliciting your funds will not be the exception who does well. Bill Ruane - a truly wonderful human being and a man whom I identified 60 years ago as almost certain to deliver superior investment returns over the long haul - said it well: “In investment management, the progression is from the innovators to the imitators to the swarming incompetents.”

Further complicating the search for the rare high-fee manager who is worth his or her pay is the fact that some investment professionals, just as some amateurs, will be lucky over short periods. If 1,000 managers make a market prediction at the beginning of a year, it’s very likely that the calls of at least one will be correct for nine consecutive years. Of course, 1,000 monkeys would be just as likely to produce a seemingly all-wise prophet. But there would remain a difference: The lucky monkey would not find people standing in line to invest with him.

Finally, there are three connected realities that cause investing success to breed failure. First, a good record quickly attracts a torrent of money. Second, huge sums invariably act as an anchor on investment performance: What is easy with millions, struggles with billions (sob!). Third, most managers will nevertheless seek new money because of their personal equation - namely, the more funds they have under management, the more their fees.

These three points are hardly new ground for me: In January 1966, when I was managing $44 million, I wrote my limited partners: “I feel substantially greater size is more likely to harm future results than to help them. This might not be true for my own personal results, but it is likely to be true for your results. Therefore, . . . I intend to admit no additional partners to BPL. I have notified Susie that if we have any more children, it is up to her to find some other partnership for them.”

The bottom line: When trillions of dollars are managed by Wall Streeters charging high fees, it will usually be the managers who reap outsized profits, not the clients. Both large and small investors should stick with low-cost index funds.

2017年6月20日火曜日

2016年度バフェットからの手紙(6)アクティブ勢VSパッシブ勢

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用です。「ロング・ベット」が続きます。(日本語は拙訳)

今回の勝負でヘッジ・ファンドへ投資していた人たちは残念な成績を被りましたが、これが将来も繰り返されるのは、ほぼまちがいないだろうと思います。勝負開始の際にロング・ベッツのウェブサイトへ寄せた説明のなかで、なぜそのような持論を抱いているのか理由を表しました(今でもまだ載ったままです)。わたしが力説した内容は次のとおりです。

2008年1月1日に開始してから2017年12月31日までの10年間におけるS&P500の成績は、手数料・原価・経費を除いて計算すると、ヘッジ・ファンドに投資するファンド群よりも良い結果をおさめるでしょう。

証券市場では、非常に優秀な多くの人が平均を超える結果をあげようと考えて、行動を始めます。ここでは彼らのことを「アクティブ投資家」と呼ぶことにします。

彼らの反対になるのが「パッシブ投資家」で、その性質からすると平均前後の成績をあげることになります。彼らのポジションを総体としてみれば、多かれ少なかれインデックス・ファンドの成績と同じ程度になるでしょう。ですから、アクティブ投資家たち全体における損益も、同じように平均前後になるはずです。ただし、アクティブ投資家にははるかに多額の費用がかかってきます。そのためすべてを考慮すると、それらの費用を引いた後のアクティブ投資家全体としての成績は、パッシブ投資家の成績よりも悪くなるでしょう。

多額の年間手数料、多額の成功報酬、そして頻繁に発生する売買の費用といった要素すべてがアクティブ投資家の方程式に加えられることで、コストは飛躍的に増加します。ヘッジ・ファンドに投資するファンドでは、この費用の問題がなおさら強烈です。というのも、投資先のヘッジ・ファンドが要求する多額の手数料の上に、ファンド・オブ・ファンズの手数料が積み重なるからです。

ヘッジ・ファンドの運営には、優秀な人たちが何名もかかわっています。しかし自分自身の労苦がみずからを無力化する側面が大きい以上、彼らの有するIQをもってしても、投資家へ課す費用を打ち破ることはできないでしょう。投資家を平均して考えれば、ある程度の期間でみたときに良い成績をあげるのは、低コストのインデックス・ファンドへ投資したときであって、一群のファンド・オブ・ファンズへの投資ではないと思います。


In my opinion, the disappointing results for hedge-fund investors that this bet exposed are almost certain to recur in the future. I laid out my reasons for that belief in a statement that was posted on the Long Bets website when the bet commenced (and that is still posted there). Here is what I asserted:

Over a ten-year period commencing on January 1, 2008, and ending on December 31, 2017, the S&P 500 will outperform a portfolio of funds of hedge funds, when performance is measured on a basis net of fees, costs and expenses.

A lot of very smart people set out to do better than average in securities markets. Call them active investors.

Their opposites, passive investors, will by definition do about average. In aggregate their positions will more or less approximate those of an index fund. Therefore, the balance of the universe - the active investors - must do about average as well. However, these investors will incur far greater costs. So, on balance, their aggregate results after these costs will be worse than those of the passive investors.

Costs skyrocket when large annual fees, large performance fees, and active trading costs are all added to the active investor’s equation. Funds of hedge funds accentuate this cost problem because their fees are superimposed on the large fees charged by the hedge funds in which the funds of funds are invested.

A number of smart people are involved in running hedge funds. But to a great extent their efforts are self-neutralizing, and their IQ will not overcome the costs they impose on investors. Investors, on average and over time, will do better with a low-cost index fund than with a group of funds of funds.

2017年6月16日金曜日

2016年度バフェットからの手紙(5)手数料は眠らない

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用です。ウォーレンが始めた「ロング・ベット」のつづきです。(日本語は拙訳)

インデックス・ファンドの現在までの成績は、複利ベースで年率7.1%増でした。過去の株式市場をみれば、これがふつうの数字だと容易にわかることでしょう。ここで重要な事実を述べておきます。この勝負の期間となった9年間において市場がきわめて低調に推移したとすると、相対的な成績でみればヘッジ・ファンドのほうが有利になるでしょう。彼らの多くが「空売り」のポジションを大きくとるからです。反対に、株式がきわめて高いリターンをあげれば、9年の歳月はインデックス・ファンドの追い風となるでしょう。

ところが実際はそのどちらとも異なり、わたしとしては「ニュートラル」と呼びたい運用環境になりました。2016年までに5本のファンド・オブ・ファンズが達成した複利ベースでのリターンは、平均すると年率2.2%にとどまりました。つまりそれらのファンドに100万ドル投資すれば、22万ドルの利益が得られたことになります。しかしインデックス・ファンドに投資していれば、85万4千ドルの利益が得られていたでしょう。

ここで念頭においていただきたいのは、基盤になっている100本以上のヘッジ・ファンドを運営するすべてのマネージャーが、最善を尽くすことに対して巨額の金銭的な見返りを得られることになっていた点です。さらに、テッドが選んだ5本のファンド・オブ・ファンズのマネージャーも同様です。彼らも、最高のヘッジ・ファンドを運営するマネージャーを選ぶよう動機づけられていました。選んだヘッジ・ファンドの成績によって手数料を受ける決まりにしていたからです。

どちらの階層のマネージャーも、ほとんどが正直で頭のいい人ばかりだったのはまちがいないと思います。しかし彼らに対して投資した人にとっての成績は散々でした。まさに散々の一言です。ところがなんとも、関わっていたすべてのファンド及びファンド・オブ・ファンズが課していた多額の固定手数料は、ファンドの成績からすればまるで見合っていないのですが、過ぎ去った9年間を通じてマネージャー諸氏の報酬として降り注ぐためのものとなったのです。ゴードン・ゲッコーであればたぶん、「手数料が眠ることはない」と言い表すでしょう。[映画Wall Street: Money Never Sleepの主人公。演者はマイケル・ダグラス]

わたしたちの勝負において基盤となった投資先ヘッジ・ファンドのマネージャーが有限責任のパートナーから受ける報酬を平均としてみると、ヘッジ・ファンド標準として広まっている「2と20」をやや下回る程度でした。この「2と20」の意味ですが、まずは年間2%の固定手数料がかかります。これは損失が巨大であっても取られる金額です。そして利益が出た場合はその20%分が取られます。(成績が良い年の後に悪い年が来たとしても)返金されることはありません。このような不均衡な構成のもとで、運用対象となる資産を積み上げるだけの能力がヘッジ・ファンドの運用者にあれば、投資成績がお粗末だったとしてもマネージャーの多くは途方もない金持ちになれます。

手数料の話はまだ終わっていません。ファンド・オブ・ファンズのマネージャーにも同じような支払いが必要でしたね。ここまでの金額に追加して、たいていは資産額の1%と定めた固定手数料が取られます。さらには、ファンド・オブ・ファンズ5本全体の成績がひどいものだったとしても好調な年が続いたファンドもあったので、好成績に見合った手数料が徴収されます。それらの結果、9年間を合計すると5本のファンド・オブ・ファンズが達成した利益全体のうち、私の計算ではおよそ60%が(ごくごくごっくん!)、2階層にわたるマネージャーへと振り向けられていました。何百名もの有限責任パートナーが苦労することなく、さらには実質的に費用をかけることもなしに自分自身で達成できたかもしれない成績をはるかに下回った対価としては、いただけないものでした。

The compounded annual increase to date for the index fund is 7.1%, which is a return that could easily prove typical for the stock market over time. That’s an important fact: A particularly weak nine years for the market over the lifetime of this bet would have probably helped the relative performance of the hedge funds, because many hold large “short” positions. Conversely, nine years of exceptionally high returns from stocks would have provided a tailwind for index funds.

Instead we operated in what I would call a “neutral” environment. In it, the five funds-of-funds delivered, through 2016, an average of only 2.2%, compounded annually. That means $1 million invested in those funds would have gained $220,000. The index fund would meanwhile have gained $854,000.

Bear in mind that every one of the 100-plus managers of the underlying hedge funds had a huge financial incentive to do his or her best. Moreover, the five funds-of-funds managers that Ted selected were similarly incentivized to select the best hedge-fund managers possible because the five were entitled to performance fees based on the results of the underlying funds.

I’m certain that in almost all cases the managers at both levels were honest and intelligent people. But the results for their investors were dismal - really dismal. And, alas, the huge fixed fees charged by all of the funds and funds-of-funds involved - fees that were totally unwarranted by performance - were such that their managers were showered with compensation over the nine years that have passed. As Gordon Gekko might have put it: “Fees never sleep.”

The underlying hedge-fund managers in our bet received payments from their limited partners that likely averaged a bit under the prevailing hedge-fund standard of “2 and 20,” meaning a 2% annual fixed fee, payable even when losses are huge, and 20% of profits with no clawback (if good years were followed by bad ones). Under this lopsided arrangement, a hedge fund operator’s ability to simply pile up assets under management has made many of these managers extraordinarily rich, even as their investments have performed poorly.

Still, we’re not through with fees. Remember, there were the fund-of-funds managers to be fed as well. These managers received an additional fixed amount that was usually set at 1% of assets. Then, despite the terrible overall record of the five funds-of-funds, some experienced a few good years and collected “performance” fees. Consequently, I estimate that over the nine-year period roughly 60% - gulp! - of all gains achieved by the five funds-of-funds were diverted to the two levels of managers. That was their misbegotten reward for accomplishing something far short of what their many hundreds of limited partners could have effortlessly - and with virtually no cost - achieved on their own.

2017年6月12日月曜日

2016年度バフェットからの手紙(4)S&P500ファンドの威力

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用で、ウォーレンが始めた賭けの話題がつづきます。(日本語は拙訳)

さて、ここからはわたしが行った賭けとその後についてです。バークシャーの2005年度年次報告書で、「ある程度の年月でみると、プロが運用するアクティブ投資を全体としてみたときのリターンは、ズブの素人がじっとしたまま達成する数字に及ばない」と論じました。顧客全体としてみると、さまざまな「助力者ら」の課す巨額な手数料のおかげで、単に自動運用されていて費用の安いインデックス・ファンドへ素人が投資するよりもむずかしい状況に置かれていると説明したのです。(2005年度の報告書にのせた論述を、今回の年次報告書[PDFファイル]の114~115ページにそのまま再掲しましたので、ごらんください)

そのあとに続けて、賭け金50万ドルの勝負を公けに募りました。その内容は、「かなりの長期間でみたときに、おしるし程度の手数料で済む管理者不要なS&P500のインデックス・ファンドの成績に匹敵できる『少なくとも5本以上のヘッジ・ファンドで構成される一群』を、投資業界のプロの方で選び出せる人はいない」とするものです。高額の手数料がかかりますが、ヘッジ・ファンドはすごく人気がある投資用のヴィークルです。そして勝ち負けを決める時期は10年後とし、わたしの勝負札には手数料の安いヴァンガードS&Pファンドを選びました。「さあ、ファンド・マネージャーのみなさんがこぞってあらわれて、自分たちの仕事を擁護するだろう」と腰を落ちつけて待ち望みました。彼らは、5つのファンドの中に自分のものも含めることができるわけです。結局のところ、マネージャーである彼らの腕前に何十億ドルを賭けるようにと他人を焚きつけてきたのですから、その彼らが自分の資金から少しばかりを危険にさらすことになっても、こわがる必要はないはずです。

ところが聴こえてきたのは、しんとした静寂ばかりでした。みずからの銘柄選定の技量を売り込むことで、めまいがするほどの富を集めてきた、そんな数千名ものプロの資産運用者がいるはずです。しかし、わたしの出した挑戦に挑んできたのはただ一人でした。彼の名はテッド・サイディーズ、プロテジェ・パートナーズの共同マネージャーを務める人物でした。彼は有限責任のパートナーから集めた資金をもとにファンド・オブ・ファンズ、言いかえれば「複数のヘッジ・ファンドへ投資するファンド」を設立した資産運用者でした。

賭けの前には、テッドのことは知りませんでした。しかし彼には好感を持っていますし、自分の資金を自分の信じるものへと投じる気構えは見事だと思います。わたしに対して正直でしたし、賭けの状況を監視するために両者が必要なあらゆるデータを提供してくれる点でも細密周到でした。

プロテジェ・パートナーズ側の10年間にわたる勝負札として、テッドはファンド・オブ・ファンズを5本選びました。そしてそれらの成績の平均をとり、わたし側のヴァンガードS&Pインデックス・ファンドと比較しました。5本のファンドは100本以上のヘッジ・ファンドへと投資していました。これはつまり、「ひとつのマネージャーがあげる成績の良しあしによって、5本全体としての成績がねじ曲げられることがない」という意味になります。

もちろんですが、投資先のヘッジ・ファンドで手数料がかかっていましたし、それぞれのファンド・オブ・ファンズでもその上に積み重なる形で手数料をとって運営していました。この二重構成では、基礎部分にあたるヘッジ・ファンドのほうで、より大きな手数料が課されていました。そしてそれぞれのファンド・オブ・ファンズでは、「ヘッジ・ファンドのマネージャーを選び抜く」という暗黙の了解を得た技量の代金として、追加の手数料を要求したわけです。

以下に、開始後9年間の勝負の経過を挙げました。わたしの勝ち分すべてを受けられる慈善先として、[NPO法人]ガールズ・インクのオマハ事務所を設定してありますが、この数字からすればまちがいなく、かの団体は来年の正月に勇んで通知の手紙を開けるだろうと思います。

暦年 ファンドA ファンドB ファンドC ファンドD ファンドE S&Pファンド
2008 -16.5% -22.3% -21.3% -29.3% -30.1% -37.0%
2009 11.3% 14.5% 21.4% 16.5% 16.8% 26.6%
2010 5.9% 6.8% 13.3% 4.9% 11.9% 15.1%
2011 -6.3% -1.3% 5.9% -6.3% -2.8% 2.1%
2012 3.4% 9.6% 5.7% 6.2% 9.1% 16.0%
2013 10.5% 15.2% 8.8% 14.2% 14.4% 32.3%
2014 4.7% 4.0% 18.9% 0.7% -2.1% 13.6%
2015 1.6% 2.5% 5.4% 1.4% -5.0% 1.4%
2016 -2.9% 1.7% -1.4% 2.5% 4.4% 11.9%
累計 8.7% 28.3% 62.8% 2.9% 7.5% 85.4%

(注)プロテジェ・パートナーズとの合意によって、ファンド・オブ・ファンズの名称は非公開としました。ただしわたし自身は、年次の監査報告を確認しています。

Now, to my bet and its history. In Berkshire's 2005 annual report, I argued that active investment management by professionals - in aggregate - would over a period of years underperform the returns achieved by rank amateurs who simply sat still. I explained that the massive fees levied by a variety of “helpers" would leave their clients - again in aggregate - worse off than if the amateurs simply invested in an unmanaged low-cost index fund. (See pages 114 - 115 for a reprint of the argument as I originally stated it in the 2005 report.)

Subsequently, I publicly offered to wager $500,000 that no investment pro could select a set of at least five hedge funds - wildly-popular and high-fee investing vehicles - that would over an extended period match the performance of an unmanaged S&P-500 index fund charging only token fees. I suggested a ten-year bet and named a low-cost Vanguard S&P fund as my contender. I then sat back and waited expectantly for a parade of fund managers - who could include their own fund as one of the five - to come forth and defend their occupation. After all, these managers urged others to bet billions on their abilities. Why should they fear putting a little of their own money on the line?

What followed was the sound of silence. Though there are thousands of professional investment managers who have amassed staggering fortunes by touting their stock-selecting prowess, only one man - Ted Seides - stepped up to my challenge. Ted was a co-manager of Protege Partners, an asset manager that had raised money from limited partners to form a fund-of-funds - in other words, a fund that invests in multiple hedge funds.

I hadn’t known Ted before our wager, but I like him and admire his willingness to put his money where his mouth was. He has been both straight-forward with me and meticulous in supplying all the data that both he and I have needed to monitor the bet.

For Protege Partners’ side of our ten-year bet, Ted picked five funds-of-funds whose results were to be averaged and compared against my Vanguard S&P index fund. The five he selected had invested their money in more than 100 hedge funds, which meant that the overall performance of the funds-of-funds would not be distorted by the good or poor results of a single manager.

Each fund-of-funds, of course, operated with a layer of fees that sat above the fees charged by the hedge funds in which it had invested. In this doubling-up arrangement, the larger fees were levied by the underlying hedge funds; each of the fund-of-funds imposed an additional fee for its presumed skills in selecting hedge-fund managers.

Here are the results for the first nine years of the bet - figures leaving no doubt that Girls Inc. of Omaha, the charitable beneficiary I designated to get any bet winnings I earned, will be the organization eagerly opening the mail next January.

[The performance chart is omitted by the blog author.]

Footnote: Under my agreement with Protege Partners, the names of these funds-of-funds have never been publicly disclosed. I, however, see their annual audits.

2017年6月8日木曜日

2016年度バフェットからの手紙(3)100歳になっても生きているだろうか

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用です。今回から取り上げる部分が、一般(=非株主)向けのメイン・テーマと言えると思います。まずは、ウォーレンが好む軽いジョークの連発からです。(日本語は拙訳)

「賭け」(あるいは、自分の資金がウォール街へおさまることになる経緯)

この章のはじめのほうでは、わたしが9年前に勝負にのったある投資の話をします。それから次に、わたしが投資に対して強く抱いている見方を挙げています。しかしその前に、「ロング・ベッツ」(Long Bets; 長期的予測)という異色の組織がその賭けの中で果たす役割について、かいつまんで記したいと思います。

「ロング・ベッツ」はアマゾン社のジェフ・ベゾスの資金提供を受けて設立・運営されてきた非営利の団体で、長期的な予測がどうなったのか、その顛末を処理運営するものです。この予測に参加する「提案者」は、かなり先の日付になってから是非が明らかになる自分自身の見解を、Longbets.orgのサイトへ提出します。そして、それと反対の見解を抱く、つまり自分の反対側に賭けてくれる参加者を待ちます、その「疑義者」が申し出てくれた時点で、両者は自分の側が勝ったときに賭け金の受取人となる慈善先を指名します。そして「ロング・ベッツ」へ賭け金を預け入れると共に、自分側の立場を擁護する小論文を提出します。勝負が決まった時点で、「ロング・ベッツ」は勝った側の慈善先へ賭け金を支払います。

それでは、「ロング・ベッツ」が運営している興味津々なサイトで見受けられる事例を、いくつか挙げてみましょう。

2002年には、ミッチ・ケイパーという起業家[1-2-3で有名なLotusの創業者]が「チューリング・テストを合格するコンピューターや『機械知能』は、2029年までは登場しない」と宣言しました。チューリング・テストとは、コンピューターが人間[の受け答え]を模倣できるどうかを試すテストです。一方、発明家であるレイ・カーツワイル[A.I.の領域で活躍]は反対の見方を示しました。彼らは各々の見解を支持する金額として1万ドルを用意しました。どちらがこの賭けに勝つのかは、わたしにはわかりません。しかし「チャーリー・マンガーをそっくり真似できるコンピューターは登場しない」という見方には、自信をもって賭けられます。

それと同じ年にマイクロソフト社のクレイグ・マンディー[元最高研究戦略責任者]が、「パイロットの不要な旅客飛行機の定期便が、2030年までに出現する」と宣言しました。これに反対したのがグーグル社のエリック・シュミット[元CEO]です。この勝負での賭け金は1,000ドルずつでした。巨額な費用負担を被るかもしれないエリックの胸焼けをやわらげたいと思い、彼がしたことの一部を受け持とうと先日わたしから提案しました。すると彼は即座に500ドル分をわたしに回してくれました。(もしわたしたちの側が負けることになったときに、「負担分を支払わなければならない西暦2030年前後に、わたしがまだ生きている」と彼が想定してくれた点が、うれしいですね)

“The Bet” (or how your money finds its way to Wall Street)

In this section, you will encounter, early on, the story of an investment bet I made nine years ago and, next, some strong opinions I have about investing. As a starter, though, I want to briefly describe Long Bets, a unique establishment that played a role in the bet.

Long Bets was seeded by Amazon's Jeff Bezos and operates as a non-profit organization that administers just what you'd guess: long-term bets. To participate, “proposers" post a proposition at Longbets.org that will be proved right or wrong at a distant date. They then wait for a contrary-minded party to take the other side of the bet. When a “doubter" steps forward, each side names a charity that will be the beneficiary if its side wins; parks its wager with Long Bets; and posts a short essay defending its position on the Long Bets website. When the bet is concluded, Long Bets pays off the winning charity.

Here are examples of what you will find on Long Bets' very interesting site:

In 2002, entrepreneur Mitch Kapor asserted that “By 2029 no computer - or ‘machine intelligence' - will have passed the Turing Test," which deals with whether a computer can successfully impersonate a human being. Inventor Ray Kurzweil took the opposing view. Each backed up his opinion with $10,000. I don't know who will win this bet, but I will confidently wager that no computer will ever replicate Charlie.

That same year, Craig Mundie of Microsoft asserted that pilotless planes would routinely fly passengers by 2030, while Eric Schmidt of Google argued otherwise. The stakes were $1,000 each. To ease any heartburn Eric might be experiencing from his outsized exposure, I recently offered to take a piece of his action. He promptly laid off $500 with me. (I like his assumption that I'll be around in 2030 to contribute my payment, should we lose.)